機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜

【きどうせんしがんだむ ぎれんのやぼう じおんのけいふ】

ジャンル 戦略シミュレーション
対応機種 プレイステーション
ドリームキャスト
プレイステーション・ポータブル
メディア 【PS】CD-ROM 2枚組
【DC】GD-ROM
【PSP】UMD 各1枚
発売元 バンダイ
開発元 ベック
【PSP】キャトルコール
発売日 【PS】2000年2月10日
【DC】2000年6月29日
【PSP】2005年8月11日
定価 【PS/DC】6,800円
【PSP】4,800円(共に税別)
判定 良作
ガンダムゲームリンク

概要

 セガサターンで発売された『機動戦士ガンダム ギレンの野望』(以下SS版)の改訂増補版にあたる作品。ガンダムゲーとしてはっきりした色をもちながらシミュレーションとしてしっかりした難易度を誇った傑作であった前作を元に、改良やバランス調整を施している。幹の部分はそのままであるが、開発元が変わったこともあり実際には別ゲーと言えるレベルでの細かい仕様変更や修正が加えられている。
 なお、前作ではCD-ROM1枚であったが、内容が増えたためPS版ではCD-ROM2枚組となっている。
 2000年6月29日には追加ディスク『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜 攻略指令書』が発売されている。なお、DC版はインターネットダウンロードで配信されてディスク販売はされず、PSP版は最初からオフセットされている。

特徴(前作からの変更点)

  • 戦略フェイズと戦術フェイズに分割。
    • 前者で外交、生産、技術開発、行軍といった戦略的な行動を決定し、戦術フェイズでは戦術マップ内でのユニット移動や攻撃を行うという形になっている。
    • 戦術マップは前作同様、6ヘクスの3スタック制となっている。
  • 全体マップからエリアマップへの変更
    • 前作では宇宙(地球圏全体)と地上(地球全図)がそれぞれ大きな全体ヘクスマップで、重要拠点(ジャブローやソロモンなど)は全体マップ上で7ヘクスを占めており、そこに敵軍が侵入すると拡大マップでの戦闘モードが発生する。拠点以外での戦闘は全体マップ上で処理されていたが、今作では全体マップが廃止されてエリアごと(たとえばタイヘイヨウ、アラビア、ウチュウ1等)に区切られ、一つのエリアに異なる所属のユニットが存在すると戦闘モードが発生するようになった。
      • ユニットの移動は戦略フェイズでユニット名を選択して行う形になっている。また、自陣間の移動では移動適正関係なしに移動が可能。敵地に侵入するとそれぞれのマップに設けられた接続路にユニットが出現する。戦闘状態になった地域への増援も同様で、その地域が単一勢力のみになるか(=敵の全滅もしくは味方の全滅、撤退)、侵攻側がそのマップの全ての拠点を制圧すると戦闘が終了し勝利した陣営の支配地域になる。
      • 生産については生産終了すると該当地域に自動配備されるようになっている。ただしユニット数が限界の場合、0ターンのまま生産レーンに留め置かれる。
  • 機種ごとの生産数制限の撤廃。前作ではガンダムは1機しか生産できない等制限があったが、今作では資金資源の許す限り量産が可能となった。
  • パイロットに関するシステムの変更
    • 前作では「特定のパイロットを特定の機体に乗せると専用機に化ける」という仕様だったが、今回は別途設計プランを開発して生産する形になった。そして専用機に特定のパイロットを乗せると限界性能*1が上昇するという仕様になっている。量産も可能ではあるが専用機はおおむね元の限界性能が低く、本人以外では満足行く性能を発揮できない数値設定になっている。
    • また、前作では3機編成の量産機にパイロットを乗せると強制的に1機編成になってしまったが、今作では3機編成のままである。ただしパイロット能力自体が反映されるのはそのうち1機であり、残り2機はそのパイロットの「指揮」によって動きが変わる。つまり小隊長のような形になる。
