遊戯王デュエルモンスターズII 闇界決闘記

【ゆうぎおう でゅえるもんすたーずつー だーくでゅえるすとーりーず】

ジャンル カードゲーム
対応機種 ゲームボーイカラー(全GB共通)
メディア 32MbitROMカートリッジ
発売元 コナミ
開発元 コナミコンピュータエンタテイメントジャパン
アイ・ティー・エル
発売日 1999年7月8日
定価 4,500円
判定 なし
ポイント 前作より収録カード枚数が大幅に増えた
デュエルシーンも改善
儀式・炎魔族冷遇
元祖カードのおまけ
遊戯王 関連作品リンク


概要

今尚、発売され続けている『遊戯王 デュエルモンスターズ』シリーズ第2弾。
ストーリーや登場キャラクターは王国編までだが、隠しキャラとして原作よりも先行登場したキャラクターがいる。
前作の350種類のカードから約二倍の720種類のカードが扱えるようになった。
オフィシャルカードゲーム(OCG)は発売中であり、本作で登場したモンスターも後々カード化されていく。
前作は初期のカードゲームにありがちな力押しゲーだったが、キャラゲーとしては大成功だった。今作では、どう変更されたかと言うと…


新要素

デッキキャパシティ、デュエリストレベル

  • プレイヤーにレベルが設定されており、レベルが低いと強いカードをデッキに入れることができない。
    • ただし、融合召喚で作成したモンスターは別で、プレイヤーのレベルに関係無く最序盤から使用可能。
  • また、キャパシティも設定されており、レベルが高くても高コストのカードばかりデッキに入れることができない。
    • 上述のデュエリストレベルを上げるには、CPU戦や通信対戦及び通信交換を行う必要がある。
      特に通信対戦は1勝につき多めのキャパシティを得られる為、経験値稼ぎに適している。

罠カード

  • 相手の行動によって発動するカード。次の自分のターンまでセットする事ができる。
  • ブラフや相手モンスターの除去にも効果を発揮し、コストも低いので重宝する。

儀式カード

  • 特定の条件のモンスターを揃える事により、強力なモンスターを召喚する。
    • 1回使用すると消滅してしまう使い切りのカードの為、取り扱いには注意。

召喚魔族の追加

  • 黒、白、悪魔、幻想魔族の4種と土、風、雷、水、炎、森の6種。
    • それぞれに相性があり、優劣が設定されている。優位な魔族と劣位の魔族が戦闘した場合、優位な魔族はどんなに攻撃力や守備力を上回っている相手でも倒す事が可能になった。
      攻撃側が守備表示の相手に対して劣位の魔族だった場合も、攻撃側のモンスターはそのまま破壊されてしまう。
    • 例えば黒魔族は白魔族に対して優位なので、「上位クラスの攻撃力を持つ白魔族の《青眼の白龍》を、本来なら攻撃力が大きく劣っている筈の黒魔族の《クリボー》が一方的に撃破してしまう」なんてことも。

パスワード

  • OCGで入手したカードに記載されているパスワードを入力する事でゲーム内でも使用可能になった。
    • 但し、一度使うごとにデッキキャパシティが50減ってしまう。
    • この機能は次回作以降も引き継がれているが、デッキキャパシティの消費は廃止される事になった。

D-トランス


基本ルール

  • 基本的な部分は前作と変わらないので省略。
    • 今作は魔法カードを1ターンに可能な限り使用することができるようになった(罠カードも同様)。
    • 前作及び次回作以降の作品における融合召喚は、原則として1ターンにつき1枚のみだったり、融合召喚直後のターンでは一切の行動が出来なかったりと制限があったのだが、今作に限ってその様な点は存在しない。すなわち、今作では融合召喚した直後のモンスターを素材にして別のモンスターに連続融合するコンボの様な物が出来たり、融合した直後に相手への攻撃や表示形式の変更を行う事が出来る。
    • 何枚使おうと次のターンに手札のカードを必ず5枚になるまで補充する。 つまり、1ターン内に融合召喚や罠・魔法カードを使えばその分デッキの回転が早まる。
    • 前作では戦闘が終了すると自動でターンが終了していたが、今作よりBボタンを押した際に表示されるメニュー画面より、任意のタイミングでターンを終了させる手動形式に変更された。
      • これによりバトルフェイズのスキップが可能に。「毎ターン相手を攻撃するか守備表示への変更を行わなければならない」というプレイヤーへの縛りも事実上消滅したと言えるだろう。

