ドラゴンボールZ 超武闘伝3
【どらごんぼーるぜっと すーぱーぶとうでんすりー】
| ジャンル | 対戦格闘 |  | 
| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| メディア | 16MbitROMカートリッジ | 
| 発売元 | バンダイ | 
| 開発元 | トーセ | 
| 発売日 | 1994年9月29日 | 
| 定価 | 9,800円(税別) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 細かな点が前作から改善 超サイヤ人のバーゲンセール
 まさかの「武闘伝」モード削除
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| ドラゴンボールシリーズ | 
 
概要
人気アニメ『ドラゴンボールZ』の対戦格闘ゲーム。
好評だった『ドラゴンボールZ 超武闘伝2』の続編。
前作をよりブラッシュアップし、キャラクターを魔人ブウ編のものに差し替えたもので、システムのベースも前作のものを流用している。
基本的には前作のマイナーチェンジであり、共通する箇所が多い為、特徴は前作『2』(上記リンク)を参照。
キャラクター
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孫悟空
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ベジータ(凶戦士)
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孫悟飯(青年)
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孫悟天
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トランクス(少年)
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人造人間18号
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界王神
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ダーブラ
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魔人ブウ
前作からの主な変更点
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全体的なテンポアップ
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気を溜める速度の上昇、デモ技時の溜め時間の減少でプレイのテンポがアップした。
 
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舞空術の仕様変更
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『2』まではある程度キャラ間が離れて、デュアルスクリーンにならなければ舞空術が出来なかったが、本作では制限がなくなり、同じ画面内にいても舞空術が出来るようになった。
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ジャンプ・攻撃・ガード・のけぞり・デモ必殺技演出中はさすがに使用不可。また、本作では舞空術が使えない特殊なステージ「バビディ宇宙船」も登場している。
 
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デモ必殺技の仕様変更
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デモ必殺技の撃ち合いで敗北してももう一度、防御コマンド(弾く、かき消す、撃ち返す)をする事が可能になった。ただし撃ち返しは最大3回まで。
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デモ必殺技の動作中はエネルギーの自然回復が止まるようになり、マイナス分になったエネルギーを打ち消すことができなくなった。
 
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デモ必殺技を同じ高度で接近して入力した場合、発生の遅い高威力の飛び道具技に変化するのは前作と同様だが、前作より目に見えて発生までの時間が短縮されている。この変更で、至近距離からいきなりかめはめ波などで不意打ちする戦法が取りやすくなった。
 
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ジャンプ攻撃の攻撃判定持続時間が大幅に伸び、基本的に一度出したら着地まで持続するようになった。
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前作ではジャンプ攻撃は持続が短い代わり、着地まで連続で出せる仕様だった。
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Vジャンプのムックでは、意図的に強化したとの記述がある。
 
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ハメ防止
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空中で下段ガードが出来ない事から、『2』では下段攻撃ハメ(トランクスの「超スライディングキック」等)が猛威を振るったため、基本的に空中では下段攻撃は出来なくなった。エネルギー斬(下段攻撃)も地上に落下するようになった。
 
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エネルギー弾が敵を認知しなくなった
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『2』までは地上から空中にいる場合等、相手に向かってエネルギー弾を撃っていたが、本作では自分の高さに発射するだけである。
 
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突進技の速度低下
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突進技の速度がかなりゆっくりになり、対処しやすくなった。『2』で猛威を振るった悟空の「激烈連脚」が顕著。
 
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組み合いの追加
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キャラ同士がダッシュでぶつかると組み合いが始まる。コマンドを入れる事で組み合い専用の投げ技を使用できる。
 
評価点
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グラフィック
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『2』よりもキャラクターに悟空の髪などにはより陰影がつき、若干描き込まれている。基本は前作と同じく東映動画のアニメーターが作画を描き起こし、それを取り込んで制作されている。
 
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メテオ技に関しても、前作は汎用モーションの組み合わせが多かったが、悟空の瞬間移動、ダーブラの剣撃、と言った専用のモーションをもったキャラの割合が多少増加している。
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〆も「上空に叩き上げ、叩き落とし、吹き飛ばし」…という動作ではなく、「ラッシュでフラフラにしてからエネルギー弾で吹き飛ばす」という演出の変化も見られる。
 