      • そのため「名ありパイロットを乗せたほうが損をする」という現象はほぼ起きない。
  • 保有できる部隊数が150から200に増加。全体マップの廃止もあり、前作のような「ユニット配置が薄くなり、敵が散発的な攻撃しかしてこない」という問題は多少マシになった。ただし相手に合わせて増派するというルーチンはあまり変わっておらず、しっかり守りを固めれば一向に攻めてこないという状態にはやはり陥りやすい。
  • 「第二部」の追加
    • SS版は一年戦争(『機動戦士ガンダム』で描かれた時期)のみを題材としており、地球連邦軍とジオン公国軍の戦争終結でゲームが終わっていたが、今作では第二部(ジオンの系譜)が追加されている。第二部では一年戦争の「その後」が描かれる。
      • 機体は第一部からの引き継ぎになる。また、第一部(最大100ターンで終了)がどのように終結したかで第二部開始時点の情勢が変わる。たとえば連邦編でジオン本土のサイド3を制圧して終了(完全勝利)した場合、第二部ではジオン公国は滅亡しておりその残党勢力「デラーズ・フリート」が決起したところから第二部が始まる。逆に不利な状態で終了(判定敗北)した場合、連邦軍ではその敗戦の不満から地球至上主義が台頭、地上をも支配するジオンに加えて、ティターンズが分派した三つ巴の状態で開始する*2
      • 第二部以降の追加により『0083』の機体や、『Z』『ZZ』*3の一部機体が追加されている*4
      • なお、第二部では第一部のような攻略作戦の発動は無く、任意の方針でゲームを進めて行くことが可能。ただしイベントは若干少なく、原作に最も沿った形で進行する連邦編の完全勝利においても再現は控えめとなっている(たとえばデラーズ・フリートの星の屑作戦はイベントとしてあるが、第一部のようには大きなイベントではない)。
  • 原作とはあきらかに乖離したオリジナル機体については整理された。
    • 核兵器装備型のザクが登場するのは前作同様だが、SS版ではザクIIA型というオリジナル機体がGP-02に似たバズーカを持っているという何ともかんともな機体だった。本作では対核装備搭載のC型(ザクII初期型)の武装変更という公式に沿った形に整理されている。
  • 外伝シナリオの本数追加。
    • 前作から引き続きの「ティターンズ*5」「ネオジオン(キャスバル)*6」「正統ジオン*7」に加えて、『0083』に登場する「デラーズ・フリート」、『Z』に登場する「エゥーゴ」「アクシズ」、シロッコが総帥となる「ティターンズ(シロッコ)」、ガルマが戦死せずジオンの総帥となったらというifの「新生ジオン」が追加された。
      • 出現する条件は本編あるいは外伝で該当勢力を撃破するというもの。そのため出現機会がかなり限られる「新生ジオン」などは、意図的に出現するようなルートを取る必要がある*8。なお、全勢力を出現させると、隠しシナリオ2つが追加される。
  • 上記以外にもキャラの追加や機体の追加(ギャンのバリエーション機体等)、パラメーターの内容調整等、ほぼ全編にわたって調整や追加が行われている。
  • 前作同様であるが敵勢力は後半になると明らかに国力を無視して量産を行うようになる。ただしこれはバグでも何でもなく、後半戦を難しくするための意図的な仕様であり、内部的には「敵拠点を落とせば落とすほど、相手に資金資源ボーナスが入る」というシステムになっている。
    • 戦略シムでは有利にゲームを進めている限り、こちらの領土や部隊はどんどん増え、逆に敵はどんどん領土や部隊を減らしていく。そのため「序盤は面白いが中盤以降戦力が整った後は、敵もろくにいない拠点をひたすら落とすだけの作業ゲーになる」という問題が起こりやすい。
      • 中盤以降のチープ化は黎明期から今日に至るまでシミュレーションゲームがずっと抱えている問題であり、「ルールが平等でなくても後半戦を意図的に難しくした方が良い」のか「あくまで平等にすべきで後半の作業ゲー化はある程度仕方が無い」のかはゲーマーの間でも意見が分かれるところである。

