女神異聞録デビルサバイバー
【めがみいぶんろく でびるさばいばー】
| ジャンル | シミュレーションRPG |  
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| 対応機種 | ニンテンドーDS | 
| メディア | 512MbitDSカード | 
| 発売元 | アトラス | 
| 開発元 | アトラス | 
| 発売日 | 2009年1月15日 | 
| 定価 | 4,980円(税別) | 
| レーティング | CERO:B(12歳以上対象) | 
| 判定 | 良作 | 
| 女神転生シリーズ | 
 
概要
ふとしたことから「東京封鎖」と呼ばれる事件に巻き込まれた少年達が、悪魔召喚プログラム内蔵の改造COMPを手に、生き残りと封鎖からの脱出を賭けて戦うというストーリー。
ジャンルは『魔神転生』以来となるSRPGを採用している。
特徴・評価点
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荒廃しきった東京ではなく、今まさに壊れていく最中の東京を描き、人間どうしの争いやエゴなど汚い面でのリアリティを前面に出した意欲的なシナリオ。
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従来関連シリーズでも「ヤクザ」や「ゾンビちゃん」などが敵(悪魔)として登場することはあったが、今回は民間人、或いは市民を守るべき自衛隊員までもがバトルに参加し、場合によっては主人公達と敵対する。
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「7日間の、目的を知らされない封鎖」というシチュエーションから、精神的に追い詰められた人々が多くのイベントのテーマになっている。そのため「死ね!」といった直接的な暴言がセリフに現れることも多い。
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主人公達は手にしたCOMPのおかげで人々の「余命」が日数で見えるようになっており、その数字が最大でも7である事から、7日目に起こる何かへの対策を練るのも物語の主軸の一つ。
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また、この余命表示のおかげで早めに死にそうな人にも気づけるので、その問題を解決し、知人・友人等を助けられるようになっている。
 
 
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6日目最後に誰と行動を共にするかで結末が異なるマルチエンディング方式。
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ヒロインと共に行動する事が最善の選択とは限らない、というのもある意味アトラスらしい捻った演出だろう。
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また、キャラが直接口に出す疑問や伏線はもちろん、基本的に作中での出来事はほぼ全てに理由付けがなされており、シナリオの完成度も高い。
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リメイクの『オーバークロック』では更に8日目が追加され、エンディングが多く追加された。
 
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タイムラインやインターフェイスの作りこみが良い。
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赤と暗色をベースにしたステータス画面は、抜群のスタイリッシュさを感じさせる。
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全体的に不必要な暗転や間(モッサリ感)が少なく、戦闘のテンポが良い。
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時間経過なしで何度でも挑めるフリーバトルや、悪魔をオークションして手に入れる「デビオク」など、自分達を強くする手段にも事欠かないので詰まることは非常に少ない。
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更にデビオクは、セーブ&リセットで時間経過などのペナルティなしにリストを更新することができる。
 
 
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『真・女神転生III』から標準化された魔法・スキルのランダム継承が、『デビルチルドレン』シリーズと同じ任意選択継承になった。
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これにより、好みの悪魔の作成がより簡単になった。
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仲魔も経験値を得てレベルアップできるため、そのことも考慮しておくと攻略に役立つ。
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ただし獲得経験値のレベル補正が強く、終盤かなり育てにくくなる。レベル70くらいになるとレベルアップまで65535(上限)が普通になる。
 
 
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非常に強力な隠しボスも存在し、倒すと合体可能になる。
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ただし半端ない強さを誇るため、人間・仲魔共に中途半端なレベルだとあっさり返り討ちに遭う。またレベル99でも相当苦戦を強いられるので油断は出来ない。
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このような異様な強さを誇る隠しボスは、アトラスの伝統となりつつある。
 
賛否両論点
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物理属性が若干不遇
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コマンドスキルの使い勝手が悪い、依存するステータスが二つに分かれていて特化がしにくい、自動効果スキルの吟味が面倒、発動コストのHP消費が重い等、他属性と比べて有効活用するのが難しい。
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クリティカル判定があり期待値が高く、反射以外の耐性を無視するスキルがあるといった他属性よりも強力な差別化点もあるので活躍の場が無いわけではない。
 
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キャラクターデザインの変更
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シリーズおなじみの金子一馬氏や副島成記氏ではなくヤスダスズヒト氏が抜擢されたが、明るくポップな絵柄である為にメガテンシリーズ内では少々異色で賛否両論。
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困難な状況に置かれた弱々しい人々に関しては絵柄と画風が合っており、その点では好評。
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特に意見が分かれたのが、いわゆる萌え系の部分。氏は女性の胸を全体的に大きく描く作風で、一部キャラは必要以上に露出した服装である為、「露骨すぎる」という意見も。
 