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BGM
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過去の超武闘伝シリーズ同様、本作でもBGMの質が良く評価されている。
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本作を代表するBGMとしては、後期DBの華やかさを感じさせる「孫悟天~トランクス(孫悟天のテーマ)」が真っ先にあがるだろうか。また、力強さを感じさせる「『悟空』と『ベジータ』のメドレー」、恐怖要素を前面に打ち出した「魔人ブウ(魔人ブウのテーマ)」も印象に残る。
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隠しキャラの「『青年トランクス』のテーマ」は『2』のトランクスのテーマのアレンジとなっており、引き続き評価が高い。
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後の作品でも本作のBGMのアレンジが採用されている場合がある。『ドラゴンボールZ Ultimate Battle 22』では本作のBGMがベジータと悟空のBGMとして採用されており、キャラの雰囲気にもマッチしている。
 
 
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バランスの調整により改善された箇所
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しゃがめない(下段攻撃が一切ガードできない)故に対戦には不向きだった「海上」ステージが削除。
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前作のデモ技は派手だったが少し間が長かったために迫力を損なわずにテンポアップした点は改善といえる。
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撃ち合いに負けても、もう一度挑めるといった展開を熱くする要素。
 
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スラッシュダウンキックなど『1』の技が復活した。
 
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細かなシステム面の改善
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CPと対戦するモードにおいて、前作では対戦相手がランダムに決定されていた、手動で相手を選べるようになった。
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CP同士の対戦を見る観戦モードでも、1Pコントローラーだけで観戦できるようになった。前作では2Pでないと対戦相手側を決められなかった。
 
賛否両論点
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前作までと比べて全体的にステージが狭くなった。
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超武闘伝シリーズではフィールドの横幅が広いステージと狭いステージに分かれていたが、本作では全て狭いステージに統一された。前作までの広大なフィールドを駆け回る感覚が失われたと見るか、画面が狭くなって敵を追いかけやすくなったと見るかは人によって見解が分かれるだろう。
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またこの変更により、前作よりデモ必殺技への防御コマンドを入力するまでの時間が短くなりやすくなった。デモ必殺技を撃たれるのに慣れていない初心者にはやや厳しい。
 
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デモ必殺技の演出劣化
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デモ必殺技の発動時の気の解放演出が前作では大きく激しい専用の物を使用していたのに、今作では気を溜めるエフェクトで流用されている為デモ必殺技の迫力は大幅になくなっている。
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また、デモ技のエフェクトも前作よりも減少した。前作で言う、ピッコロの螺旋状の光線(魔貫光殺砲)やザンギャのイナズマ状の光線が今作にはないため、バラエティに欠ける。
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とはいえ、実は『超武闘伝』→『超武闘伝2』でもデモ必殺技の際に画面全体が揺れる演出がオミットされてるので、演出面を削ってテンポを良く、動きを軽くしているともとれる。
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さらに撃ち合いの演出面も劣化している。前作は気功波や光弾がぶつかる直前のグラフィックがちゃんとよういされ、ぶつかり合って気功波がはじけあうようになる。今作はもうはじめからぶつかっている。そのぶつかったグラフィックまでも簡素化したものに置き換えられていた。
 
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メテオ技の演出
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評価点でもあるメテオ演出の変化だが、ステージが狭くなったこともあって前作のように地上と空中を縦横無尽に駆け回り最後に大きく吹っ飛ばすようなアニメや原作を彷彿とさせる爽快感を感じる演出を持つメテオは一つもなくなってしまった。
 
問題点
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所謂ストーリーモードである「武闘伝」モードの削除
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発売時期の関係上ストーリーモードが存在せず、ゲームモードは対戦モード、天下一武道会のみであり、天下一武道会を優勝するとエンディングを迎える。
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『2』でも原作のエピソードはセルゲームしか無かったが、セルゲームの後は当時の映画を交えたオリジナルストーリーでフォローしていた。
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本作発売時はブウ編の途中である他、映画キャラを使うにしても前作のブロリーぐらいしか登場できず結果的にストーリーが用意できなかったと思われる。
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とは言え、ストーリーモードの項目その物がごっそり無くなり、それに代わるモードが用意されていない為、単純なボリュームダウンであり、1人で遊ぶには特に厳しいだろう。
 