評価点

  • SS版に引き続き「高い難易度」と「魅力的なゲーム性」を誇る。キャラゲーの枠を超え、SLGとしてしっかりした作品であるという特徴は健在。SS版で好評だった部分はほぼ引き継いでいると言える。それに加えて追加要素も多くは魅力的なものに仕上がっている。
    • これらの評価点についてはSS版記事も参照のこと。
  • 前作にあった問題点はかなり整理、改善されている。
    • 地球はちゃんと周回できるようになっている。前作のように大西洋を越えられないと言うようなことはない。
  • エリアマップ制になったことで戦況の把握もしやすくなり、生産制限のような自由度を下げていた部分もなくなったため、ユーザーの快適性は増加している。
  • 機体等の全体的なゲームバランスは優秀。ガンダムのような例外を除けば、「量産するとゲームバランスが崩壊する」ような機体(バランスブレーカー)はほぼ存在しない。Zガンダム・キュベレイ等、最強の機体を量産するとゲームバランス的にはどうにもならなくなるのだが、意図的に引き延ばしでもしない限り数を揃えるのは現実的ではない上、登場するのが終盤なので活躍の機会自体が無い。
    • ガンダムも必要な資金、資源は相応に高いため、「量産する」こと自体にテクニックが要求される。難易度によるものの連邦編は豊富な資金、資源を持ってスタートする。しかし初期の連邦は航空機や戦車しかなくMSに真っ向から当たれる兵器は無い。そのため「3倍の数で攻めて、敵の2倍の数が撃破されようとも、相手を全滅させればそれは勝ち」というような物量作戦しか取る戦術が無い*9。なので損害がかさむ。下手にプレイするとガンダムが出てくる前に資金資源が枯渇し、そうなれば当然量産もできない。
      • 最強の機体はZガンダム、ジ・O、キュベレイの3機だが、その中でもキュベレイは突出して強い。とにかく攻撃が当たらず、このゲームのCPUでは撃破はほぼ不可能である。プレイヤーが戦う場合も補給を切って疲労を蓄積させてやっと当たる、という状況ではあるが、なら戦う機会はあるのかと言えばアクシズが出現したときに初期配備されている1機のみであり、ゲームバランスに大きな影響は与えていない。
    • ただし登場している機体数は、Zガンダムまでしか再現していないという都合上仕方ないとは言え、第二部以降はジオン側の少なさが目立つ形になっている。
  • アニメーションもかなり優れている。内容的にも、映像的にも第三勢力登場時の演説も含めてかなり「原作らしさ」を再現することに成功しており、違和感は全くない。
    • 「アニメーション」として高品質である。今日の目でみても色あせていない非常に良質なものに仕上がっている。なお、ジオン側ディスクのOPはCGムービーであるが、こちらも非常に質が高く、PS2時代と比べても遜色ない出来に仕上がっている。
    • なお、セガサターン版からそのまま使っている物と今作で新たに製作したものがあるが、質的には特に差はない。なお、SS版で使われたほとんどの物はそのまま使用しているのだが、ネオジオン(キャスバル)のオープニングのみ、若干の修正が入っている*10
    • キャラゲーとしての面目躍如とも言える。なお、続編である『アクシズの脅威』ではアニメーションが廃され紙芝居になってしまった。PSPで容量面の問題もあったとされるが、PS2版も発売された『アクシズの脅威V』でも復活せず、落胆する声は多かった。
  • 前作「ギレンの野望」ともども、ガンダム世界に与えた影響は意外に大きい。サンライズ刊行の公式百科事典でも「ギレンの野望」が出典として引かれた記述がかなりある上、このゲームで採用された説がそのまま半ば公式設定と化したものも多い。細かく見ると公式設定とは異なる描写も割とあるのだが、これらについても「異説」として紹介されている。
    • 一例として、従来あまりはっきりした説が無く諸説乱立していた「コロニー国家で海のないジオンはどうやって潜水艦部隊を持つに至ったのか」について、「連邦軍の物を鹵獲した」という、バンダイ刊行の『戦術戦略大図鑑』の説が最有力になったのは、このゲームでこの説を採用したことが大きい。
    • 「ギャンは正規採用を巡ってゲルググとコンペティションで争ったトライアル機」という設定も、初出は書籍「ガンダムセンチュリー」であるが、本作でイベントとして具体的に再現されたことでよりメジャーなものとなった。
    • ジオン軍の意匠をナチス時代のドイツに似せる傾向は以前からあった*11のだが、本作アニメーションではジオンの旗があきらかにナチスドイツらしさを出している等、傾向をよりはっきりさせている。本作がジオンの「ドイツ第三帝国化」をいっそう進めたのは間違いない。
  • 前作同様、音声機器でCDを再生しようとすると、再生を警告するメッセージが流れるのだが、やはりショートコント形式になっている。ゲームの声優がしっかり熱演している爆笑ものである。しかも連邦編ディスクとジオン編ディスクでそれぞれ内容は異なるという念の入れよう。

