スーパーロボット大戦L
【すーぱーろぼっとたいせんえる】
ジャンル
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シミュレーションRPG
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対応機種
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ニンテンドーDS
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メディア
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1024MbitDSカード
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発売元
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バンダイナムコゲームス
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開発元
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エーアイ
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発売日
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2010年11月25日
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価格
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6,090円(税込)
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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判定
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良作
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スーパーロボット大戦シリーズリンク
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概要
ニンテンドーDSでのスパロボ第3作。
前作『スーパーロボット大戦K』はシナリオがあまりにも酷かったためスパロボ最低クラスとまで酷評されたが、本作は「絆」をテーマとした良質なクロスオーバーと、手堅い難易度を内包した良作として評価された。
参戦作品一覧
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初参戦
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戦え!!イクサー1
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冒険!イクサー3
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獣装機攻ダンクーガノヴァ
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版
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マクロスF
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鉄(くろがね)のラインバレル
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参戦済み
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マジンカイザー
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マジンカイザー 死闘!暗黒大将軍
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新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
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機動戦士ガンダムSEED
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機動戦士ガンダムSEED DESTINY
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超電磁ロボ コン・バトラーV
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超電磁マシーン ボルテスV
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神魂合体ゴーダンナー!!
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神魂合体ゴーダンナー!! SECOND SEASON
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ガイキング LEGEND OF DAIKU-MARYU
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鋼鉄神ジーグ
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特徴
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若者向けを目指し、00年代前半中心の参戦作品だった前作『K』と比べ、幅広い年代に向けた手堅い参戦作品となっている。
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本作のシナリオは新規参戦6作品に、DSにおける前作『K』からの続投組である『ゴーダンナー』『ガイキングLOD』『鋼鉄神ジーグ』らのエピソードを織り交ぜた構造となっている。
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『ボルテスV』と『コン・バトラーV』は今までのシリーズ作品で共演した場合強い繋がりを持っていたが、本作では『ボルテスV』側の人物が並行世界の住人(『マクロスF』と同郷)という扱いで、両作品に全く繋がりが無いという珍しい設定になっている。ただしお馴染みの合体攻撃は存在するのでご安心を。