 
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バトル曲のけたたましく響くギターは絶望感が煽られること必至でBGM自体の評判はいいが、「ゲームとしてはうるさい」と言う声もある。
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今作のコンポーザーは「ガンダーラ」や「銀河鉄道999」でおなじみGODIEGO(ゴダイゴ)のギター担当浅野孝已氏。
 
問題点
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周回プレイの際、1~6日目の変化が乏しい。
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イベントスキップができない割にバトル前の小芝居が多く、タイムラインの選択に拠っては結構面倒である。
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「時間を経過させる」というスキップ機能はあるが、それは「何もしない」という事であり、キャラの生存フラグやルート分岐条件などを満たす行動が取れない。その為、実質ほとんど意味の無い機能になってしまっている。
 
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全体的に資金が不足する
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悪魔を倒して得られるマッカもそこまで貰えず、すぐに資金が無くなりやすい。
 
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バックログが無い
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セリフを間違って読み飛ばしても、読み返すことができない。
 
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裏ボス撃破の為のレベル上げが非常につらい
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シナリオクリアだけなら1周目の経験値補正がかかる環境下でもそれほど問題はないが、裏ボス撃破に必須の90~99レベルまで上げようとすると、非常にきつい。
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65535(一番もらえる雑魚PTでも13000程度)をレベル分稼がなければいけないというのは、なんとも作業感が強い。
 
 
総評
システムは『女神転生』らしさを残してSRPGに上手く仕上がっている。
シナリオも山手線内に閉じ込められた多数の人々の追い詰められていく姿、その中で助かる為に行動する色々な姿もきっちり描かれている。
余命表示を見て誰を助けるのか、どう行動するのか次第で色々な結末も用意されており、周回で行動を変える楽しみも用意されている。
細々とした問題点はあるものの、全体的によくできた一作である。
余談
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東京封鎖の描写はスタッフが実際に山手線に乗って探索し、どのような封鎖体制をとれば東京中心部を孤立させられるかシミュレートしたことが公式ページのスタッフインタビューで明かされている。(ソース(Internet Archive))
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今作のCOMPのデザインはDSをモチーフにしている。
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海外では『真・女神転生デビルサバイバー』として、メガテンの名を冠して発売された。
その後の展開
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さらに3DSにて『デビルサバイバー オーバークロック』としてフルボイスや存在しない8日目の追加などリメイクされた。
デビルサバイバー オーバークロック
【でびるさばいばー おーばーくろっく】
| ジャンル | シミュレーションRPG |  
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| 対応機種 | ニンテンドー3DS | 
| 発売元 | アトラス 廉価版:セガ
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| 発売日 | 2011年9月1日 | 
| 定価 | 5,980円(税別) | 
| 廉価版 | アトラス・ベストコレクション:2015年12月3日 パッケージ・ダウンロード共に2,980円(税別)
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| レーティング | CERO:B(12歳以上対象) | 
| 判定 | 良作 | 
 
概要(オーバークロック)
原作終了後の追加の1日を描いた「8日目」やフルボイス等を追加した3DSリメイク作品。
追加・変更点(オーバークロック)
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「フルボイス化」
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声優は2009年に発売されたドラマCD版とは一部変更されている他、選択肢以外に台詞のない主人公はCVなし。
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悪魔に関しては人間ではないという事からなのか、ピクシーなら「クスクス」で、天使なら「オォォォ」で代用されており、文章通りの台詞は喋らない。
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デフォルトの名前がない主人公を呼ぶ際には「彼」「こいつ」等が使われる他、名前部分を飛ばす等で対処されている。
 
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「悪魔全書」「アドオン」「サバイバーズアワード」等『デビサバ2』に準拠したシステムの追加
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2周目以降の引継ぎ要素も『デビサバ2』準拠になっており、原作のように全ての引継ぎを2周目から行う事は出来ない。
 
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SRPG初心者向けに「EASYモード」の追加
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取得経験値とマッカが増えるのみで戦闘の難易度は変わらない。
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引継ぎありの2周目以降は選択不可。
 
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他にも地味ながらコンフィグが追加されたり、グラフィックが向上したりもしている。
評価点(オーバークロック)
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追加シナリオの8日目
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原作では「新たな戦いが始まる」「実質BADEND」等、終わり方としては綺麗ではないEDもあったが、これらに続くシナリオが追加された。
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ネタバレの為詳細は伏せるが、新たな戦いとその結末がきっちり描かれたり、BADENDからの大逆転シナリオが追加されたり等、短いながらも良好な追加シナリオとなっている。
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また、8日目には7日目を超えるラスボスも用意されており、そちらの面でもやり応えがある。
 