問題点

前作での問題点はかなり解消されたものの、新たな問題点も複数生まれている。

  • ユニットの生産制限が無くなったことによる弊害で一部バランスが悪化している。
    • 原作通りの超高性能機であるガンダムやホワイトベースも量産可能になっているため、ジムのような量産機を生産するよりもガンダムを量産したほうが効率的*12という事態になっている。量産されたホワイトベースに搭載された大量のガンダム軍団がジオン軍を蹴散らす光景に、原作の雰囲気は損なわれた感がある*13。やらなければいいと言う意見もあるのだが生産制限がある以上、質を優先させるほうが戦果が上がり損失を抑えられるので結局「(原作における)一品物の高性能機の量産」戦法がまかり通ってしまう。
      • テム・レイの「ガンダムが量産されれば連邦の勝利は確実」と言った台詞が「文字通り」実現した事と形となった。一応ガンダムを量産できるゲームもあるが今作のように「原作の白い悪魔仕様のガンダム」を量産できる作品は珍しい。なお後付け設定ではあるが、一応原作では「ガンダムを量産することは出来たし、そうすれば早く戦争に勝てただろうが、それをやったら終戦と同時に連邦が破産する」とされている。実際、今作でもガンダムはジムやザク10機(3ユニット)以上のコストがかかるのにそれに見合った性能を持っていない*14、部品の調達や設備の有無と言った問題点も考慮されず単純な経済による不利しかない(戦争特需や戦争不況等の経済変動は一切存在しない)ゲームだからと言うべきか…。
      • もちろん今作では「その後」がある上、0080登場の機体や0083に登場した機体が増えたため第一部後半でもガンダムは型落ち気味になっては来る。しかしガンダムを量産の上での速攻を行うとそういった機体が出てくる前に終わらせることができるため、連邦編では「ガンダムを量産して電撃戦をやる」という攻略法ができてしまった。これはその後のギレンの野望でも同様*15
      • 生産制限が無くなったのはNPCも同様。お構いなしに量産するためジオン軍は中盤以降は「重要拠点に攻め込むたびにガンダムが出てくる」という半ば地獄のようなシナリオになっている。元々白兵戦用MSで間接攻撃には無力なので取り囲んで間接攻撃で仕留めやすいのが救いではあるが。
      • ちなみに前作ではRXタイプの大半は生産制限がかかって大量に生産するのが(PC,CPU共に)不可能に近かったこととジオン側は終盤で量産可能な高性能機ケンプファーの存在である程度のバランスが保たれていた。
  • 第二部以降のゲームバランスが第一部に比べてやや粗い。
    • ジオン系、連邦系の機体に偏りが強く出てくる。第二部は0083、グリプス戦役に当たるのだが原作ではジオン軍は一年戦争の結果消滅しているためゲルググ以降の機体が設定上ほとんど存在せず*16、さらに再現がZガンダムまでという都合上アクシズ製MSもほとんど登場しない*17
      • そのためゲーム終盤ではジオン軍やジオン系勢力は量産機ではハイザックやガルバルディβ、マラサイといったジオン色が強い連邦製の機体に頼る羽目になる(一応ガザCは出てくるものの、今作では最強の量産MSの一つであり、当然ながら出てくるのも量産機としては最後である)。
      • 単機編成の機体はさらに偏りが強く、連邦製がGPシリーズ、Mk-II、ティターンズの可変MS、エゥーゴ製高性能機と出てきて最終的にZガンダム、ジ・Oと出てくるのに対し、ジオンはガーベラテトラ(改)、リゲルグ*18、そして間があいてキュベレイくらいしかない。MAまで視野を広げればノイエ・ジールなども出てくるが連邦系に比べてなんともさびしい。ただ性能バランス自体は、ケンプファーが恐ろしく強くグリプス戦役の機体相手でも戦えるため一方的に不利というわけではない。そして一年戦争の機体だけあって開発がものすごく速い。
    • 第一部は最大100ターンなのだが、速攻クリアしてしまうと第二部はかなり厳しい戦いに陥る可能性がある。技術レベルや資金資源ボーナス、プランボーナス*19等はあるがこちらの手持ち機体はガンダムやジム、あるいはグフやドムという程度で、CPUが生産するジムIIやゲルググMと戦わなければならず、相当厳しい。
      • しかもクリアボーナスは(プランを別にすれば)普通に引き伸ばした時よりも損をすることが大半でイベントも消化できないので割に合わない。
      • そのためさっさと追いつめるものの99ターン目まで意図的にクリアせず、その間に延々と開発を進めて戦力増強をするというテクも存在する。第二部以降はターン制限が無くなるため、敵勢力の出現直前で止めて戦力増強*20というテクニックもできてしまった。そのため第二部の生殺し可能地点まで行った時点で、実質的にはゲームクリアになってしまう。
    • 第二部の開始時点で、それまで保有していた全てのユニットがデタラメなエリアに配置換えされてしまう。
      最前線や重要拠点と僻地に同じくらいの戦力を駐留させていたり、宇宙専用機を地上に、地上専用機を宇宙に配置していたりと、どうやら本当にランダムに再配置されるらしい。
      そのため第二部開始から数ターンの間は、戦力を適切に再配置することに専念する羽目になる。これを見越して、CPUは第二部開始から5ターンの間は決して攻め込まないようになっている。
      • 第二部開始時点のマップ上の勢力図は、第一部クリア時点とは大きく異なっている。よってプレイヤーの全戦力を再配置する必要があるのだが、これを適切に行うAIルーチンを作成できなかったためプレイヤーに丸投げしたと解釈できる。