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戦闘システムは『K』と同じ「パートナーバトルシステム」が採用されているが、いくつか変更が加えられており、テーマである「絆」を体現したシステムとなった。
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本作では機体ごとに性能に補正が付く「ボーナス効果」が設定されており、パートナーユニット(以下PU)を組む事で双方の機体にボーナスが反映される。
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ボーナスはユニット毎に異なり、また機体改造によって効果が強化・追加される。機体性能が低いほどボーナスは強力になる傾向がある。
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組み合わせ次第でユニットの使い勝手が変わったり、性能がさらに強化される(ただ、原作通りの組み合わせを自動で行う「ベーシックオーダー」はかえってバランスが取れない場合が多い)。
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サブユニットの攻撃は前作では援護攻撃という扱いだったが、今作では「メインとサブそれぞれが個別に攻撃する」という扱いになったため、援護技能を持っていなくても二体での攻撃が可能となった。
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パートナー間でしか行えなかった「援護行動」は本作ではシングルユニット(以下SU)時に限り、隣接したSU及びPUから援護を受ける事が可能となった。
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以上のシステム変更により、PUを組む意義が大幅に上昇。逆にSUは後述するコンボの弱体化も加わり使いづらくなった。
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このため『K』でSUが優位だったのがPUが優位になっただけで本質的には変わっておらず、「結局はどちらか片方しか有用でない」という批判がある。とはいえ客観的に考えて一機よりも二機一組のほうが強くなるのは自然な流れである。
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本作におけるSUは従来作のような単機駆けして無双するためのものではなく、アタックコンボや援護攻撃を活かしたサポート役であると考えたほうが良い。
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戦闘中でも味方ユニット同士が隣接していれば再編成が可能となった(ただし行動終了になる)。
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上記のボーナス効果との兼ね合いにより、『第4次』以来シリーズの伝統だった「強化パーツ」が廃止された。
評価点
シナリオ・演出の評価点
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前作の反省かシナリオライターが多く、キャラを上手く掴んでおり、原作破壊級の改悪はない。
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『ガイキングLOD』は、弱体化状態のカイキンクが追加されるなど、続投組に関しては前作で扱われなかったエピソードを挿入することで飽きが来ないよう配慮されている。また、決着シナリオも分岐ルートではなく、共通ルートでなされるよう改善されている。
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『ボルテスV』『コン・バトラーV』、『マジンカイザー』等は原作消化済みの設定。今作では歴戦の戦士という立場で未熟なパイロットを導く役割となっている。
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特にボルテスは、原作終了後ながら、『マクロスF』のキャラクターたちと濃密なクロスオーバーを成し遂げているほか、兄弟機と言えるコン・バトラーVとは異なる世界のロボットとして存在感を強めている。
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本作ではキャラクターの原作での持ち味を生かしつつ、シナリオや設定レベルから、キャラ同士の絡みまで多岐に渡ってクロスオーバーが行われている。原作で死亡するキャラや敵を説得し、助け、味方にするといったIF要素も健在。
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その象徴ともいえるのが『鉄のラインバレル』。主人公の浩一はオリジナル主人公と同級生であり、『ヱヴァンゲリヲン』の主人公シンジとも先輩後輩の関係で大きな影響を与えている。他にも「正義の味方に憧れている」という設定上、他作品のキャラクターに積極的に絡んでいく。オリジナル主人公よりもクロスオーバーの機会に恵まれており、版権キャラでこれほど他作品のキャラと関わるのは珍しくファンを驚かせた。
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また、ラインバレル関連では『ガンダムW』の五飛が違和感がないほどに絡んでおり、ファンからはナタクのファクターの愛称で呼ばれている。元々己の「正義」に関わるキャラクターであることが大きいだろう。本作では『ラインバレル』の中島宗美を説得することで仲間に出来るイベントがあるが、極め付きとして説得が可能なキャラの中に五飛が入っている。
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そして毎回扱いが心配される『ガンダムSEED DESTINY』は、途中まで原作と同じイベントをこなしつつもシナリオの流れを「キラとシンが共闘する」という、根本から違うものへと変更した。
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本作における『DESTINY』の見所は、ステラの救出にキラが協力する場面、キラの窮地をシンが救い、檄を飛ばして闘志を取り戻させる場面、イベントでジブリールにシンが止めを刺す場面。また、彼らへの敵対心が持たれないことでデュランダルに対しても唯々諾々と従うことはせず、終盤にかけて彼がセントラルと結託した際は、毅然として立ち向かう意思を見せている。