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舞空術の仕様変更により、接近戦を挑むことが困難になった
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舞空術での移動中は完全無敵になる仕様のまま、立ち状態ならどこでも使えるようにしてしまったため、エネルギー弾を放たれたり、接近戦を挑まれてもXボタンを押せば舞空術で簡単に逃げられるようになり、駆け引き要素が薄くなった。前作はエネルギー弾を避けられないよう近くに接近するという駆け引きがあったが、この仕様変更により失われてしまった。接近戦重視で対戦をするなら、舞空術を自重した方がいいほど。
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バビディ宇宙船ステージでは舞空術が使えないため、接近戦を存分に楽しみたいならこのステージが最適。だが天下一武道会モードでは選択不可。
 
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キャラクターの偏り
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10人登場するキャラのほとんどが超サイヤ人(悟空、悟飯、悟天、トランクス、ベジータ)で埋め尽くされている。プレイヤーセレクトの上半分を超サイヤ人が埋め尽くす様はまさに、超サイヤ人のバーゲンセール。
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単純な敵キャラは魔人ブウ(善)とダーブラしかいない。その他には界王神と18号と、原作であまり活躍していなかったマイナーなキャラばかりで埋められている。
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前2作のストーリーモードでプレイアブルキャラだったピッコロのリストラを惜しむ声も多い。『HYPER DIMENSION』では復活している。
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18号に関しては本作唯一の女性キャラであり、原作でも天下一武道会にて戦闘描写がある。
 他にブウ編で戦闘描写のある女性キャラでは他にビーデルがいるが、彼女は舞空術こそ使えるものの、気を用いた遠距離攻撃手段が無いため、本作の参戦基準に満たせなかった事情もある。
 ピッコロに関しては魔人ブウ編では戦闘シーンが殆どない上、戦闘力も上述の界王神とは比べ物にならない程低いことを示唆するシーンが原作中にあるため、仕方ない面もある。
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尤も原作がまだ連載の途中であり、その後のキャラの扱いがどうなるのかは開発スタッフも予測できなかっただろう。当時の最先端のキャラクターを寄せ集めた結果、自然とこのような人選になってしまったのだろう。原作終了後に振り替えると、これらのキャラクターが正式参戦しているのがかえって珍しくなった。
 
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界王神に関しては当時でも殆ど戦闘シーンが無かったため、本作オリジナルの必殺技で構成されており、後発のドラゴンボールのゲームで本作で使用した技は殆ど使用していない。
 
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ステージの激減
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ステージの範囲が軒並み狭くなっただけではなく前作までとくらべて圧倒的に減ったステージ。お約束の部舞台を除くと荒野と雲と宇宙船くらいしかない。そのうえ、すべて前作より狭いステージしかない。あまりにも少なく、ステージを使ったギミック(岩にあたる、地面にたたきつけられる、武舞台に穴が空くなど・・)もない。
 
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BGMの激減。
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バトルに使用されている曲はたったの6曲しかない。前作までと違い、各キャラ用にテーマ曲が用意されているわけではなく使いまわしが多い。そもそも今作はストーリーモードも無いので今作全体に使用されている曲はドラゴンボールのゲームシリーズにおいても、相当に少ない。
 
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隠しキャラ
    
    
        | + | ネタバレ注意 | 
それまでのシリーズにはサプライズとして強力な隠しキャラ(『1』ではPセルや超サイヤ人キャラ、『2』では悟空、ブロリー)が登場していたが、本作では魔人ブウ編とは関係のない上、前作に登場していた未来トランクス(現代トランクスとの区別のため、表記はTRUNKS)であり、ただでさえ多い超サイヤ人がまた一人増えてしまう事態になった。
天下一武道会関連であれど出番のある18号と異なり、未来トランクスはブウ編では一切出番が無いため、選出基準に余計疑問を抱く。18号と台詞の掛け合いはあるものの、セル編時代の悪い人格な18号の台詞であるため余計に違和感が強い。
モーションと技も基本的に前作の流用なので、目新しさは少なく(メテオ技や一部の必殺技の変更はあるが)、シリーズ恒例の隠しキャラとしては手抜き感が否めない。
 
