デジモンワールド リ:デジタイズ (PSP)
【でじもんわーるど り でじたいず】
デジモンワールド リ:デジタイズ デコード (3DS)
【でじもんわーるど り でじたいず でこーど】
ジャンル
|
デジタル育成RPG
|

|

|
対応機種
|
プレイステーション・ポータブル ニンテンドー3DS
|
発売元
|
バンダイナムコゲームス
|
開発元
|
トライクレッシェンド、24Frame
|
発売日
|
【PSP】2012年7月19日 【3DS】2013年6月27日
|
定価
|
【PSP】5,230円 【3DS】5,480円(各税5%込)
|
判定
|
良作
|
ポイント
|
帰ってきたデジモンワールド
|
デジタルモンスターシリーズリンク
|
概要
-
2005年の『デジモンワールドX』から実に7年振りとなる、デジモンワールドシリーズの完全新作。
-
人間のキャラクターデザインにはアトラスの『女神異聞録デビルサバイバー』のデザインも手がけたヤスダスズヒトを採用している。
-
ゲームシステムなどにおいて迷走が続いていた旧シリーズと違い、初代デジモンワールドのシステムを再利用している。
-
このため細かく異なる点はあるものの、かつて初代デジモンワールドを楽しんだユーザーとっては「こういうのを待っていた」と言える新作であろう。
ストーリー
大ヒット中のネットゲーム「デジタルモンスター」を楽しんでいた主人公と友人達。その元に1通のメールが届く。
その暗号を解き明かした一行はゲームの中の異世界デジタルワールドへと入り込んでしまうのであった。
そこで出会った「はじまりの街」長老のジジモンに街から出て行ったデジモンたちを呼び戻してほしいと頼まれる。
現実世界へ帰る方法を探しながらデジタルワールドを旅する一行は、やがて謎の生命体「ヴィティウム」をめぐる事件に巻き込まれることに……。
登場キャラクターについて
-
主人公
-
このゲームの主人公。デフォルト名は「タイガ」。頭に被っているものは下着などとよく揶揄されるが、ロードバイクのゴーグルである。
-
旧作と同じく、戦闘中ボイスなどを覗いてゲーム中では全く喋らない。ただ会話中に立ち絵の表情で感情を表すことはある。
-
初期パートナーはアグモン。
-
ニコライ・ヤーコヴィッチ・ペトロフ
-
主人公の友人。調子の良い性格でなにかとロシア語(「ハラショー」等)を口にする。
-
元気の良い性格でよく自分を勇者と表する。その余り暴走することが多いのが玉に瑕。
-
パートナーはガオモンの「サーシェンカ」。
-
鈴童アキホ
-
好奇心旺盛で面倒見の良い少女。実はネットゲーム上のデジタルモンスターでランク1位の「にゃんこテイマー」の正体である(ただしOPアニメの時点でプレイヤーには既に公開情報となっている)。
-
現実世界での交流があまりなく、また女の子なのにネットゲームの強者であることを気にしている。
-
パートナーはピヨモンの「デジトりん」。
-
久我ユウヤ
-
落ち着いた佇まいの超一流テイマー。常に周囲を見下したような言動を取っている。その正体は……。
-
パートナーはブラックウォーグレイモンX抗体の「ブラック」。
-
御神楽ミレイ
-
主人公に度々手を貸すクールでミステリアスな少女。パートナーを2体持つなど謎が多い。
-
パートナーはエンジェウーモンとレディーデビモン。
-
四ノ宮リナ(3DS版で新登場)
-
軽いノリの陽気な少女。ゲームプレイヤーの一人として主人公に接触して来る。後に七大魔王をめぐる事件に巻き込まれることに。
-
パートナーはブイモンの「ブイブイ」。エクスブイモン系統ではなく、ブイドラモン系統の方へと進化する。
ゲストキャラクター
-
リリ(エミリード・ロッシュフォール)
-
なんと「鉄拳」からのゲスト参戦。破天荒な性格で何かとお付きのセバスチャンを振り回す。
-
ヌメモンの「カトリーヌ」をパートナーにしていたが、その後コロコロと相方が変わってゆき最終的には……
-
セバスチャン
-
リリの執事。主人公のことを認めてリリの件について依頼をしてくることがある。
-
パートナーはエンジェモン系列。