  • 原作通りの展開とは違う選択をし、IF展開を楽しめるはずが、あからさまに選択後の有利不利に差があることが多い。
    • 特に槍玉に挙げられやすいのが、ジオン第一部の「ゲルググ量産化計画・ギャン量産化計画の選択」と連邦第二部完全勝利・判定勝利シナリオの「エゥーゴ・ティターンズいずれを協力勢力とするかの選択」である。一方の選択肢が圧倒的に有利なだけでなく、いずれも原作通り、あるいはそれに近い方が有利という事から「IF要素を選ぶ楽しみが縛りプレイくらいしかない」という事も批判の要因となっている。
    • 前者はそれぞれゲルググ初期生産型・ギャン試作型の開発終了と共に提案され、どちらか片方を選択するともう片方は消滅する。「ゲルググ・ギャンは次期量産機採用を巡ってコンペが行われた」という設定に基づく選択である。選択するとその後いずれかの「○○量産型」「(キャラ名)専用○○」「○○・キャノン」「高機動型○○」「(キャラ名)専用高機動型○○」が提案されることになるが、ギャンを選んだ場合ここで打ち止めになる一方、ゲルググを選んだ場合、「ゲルググ・M(マリーネ)」「ゲルググ・M(指揮官用)」「ゲルググ・M(C.G)」「ゲルググJ(イェーガー)」「リゲルグ」と更なる発展型が次々と提案されていくこととなる。
      • 特にゲルググ・Mは量産機としてはゲーム中5指に入るほどの高性能機であり、第二部終盤でも十分メインで使っていける。性能だけならマラサイやガザCには劣るが、コスト等を考えればこちらを主力として使った方が有利である。その他ジオン系量産機としては数少ない高命中率かつ間接攻撃可能武器を有すゲルググJや、紙装甲という欠点はあるもののジオン系では数少ない第二部でも通用する単機編成ユニットであるリゲルグも使いでがある。
      • 一応ギャンを選んだ場合、ギャン・キャノンは射撃・格闘ともこなせ更に間接攻撃可能な3機編成ユニットでありそこそこ優秀といえる(一方のゲルググ・キャノンはこの時点ではあまり役に立たない遠距離型単機編成ユニットである)。だがコストがかなり高い上に総合性能ではゲルググ・Mに遠く及ばない。
      • あまりにゲルググ選択の方が有利ではあるが、原作ではこちらがコンペで勝利した設定であり、必然的に以降に登場するバリエーションが多くなるのは仕方のない話である。「ジオン独立戦争記」以降にはギャンのバリエーションにゲルググ・Mに相当するギャン・M、ゲルググJに相当するギャンK(クリーガー)というゲームオリジナルMSが追加されている*21
    • 連邦編第二部完全勝利ルートもしくは判定勝利ルートの場合、シナリオを進めると「機動戦士Zガンダム」における主人公所属勢力の「エゥーゴ」と組むか敵対勢力の「ティターンズ」を組むかの選択をすることになる。
      • 選ばれなかった方は第三勢力として出現し自軍に敵対行動を取る。エゥーゴを選べばほぼ原作通りの展開になるが、ティターンズを選んだ場合は原作では敵として登場したパイロット・機体を自軍戦力として使う事ができる。双方とも総合的に見ればそこまで大きな差はない。
      • が、選ばなかった方の勢力を壊滅させると、更なる勢力「ティターンズ(シロッコ)」が出現する。エゥーゴを選んだ場合はそのまま敵パイロットがこちらに移籍ないしは死亡するだけなのだが、ティターンズを選んでいた場合は自軍のティターンズ所属パイロットが死亡者以外全てそこに引き抜かれることになる。
      • 『アクシズの脅威』ではこの部分が修正され、丸損ルートではなくなった。
  • ジオン公国をプレイしている場合でドズルが生存していても、ハマーンがミネバ(ドズルの娘)を擁立しアクシズを設立する(ドズルやその麾下の将兵はアクシズに移る)。本家ジオンにも宣戦布告してくる(ミネバを擁立することに大義はない)。
  • NPCの思考ルーチンに若干問題がある。
    • NPCの思考ルーチンはかなり消極的。隣接地域の戦力がこちらを「数で」上回っているときにしか攻めてこない上、数を上回るような進軍、増援派遣をあまりしてこない(こちらの数と同数くらいしか配備、進行してしない)。そのためしっかり防衛部隊の数を配備しておけば攻め込まれることはほとんどない。「特定の拠点攻略を目指す」といったルーチンが無いため、対症療法的に防衛部隊を増やすばかりで散発的な戦闘になりがち。
      • 自軍が不利な情勢(多くの隣接地域で戦力が負けているような情勢)では同時多発的に攻め込んでくるため戦線が崩壊する可能性はあるのだが、このような状況に陥るのはこちらの戦略ミスに依るところが大きい。
      • 上記のガンダム量産が有利となる原因の一つと化してしまっている。「とりあえずコストの安いユニットで戦力水増しして時間稼ぎ」→「ガンダム(あるいはそれに準ずる高性能ユニット)が生産可能になったら順次戦力の更新」→「敵地に攻め込んで戦力を削る」という具合にである。ドズル「戦いは数だよ兄貴」
      • また上記の通りこちらの配備数で攻めて来る数も決まるので防衛なら一般量産機よりもガンダムなどの高性能機を置いておくほうが返り討ちにしやすい。
      • 続編『アクシズの脅威』ではかなり好戦的なルーチンに変更された。また数ではなく質で優劣を計算して行動してくるようになっており、上記のような水増し、高性能機配備によるブラフ作戦は意味が無くなった。 
