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Shadowrun
【しゃどうらん】
| ジャンル | FPS |  
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| 対応機種 | Xbox 360 | 
| 発売元 | マイクロソフト | 
| 開発元 | FASA STUDIO | 
| 発売日 | 2007年6月21日 | 
| 定価 | 5,800円 | 
| レーティング | CERO:D(17才以上対象) | 
| 判定 | 良作 | 
 
概要
サイバーパンクな世界設定を持つテーブルトークRPGの古典『シャドウラン』をモチーフとした対戦型FPS。
原作と同じく、近未来を舞台にエルフ・ドワーフ・トロールといったファンタジックな亜人間(デミ・ヒューマン)と人間が、銃器・魔法・身体強化技術を駆使して戦闘を行う。
特徴
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対戦をメインとしているFPSであり、オフのキャンペーンモードは存在しない。オフラインのゲームモードはチュートリアルと、CPUと試合を行うソロマッチがあるのみ。
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ゲームルールは3種類存在するが、いずれもアーティファクト(他のFPSで言うキャプチャー・ザ・フラッグ戦の旗)を争奪するものとなっている。
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ゲームはラウンド制であり、6ラウンド先取で勝利。敵の殺害や味方の援護など戦闘中の行為に応じて報酬を得ることができ、ラウンドの開始時にこの報酬を用いて武器やマジック、テック(身体強化技術)を購入することが可能。
評価点
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概要で述べた通り多彩な種族とスキルが用意されており、これらの組み合わせにより他のゲームでは考えられない独特の戦術、戦略を生み出している。
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マジックは魔法であり、エッセンスという魔力ポイントを消費して使用する。エッセンスは時間で回復する。
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味方を蘇生させる「リザレクト」・召喚獣を敵にけしかける「サモン」・攻撃不可となる代わりに敵の物理攻撃に対し無敵になる「スモーク」・衝撃波で物体を吹き飛ばす「ガスト」などその機能は多彩。
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特に短距離瞬間移動を行う「テレポート」はこのゲームの大きな特徴。壁や天井、床などの障害物をすり抜けて移動することが出来るため、非常に多彩なルートでの進軍や奇襲、逃走が可能となっている。テレポートを軸としたスピーディな移動の駆け引きは他のゲームでは見られない面白さがある
 
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テックは身体改造技術であり、装備すると様々な特殊能力を得られる。代償としてエッセンスの最大値が低下するため、マジックの使用頻度がやや制限される。
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オートエイムの強化など射撃能力を強化する「スマートリンク」・超音波を発して敵や味方の位置を透視する「エンハンスビジョン」・一時的に超高速で移動することができカタナで銃弾を弾けるようになる「ワイアードリフレックス」・空中を滑空できる「グライダー」などその効果は非常に強力。
 
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種族は平均的に高めな能力値を持ちテックを装備してもエッセンスの最大値が低下しない利点を持つ「ヒューマン」・ライフが低い代わりに自動回復能力を持ち、魔法能力とスピードに優れる「エルフ」・周囲のキャラクターのエッセンスを吸収する能力を持つ「ドワーフ」・攻撃を受けると体表を装甲化することにより絶大な防御力を誇る「トロール」の4種類。いずれも得手不得手があるものの、マジックやテックの選択によってはある程度弱点を補うことも可能になっている。
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武器はサブマシンガンやショットガン、ライフルなど他のゲームでもお馴染みのものが多く、全8種とやや種類は少なめだが、いずれも非常に個性が強く使用感の似た武器が1つも存在しない。
 
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上記のように、一歩間違えればバランスの破綻を招きかねない要素をいくつも導入しているにもかかわらず素晴らしく完成されたゲームバランスを誇る。
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全ての種族・武器・マジック・テックにきちんと使い道と強みが用意されており、死んでいる要素が皆無である。
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テックやマジックによるバラエティに富んだ駆け引きが熱い。特にキャラクターの空間移動能力を大幅に向上させるテレポートとグライダーの存在は他のFPSに比べ3次元的な駆け引きを生んでいる。
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マップの作りもバラエティに富んでいる割には総じて良好なバランスとなっており、ほとんどのマップで互角、僅かに1,2個のマップでやや片側有利か?と言われる程度である。
 
問題点
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原作であるテーブルトーク版『Shadowrun』のファンからは「こんなの『Shadowrun』じゃない!」という否定的な意見が挙げられた。
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多くの設定が大胆なアレンジを施されている上に、ハッキングなどの重要な要素がバッサリ切り捨てられているのがその理由である。
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とは言ってもFPS版も制作元はテーブルトーク版と同じであり、原作レイプというには違和感のある構図になっている。
 
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海外のレビューではオフのキャンペーンが存在しないことが大きくマイナス評価を受けた。
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ゲームモードが少なすぎるという指摘もあった。
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開発者に言わせれば「フットボールには幾つゲームモードがあるんだ?1つしか思いつかないけどね。」ということである。
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実際プレイしてみると仕様の多くがアーティファクトの争奪を前提に設計されており、単純なチームデスマッチなどとは親和性が低いであろうことが実感できる。
 
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グラフィックは『Gears of War』など同世代の最高峰レベルのゲームと比較するとやや見劣りする。
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キャラのモーション、特に手足を全く動かさず滑るようにハシゴを昇降するモーションについてもマイナス評価を受けた。
 
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マッチングにやや不可解な点がある。参加可能な部屋が5~6個あると表示されるにもかかわらずマッチングできないことがあるなど。
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評価点にあるようにマップの完成度は高いのだが、奥深さと引き換えに全体的にかなり複雑な構造。
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複数のルートがあり、それが3次元的に展開している。アーティファクト争奪が中心なのでマップの把握が重要で、これは初心者には厳しく見えただろう。
 
総評
対戦型FPSとして非常に高い完成度とオリジナリティを持つ秀作である。少数だが熱狂的なファンがついている。
しかし、地味な見た目とレビューでの低得点が災いしたか売り上げは振るわず、開発元のFASA STUDIOはこの作品を最後に解散の憂き目に遭った。
余談
『シャドウラン』のゲームは他にもいくつか存在する。
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『シャドウラン』(1993) 開発Beam Software 発売データイースト - SFCの洋ゲー。
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『Shadowrun』(1994) 開発BlueSky Software 発売SEGA - メガドライブ。日本未発売。
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『シャドウラン』(1996) コンパイル&グループSNE -メガCD最後のRPG。ドラゴンマガジンで連載されていたTRPGリプレイが原作。
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『Shadowrun Returns』(2013)  Harebrained Schemes - Steam。SFC版が前作にあたりSFC版主人公も登場する
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『Shadowrun: Dragonfall』(2014)  Harebrained Schemes - Steam。元は『Returns』の大型DLCだったが追加要素を加えて独立タイトル化。
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『Shadowrun Chronicles: Boston Lockdown』(2015) Cliffhanger Productions
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『Shadowrun: Hong Kong』(2015)  Harebrained Schemes - Steam。
なお、Harebrained SchemesはTRPG『Shadowrun』の制作元であるFASAの設立者だったジョーダン・ワイスマン氏が新たに興した会社である。
最終更新:2024年07月07日 22:22