鋼の錬金術師 ドリームカーニバル
【はがねのれんきんじゅつし どりーむかーにばる】
| ジャンル | タッグ対戦アクション |  
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| 対応機種 | プレステーション2 | 
| 発売元 | バンダイ | 
| 開発元 | エイティング | 
| 発売日 | 2004年8月26日 | 
| 定価 | 7,140円(税5%込) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | ハガレン唯一のお祭りゲー 2003年版、FA版込みでも異質な存在感
 対戦ゲーとしては微妙
 2003年版のファンアイテムとしては良質
 錬金術師より一般人のほうが全体的に強め
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| 鋼の錬金術師シリーズリンク | 
 
概要
荒川弘作『鋼の錬金術師』のTVアニメ版(2003年版)を元にした2D乱闘格闘ゲーム。
ただしスマブラシリーズのような4人入り乱れての大乱闘ではなく、2VS2で行うチームバトルゲームで、連携を重視した格闘ゲームとなっている。
本作のOPは、2003年版の第3クールからのOPを使用しており、登場キャラもその頃のメインキャラに準じている。
2003年版、2009年版共に、発売された『鋼の錬金術師』のゲームは、各アニメ本編の外伝(映画やOVAなど)的な内容を意識した、シリアスなゲーム作品である。
しかし本作はオリジナルストーリーや展開(掛け合い)はあるが、基本的におまけ漫画をモチーフとしたような、ギャグがメインの雰囲気づくりが行われている。
これは、2009年版に視野を広げても、同一のコンセプトの作品は存在せず、ハガレンのゲームとしては極めて異質な存在となっている。
時系列などは不明。何故なら、マース・ヒューズ中佐の死亡後に登場するキャラが彼と掛け合いを行うからである。
正にタイトル通り、キャラゲーとしては「夢」のある作品になっている。
本作では、シリアスな空気が多少漂ってきても、すぐに誰かによってぶち壊され、一気にギャグテイストな空気に持っていかれる。
シリアス一辺倒なキャラも本作には参加しているが、そうだとしてもあまりシリアスな空気にはならず、ギャグをこなせるキャラがいればすぐその方向に空気が一変する。
ストーリー
大総統、キング・ブラッドレイが、気まぐれで武術大会の開催を宣言した。
ルールは簡単、「相手を殺さなければなんでもあり」。そして大総統は優勝者の願いを一つだけ叶えるという景品もつけた。
それを聞きつけたエドを始めとする面々は、自分の目的や野望を叶えるため、このおかしな大会に参加するのであった。
登場キャラ
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エドワード・エルリック
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アルフォンス・エルリック
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ロイ・マスタング
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リザ・ホークアイ
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アレックス・ルイ・アームストロング
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ウィンリィ・ロックベル
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マース・ヒューズ
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ラスト
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グラトニー
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スカー
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イズミ・カーティス
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グリード
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ラース
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キング・ブラッドレイ
ゲームシステム
プレイヤーは必ず2VS2に分かれて敵と対峙する。ステージにはギミックやアイテムなどが落ちており、それを利用することも可能。
ボタン配置はかなり簡潔化されており、コンボなどは存在するがコマンド式ではなく打撃や技の組み合わせで攻撃手順が変わるというのが主。
それぞれのキャラには技を使うためのゲージがあり、それを消費することで強力な技が出せる。特に最大ゲージの時に使える超必殺はどれも強力。
どちらか一方が相手1人のキャラHPをゼロにした時点で勝負がつく。
評価点
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簡単に操作が出来る
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難しいコマンドなどは一切ない。超必殺なども1ボタンで出来る。
 
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キャラゲーとして優秀
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原作でも人気だったおまけコーナーのネタを取り入れており、終始和やかな空気が漂っているため、元となったアニメの陰鬱な雰囲気に嫌気が差した時にプレイすると、そこそこ気晴らしになる。
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シナリオの会話パートはフルボイスで、どの内容も2003年アニメ版でたまに挿入されたギャグ回を意識した違和感のない内容となっている。
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件のギャグ回で本編に取り入れられた「全女性職員の制服をミニスカートに…」のネタもマスタングメインのシナリオで登場する。優勝すると予想外のオチが…。
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2003年アニメ版では今一出番がなく影の薄かったウィンリィも、本作ではかなり弾けている(シナリオとしてもキャラとしても)。
 