評価点

前作からの改善点

  • タイトル画面に「はじめから」「つづきから」の項目が追加され、データのリセットが容易になった。
  • 戦闘が前作より高速化。スムーズになった。
    • これに伴い、戦闘時に流れるBGMも非常に短くなり、前作ではバグでゲームの進行が止まるか1ターンキルを達成可能なクラスまでモンスターを強化しなければ最後まで聴けなかった戦闘BGMをほぼ毎回最後まで聴ける様になった。
    • ちなみに、前作の戦闘BGM自体も本作に収録されているが、決闘前のメニュー画面で使用されているので、ほぼいつでも最後まで聴く事が出来るファンサービスも。
  • バーン系魔法カードのダメージ量が大幅に減り(例《火炎地獄》5000→1000)、前作ほどの驚異ではなくなった。
    • …が、手札が必ず5枚補充されるので《火炎地獄》39枚のデッキで組むと魔法カードを使用しないCPU戦は楽勝。
    • しかし、キャパシティとデュエリストレベルの関係上、大量に所持していても使用できない場合があり、
    • 当の《火炎地獄》のコストも255でデッキに大量に積むにはキャパシティも必要になる。
      • 何よりレベル255、キャパシティ9999まで上げるのはやり込みの領域であり、この時点に達しているプレイヤーはほとんどやる事がないだろう。
    • また、対人対戦では《治療の神ディアンケト》1枚でカバーされたり、モンスターを並べる事ができないので《巨大化》のダイレクトアタックでKOされてしまう危険性も高い。
  • Bボタンメニューの追加
    • 前作では決闘中にBボタンを押すと、カーソルに重なっているカードの詳細を見れる機能があったのだが、今作ではポーズ画面の様なシステムメニューを開く形式に変更された。
    • メニュー画面では、残り山札の数を知る事が出来る他、前作のBボタンと同様の「ディティール」、前述のターンエンド宣言という3つの機能が使用可能。
  • 勝利後のカード獲得画面では、前作同様にカードのNoや名称が見られるが、今作ではそれに加えて、その後に画面が切り替わりカードの詳細が表示される様になった。
    • これにより、どんなカードが手に入ったのか、いちいちかばんに移動して確認する手間が省かれる事になった。
  • 勝利数で貰えるボーナスカードが10、20、30勝のそれぞれ3種までとなった。
    • 前作では100勝目で強力なカードを貰えたが今回はそれを廃止、上記の勝利数で報酬がループされるようになった。
  • 「詰み」対策の強化
    • 前作はシステムの関係上、劣勢時からの切り替えし手段がせいぜい「全体除去魔法カード(《サンダー・ボルト》か《ブラック・ホール》)を使う」程度であったが、それに対して今作は以下の切り返し手段が追加。これにより、前作の様な絶望的なシチュエーションが作られにくくなったと言えなくもない。
      • 召喚魔族の追加により、単純な殴り合いから脱却。前作のようにこちらのカードを上回る強力なカードを出された場合でも、この相性のおかげで十分打開できるようになった。
      • 罠カードの追加。今作で新たに追加された罠カードは、特定の魔法カードへのカウンターのみならず、攻撃してきたモンスターを除去出来る物も存在。カード対象の数値までになるが、罠カードを上手くやりくりする事によって劣勢から逆転できる様になった。
      • 種族ピンポイントメタ系除去カードの大幅増加。前作における同系統のカードは《ドラゴン族・封印の壺》のみだったが、今作では更に《魔女狩り》や《トゲトゲ神の殺虫剤》といった物が追加。カードの仕様上、特定の種族のみに効果を発揮するが、相手が種族をテーマにしたデッキを組んでいる場合では特に有効な対抗手段となる。
  • デッキキャパシティの追加によって対戦でレギュレーションが設定できる様になった。
    • キャパシティの制限を設けており、お互い同じ条件で対戦できる。
    • キャパシティの数値が低い場合、高コストのカードばかり入れる事ができず、対人対戦においてバランス調整されている。
      • 最小のものでは、なんと「上限500」のレギュレーションなんてものも。このキャパシティ上限下では制約が大きく、高度なデッキ構築が求められる。

