ワイルドアームズ クロスファイア
【わいるどあーむず くろすふぁいあ】
ジャンル
|
シミュレーションRPG
|

|
対応機種
|
プレイステーション・ポータブル
|
発売元
|
ソニー・コンピュータエンタテインメント
|
開発元
|
メディア・ビジョン・エンタテインメント
|
発売日
|
2007年8月9日
|
定価
|
4,980円
|
レーティング
|
CERO:A(全年齢対象)
|
廉価版
|
PSP the Best:2009年11月26日/2,666円
|
配信
|
【PSP】2009年11月26日/2,096円
|
判定
|
良作
|
ワイルドアームズシリーズ
|
PlayStation Studios作品
|
概要
『ワイルドアームズ』シリーズ7作目。
シリーズ初の携帯機での発売となり、ジャンルもRPGからシミュレーションRPGに変更されている。
また、タイトルに初めて数字を表す語句が含まれていない。
特徴・評価点
-
各キャラクターには「クラス」が設定されており、変更することでパラメータやパーソナルスキル(以下PS)、オリジナル(技)が変化する。
-
主要キャラクター6人それぞれの「専用クラス」と、汎用キャラクター用の「汎用クラス」があり、主要キャラは両方に、汎用キャラは汎用クラスにのみクラスチェンジできる。
-
近接格闘や属性攻撃に特化、回復特化、サポート特化や、果てはアイテム探索に特化したクラスもあり楽しめる。
-
PSは始めはそのクラスについている時しか効果を発揮しないが、戦闘勝利時に手に入る「パーソナルスキルポイント」をためることによってクラスチェンジ先で使用可能となるなど、『FF』シリーズのジョブシステムにとても似ている。
-
レベルによってつけられるPSも増え、また全てのPSを習得するとクラス専用スキルである「SPスキル」を習得できる。
-
各クラスの性能はかなり尖っており、特定のクラスでないと出来ないことも多い。このゲームの面白い部分でもあるが、後述の問題点にも繋がっている。
-
戦闘に関して
-
戦闘前には戦闘の解説「DER / ダイレクト・イベント・レポート」が入り、これによりどのクラスにするか、どんなスキルを付ければいいかなどの戦略を考えることができる。失敗してしまってもプレイヤーターンなら何時でもデータのロードや戦闘前にまで戻ることができるようになっている。
-
ただ敵を倒すだけではなく、「敵に見つからないよう移動する」「スイッチを押しながら進む」「敵のMPを0にする」などのパズル要素もある。
-
フェイズ制ではなく、RES(素早さ)に従い、TO,FFTのようにユニットごとにターンが回ってくる。
-
地形効果や高さの概念、敵キャラを味方キャラで囲うと効果が出るなど位置取りの戦略性も重要である。
-
戦闘による疲れを示すVP(体力)のパラメータがあり、VPがなくなるとHPが減っていくので、装備の重さ(VPの減少に影響)を考慮したり、効率のよい攻略を求められる。また、これを逆手にとってわざと長期戦を挑むという手もある。
-
熱いストーリー展開。
-
母の仇を追う主人公が王国の内乱に巻き込まれていき、主人公は苦しむ人々のために大嫌いな「嘘」をつくことを決意する。
-
主人公と仲間の王女との友情やパーティキャラクターとの絆、ラスボス撃破後の展開など見所は多く、シリーズ独特のセリフ回しも健在。
-
いくつか回収されていない伏線があるがストーリーへの影響は特になく、街の人のセリフなどから推測はできるようになっている。
-
特にエンディングは非常に評価が高い。泣いたという声も。
-
BGMも好評。特定の場面で流れる「描いた未来を画架に掛ける」「PRINCESS ARMY」や、一部ボスの専用戦闘曲である「傾城佳刀」「幸せを侵し、未来を略奪」「黄昏の奸雄」など名曲・良曲は非常に多い。
-
パーティキャラクターだけではなく敵キャラクターにも見せ場が多く、キャラクターの評価は高い。
-
シリーズ恒例キャラ「トニー」は今回は犬として登場。
-
また、シリーズ恒例ボス「ラギュ・オ・ラギュラ」は、ほぼ全パラがMAXに限りなく近い化け物レベルの強さであり、あるスキルがないと近づくことさえできずに全滅させられ、近づいたとしてもワンチャンスで殺しきらないと逆にこっちが全滅させられる可能性が高い。その分、頭を使って勝った時の喜びも大きい。
賛否両論点
-
MAP攻略中はセーブができない。
-
ただし攻略中のセーブはSRPGでは賛否分かれる要素なので、どちらが正解かは難しいだろう。
-