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先の通り、原作アニメで既に死亡済みのヒューズと、本来絡みようがないキャラとの掛け合いもある。ヒューズ中佐とイズミ師匠が行う「うちの家族が世界一」を競ういがみ合いは必見。
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ヒューズは常時身体から娘の写真がポロポロと落ちる演出がある。
 
 
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格好良さ、ネタっぽさを抑えた超必殺の数々
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エルリック兄弟の技の内容が本作の空気を一番良く説明出来る。エドは土で錬成した巨大な腕を地上に落とすという割合真面目な内容だが、アルは鎧の中に潜ませていた猫軍団を放出して攻撃するというネタ性の強いものになっている。
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真面目な技とネタ技は半々といった所。娘エリシアの写真が風で飛ばされて、その写真に攻撃判定が出るヒューズ。アニメ化の際に4コマのネタとして出てきた「兄メカ」のようなロボットを召喚して攻撃するウィンリィなど。ホムンクルス勢は流石に真面目な技で占められている。
 
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ネタの拾い方はそこそこ
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マスタングは足場が水に浸かっていると錬金術による技が使えないなど、原作の無能ネタはしっかりゲーム内でも取り入れている。
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傷の男(スカー)の猫好きというおまけマンガのネタ設定なども、シナリオ展開の一つとして取り入れられている。そこでは傷の男のクールさの欠片もない姿が少し見られる。
 
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格闘ゲームなのでいろいろなキャラが使える
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イズミやブラッドレイなど、他のゲームではなかなか使用出来ないキャラも本作では使用可。
 
問題点
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超必殺演出の際、ゲームタイムが止まらない
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超必殺演出はそれぞれ長めなのだが、その間もゲーム場面は進行しており、画面を専有する超秘演出の横で縮小した状態で表示される。
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演出もちゃんと見られない、さりとて他のプレイヤーはゲーム場面が見辛すぎてそんな猶予を与えられてもろくに活かせないと、この仕様に関してはあまり良いと言える点がない。
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演出自体はそれほど悪いものではないため、この点はとにかく惜しい。
 
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キャラの選出
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ホムンクルスのキャラはいろいろと揃っているが、余ってしまうからという理由からか、人気の高いキャラであるエンヴィーが未出演。
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一応ストーリーで少しだけ出てくるが、それならせめてプレイアブルキャラにして欲しかったものである。
 
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ウィンリィはプレイアブルキャラになったことで台詞こそかなり増えたものの、そもそも戦闘向けでないキャラを出すことに疑問の声があったのも事実。
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台詞があっても、ウィンリィがメインとなるシナリオでは、主人公のエドとの掛け合いには色気があまりなく、そういう掛け合いを期待していたプレイヤーとしてはややガッカリなところも。
 
 
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戦闘が本職でないキャラが国家錬金術師より個性や火力が強い場合が多い
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射程限界のないナイフを次々と投げられるヒューズ中佐、相手を吹き飛ばして距離をとりやすいなど自衛力に長けるホークアイ中尉、体力は最低級だが爆弾で一気に相手の体力を持っていけるウィンリィなど、錬金術を使わないキャラのほうが強烈な個性を与えられがち。
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マスタングのいわゆる無能設定による制限は、ステージによっては地味に立ち回りを制限されるため、意外とやりづらかったりする。それでも通常時は原作と同じく炎を爆発させるため強烈なキャラではあるが。
 
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ボリューム不足
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一部のキャラは対戦でこそ使えるもの、シナリオではメインのシナリオモードが存在しない。
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しかも隠しシナリオの一部は既存キャラの組み合わせ変えなことが多く、それなら隠しキャラメインのシナリオがやりたかったと思わずにはいられない。
 
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CPUが役立たず
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敵として登場してくるとこのうえなく厄介であるが、1Pプレイでは指示こそ出来るが攻略上邪魔になりがち。
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攻めの指示を出せば、CPU自身が繰り出す攻撃より敵の反撃を多くもらうため、基本は「逃げろ」と指示しないと無駄死されて理不尽な敗北を喫する。
 
総評
キャラゲーとしては面白い部分が多いものの、普通のゲームとして見るといろいろと穴が見える作品。
ゲームとしての完成度はお察しだが、アニメのギャグ回に特化した作品として見れば普通にファンアイテムとしては優秀である。
ただ、このコンセプトは好評ではなかったのか、その後本作と同じ方向性のハガレンゲームが出ることはなかった。
そのため、本作は鋼の錬金術師のキャラゲーとしてはかなりの異端児であると言える。もっとも、その異端ぶりのおかげで普段使えないキャラを使えるようになったのだが。
最終更新:2022年02月04日 03:04