カードの増加

  • カードの種類が前作の倍くらいになった。
    • 今作では《ゲート・ガーディアン》や《ハーピィズペット竜》といった様に、今作が発売時に原作漫画で活躍していたモンスターは勿論の事、後にOCGにて低レベルアタッカーとして位置づけられる《ヂェミナイ・エルフ》や《地雷蜘蛛》、凶悪な効果付きモンスターと化する《メタモルポッド》《黒き森のウィッチ》といったカードが登場。
      今作で登場したカードの多くは1999年頃に展開されていたOCGにて実際のカードとして発売された物を中心で構成されていて、古参の遊戯王ファンなら一度は名前を聞いた事のある物の多くが今作を初出としている。
    • カード数の増加に伴い「かばん」の機能にもテコ入れが施されていて、前作ではリスト頭からの一方功通行だったページめくりが一番後ろから始められる様になったり、決闘を始めるorキャンセルしてメインメニューに戻るまでの間限定で最後に閲覧したページが保存される様になった。
  • 種族間のモンスターのバリエーションも増えた。
    • 例えば、前作では数が少なく微妙な存在だった機械族や鳥獣族、アンデット族に関しては特にテコ入れがなされていて、豊富になった融合パターン(後述)の存在も相まって、下級から上級まで使いやすい物が揃っている。

グラフィックがカラフルに

  • カラー対応ソフトになってグラフィックがカラフルになった。
    • この頃から既に、ゲームボーイカラーソフト全体から見てもかなりのハイレベルの出来。
    • グラフィックの出来はカラー専用になった3や4でもほぼ大差無い。

融合システムの完成

  • オリジナルでは融合モンスターの召喚には特定の二種類のモンスターを出す必要があるが、 こちらでは特定のモンスターは決まっておらず、融合で召喚するモンスターのイメージから連想される、モンスターを二種類重ねる事で召喚する、連想ゲームのような形となっている。大半は「異なる種族の組み合わせ」が多い。
    • 例:恐竜族+機械族→メカザウルス、魚族+虹色→レインボーフィッシュ
    • 融合召喚自体は前作から存在するが、「攻900以下同士の汎用的な組み合わせだと最高でも攻1200辺りまでが限界」「高攻撃力のモンスターを作り出すのに最低でも攻撃力1000以上は必要」「融合で作れるモンスターにスペックの統一性が無く、素材と攻撃力が一緒というハズレの様な組み合わせも存在する」といった様に中途半端な部分が見られていた。
      しかし、今作では融合召喚に使用できるモンスターが増加したのは勿論のこと、「《ダンシング・エルフ》(攻300)+《太古の壺》(攻400)=《砂の魔女》(攻2100)」といった様に、低攻撃力モンスター同士で高打点モンスターを作れる組み合わせが増加。
      これに今作独自の仕様も相まって、今作では融合を主軸にしたデッキや、デッキ自身の強化手段としても融合を有効活用できる様になったと言えよう。