    • カナダ*22など水にさえぎられて移動が難しい地域では、水の移動適正が無い機体だけを送り込んできて、結果的に出現箇所付近で動けなくなってそれっきりという状態の戦闘も起きる。この状態でNPC側の戦力が見かけ上上回っている場合、こちらから仕掛けない限り増派もほとんどしてこないので延々と戦闘が終わらなくなる。こちらから攻め込むことで同様の状態に持っていくことも可能。
      • 戦力に余裕が無い時は「こっちから攻め込んで放置すればいい」というテクニックにもつながっている。
  • 「侵入」テクニックの存在。戦術マップでは他のマップへの接続ヘクスにユニットを到達させるとそちらのマップへ移動できる。自軍の地域に移動する場合は撤退だが、敵軍の支配地域に侵入することもできる。NPCは原則的に敵地と隣接していない地域には戦力を置かないため、足の速い機体で侵入したエリアから更に奥のエリアへ「侵入」することで戦闘無しに敵地を奪うことができてしまう。
    • 速攻クリアには必須であり、また速攻狙いでなくても非常に有用なテクニックとして攻略本等でも紹介されてはいたのだが、ルーチンの穴でもあり便利すぎたため『アクシズの脅威』で廃止された。
  • 専用機設定に難がある。1機につき1キャラしか設定できなかったためなのかは不明なのだが、黒い三連星専用機で補正がつくのがガイアのみであったり、シャア専用リックドムがシャア専用だがキャスバル専用ではなかったりする。特に後者はネオジオン(キャスバル)におけるキャスバルの初期搭乗機体であり、影響は大きい。
    • PSPでもこの処理に苦しんだのか、「専用機には誰が乗っても専用機補正がある」という斜め上の仕様になってしまった。『アクシズの脅威』では複数キャラが正常に専用機設定されるようになっている。
  • 前作から引き続き難易度は最初は選べず、必ずノーマルから始めることになる。シムに慣れていないプレイヤーや若年層にはかなり難しい。
    • 一応完全敗北すれば低難易度が解禁されるが、その方法が本拠地を制圧されると言う初見ではほぼ判りにくい(総大将が撃墜されてもゲームオーバーになり、不慣れなプレイヤーだとこちらも発生しやすいので尚更である。)条件で解禁する為には、わざと全部隊を廃棄して6ターン*23以上放置する必要がある。
    • 追加ディスクでは、さらに資金資源を増やし、おまけに高性能MS(ジムIIまたはハイザック)を生産できるようにした救済データが収録されている。
    • 『アクシズの脅威』以降は最初から選べるようになり、また最低難易度はより簡単になっている。
  • ローディングは全体的に遅い。大規模戦闘になるとNPCの思考フェイズがかなり長くなり、フリーズしたかと思うほど延々待つ羽目になる。 実際にフリーズしていることもあるが
    • DCやPSP移植版は、ほぼ内容は同じながらハードが高性能化しているためかなり改善されている。
  • 細かいバグやフリーズが散見される。
    • 戦闘時のフリーズについては、再現性が低いものの突然起きるためこまめにセーブする以外の対処方法が無い。特に戦闘地域が増え、戦闘フェイズが長期化した末にフリーズすると、絶望感は大きい。
    • 各種イベントでフリーズが割とある。特に「ネオジオン(キャスバル)」の50Tイベントは再現性が高く、確実にフリーズしてしまう。これらフリーズバグは出荷ロットによって起きる頻度がかなり違い、初期ロットではかなり多い。
      • ただ、PS時代は全般的に細かいバグやフリーズが多かった時代で、本作が取りたててバグやフリーズが多い、というわけでもない。
      • PS版の販売本数は53万本とされているが、初期ロットはそのうち25万本少々と言われている。つまりおよそ半分。外見からはわからないものの、プロフィール図鑑のマッシュとオルテガの記載が入れ違っているかどうかで判別できる(入れ違っていれば初期ロット)。
  • お世辞にも使い勝手が良くないインターフェース
    • 兵器・人物の情報表示は冗長的でありながら、すべての情報が表示されない。
      • 兵器は表示の都合により移動や攻撃の地形特性が1ページ内に収まらず、左右キーで表示を切り替える必要がある(他のステータス表示が数値からバー表示に変わる)。また武器の攻撃力は最大攻撃回数を行った場合の数値であり、攻撃回数は表示されない。
      • 人物にニュータイプであるかのどうかの表示はない。(ニュータイプ用の兵器の場合、有線ビーム砲、ビットやファンネル等を使うにはニュータイプの人物を登場させる必要があるのだが。)
    • 「部隊」コマンドに関してはユニットの状態を確認できる他、「部隊」コマンドでは「武装」の変更や艦船への「搭載」など設定できるが、「移動」を設定できない。さらにこのコマンドでは移動設定された部隊の文字が緑色で表示されるだけで、移動先は確認できない。「移動」コマンドでのみ移動先の確認や設定ができる。
    • 「人事」コマンドでは「配属」を完了すると「人事」コマンドが終了する。そのため続けて「配属」を行うには再度「人事」を選択するという手間が発生する。
    • 「人事」から「昇格」を選ぶと昇格できる人物だけでなく昇格できない人物もリストに表示される。人物を降格させることないので無駄な表示である(ただし昇格できる人物は白文字で表示、昇格できない人物は灰色文字で表示され選択できないという違いはある)。
    • 行動設定フェイズのときエリアMAPの表示に数秒のロード時間はかかる(エリアに進入してきた敵の位置を知るにはエリアMAPを表示するのがよいがそのさいも同様にロード時間がかかる)。今日のリアルタイムストラテジーのように画面の隅にエリアMAPが表示されるような仕様ではいない。