 
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フルボイス化
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全体的にキャラのイメージを壊さない配役がされており、ADV部分を盛り上げる事に一役買っている。
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ただし、「ドラマCD版からの一部声優の変更」「デフォ名がない関係で主人公の名前だけ呼ばれない」等、一部残念な点もある。
 
 
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「悪魔全書」の追加
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デビサバ2で追加された要素だが、これによりマッカ(金)さえあれば育てた悪魔を多数使いまわせる。
 
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「サバイバーズアワード」、「2周目以降の追加ボス」等、やりこみ要素の追加
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2周目以降の飽きやすさが多少なりとも改善された。
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特に「サバイバーズアワード」は実質やりこみ要素の一覧であり、また詳細な条件は隠されているので、条件を探しながらやりこむ楽しさがある。
 
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UIの向上
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セーブスロットが3つに増えた事は非常に便利
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各日開始時のデータを残したり、クリア前のデータやクリアデータ(引継ぎありの開始データ)を残したままの周回プレイが可能になった。
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兄弟や友人間での複数人プレイもしやすくなった。
 
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コンフィグの追加
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SRPG画面での移動速度の高速化や、L+R同時押しによるシナリオスキップが可能に。
 
 
賛否両論点(オーバークロック)
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物理属性が非常に強力
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元々攻撃属性の中で反射以外の耐性を無視できるスキルを唯一持つため、強力なコマンドスキルの追加に伴い他属性より頭一つ抜けた性能になった。
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デビサバ2でも猛威を振るった「千烈突き」が特に強力。
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自身の速が相手より高い程攻撃回数が増加する物理攻撃を敵全体それぞれに対して行うという恐るべき性能。
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単純に威力が高い事も然る事ながら本作のバトルで重要なエクストラを奪いやすく、さらに一度だけ攻撃から身を守れる「護りの盾」「テトラカーン」や、戦闘不能になるダメージを受けても残りHP1で必ず耐える「食いしばり」の様なスキルも実質無効化できるなど、圧倒的な性能を持つ。
 
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だが無印で不遇気味だった物理が強化された一面もある。
 
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悪魔全書の値段が高く、あまり自由に悪魔を呼び出せない。
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とはいえ、自由に出来過ぎてもつまらないという意見もある。特に一周目は手持ちを上手くやりくりして攻略していくのも楽しみの一つである為、これくらいで良いという意見もある。
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デビサバ2同様にクリア後特典によって半額まで下がるので、やり込みを目指す頃には気にならなくなる。
 
問題点(オーバークロック)
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一部雑魚敵の配置以外に変更点のない既存シナリオ・戦闘マップ
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原作の問題点の「変化が少ない」については相変わらず解消されていない。
 
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ゲーム全体を見ると、追加要素の割合は少ない
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2年半以上と間が空いた為に既存プレイヤーでも割と新鮮な気持ちでプレイできた人も多い一方、前作をやり込んだ上でプレイするとそこまで追加要素が多いわけでもない。
 
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収録ボイスの調整が劣悪
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極端に音量が大きかったり小さかったり、少ないながらも音割れもあるなど、売りであるフルボイスに水を差している。
 
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上記、悪魔のボイス仕様
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悪魔こそ個性的な台詞が多いため、それが上述のようにうなり声のみとなっているのは非常に残念。
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人間に化けている悪魔も、人間状態ではちゃんとボイスがあるが正体を現すと他の悪魔同様になるという謎の拘りぶり。
 
 
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引き継ぎ要素
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2周目以降の引継ぎ要素も『デビサバ2』準拠になっており、リメイク前のように全ての引継ぎを2周目から行う事は出来ない。
 
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スキップ方法が少々面倒
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スキップがLR同時押しの少々時代遅れ気味の方法で、片手ではスキップできない。
 
総評(オーバークロック)
追加シナリオの「8日目」を増やした事で、伏線自体は回収されながらも若干消化不良の残った原作の一部シナリオが改善されている。
また、『2』準拠の追加要素で2周目以降の飽きやすさが改善された他、UIも向上しており、単純に1つのゲームとしても遊びやすくなっている。
今から『1』をやるなら3DS版がオススメ。ただし、追加要素自体はそこまで多い訳でもない。
それ故に、原作プレイヤーからは「わざわざ買い直すには追加要素が少々物足りない」と言う声も聞かれる。
余談(オーバークロック)
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アトラスのゲームではよくあることだが、本作もプレミア化しており、中古価格が一時期8,000円前後となっていた。
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しかし『世界樹の迷宮IV 伝承の巨神』と同時期にベスト版販売が決定して、価格が落ち着いた。高くて手が出せなかった人もこの機会に手に取ってみてはいかがだろうか。
 
最終更新:2024年04月15日 21:21