賛否両論点

ゲーム環境の高速化

  • 今作は前作からゲームのスピードが上昇しているのだが、今作では更に次のターンに必ず手札が5枚になるまで補充される超強力なドロー仕様や、融合召喚の改善と召喚酔いが無い事によりゲーム序盤辺りから高打点モンスターを繰り出しやすい、勝利数ボーナスの改善により高打点モンスターの入手が簡単という事から、1戦あたりにおけるスピードの加速が起こりやすくなっている。 決着までのターン数の平均が4~5になりやすく、更に《巨大化》(後述)などの強化魔法を用いれば、わずか2ターンで決着が付いてしまう事も。
    • だが、この仕様のおかげで非常にサクサクと進めやすく、デッキキャパシティ稼ぎや勝利数ボーナス特典カードを入手しやすくなっているのは事実。
    • もっとも、この頃の遊戯王OCGは黎明期という事もあり、そこまでゲームの速度は重視されていなかったのだが、以降のOCG並びにカードゲーム界隈では速効デッキによる環境の加速が見られる事がある。そういった意味では、今作はある意味「時代を先取りし過ぎたゲーム」と言っても良いかも知れない。
    • 次回作では、エキスパートルールの採用により今作の様なゲームの高速化が起こりにくくなっているのだが、故に今作でスピードに慣れたプレイヤーからは苦言を呈される事になった。

色違いモンスター

  • 本作で追加されたカードの約半数は、前作に登場したモンスターの色違いが非常に多い。
    • 例:《クリボー》→《屋根裏の物の怪》、《二つの口を持つ闇の支配者》→《双頭の雷龍》など。
  • 本作発売の数ヵ月後に、PSにて全モンスターをポリゴンで再現した『封印されし記憶』が発売されているため、ポリゴンモデルを作る手間を減らすために、このようなモンスターが登場したと推測されている。
  • 事実、遊戯王OCGにおける色違いモンスターは本作にて初登場したモンスターしか存在しない。
  • ただし、本作においてのカードイラストは全て新規イラストであり、本作では色違いであることによる手間の削減などが行われているわけではない。

問題点

通信対戦がアンティルール

  • 対戦に勝つと、前作ではデッキからだったが、今作では相手のかばんからカードを一枚奪い取るという ジャイアンシステム
    • 必要のないカードなら痛手は少ないが、貴重なカードを取られたら喧嘩が起きるだろう。

D-トランスで貰えるカードが弱い

  • 《クリボー》《ワイト》《ゾーンイーター》という攻撃力300以下の誰得カードばかり。
    • 一応、《クリボー》は次回作で増殖とコンボできる。その他のモンスターも主に序盤戦や低デッキキャパシティ対戦時の融合素材に使えるので上級者目線で見るとアリではあるのだが、モンスターの種類が種類である故に、結局本作のみの機能になってしまった。

デュエリストレベル、キャパシティを上げるのに時間がかかる

  • 通信を介さずCPU相手オンリーならすべてのカードを使用可能にするまで最低でも550勝以上しなければならない。
    • 特に魔法カードはその多くが高レベルに設定されているため、前作で気軽に使えたカードが中々使えないという悪循環に陥ってしまう事に。その結果、強力なカードを使用するまでにゲームに飽きてしまう人も多かった。
    • CPU勝利時のデッキキャパシティ獲得量は3と微量で、通信対戦やトレードを行わないと中々レベルが上がらない。
    • またパスワード入力でカードを獲得する事が出来るが、初出作品である本作では一度に50ものキャパシティを差し引かれてしまう。加えて、キャパシティ消費分のデュエリストレベルも下がってしまう仕様なので、通信すら出来ないぼっちプレイヤーはパスワードを入力した時点でこれまでの苦労が水の泡。
  • ちなみにデュエリストレベルが255でもキャパシティは9999になるまで増え続ける。
    + デュエリストレベル255
  • デュエリストレベルが最大になってもキャパシティ9999まではまだまだ遠い。