『デジモンアドベンチャー』からのゲスト
-
八神太一
-
石田ヤマト
-
武之内空
-
泉光子郎
-
城戸丈
-
立川ミミ
-
高石タケル
-
八神ヒカリ
『デジモンアドベンチャー02』からのゲスト
『デジモンテイマーズ』からのゲスト
『デジモンセイバーズ』からのゲスト
-
大門大
-
アニメのデジモンシリーズからのゲストで、パートナーとともにコロシアムで勝負を挑んでくる。
-
PSP版では太一、ヤマト、空、啓人のみであったが3DS版に伴い『アドベンチャー』の残り5人や『02』の大輔、『セイバーズ』の大が追加で登場した。
-
またPSP版では子供たちしか喋らなかったのだが、追加キャラにおいてはパートナーのデジモンたちが喋ることもある。
特徴・評価点
-
初代『デジモンワールド』のシステムをほぼ再現、それに新システムが加わりさらに冒険が便利で楽しく。
-
時間の概念、食事や排泄などの世話はもちろんのこと、トレーニングや戦いでのスキルの習得といったシステムも復活。
-
マップをうろつくデジモンと戦うと戦闘が発生といった点も同じ。もちろん病気にもなりケガもする。
-
トレーニングにミニゲーム要素が加わる。旧作ではボーナストレーニングをスロットで行なっていたのが、トレーニングごとに違うミニゲームとなり中級、上級の区別もついた。
-
はじまりの街は昭和の町並み風に変貌しているものの、肉畑やレストラン、秘密ショップなどのおなじみの施設は健在。
-
カードも健在。今作には登場しないデジモンのカードもあるためその総数は相当な数にのぼる。
-
育成可能デジモンも当然旧作以上。ちなみに初代では61体であり、今作は84体。しかしアニメ基準で採用されたデジモンが多くその点は賛否両論。
-
3DS版では幼年期を含め大量に増え、その数なんと162体。初代の2倍以上である。ただしそれでも初代からドロップアウトしたデジモンはいるが、当時からデジモン自体の数が増え続けているため致し方ないとも言える。
-
ただし一部の究極体は育成にロックがかかっており、育てられるようにするにはコロシアムで特定のキャラに勝ったり、ストーリーを進めるなどの条件がある。
-
究極体を育てることが可能に。必要ステータスは初代における完全体以上で慣れるまではしっかりとした育成計画が必要とされる。
-
X抗体のデジモンたちが登場。ただし初代では「ウォーグレイモンX抗体」のみ。ユウヤのパートナーである「ブラックウォーグレイモンX抗体」はPSP版ではNPC専用である。
-
NPC用の野生デジモンは数が減ったものの、「サイケモン」「ユキアグモン」「ブルーメラモン」などが健在。ブルーメラモンに関しては育成可能ではあったが……。
3DS版の新要素
-
新ストーリー「策謀の魔王編」「慟哭のX抗体編」、新ダンジョン「ムゲンマウンテン」が登場。
-
「策謀の魔王編」では新キャラ四ノ宮リナと、七大魔王たちを巡る事件に巻き込まれる。
+
|
ネタバレ
|
-
この内、「ベルゼブモン」「リリスモン」「ルーチェモン」「ルーチェモンフォールダウンモード」(PSP版より)、「バルバモン」が育成可能である。
-
「リヴァイアモン」「ベルフェモン(レイジモード/スリープモード)」「デーモン」は育成出来ないが、ストーリー上には登場する。
-
このストーリーで活躍する「四ノ宮リナ」は魔王編クリア後、セーブデータをロードすることで二周目の主人公として選択出来るようになる。
-
この時の初期パートナーはアグモンではなくブイモン。
|
-
「慟哭のX抗体編」ではムゲンマウンテンを舞台にX抗体デジモンたちのストーリーが繰り広げられる。
-
「X抗体編」そのものは12Fで一旦終了となるがムゲンマウンテン自体はなんと100Fまである。
-
また、ムゲンマウンテン内ではダンジョン内のアイテムしか使えず、活動時間の制限もあり、野糞をさせると強制帰還などの様々な縛りもある。ダンジョン内の罠や謎解きも豊富で完全踏破にはプレイヤースキルと強力に育てたパートナーが必要。
-
登場デジモンがぐんと増えた。詳細に説明すると『アドベンチャー』組で唯一省かれていたパルモン系列、『02』のブイモン・ワームモン系列、『テイマーズ』のレナモン系列、『ゼボリューション』のドルモン系列が新規に育成可能となった。
