戦国ランス
【せんごくらんす】
ジャンル
|
シミュレーション
|
 通常版
|
 廉価版
|
対応機種
|
Windows 98~XP / Windows 8~10(パッケージ / DL版) iOS / Android / MacOS / Windows(OOParts)
|
発売・開発元
|
アリスソフト
|
発売日
|
日本語版 2006年12月15日(パッケージ版) 2014年12月19日(廉価・DL版) 英語版 2019年09月19日 中国語版 2021年2月10日
|
定価
|
8,925円(旧版) 3,024円(廉価版) 2,484円(ダウンロード版) 全て税込み
|
レーティング
|
アダルトゲーム
|
判定
|
良作
|
Ranceシリーズリンク
|
概要
ランスシリーズ正史七作目。タイトルこそ戦国ランスと銘打たれているが、れっきとした『RanceVI -ゼス崩壊-』に続く作品であり、タイトルロゴのシルエットにもRanceVIIという文字がデザインされている。
シリーズ作品の中でもキャラクターの魅力やゲームシステムの面白さから傑作との声が多く、「遊べるアダルトゲーム」として非常に根強い人気のある一作。
ストーリー
大陸の東の端にある島国JAPAN。
この地では複数の戦国大名が己が覇権を争い、長らく戦乱の時代が続いていた。
そして、大陸で鬼畜外道と呼ばれた男ランスは、奴隷のシィルを連れてこのJAPANに訪れた。
彼の目的は、ただ一つ。
美しいと評判のJAPANの姫や女侍や巫女や女忍者や村娘とかとヤりまくる事だった。
とりわけ絶世の美女と大陸まで噂される織田家の香姫をランスは狙い、香姫のいる尾張の地へと赴く。
しかしランスはまだ知らない。この地に邪悪な魔人が待ち受けることを…。
概要・システム
-
本作は地域制圧型シミュレーションゲームである。主人公ランスは色々あって織田家の総大将となりJAPAN統一のために様々な勢力と戦うことになる。
-
1周目は上述した通り織田の総大将として天下統一をするのを目標とする「正史ルート」だが、2周目以降は3人の個別ヒロインルートが解禁される。
-
また、パッチを適用すると特定の強制イベントを回避できてターン制限がなくなる「猿殺しルート」、織田以外の勢力からも天下統一を目指すことのできる「全国版」が新たに追加される。
-
「猿殺し」は強制イベントが回避できること以外はとある個別ヒロインルートとだいたい同じ展開となる。「全国版」は純粋に国取り合戦に特化したモードでほとんどの特殊イベントが発生しなくなる。
-
全国版では人材に乏しい勢力でも一部の武将の能力が上方修正されるのでどの勢力からでも天下統一を目指すことは不可能ではない。ささやかなものだが全勢力に専用EDもちゃんと用意されている。
-
なお、2周目以降も「正史ルート」で遊べるが、「正史ルート」にも2周目以降でないと発生しないイベントが存在する。
-
ゲームの流れはターントップ(国力分だけ収入が入る)→自ターン(行動回数の数だけ行動可能。内政や合戦、その他イベントで消費する)→他勢力ターン→ターン終了で1ターン終了。
-
各武将は1ターンに一回しか行動できない。合戦以外の破壊工作や内政などでも行動済扱いになる。
-
1ターンというのは敵勢力ターンも含むので、当然敵ターンに未行動の武将がいないと何もできず負けてしまう。常に反撃戦を想定しておく必要がある。
-
そのターン未行動の武将は微量だが兵数が回復する。
-
行動回数は最初は2回だけだが満足度ボーナスが一定値まで上昇した場合増やせる。満足度は基本的にランスが女性と一儀に及ぶことで上昇していく。
-
ボーナスは他にも強力な援軍を呼んだり、必殺技を習得できたりと有用。反面ボーナスを得るためには排他関係のキャラもいる。
-
合戦はお互い6部隊まで出陣可能。敵部隊を全滅させるか、戦闘終了時に戦果バーが真ん中を越えていれば勝利と極めてシンプル。
-
合戦で部隊全滅した場合武将は一定確率で討死(キャラロスト)する。ただしキャラロストを確実に防止できるアイテムは存在する。
-
ランス(と後半に加入するあるキャラ)は討ち死にした場合その時点でゲームオーバー。また、ストーリー上重要なヒロインは確実に死なないので酷だが盾として使える。
-
合戦前には誰か斥候役を出すことが可能で、出すと相手の武将構成が分かる。斥候に出した武将はもちろんそのターンの合戦に参加できなくなってしまうが、思わぬ強敵が出陣している場合もあるのでよほどの緊急時以外出すこと推奨。
-
戦闘地域には砦と城の概念があり、砦は防衛側に多少の防御補正、城は大きな能力補正がかかる。
-
城を陥落させればその地域を自軍領土にできる。もちろん生半可な戦力では落とせないので両軍の総決戦となる。