貰えるカードに差がある

  • 対戦相手から10、20、30戦毎にボーナスとしてカードが貰えるのだが、それに格差がある。
    • シモン・ムーランから貰える《双頭の雷龍》、バンデット・キースからもらえる《デビルゾア》並びに《メタル・デビルゾア》に強化する為の《メタル化》、闇遊戯から貰える《ブラック・マジシャン》、海馬から貰える《青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)》と強力なカードを落とす相手の存在から、結局彼らと対戦しがち。
    • 特に入手できるカードも勝利ボーナスで貰えるカードも微妙な本田やモクバなどと戦い続ける価値はあまりない。だが、エクゾディアパーツや《ダーク・ラビット》といった滅多に手に入らないレアカードを入手出来る事がある為、戦う意義自体はある。
      • ちなみに遊戯や城之内は序盤の対戦相手にもかかわらず強力なモンスターを比較的入手しやすいが、CPU戦オンリーで行く場合は序盤はレベル不足でデッキに投入出来ない。

相変わらずCPU戦は粗が多い

  • 前作同様、魔法カードは一切使用せず、今作でも相手は基本的に守備表示でモンスターを召喚するが勝てる相手であれば攻撃表示で召喚してくる、というわかりやすい挙動を取るため、行動も誘導しやすくCPU戦は相変わらず一方的。
    • だが、本作では召喚魔族の概念が追加された為、いくら相手をフルボッコにしようとしても、属性勝ちで逆転される可能性が生まれているので、油断は禁物。
    • CPU戦が相変わらず一方的な展開である為か、本作で導入された罠カードはCPU戦であまり有効とは言えない。通信対戦の出来ないぼっちプレイヤーにおける罠カードは「デッキ容量を無駄に食うカード」と認識されがちで、結局本作の時点では罠カードの使い勝手は微妙であった。
      特に《避雷針》や《シモッチによる副作用》といった魔法発動に対するカウンターとして発動するタイプの罠カードに至っては、CPU戦では使い道が無い
  • CPUのデッキが一定でない。 本田が稀にブルーアイズを使用したり、*1迷宮兄弟が儀式関係無しにゲート・ガーディアンを召喚してきたり するほどのハチャメチャぶり。*1
    • とは言え、ほとんどはキャラの強さに見合ったモンスターを使用するのでこういう事は本当に稀である。また、本作の時点では儀式モンスターにも正式な召喚魔族が設定されている為、属性の相性次第では十分に挽回が可能な点は救いか。
    • ちなみに、前作では《ホーリー・エルフ》や《幻想師(イリュージョニスト)・ノーフェイス》といった守備力の高いモンスターを相手に出された場合は守備力に勝る攻撃力のモンスターあるいは《守備封じ》といった魔法カードを用意しない限り「敗北」がほぼ確定していた。しかし、本作では召喚魔族で対策が可能な為、CPU戦では詰みにくくなったとも言える。

癖が強すぎる儀式仕様

  • 手に入る回数が少ない上に 使用したらデッキから儀式カードは消えてしまう。
    • その上、テキストに書かれている指定モンスターのヒントが非常に分かりづらく、かつ指定モンスターの攻撃力もバラバラなので儀式自体が非常に扱いづらい。
    • 加えて、本作の儀式カードのうちパスワード(後述)で入手可能なものは、入手手段故に繰り返し使う事が出来ない。結局儀式カード自体をかばんの肥やしにしてしまうプレヤーも多かった。
    • 儀式の追加によって、前作では大会の上位入賞者限定であった《カオス・ソルジャー》や《ゼラ》が一般プレイヤーも使用が出来るようになったものの、儀式仕様の癖が強すぎる故にリアルタイムのプレイヤーにおける儀式のデッキ投入率は皆無であり、本作で頻繁に儀式モンスターを使用するなら後発作品との通信が必要不可欠。

召喚魔族の偏り

  • 収録モンスターカードのうち、黒・水魔族が多く優遇気味
    • これらの魔族の弱点となる幻想・雷魔族は数が少なく、幻想魔族の場合は強力なモンスターが皆無、弱点となる悪魔・土魔族の数も多くて倒されやすい。
    • 優遇種族のうち、黒魔族は強力なブルーアイズも倒せるので場に出しておけば大体安心できる。一方、雷魔族の弱点となる土魔族にも《迷宮壁-ラビリンス・ウォール-》という優秀な壁モンスターが存在するので、いくらデッキに《双頭の雷龍》を投入していても油断は禁物。
    • これのせいで《メテオ・ブラック・ドラゴン》等の炎魔族が活躍しづらくなっている。
      • 次回作ではコンストラクションモンスターの登場により、ある程度は改善された。