-
さらにおなじみのバケモン、ケンタルモン、ベジーモン、クワガーモン系列、マメモン系列、ムゲンドラモンやピエモン、サーベルレオモンなど普段余りスポットがあたらないデジモンも新規登場している。
-
これによりかつて究極体への進化が出来ず所謂「ハズレ枠」とされていたブルーメラモンもピエモンとボルトモンへの進化が可能となった。
-
旧来のファンから人気だった「ティラノモン」「オーガモン」の進化系統がまるごと登場(何故かオーガモンの完全体がデジタマモンになっているが……)。そして究極体「ラストティラノモン」「タイタモン」が新たに登場しファンを喜ばせた。開発者によるとこれは旧来よりデジモンシリーズを支えてくれたファンへの感謝の気持ちだという。
-
それでも初代から登場していないデジモンもいるが、3DS版ではNPCとして時々その姿を見ることが出来る(ドリモゲモン、モノクロモンなど)。
-
「デコードレベル」というシステムが登場。初代のテイマーランクにあたるものでデジモンを進化させたり、ボスを倒すことでレベルが上がる。進化条件のひとつになるほか、転生時に引き継ぐ能力の割合にも関係してくる。
-
下画面の「デジッター」でデジモンたちのつぶやきが見られる。なんのことないつぶやきの他にも、パートナーの空腹や疲労のお知らせ、ゲームのヒント、受信メールの通知、サブイベントの進行状況、さらに旧作で野生デジモンとエンカウントした時に発せられる一言セリフもここに表示される。
-
「ドレミファ荘」という施設が登場。トノサマゲコモンが大家、主人公が管理人を務める。街に帰っただけで何もしないデジモンたちを勧誘して住んで貰うことが可能。デジモンが住んでいると一定日数毎に家賃収入がもらえる。デジモンたちの頼みを聞いていくことでナニモンによる改築が進んでいく。
-
改築することで同時に住めるデジモンの数が増えていく。また改築でトイレも作られるため街での育成が楽になる。
-
あるサブイベントを進めると「用心棒デジモン」が雇えるようになる。これは特定の時間、特定のエリアで共に旅をしてくれるというもの。
-
「デジトレード」という取引が出来る。変動する原材料をうまく売買してお金を稼ぐというもの。
-
最低値と最高値が決まっており変動幅もそれほどでもないので、その情報さえ知っていればあっという間に数十万単位でお金が稼げてしまう。
-
一部のエリアに新マップが増えている。主に3DS版で新登場したデジモンたちが登場する。
-
ステータスの上限が一桁増えた。このため楽々と達成出来てしまったステータスのカンストが相当難しいものに。
難点
-
初代デジモンワールドからは大幅に増えているとは言うものの、それ以降のデジモンゲームに登場する育成可能デジモンの総数は200体以上がデフォルトである事を考えると、やはり
84体
という数は往年のテイマーからすれば愕然とする少なさであり、「育成デジモン数の少なさから購入を躊躇した」という人も少なからず存在する。
-
デコードにてほぼ倍の
160体
になったものの、それでも少ないと言わざるを得ない。
-
デコードにて改善されたが、PSP版では完全体のブルーメラモンは
自力で究極体に進化出来ない
。
-
もちろん進化アイテムを使えば究極体に進化可能であるし、デコードにて進化先が用意されるといったフォローはあったが、
そもそも最初から用意されてしかるべき
ところである。
-
なお「完全体止まりだが、その代わり完全体デジモンの中では強い部類」といったフォローも無く、性能的にごく普通の完全体である。
-
ちなみに、今作のブルーメラモンは属性が「ウイルス種」だが、本来ブルーメラモンは「データ種」のデジモンである。
-
これに関しては「同世代での属性のバランスを取るために敢えて変更した」…わけでは
勿論ない
。PSP版では完全体は20種おり、
ワクチン・データ・ウイルスの数は10:3:7
と、たとえブルーメラモンの属性がそのままであったとしても、データ種の数が一番少ないというバランスの悪さとなっているため、完全なる