-
逆に言えば、城さえ守り抜けばその領地を奪われることはない。多方面で開戦してしまった場合、城まで一旦後退し反撃体勢が整うまで篭城戦をするのも上策。
-
城の陥落以外にも交渉値が高いメンバーがいれば降伏勧告をすることで戦わずして勝つことも出来るが、この場合戦って勝った場合の満足度上昇イベントが起きなくなるため、長い目で見るとより難易度が高くなりやすい。
-
武将たちは14種の兵種のいずれかに属しており、それぞれの兵種ごとに利点と欠点がある。
-
武将ごとにコストが定められており、合計コストの数値が国力よりも高くなると領地からの収入資金が半分になり、新しい武将を雇えなくなる。
-
国力を上げるには他国の領地を奪うのが一番手っ取り早いが、地道に領地を開発して伸ばすこともできる。
-
金は兵士の補充・増員で使用する。あまり意識するものではないが、いざという時に素寒貧だとそのまま兵士補充できずに負けるのでそれなりに気を配る必要がある。
-
なお、30人までしか武将は雇えない。コストを意識し、誰を雇い、どのタイミングで解雇するかを考慮する必要があり、ここがまた悩みどころ。
-
ダンジョンやイベントボスなどでは、合戦ではなく数人同士の戦闘になる。
-
個人戦では兵数関係なく武将個人のステータス・装備アイテムで戦闘が行われ、個人戦でのみ使えるスキルもあるので合戦よりも個人戦向きのユニットも存在する。
-
最新パッチはVer 1.04、若干プレイヤーに不利になった部分もあるが、それよりもバグの修正、上述した追加ルートに追加キャラと様々な利点があるので買ったならば早めにパッチ適用を推奨。廉価版は適用済みで販売されているのでそのままプレイして問題無し。
評価点
-
ゲームバランスが非常に良い。初めは何も分からないまま遊んでもさくさく進めて遊んでいくうちに次第に理解していく、だんだん難しくなり難易度もちょうど良くなる。
-
全体的に戦闘テンポも良く、ルールも理解しやすいので一度やりだしたら中毒性が高い。
-
やりこみ要素が多い。二周目のクリアボーナスや難易度を上げることが出来たり、パッチによって他勢力でスタートしたり、後半の強制イベントをなくせる。
-
むしろ1周目は家臣にできないキャラや起こせないイベントが多いので2周目からが本番とも。
-
本筋と関係ない武将ごとのサブイベントも多くてキャラに愛着が湧きやすいが、同じサブイベントでも加入メンバーや進行状況によって微妙に会話内容が異なる場合もあり、より周回欲が増す。
-
登場キャラの9割以上が本作から登場する新キャラでランスの知識が全くなくても支障なくプレイできる。
-
新規でもとっつきやすいことからランスシリーズをどこから始めらたらいいかと聞かれた際に本作から遊ぶのを薦めるファンも多い。シリーズでも重要な「魔王と魔人」の双方が登場し設定面のあれこれも理解しやすい。
-
それでいて過去作ユーザー向けのネタもしっかり仕込んでいる。
-
ただ、リズナが『5D』の事件の元凶がいるのにその件にノータッチという点だけは残念がられることもあるが。
-
キャラクターも女性陣はもちろん、アリスのお約束というか男性も魅力的なキャラが多い。へんてこだけど愛嬌のある武将やモブも多く、熱いシーンはとことん熱く、笑えるシーンはとにかく笑える。
-
「戦国」が示すとおり日本の戦国武将をモチーフにしたキャラクターが多数登場し、大昔から女性説のあった上杉謙信等がアダルトゲームらしく女体化しているが、この手のゲームとしては意外に男性のままの人物も多い。
-
というか「卑弥呼」だの「北条政子」だの戦国時代無関係な人物も大量に登場し、結構カオス。地名も戦国時代のままのもあれば捻ったネーミングのも多い。
-
宣戦布告の選択が出る条件もあるのでいつでも攻め込めるわけではないが、攻め込む順番は特に定められておらず、武将は敵勢力よりいくらでも捕獲可能で解雇も一部キャラを除き殆ど可能。ゲーム自体の自由度が非常に広い。
-
慣れると武将縛りプレイがまた面白い。援軍禁止プレイ、武将枠を半分で攻略、眼鏡っ子は全員採用…など自分なりにルールを決めると一味違った面白さや意外な活躍をする武将が見つけられる。
-
Shade氏の音楽が高評価。
-
OP曲「Sengoku Rance」をはじめとして、上杉謙信のテーマの「Mars」や攻城戦の「Advance On(v2)」は人気が高く、特に最終決戦で流れる「Rebirth the edge」は2chのゲーム音楽ランキングでもたびたび上位に食い込む名曲。
賛否両論点
-
ある人物に関して間違いなく不快感を抱くイベントが存在する。1周目だと確実に遭遇する「正史」のイベントなのもきつい。
-