《巨大化》の一撃必殺

  • どんなモンスターも一気に二段階パワーアップする《巨大化》が強すぎる。
  • 強力なモンスターに使用すれば楽に1ターンキルも可能で、攻略本にすら書かれる始末であった。
    • だが、《巨大化》のレベルは255なので序盤は使うことができない。

入手不可のカードが多い

  • 新機能のパスワードを使わせるためなのか、はたまた遊戯王OCGを売るためなのか、本作の発売日に近かった遊戯王OCGのパックに入っているカードは、エクゾディアのパーツのような重要なカードから、ステータスに合ってないノーマルカードまで、ゲーム中では入手不可であり(具体的に言えば、Vol.3、Vol.4、ブースター3のカード)、逆に強力なカード(グレートモス系や火炎地獄、スカルビショップ等)などパスワードですら書かれてないOCGカードもある。
  • 儀式カードもゲーム中で入手不可のカードが多く、《究極竜の儀式》に至っては攻略本に「Vジャンプの情報を待とう!」と書かれている始末である。
    • 儀式カード自体はパスワードで入手する事ができるが、一部の儀式モンスターはトレードやパスワードでも入手できない。
    • また、一部の儀式カードは初回生産分のみパスワードが書かれた紙がランダムに入っている。
    • 《青眼の究極竜》や《ゲート・ガーディアン》などが上記に該当するが、CPUは儀式もせずに使用してくる。
  • 現在となっては次作とのトレードが可能な為、入手は可能である。ゲームボーイ(orカラー)と、通信ケーブルが必要なのだが…。

相手の使ってくるカードがおかしい

  • 前作では、昆虫デッキ使い手のインセクター羽蛾、機械デッキのバンデット・キース…等々、ちゃんと各キャラのデッキも、原作で使ってたor使いそうなカードで構成されていた。
  • だが今作では全くのバラバラで、原作での使用モンスターは各キャラクターの切り札として使う程度なので、中々出してこなくなってしまった。
    • おそらく召喚魔族の概念の追加により、弱点の魔族で対策されると何も出来なくなるからだろう。
    • ちなみに攻略本の各キャラクターの攻略ページでは使用モンスターの傾向や対策が書かれているものの、ゲーム本編の仕様がこの有様である為、モンスター攻撃力の範囲や落とすカードの情報以外は殆ど役に立たないのも同然であった。本作の攻略本はもはや別のゲームを攻略している内容と言わざるを得ないだろう。
    • 他にも一部のキャラ攻略方法に関しては「~が出てきたらヤバイので強化魔法を使おう!」と書いてある。初期レベル15のこのゲームで、150になってようやく使える強化魔法をどうやって使えと…(無理やりやれば使えなくもないが…そこまでしなくても勝てる相手には勝てるので) お前はどこのファミ通攻略本だ
  • この点に関しては、次作で改善されている。

その他

  • ラスボスのペガサス戦で5勝するとEDに突入するが、本作でも一度EDを見た後にペガサスを撃破するとEDが強制的に流れる仕様が引き継がれている。ペガサスで勝利数を稼ぐ場合はやはり勝利の度に電源を切らなければならず、相変わらずテンポが悪い。

総評

ぶっちゃけ「カードゲームでこれはアリなの?」的な出来だった前作から一転。
システムの改善や召喚魔族の追加、儀式や罠カードの導入など、以降の作品にも受け継がれる様々な要素が追加。
それにより、当時黎明期だったOCG展開も含めて「もう一つのスタート地点」として位置づけられる事になった、と言っても良い。

ただ、肝心のゲーム部分はCPUのロジックが改善されていなかったり、カード収集やデュエルの単純作業感は否めない。
その為、良作と言い切るには難しく、結局、特典カード目当てで買う人が多かった。

一方で、ゲーム環境についてはゲームボーイで発売されたシリーズ作品の中でも、怪作『DM4』と並んで独特な部類に入る。
このため、単に「カードのおまけ」としてではなく、一つのゲーム作品として見ても良いだろうか?