中断自体はPSPのスリープ機能で代用できるが、携帯機故に電池切れに悩まされる時もあるので、再利用不可能な中断機能は欲しかったところ。
問題点
-
パーソナルスキルが揃ってくる中盤以降の難易度が低い。
-
CPUの思考パターンに多少難がある。
-
一例として、ダメージを受けたり射程圏内に入らないと全く行動してこないものもいれば、わざわざ無敵状態の相手に攻撃を仕掛けたりするものもいる。
-
自分にRESがランダムで蓄積されるPS「アクセラレイト」が強力すぎる。
-
ターンごとに発動するため、毎ターン行動可能な数値まで蓄積されてそのキャラに3回連続でターンが回ってきたり、他のキャラと自分のターンを入れ替えるオリジナル「ターンシフト」を使ったらそのキャラより先に自分のターンが回ってくるなどということはザラ。
-
ロードがやや長い。
-
DER前のロードなどが長くテンポが少し悪い。バトル中にキャラが喋るときなども細かいロードが入ることがある。データインストールがあまり普及してなかった時代だったため、致し方ないか。
-
ダウンロード版が発売されているので、ロードが気になりそうな人はこちらをおすすめ。快適にプレイできる。
-
一部MAPの仕様
-
複数の移動力の高い敵ユニットを相手に防衛ラインを守るMAP1-14、こちらのユニットよりも遥かに能力が高く強力なクラスのユニットが多数登場し、増援の発生条件が嫌らしいMAP2-1は誰もが認める高難度。
-
また、攻略法がDERにのっとってやるしかないMAPや勝利条件が特殊なMAPも多く、やらされている感を強く感じる人も。
-
特定のクラスでないと対応出来ないギミックが登場するステージが多く、クラスチェンジを強要されがちなのも窮屈に感じられ易い。
総評
ジャンルの変更などが物議をかもし、発売日がPSP-2000の発売1ヶ月前というタイミングの悪さもあり、売れ行きはあまり芳しくなかった作品。
しかし、ワイルドアームズシリーズに連なる一作として購入者からは概ね好評を得ており、このシステムを継承した続編を希望する声も存在する。
余談
-
ヴァイスハイト役を演じている比嘉久美子の名前が、取扱説明書にて「比喜久美子」と誤表記されてしまっている。
-
『WA5』との連動機能があり、USBでPS2とPSPを繋ぐことで双方にいくつかの特典を得ることができる。
-
『WA5』はアーカイブスでも配信されたが、アーカイブスでは連動は不可能になっている。
-
ゲームで描かれていない部分を描いた漫画版が発売されている。
その後の展開
-
後にシリーズの生みの親とも言える金子彰史氏がメディアビジョンを退社したため、10年以上もシリーズ展開が途絶えるという状況となっていた。
-
さらにその後、シリーズの新作がソーシャルゲームとしてリリースされるとの発表があり、スマートフォン向けアプリとして『ワイルドアームズ ミリオンメモリーズ』が2018年9月よりサービスを開始した。
-
本Wikiの執筆対象外であるため詳しい説明は省くが、音楽など一部の要素を除いては厳しい評価が多く、約1年でサービス終了が告知され、その後の2020年2月27日16:00をもってサービス終了となった。
-
前述の通り『WA』シリーズの新作は途絶えているが、金子彰史氏がシリーズ構成・脚本を務めるTVアニメ『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズは、『WA』シリーズと共通する要素が多く、一部のファンからは『WA』シリーズのナンバリングタイトルになぞらえて「ワイルドアームズ 6th シンフォギア」などとも呼ばれている。
-
このアニメの企画を手掛けた上松範康氏は、WA5やWAXFに楽曲提供として携わっていたという繋がりがある。
-
その後の2022年8月30日より、クラウドファンディングサイト「キックスターター」上にて新作RPG『ARMED FANTASIA』の企画が始動した。
-
これは『PENNY BLOOD』とのダブルキックスターターであったが、1ヶ月で約3.8億円を集め、全ストレッチゴールを達成して企画は成立。開発が正式に開始された。
-
あくまで『ワイルドアームズ』シリーズの新作ではないと明言はされているものの、ゲームデザイン&シナリオに上記の金子氏が、音楽にはなるけみちこ氏や上松氏にElements Gardenなどとシリーズと関わりの深いメンバーが集い、ゲーム内容にも「渡り鳥」や「ARM」といったおなじみの要素が散りばめられている。
最終更新:2024年11月18日 06:01