追加ディスクについて

2000年6月29日には追加ディスク『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜 攻略指令書』が発売されている。なお、DC版はインターネットダウンロードで配信されてディスク販売はされず、PSP版は最初からオフセットされている。

  • 基本的には追加シナリオ(新規ムービー等はなく、あくまでゲームデータをエディットしたもの)を楽しむためのものであって、単独で遊ぶゲームではない。
    • 追加シナリオは、初心者救済用の、超潤沢な資金と資源そして高性能なMSが最初から開発可能というデータもあれば、資金・資源なし、しかも敵軍が強化されているという、さらにハードなデータもある。このほか、原作の戦力バランスに則したデータや、本拠地だけでスタートというハードモード、敵軍から奪った開発プランのみで攻略するという特殊なデータ等がある。
    • 100%のシステムデータも入っておりこれを使うことで、延々と周回してムービーやキャラをコンプすることなく、図鑑が全て見られるようになる。

総評

好評を博したSS版をさらにブラッシュアップした作品である。 細かい問題点はあるものの、優れたゲームバランス、そして「ガンダムファン」にも容易に受け入れられる優れた世界観に裏打ちされたPS時代の名作であり、「バンダイの本気」をうかがわせる作品。 前述したようにこれ以降の作品に与えた影響はSS版ともども大きく、特にギレンの人気はこのニ作によってさらに高まり、「ジオニスト」と呼ばれる、原作で「味方」であった連邦よりも「敵」であったジオン軍側により愛情を持つファンもかなりの数に上るようになった。

続編について

続編としてPS2で『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオン独立戦争記』が発売されているが、ゲームシステムの刷新があり、かなり毛色の違う作品になっている。 ゲームシステムを流用した直接的な続編として2008年2月7日に『ギレンの野望 アクシズの脅威』がPSPにて発売されている。またそれの続編として2009年2月12日に『ギレンの野望 アクシズの脅威V』がPSPおよびPS2で発売された。

  • 両者とも、本作をさらに増補してZZや逆襲のシャアの時代まで収録した作品である。脅威Vではさらに『ガンダムセンチネル』や『閃光のハサウェイ』に登場したMSも収録している。
    • ゲームシステム等は本作をほぼそのまま使用しているのだが、外交等で仕様変更がある。また機体が増えたこともあってバランス調整が明らかにおかしい機体がいくつかある。脅威ではゴッグの超火力が、脅威Vではドムキャノンのすさまじい火力や、ズサ・ブースターの化物じみた高機動ぶりが話題になった。
      • これらは実際のところ「まともに遊びたいなら封印」を推奨されるレベルのバランスブレーカーで、調整ミスというより数値の打ち間違いに起因する、バグに近いものではないかとも言われている。
    • 前述したようにムービーは廃止され、紙芝居形式になっている。このため一部イベントでわかりにくい箇所がある。
      • 『脅威V』については、マルチプラットフォームで発売された。しかしムービーの復活は無く落胆の声が上がった。また大本がPS時代の物の上に、携帯機向けに発売されたゲームの焼き直しであるためグラフィック面ではかなり厳しいものがあり、「PS時代ならともかく現代の据え置き機では許せる画質ではない」と評されることも。 このほか、2011年8月25日には『機動戦士ガンダム 新ギレンの野望』が発売されている。ただしシステム的には系譜ではなくSS版の流用となっている。
  • SS版にあった生産数制限の復活等賛否が分かれるところはともかく、資金資源を湯水の如く贅沢に使い、特定のモビルスーツをこれでもかと量産、戦術面では少数特攻を繰り返すバカすぎるCPU、それを補うように難易度はななめ上の調整がされている。ニュータイプが高性能機に乗って拠点に陣取ると回復量がダメージを上回り千日手になる、デプロッグ*24やにボコボコにされるザクやフィッシュアイ*25が殆どの水中機をあらゆる面で上回る、物量作戦を強いられるジオン軍、といった原作の雰囲気無視の劣悪なゲームバランス。キャラクターは減らされ、原作愛も何もない一年戦争に偏った中途半端なシナリオ。そしてお得意のバンナム商法と、かなり酷評された。