余談

隠しキャラについて

  • 勝利後に双六が低確率で出現し、プレイヤーに追加でカードをプレゼントしてくれる。
    • 彼に関しては、「出るソフトと出ないソフトがあり、出るソフトでもかなりの低確率」と攻略本で仕様のように書いてあったが、実際にはROMのリビジョンは一種類しかリリースされていないため、絶対に出ないソフトというものは存在せず、おそらくプレイ開始時のセーブデータ初期化処理の際になんらかの条件で出る/出ないが分岐していると思われる。
  • ペガサスを倒したあとで戦える闇デュエリスト達は低確率で変更される。
    • 闇デュエリストに関しては、攻略本によると1/256の確率で変更されるらしいのだが、確率が確率である故に全く変化しないのも同然で、双六同様いきなり変わったりすることも。
    • 4人の闇デュエリストのうち、本作オリジナルキャラクターの「イシズ・イシュタール・ナオミ」は『封印されし記憶』にも登場した他、後に原作漫画における重要キャラクターとして大出世する事になった。
  • いずれも次回作からはパスワードで使用したり、変更することができるようになった。

特典カード

  • 今回からOCGのカードが特典として付属。10種類中3枚封入。
    • 中でも《究極完全態・グレート・モス》《ホーリー・ナイト・ドラゴン》はレアリティが高く、カードショップやリサイクルホビーショップなどで3万円を越える値段で取引されている。後にこれらは再録されるが、このゲーム付属のものはコレクター価値が非常に高く、今もその価値は下落することなく高値を維持している。
    • 他にも《死のデッキ破壊ウイルス》や《ハーピィの羽根帚》などの当時や今でも強力なカードが収録されていた。特に《ハーピィの羽根帚》はデッキの必須カードでもあり、制限カード行きも早かった。
      • 《死のデッキ破壊ウイルス》は当時はそこまで猛威を奮ってはいなかったが、OCGの戦況が変わるに連れて真価を発揮し始める。一時は禁止カードにもなったが、2016年には無制限カードとなった。
        2015年に《死のデッキ破壊ウイルス》はエラッタされ、旧テキストは《デス・ウイルス・ドラゴン》に流用された。
      • 《ハーピィの羽根帚》のみ2025年時点で制限カードとなっている。
  • 以上の点で、本作はカード目当てで何個も買う人も多かったのだが、これらのカードの多くは度重なる重版で入手も容易になった。

当時の大会について

  • 本作は東京ドームで大会が行われた。予選参加者及び予選を通過する事にプロモカードが貰えた。
    • 上位入賞者だけが貰える限定のカード《ファイヤー・ウイング・ペガサス》《メテオ・ブラック・ドラゴン》は数枚しか存在しないので非常に高価である。
      • 後にレプリカとしてパックに収録し通常販売された。
  • 来場客があまりにも殺到したため、来場者限定パックの販売が中止されるという異例の事態となった。
  • その後、週刊少年ジャンプの方で来場者を証明するもの(当日のパンフレットやチラシなど)を送付する事で、来場者限定でパックの通信販売が行われた。

その後の展開

  • Nintendo Switch/Steamで2025年2月27日に『遊戯王 アーリーデイズコレクション』が発売。本作が収録されている。
  • 2025年に海外版遊戯王TCGの「Yu-Gi-Oh! TCG Genesis」フォーマットが発表された。
    • 強力なカードにはポイントが設定されており、100ポイント以内でデッキを組む、「デッキキャパシティ」に似たルールが採用されている。
最終更新:2025年09月23日 12:14
添付ファイル

*1 これは攻略本でも指摘されていた