スタースピーダー
【すたーすぴーだー】
ジャンル
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レース
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対応機種
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スーパーカセットビジョン
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発売元・開発元
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エポック社
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メディア
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256KBit+64KBitROMカートリッジ
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発売日
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1985年秋
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定価
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4,800円
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判定
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良作
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ポイント
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ハードの長所を最大限生かした内容
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概要
カセットビジョンの後継機として1984年にエポック社が発売したゲーム機、スーパーカセットビジョンの擬似3Dレースゲーム。
それ以前の代表的な擬似3Dのレースゲームとは異なった特徴を持つ。
当時のキャッチコピーは「
ジェットコースター感覚!!スタースピーダー
」であり、コースターを意識したアップダウンやバンクカーブ、宙返りと言った当時画期的なコースレイアウトを取り入れていた。
アイデア、スピード感ともに特筆ものであるが既にスーパーカセットビジョンの敗色が濃くなった時期の発売であり、初期タイトルの「アストロウォーズⅡ」や「エレベーターファイト」と比較して雑誌広告の量も非常に少なく、発売当時から知名度が低かった。現在でもマイナーな作品である。
特徴
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一般的なレースゲームのようにサーキットや道路上を走るのではなく宇宙空間を走り回る(飛び回る)。
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文字だけだと説明しにくいが、宇宙空間に青い横長のスプライト(両端に縁石がついており、バトンのような形状)が多数並んだコース上を走行する。ジェットコースターのようなループやカーブで斜めに傾くバンクの演出がある。
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これにより当時としては画期的な高低差の概念を表現しており、ファミコンの「ハイウェイスター」より2年近く早い。
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(展開) そのグラフィックは文字で説明するより、実際に見た方が分かりやすい。
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この動画はエミュレータでプレイしたと思われる。またフレームレートの都合上かコースの流れがカクカクしているが、実機ではもっと滑らかに流れる。 少々見づらいがコースの流れが滑らかでこちらは実機と思われる。
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ゲームシステムは自機のみでスタートし、あらかじめ走行している敵機を追い越しながら決められたタイムを満たせば次に進める、というもの。
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自機はハイパージェットと呼ばれる加速ができ、瞬時に最高速度に到達できる。またフェザー砲により敵機をコース外に弾き飛ばすというシューティングの要素も持つ。
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この2つを使うとパワーが減り、尽きると使えなくなる。
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コースは全部で16個あり、それぞれ4個ずつ1まとまりの4つの難易度に分かれている。
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難易度によって敵機がフェザー砲を撃ち返したり、当たると減速する障害物が出現する。
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同時発売の「熱血カンフーロード」と共に音声合成を売りにしていた。音が貧弱なSCVとしては驚くほどクリアだが、4ヶ月ほど前にスパルタンXが発売されており大きなインパクトは無かった。
評価点
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綺麗でスピード感あふれるグラフィック。
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漆黒の宇宙空間で青いスプライトのコースの上を走る様は、SF要素が感じられ美しい。背景が真っ黒ということもあり、コースや背景の星はベクタースキャンを彷彿させる。
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横長のスプライトが並んでいるため、スプライト同士の隙間からコースの向こう側が見えるという、普通のレースゲームには見られない演出がある。
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アップダウンが連続する箇所では特に効果的であり、まさにジェットコースターのような臨場感がある。
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当時、他の擬似3Dレースゲームが、センターラインやコース横の看板等を奥から手前に流す、といった演出でスピード感を出していたのに対し、コースそのものが流れるといった演出のため、他と比べてスピード感がある。
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スーパーカセットビジョンは、スプライトの表示能力が高い代わりに背景の表示能力が低いため、背景を黒一色にすることでそれを補っているのかもしれない。色数の面でも不利なハードであるが、欠点を上手く隠している。
問題点
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フェザー砲が当てにくい。
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直線ならまだ当てやすいが、カーブだと当たるだろうと思って撃ってもギリギリのところで当たらないなど顕著。
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ループの演出が今一つ。
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ジェットコースターでおなじみの一回転のループがあるのだが、ゲーム中では坂を上るか下っているようにしか見えない。説明書にコースの図が載っているのだが、それを見ないと到底ループだとは気付かない。
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コースの向こう側が見えるという演出はループ時のものであり、無駄になったわけではない。
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一応ループに対応して背景の星の動きが変わるので頑張ればそう見えなくもないが、コース2のハート型に入り組んだ複雑なループ構造の「ムーンサルトスクランブル」に関しては今どこを走っているのか全く分からない出来。
総評
他機種と比べて、スーパーカセットビジョン唯一のアドバンテージである、スプライトの表示能力の高さを生かした作品といえる。
2014年にファミコンとSG-1000から1年遅れで30周年を迎えたにもかかわらず、ロクにメディアで祝ってもらえないというスーパーカセットビジョン自体かなりマイナーなハードであるが、このまま影に埋もれてしまうには惜しい作品である。
インターネットの普及で再評価されたゲームは多数存在するが、本作は当時の動画サイトに流通していたプレイ動画の多くがカクカクした動きであり、今ひとつ魅力が伝わらなかった事も一因で長らく埋もれてしまった。
最終更新:2024年05月08日 00:47