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ちなみにキラの性格もかなりスパロボ補正が入っており、シンとの初対面時の会話をはじめとして、原作とはかなり違った印象を受ける。
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本作では隠し要素の条件がやや軟化している。特定のルート選択を強要されることも少なく、宗美、ステラ、ミシェルのうちひとつをあきらめる必要がある以外は、一回のプレイですべて達成できるようになっている。
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「声の付かないスパロボ」であることを最大限に活かしている。
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従来の携帯機スパロボシリーズでもこの傾向はあったが、本作では特にそれが顕著。
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戦闘時の台詞にイベント戦闘時、反撃時、バリア能力の発生時並びにダメージ無効化時といった細かなタイミングにあわせたテキストが設定されている。
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更には特定状況時(例:ロボットに乗ったばかりで手探り状態のオリジナル主人公etc)限定の戦闘台詞も設定されているなど作りこまれている。
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勿論、従来作どおり声優の問題のあるキャラクターも無事パイロット化している。『K』から引き続き登場の『SEED DESTINY』のハイネや今回初登場の『イクサー3』がこれにあたる。
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今作のオリジナル勢の役割は、物語を脇から支える構造となっている。
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主人公・南雲一鷹は、純粋な人間のオリジナル主人公としては、もっとも年齢が低い。そのうえ、明るく前向きな性格から好感を持たれやすい。
パートナーであるアリス、及び親友であり本作一の問題児かつ成長株である浩一の影に隠れがちという意見もあるが、プロイストとの戦いで新技を編み出したりするなど、決めるところはしっかり決めている。
一部の版権キャラとは同級生と言う事で絡みが多かったりと、学生としてのクロスオーバーが多いことも魅力の一つ。
戦闘関連の評価点
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本作ではさらに気合の入った演出がなされ、前作『K』から続投している作品も多くが追加・描き直されている。
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人物カットインが非常に多彩で、ほぼ全パイロットにある。
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カットインもパイロットスーツ姿から素顔、在りし日の姿など非常にバリエーション豊かである。
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『マクロスF』のランカの「キラッ☆」も当然のごとく搭載。本作ではDSのダブルスクリーンを利用しているため『Another Century's Episode:R』ほどはウザくはない。
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コン・バトラーVとボルテスVは原作では一度しか使わなかったようなコアな必殺技も再現されている。どちらもメインの必殺技より少しだけ弱い技という位置付けになり、十分実用的。
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戦闘BGMでは本来はボーカルメインの曲のインスト再現度が非常に高く、ピッチベンドの変化や音の細かい減衰まで丁寧に作られている。
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戦闘マップのBGMも『W』、『K』での盗作問題の反省から、本作では完全オリジナルになっている。
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近作においては戦闘が冗長になる傾向があったため、アニメーション早送り機能の搭載やアニメOFF時の省略アニメーションの高速化が行われている。
システムの評価点
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「連続ターゲット補正」の緩和。
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本作では従来の「最終命中率に加算」ではなく「基礎命中率に加算」されるように計算式が変更された。
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これまではどんなに運動性が高くても5回避ければ次の攻撃が50%(『Z』の場合)の確率で当たるという回避重視のリアル系ユニットにはつらい仕様だった。
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これによって、資金をかければ無双ができないこともないバランスになっている。
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パートナーシステムの大幅な改善
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前作では、移動適正が合っていないユニット同士でPUを組んだ場合、サブユニットはメインユニットがいる高度へ強制的に移動させられていた。そのため、地形適応が合致しないユニット同士が組むと、途端に弱体化するという欠点があった。本作はこの点が改善されており、サブユニットがメインユニットの地形に進入できない場合は、移動適正そのままの高度で戦えるようになった。