ネタバレ回避のために詳しくは触れないが、内容としてはランスが大切にしている人物がかなり惨い仕打ちを受けるという内容である。
-
ランスもだがプレイヤー自身にとってもかなり好印象の人物のために、一気に敵方に殺意を覚えた人は多かった。脚本的には成功ではあるだろうが後味が悪すぎであったのは言うまでもない。
-
フォローの話もあり、この一連の事件がそのキャラの決起にもつながるので話の流れとしては悪くはないのではあるが。
-
一応、過去作のヒロインで負けず劣らずの不幸な目にあってる人物もいるが、基本的にこの手の話はランスが助けて間に合うか、縁もゆかりもないモブキャラが不幸になるか、過去や非正史の話だっただけに、作中の重要人物が現在進行形で回避不可能な不幸に見舞われるのはほぼこれっきりだったために良くも悪くも話題になりやすい。
-
このイベントのように特定のルートだと絶対に助けられず悲惨な死に方をするキャラや、かなり憎たらしい悪役なのに殺したりできない人物が存在し、シナリオ上は納得できても個々のプレーヤーの感情としては割り切れない部分も無くはない。
問題点
-
ゲーム終盤で新勢力が加入してくる強制イベントがあり、最終的にその勢力しか敵がいなくなるため自由度が無くなる。追加パッチによって二周目に強制イベントを無くすことは可能。
-
初見殺しのイベント・敵も結構ある。もっとも強敵がいる勢力は弱体化イベントが存在するパターンが多いほか、選択肢で一発アウトになるものはロードし直せば問題はない。
-
ある人物を放置し敵にまわすと『鬼畜王』と同じく確実に詰むが、そこに至るまでの描写が明らかにまずいと察せられるものなのでまず故意には狙わないはず。
-
なお、『鬼畜王』と違い工夫次第で倒せてしまうのだが、倒してもチート扱いで強制ゲームオーバーにされてしまうので全くうまみはない。あちらでは敵に回さないと見られない専用CGがあったがこちらには一切ない。
-
バランス自体はいいがやはりSLGが苦手な人にとっては若干難しいと思われる。運が悪いと結構前からやり直さざるを得ないことも。
総評
アリスソフト独特の時間制限が自由度をやや阻害しているが、その分ゲームバランスはかなり良い。
発売後の追加パッチでその短所もある程度修正された。
魅力的なキャラも多く、SLGは苦手・アダルトゲームをやったことがないという人にもぜひ手に取ってもらいたい一作。
ただしハマりすぎて睡眠時間を失うことにもなりかねないのでご注意を。
余談
-
後日談として公式サイトで『戦国ランス~三匹が斬ったり突いたり燃やしたり -slash!thrust!burn!-』が無料配布された。こちらはすごろく風ミニゲーム。
-
2010年8月17日に販売本数が10万本を突破したと公式ブログで報告されている。
-
サントラは公式通販で1,000円で購入可能。ただし戦闘準備画面の曲は未収録になっている一方、一部イントロが追加されている曲もある。
-
幻となった全年齢版・戦国ランス
-
ニンテンドー3DS版「戦国ランス」の企画がアリスソフトに持ち込まれたが、その構想の内容から実現はしなかった。3DS版戦国ランスといってもその内容は戦国ランスと鬼畜王ランスのリメイクのようなもの。
-
TADA氏自体は一般向けランスに抵抗はあまり無いようで、その後も度々本人のブログやツイッター等でネタと趣味の企画として言及されている。そのため実現しなかった理由は描写規制ではない模様。
かつて未発売となったコンシューマー版「闘神都市ユプシロン」が「戦国ランス3DS」と同じくリメイク+完全新作というスケールの大きさから頓挫したことも関係があるのかもしれないが、ハニホン上で語られているように単に企画会議の段階での問題なようだ。
-
他社からアリスソフト側へ「移植しないか?」と持ち込み企画があった事が『ランス10』発売後に明かされた。
-
しかし、打診した企業側が追加要素として提示した内容がアリスソフト側の反感を買ってしまい、話が「流れてしまった!」との事。
-
持ち込んだ企業名は明かされていないので不明だが、3DS版『闘神都市』を製作したイメージエポックが生放送にてアリスソフトタイトルの更なる移植計画がある事を明かしていたため同社である可能性が高い。
-
その代わりか、(一応)一般向けに漫画化(単行本全5巻)された。
-
2020年4月23日に定額クラウドゲームプラットフォーム「OOParts」がサービス開始。本作は初期から収録されたタイトルの一つである。
-
定額でエロゲー遊び放題の「GAMES 遊び放題 プラス」に登録されている。
-
2025年1月31日に『Rance35th Anniversary Box』が発売された。本作が収録されている。
最終更新:2025年01月31日 09:29