誤植
である。
-
初代から馴染みのデジモンが一部登場しない。
-
ドリモゲモン、ユキダルモン、ユニモン、エレキモンなど。ただし初代からデジモンの数がそうとう増えていることを考えると仕方ないとも言えよう。一部のデジモンはNPC限定で登場する。
-
一部キャラの性格に難あり。特にニコ。勝手な言動で主人公たちを振り回すわりに大した貢献もしないという問題のあるキャラとなっている。おちゃらけた性格のリナ(3DS版)の方が余程まとも。
-
またゲストキャラであるリリにも不満が多い。ヴィティウム編ではさほどでもないのだが、魔王編では大してストーリーに絡まないくせに基本的に余計なことしかしてこない。
+
|
ネタバレ
|
-
魔王編の黒幕の扱いが悪い。
-
ラストでデーモンがバルバモンの計画を利用しその力を手中に収めるというイベントがあるのだが、そのデーモンが直後に利用しようとしていたルーチェモンラルバに喰われてしまう。短い出番でも個性を見せたリヴァイアモンやベルフェモンと比べかなり哀れな扱いである。
-
ちなみに当のルーチェモンも拷問されたりと悲惨ではあるものの、エンディングで成長期の天使姿に戻って主人公に感謝しながら天界へと戻るという、過去のルーチェモンの中で一番に報われた扱いである。
-
X抗体編の敵はヴィティウム編ラスボス並に強力。このため否応がなしに終盤での攻略が必要になってくるのだが、シナリオ自体は序盤で解禁される。
-
このためストーリーが進むに応じ仲間たちへの態度や性格が軟化していくユウヤが序盤の辛辣で冷酷な態度のままとなっており、違和感が生じる。
-
クリア後にリナを主人公に選んでも、一部のイベントで「男同士の友情」と言われたりとセリフが男主人公のまま特にフォローが加えられていない。
|
-
サブイベントに一部運要素が絡んでくるものがある。
-
3DS版に登場するウィザーモンが「シャンバリの薪」というアイテムを要求する。このアイテムは道標の森で拾えるのだがその出現がランダムとなっており、出ない時は本当に出ないため面倒。
-
トレーニングに難しいものがある。とはいえホームボタンや事前セーブを使えば少々面倒だが対策は可能なのだが……
-
防御トレーニングの「パンチでガード」は、飛んでくるパンチにタイミングを合わせボタンを押すという内容。カブテリモンのアドバイス通りパンチの発射音を参考にすると成功しやすい。
-
しかしこのトレーニング、たまにパートナーデジモンがこっちを向いてアピールをしてくる。このためタイミングがずれ失敗してしまいやすくこちらをイライラさせる。この仕様はこのパンチトレーニングだけであり、何のための仕様なのか非常に謎である。
-
デジモンの総数が増えたこと、究極体が追加されたことで進化条件の必要ステータスの幅が引き下げられている。このため狙ったデジモンに進化するための育成調整が大変。
-
さらに転生を重ねて強力に育てると何もしなくても必要ステータスを全て満たしてしまうため、育成ミスや体重で調整するしかない。それでも調整不可能な進化ルートが存在し、そこまでたどり着くと進化アイテムを使うかステータス引き継ぎをやめるしかない。
-
好みにもよるが、元々あるデジモンの作風と絵柄があっていないとの指摘も。
-
見ての通りに女性キャラは胸部分の強調が半端なく、ここを嫌がる人も多い。
-
「PSP版で出たゲームの完全版をハードの全く異なる3DSで発売する」という、完全版商法の中でも性質の悪いやり方をしている。続編の『デジモンワールド -next 0rder-』でもPSV⇒PS4と、同じ轍を踏んでいる。
総評
初代の良さをしっかり再現しながらも、現代向けに遊びやすくアレンジされた良作。
雰囲気やストーリーなどは別物と考えてよいが、育成や戦闘などはほとんどかつてのままで初代のプレイヤーには懐かしさをもたらしてくれる。
育成可能なデジモンも圧倒的に多く、ストーリーを進めるより育成している方が楽しいという声も。
3DS版ではPSP版で指摘された難点もしっかり改善されており遊ぶなら当然ながらこちらをオススメする。
最終更新:2023年06月11日 17:19