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また、メイン・サブユニットがそれぞれ個別に敵メイン・サブユニットを攻撃する「個別攻撃」が追加された。これによって、敵の援護防御を無視して攻撃を行うことが可能となり、PUの利用価値が大幅に増大している。
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さらに今回は、ユニットごとに個別のボーナスが存在しており、PUを組むことでさらに強化がなされる。
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その他各種ゲームバランスの調整により、DS版スパロボの中では戦略面で良好なバランスを保っている。
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全体的に少数精鋭ではなく複数のPUで互いに助け合うかのように進軍することを推奨するゲームデザインとなっている。これは本作のテーマである「絆」を意識した調整であると思われる。
賛否両論点
システムの賛否両論点
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機体ボーナスシステムのと兼ね合いのためか機体改造は何周しても10段階止まり。携帯機作品では定番となっている15~20段階改造解禁は本作では廃止。
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加えて初期段階では5段階までしかできない。そのため、前述の強化パーツ廃止も踏まえて序盤から一機に資金をつぎ込んでフル改造で無双といったプレイは出来ない。ただし、5段階フル改造の時点でもボーナス強化が用意されている。この部分も本作のバランス調整の一環と考えられる。
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前述のようにそのボーナスは武装が弱い機体ほど高性能な補正があるため、そちらを目当てにサポート機体をフル改造するというプランも有効になった。
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ようやく10段階強化ができるのは中盤までストーリーを進めた後。2周目以降は最初から解禁されている。
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賛否はあるが、この点は比較的賛が多い部分である。とはいえ、定番特典であった15~20段階改造の廃止を惜しむプレイヤーは少なくない。
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「アタックコンボ」の大幅な弱体化。
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本作では格闘、射撃を問わず前々作『W』同様の「隣接した敵にしか使用できない」仕様に戻ったことに加え、攻撃する機体が増えるほど一体に与えるダメージが減少するようになった。
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援護無効というメリットも、PUに対するPUの同時攻撃でも可能という点で厳しい評価を受ける時もあるが、SU相手に援護を通させないように出来るのは立派なコンボのメリットである。
オリジナル関連の賛否両論点
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主人公の戦う動機となっているクラール・グライフ博士、兄貴分である悠凪・グライフの描写が薄く感情移入し辛い。
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特に後者は一鷹との対比のためか好感の持てない面が多く描かれており、それらを含めて「ニーサン」とネタ要員的に見られやすい。
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ネタ化された主な原因は、主人公に対して「俺がやるから引っ込んでろ」という態度を取っているのに、戦闘中には自身のパートナー・ハルノに全てを任せているかのような台詞を言う為。
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ラスボスの全容が明らかになるのも版権作品のシナリオを消化しきった最終話1話前(一応、序盤から存在を匂わせてはいる)。こちらも描写が薄く、強大な組織のトップであるにもかかわらず存在感があまりない。また、部下も実質1人だけ。
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しかしその数の少なさとラスボスの全容の少なさは、絆で結ばれた主人公勢との対比になっているとも解釈できる。なお、地球の軍勢をほぼ壊滅的状況に追い込めた数少ない人間の黒幕でもある(主人公のいる部隊「LOTUS」は諸事情で当時不在だったが)。
問題点
バグ
本作は歴代シリーズの中でもかなりバグが多い。
発売前倒しと全体の出来の悪さにもかかわらずバグが少なかった『K』はおろか、昨今のスパロボの中でも突出してバグが多くなっている。
以下はその中でもプレイに支障をきたす深刻なものについて記述する。
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その最たるものが「渚消失バグ」。イクサー1がイクサーロボに乗ったままor乗ったまま撤退している状態でゲームオーバーになり、そのデータで再開するとサブパイロットの渚が消滅するというものである。
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イクサー1固有のバグではなく、「変形扱いなのにサブパイロットが出たり消えたりする」システムを持つ「イクサーロボ合体/分離」技能を持つキャラ全てに共通で、イクサー3でも全く同様のバグが起こりうる。なおイクサー2もイクサーロボ合体/分離を持つが、こちらはサブパイロットが元々存在しないので関係ない。
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このバグを起こすと、35話の強制出撃イベントまで、イクサーロボに乗ってもサブパイロットの精神コマンドが出ず、戦闘シーンでもセリフは一人の時の汎用セリフしか言わなくなる。35話の強制出撃イベントよりも後で起こった場合、クリアして次の周回でまたイクサーロボが登場する時まで復活しない。サブパイロットの強制出撃イベントが無いイクサー3は発生即次の周回待ちとなってしまう。
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一度このバグが起こるとソフトリセットしただけでは解決しないため、この状態でセーブをすると取り返しがつかなくなってしまう。発生したらセーブせずに電源を落としてやり直すように。