*1 その機体がどの程度パイロットの能力を生かせるかにかかわる。たとえばパイロットの能力で射撃が15あっても、限界性能が低ければその限界性能分までの数字しか機体に上乗せされない。

*2 なお、本拠地が制圧された場合はゲームオーバーになるので第二部は無い。総大将が撃墜され戦死した場合も同様。

*3 ただしこちらはほぼリゲルグのみ。

*4 なお、SS版でも隠し機体的に『0083』からガンダムGP-01フルバーニアン、『ZZ』からリゲルグがゲスト出演していた。

*5 前作では一年戦争時に決起したというif設定だったが、今作では原作準拠。

*6 前作同様、一年戦争中にシャア・アズナブルが本来の名である「キャスバル・レム・ダイクン」を名乗って決起したという設定になっている。原作でもシャアは『逆襲のシャア』でシャア・アズナブルとしてネオジオンの総帥になっているが、旗や衣服の意匠についてはおおむねこちらを基にしている。ただしストーリー的にはむしろ「小説版ガンダム」の要素が強い。

*7 一年戦争中にキシリア・ザビが決起して兄ギレンに反旗を翻したという設定。原作通りキシリアがギレンを暗殺せずに決起したら…というifである。

*8 当然であるが原作通りガルマを戦死させてしまっては出現しない。

*9 一応、ガンダムが完成するまで一切攻めずに防衛に徹するという手法も可能。

*10 ギレンの野望関連のムービーは『独立戦争記』の追加ディスクに映像特典として収録されているが、このサターン版は未収録で、系譜の修正版のみしか入っていない。

*11 0080(1989年)では機体名や艦名にドイツ語を採用する等かなり明確になっていた。もっとも、ギレンを「ヒットラーの尻尾」と称していたようにこの傾向自体はファーストガンダム当時からあった。「ジーク・ジオン」と言う掛け声もナチスドイツの「勝利万歳(Sieg Heil:ジーク・ハイル)」から来ている。

*12 性能の高さは原作通りの上にどちらも序盤で生産が可能、汎用性が高いので尚更である。

*13 公式でも結構な数のガンダムが存在するし、一年戦争時を題材とした作品(ゲームやコミック)では頻繁にガンダムが出ているので「本編で映らなかっただけでエース用や特殊部隊用として各地でガンダムが配備されていた」と考えられなくもない。

*14 真面目に考えれば高性能機故に並の施設やパイロットでは持て余してしまう事もあってガンダムの費用対効果は最悪である。まぁアムロ級のエースパイロットが乗ると12倍以上の性能差を出してしまうのだが…。

*15 ただし次回作以降は性能の低下や一定以上生産すると部下の忠誠低下(反乱フラグ)のペナルティ等の形で対策がされている。 今作でも杜撰な使い方だと割とアッサリ落ちる。

*16 0083で登場したドラッツェ等例外はあるが、リックドムIIも含めてほとんどは一年戦争の機体である。

*17 原作でも同様で、テレビ版Zに登場したアクシズ製MSはガザCとキュベレイのみである。

*18 前述の通りZZの機体なのだが、SS版から引き続き登場している。

*19 第一部をクリアするとクリア時のターン数によってプランがもらえる。たとえば連邦軍で速攻クリアするとキュベレイのプランがもらえる。ただし開発には敵性技術が必要なので、もらっても即開発は不可能。

*20 通称「生殺し」。ほとんどの敵戦力は「特定の勢力を滅亡」させることによって出現する。そのため滅亡させる寸前で止めることで意図的に出現を引き延ばすことが出来る。

*21 ただし、ゲームに慣れたプレイヤーからはゲルググ不要論が出るほど便利な機体となってしまい立場が逆転してしまった

*22 マップ的にはカナダというよりその北部のハドソン湾と、ヴィクトリア島周辺の北極海である。

*23 今作では5ターンまではCPUはこちらに進軍しない

*24 連邦軍の重爆撃機。本作にも登場。

*25 連邦軍の一番安価な水中専用機