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イクサー1が、イクサーロボ合体使用可能な期間の間に存在するシナリオの中にゲームオーバーしやすい面が存在するため、人によっては偶然遭遇する発生確率が大きく上がる。
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もう1つ有名なのが「ミシェルバグ」。厳密にはバグではなく、原作通りの死亡展開を回避するための隠し生存フラグの条件がシステム上の欠陥により達成できなくなるというもの。
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その条件は「該当ステージ内でミシェルが8機以上敵を撃破する」というものなのだが、この「8機以上敵を撃破」の部分を「ステージ開始時点におけるそれまでの総撃墜数からステージ中のフラグ確定までに何機分増えたか」で管理している上に、撃墜数が最大999でカンストしてしまうため、条件達成前の段階で撃墜数が992機以上に達してしまっている場合、フラグが立てられないため問答無用でミシェルの死亡が確定してしまう
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更に本作は周回プレイで撃墜数が累積される仕様であるため、そのセーブデータを引き継ぐ限り彼はもう二度と還ってこない。ミシェルファンがやりこめばやりこむ程ミシェルの生存フラグが立たなくなるという事に…。
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とはいえ、ミシェル死亡によって得られるもの(ステラ参戦フラグと中島宗美生存フラグの両立、ミシェルに代わってVF-25Gに搭乗するマイクローン化クラン)も大きいため、意図的にミシェルの眼鏡を割るユーザーも多かったりする。
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そもそも原作では死亡する展開が正史であり、周回を重ねてやりこみ続けない限りは遭遇しない不具合でもあるので大きく問題視されるべきレベルまでにはいってないのが幸いか。
システムの問題点
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強化パーツの廃止は、これまでのシリーズに慣れてきたプレイヤーからは特に批判されやすい。
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代わりに機体ボーナスが設けられているが、これまでのようにある程度自由に使えるわけではなくPUを組むことによってしか使えない。PUの価値を高める為に廃止・統合されたという見方もできる。
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機体性能は改造で何とかなるが、「リペアキット」などの消費系の強化パーツやそれに相当するシステムもない。
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従来なら直接戦闘の苦手なユニットを強力なパーツでカバーし、本来の用途でない運用をするという遊び方もできたが、今作ではそれがやり辛くなっている。
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そして、廃止の煽りを最も受けたのは「機体の地形適応」である。強化パーツ廃止により克服手段が減少し、地形による能力補正は『K』と変わらず少しの差でも無視できないものであり、宇宙適応A/Sのボーナスを持つユニットは引っ張りだこになった。
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攻撃射程内で残りHPが高いユニットを狙う思考ルーチンを持つ敵が多い。
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難易度の調整の為なのかこれまでのスパロボの思考ルーチンでは珍しい思考で、瀕死のユニットを無視して無傷のユニットを狙うという戦術的にどこかおかしな行動を取る。
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このルーチンの結果「多数で進軍することで、被弾してピンチになった味方がいても他の味方が囮になる」というループが成立する。
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逆に言えばいくらHPが少ないユニットがいても他のユニットが回りにいればかばうことが出来る。連続ターゲット補正もあわせて考えると「少数精鋭思考は危険」という意識付けのための調整である可能性もある。特に、ダメージの有無に関わらず1度攻撃されたら即敗北となるユニットがMAP真ん中付近にいるシナリオもあるのだが、このユニットの残HPがたった10しかないため、よほど変な事をしない限りこいつを狙われて敗北にならず、一見よりも遥かに難易度が低い。
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また、必ずしも上記のような思考パターンで攻撃しない敵がいたり、平均的に削られたところにMAP兵器やアタックコンボが飛んで来るという危険性もあるので油断は禁物。
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ある程度進めると、『R』などと同様に戦艦が同時に2機以上自動で出撃する。しかし、今作では1機でも撃墜されるとゲームオーバーになる。このため、指揮技能などを活用するために戦艦を前線に出すリスクが上がった。最終的にマクロス・クォーター、ミネルバ、大空魔竜は常時強制出撃、その他は出撃枠を1つ使うこととなる。好みの戦艦を使う楽しみが減ってしまった。
シナリオ、演出面の問題点
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シナリオ上その場で倒すことが出来ない敵(撤退したりその後のイベントで自動撃破するような相手)のHPを0にしても、トドメ演出や爆発アニメが表示されなくなった。
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トドメ演出を持つような武器≒必殺技を使う相手は大抵ボスだが、そこでトドメ演出が発生しないので、トドメ演出を目にする頻度が大きく落ちてしまった。
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ただしこれは「戦闘アニメで思いっきり爆死した癖にマップ上ではピンピンしている」といった矛盾を避けるための措置であるため、改悪とは言い切れない。また一応、ストーリーに絡む作品の機体の必殺技は、原作再現で原作の敵を倒すときに少なくとも1回はトドメ演出を見られる。
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しかしよりにもよってストーリーの中核を担う作品の1つ『鉄のラインバレル』の大トリを飾る最大合体攻撃がこの例に漏れてしまっており、撃つ事自体に結構な手間を要する大規模合体攻撃を雑魚相手に使わないとトドメ演出が見られない。
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只、ラスボスだけは例外。好きな機体で最後を飾り、トドメ演出を見ることが可能。その所為で更に主人公の影が薄くなりがちだが。
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前作『K』からの続投参戦組は最初からストーリーがある程度進んだ段階(原作中盤以降)から始まるため、原作及び前作未見の人は最初何故そんな状況になっているのか分かりにくい。特に『ガイキングLOD』と『ゴーダンナー』に関して顕著。
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一応、ゴーダンナー組に関しては、主人公のゴオに対して周囲のキャラが頻繁に「あの巨神戦争の英雄」等と呼ぶなど、ある程度は理解できるように構成されている。しかしガイキングLOD組は本当に唐突にダリウス界の決戦のシーンがおっ始まるため、理解する術が無い。
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もっとも、この辺は多かれ少なかれシリーズ共通の問題点でもあり、それでも何となく把握できるように配慮はされている。本作に関して特にこの点の不満が強いのはこれらの参戦回数がまだ少ないことと前作の影響があると思われる。
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『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の原作再現が中途半端。
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そもそも、当時の原作が4部作のうち2作目の『破』までしか進んでいない状態での参戦という事情があるのだが……。他作品とのクロスオーバー(主に『ラインバレル』)も多く、シンジ達パイロットの成長も描かれるため扱い自体は悪くはない。
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また、悲劇的展開の始まりである第9の使徒登場の一歩手前で原作再現が終了するため、カヲルの言う「彼らが一番幸せになれる結末」に落ち着いたと言える。
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本作の発売後に公開された3作目『Q』のストーリー自体、『破』と同じ時間軸で再現するのは極めて困難であるとわかったため、現時点ではしょうがないという声も高まっている。
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もっとも割を食ったのは『破』で新登場のマリ。PVで登場していたため、彼女がどのような形で本作に関わるか期待されていたが乗機と戦った使徒を含めた顔見せ程度だった。『破』劇中でも立ち位置が解らず、詳細も語られないため仕方ないが。
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ガイキング・ザ・グレートが分離できなくなった。
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合体すると他2機のパイロットもいなくなるのは前作と同じだが、さらに分離も出来なくなってしまった。その為、ライキングとバルキングについてはパイロットも含め、合体後はマップクリアまで一切使えなくなってしまった。
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一応、それを考慮してかガイキング・ザ・グレートのEN面は非常に改善されており、合体後の使い勝手だけで言えば改善されている。
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主人公に後継機が存在しない。
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本作では、主人公機に後継機が存在せず、機体の選択もできないので、終始「ラッシュバード」で戦うことになる。
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シナリオが進むと、新たな武器が追加されたり、ライバル機であるストレイバードとの合体攻撃は追加されるものの、やはり定番の後継機イベントを求めるファンも見受けられた。
総評
本作を一言で表すならば、手堅いスパロボ。
スパロボのファン層に対応すべく尖った部分を極力削ぎ落したような作りで、一部物足りなさを感じる層がいるのも事実だが、無難な出来として仕上がっている。
前作『K』が散々な評価であっただけに発売前は不安の意見が多かったが、前作の汚名を濯ぐだけの評価は得られている。
余談
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『ガンダムW』のトールギスIIIのボーナス補正に「宇宙適応A/S」が存在することから、同効果の強化パーツとパイロットであるゼクスのコードネームを掛け合わせて「火消しのスラスターモジュール」と呼ばれネタにされている。
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ちなみにネタ抜きにユニット・パイロット共に中々優秀。
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『W』『K』に実装されていたダブルスロットシステムは廃止されている。
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『第4次』以降『NEO』まで、スパロボのアンソロジーコミックがいくつかの出版社から欠かさず発売されていたが、今作から発売されなくなっている。
最終更新:2023年02月12日 17:25