もう少し開発時期が遅く制作されていれば超サイヤ人3孫悟空が登場し、隠しキャラに相応しかったために非常に惜しまれる。
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お遊び要素が大幅に減少
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前作にあった隠し勝利メッセージ、ミニキャラモード、降参、追跡エネルギー弾での自爆と言った小ネタが大幅に減ってしまっている。ただでさえ本編がボリューム不足なのに追い打ちをかけている。
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なお、ゲームスピードが上昇するターボモードは前作から続投している。また、隠しコマンドで攻撃力や防御力をパワーアップできるという裏技が追加された。
 
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掛け合いの激減
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『2』では対戦前に全てのキャラクター同士で専用のメッセージが用意されていたが、本作ではほぼ一部を除いて汎用である。
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『2』がこだわり過ぎている部分もあるが、「ベジータVSブウ」や「悟空VS悟天」といった何かありそうな組み合わせでも
 汎用メッセージの一言で終わってしまうため味気ない。キャラゲーである以上、もう少しこだわって欲しかった所。
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ただ特殊な組み合わせの場合、戦闘後のメッセージも専用のものになる前作には無い要素は存在する。
 
 
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声質や演技的にも違和感がある。
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悟飯の声が悟空の使い回し。アニメではしっかり演じ分けしていた。
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ベジータの声が「ホアッ↑」といった具合にやたらと甲高くなっている。こちらもアニメではそんな声は出していなかった。
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ベジータの声は単に声優の演技の話だから仕方ないにせよ、悟空と悟飯の声を使い回しは手抜き感・違和感が凄まじい。
 
 
総評
ブラッシュアップされた部分は良い方向にも悪い方向にも作用しており、単純な評価点として見る事が出来ず、それ以上に前作から変わり映えしない部分が目立ち、典型的な前作を超えられない作品になってしまった。
多くのプレイヤーからの印象は「キャラを一部変更し、ストーリーモードを丸々削って対戦しか出来なくなった『2』」といったところで、前作を遊んだ人ほど飽きが来るのが早かった。
ただ問題点の多くは販売時期のストーリー(ブウ編の天下一武道会『だけ』)に起因する物が多い。良作だった前作を踏襲している分、ゲーム単体としての完成度は高く、BGMやグラフィックも依然として高い水準を誇っている為、対戦専用ゲームと割り切れば十分に楽しめる。
ただ、ストーリーを入れない判断が仕方なかったにせよ代わりとなる物は無いうえに、ボイスを使いまわす、ステージを減らす、ステージを狭くする、BGMを減らす、演出グラフィックを減らすなど、手抜きしていると思われても仕方ないことをしているのでファンからはそういう部分で残念な印象を持たれた作品となってしまっている。
その後の展開
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SFCのドラゴンボールの格ゲーとして『ドラゴンボールZ HYPER DIMENSION』が発売された。
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こちらは超武闘伝シリーズとの関係は薄く、システムやグラフィックが刷新され、キャラクターの技を受け継いだ新しい作品となっている。
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ガードキャンセル、空中コンボ、小ジャンプ、ライン移動攻撃などシステムが充実しており、格闘ゲームとしての完成度は高い。
 
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ストーリーも、フリーザから魔人ブウ(純粋)までをカバーしており、本作で感じる不満点は解消されているといえよう。
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ただし、SFCの末期だった為か、知名度は低く、売上も約20万本程度とマイナーな作品になってしまった。
 
 
余談
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販売時期のストーリーのために割りを食ったという意味では『烈戦人造人間』に通じる部分がある。
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攻略本と実際のゲーム画面ではキャラ選択画面の悟空の顔が異なっている。本ではにやけた表情になっていたがゲームでは真剣な表情に描き変えられている。
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没データの中に18号のメテオ技に使われる予定だったと思われる専用モーションが残っている。なお界王神もメテオ技を持っていないが、こちらにはそれらしき没モーションはない。
最終更新:2024年06月29日 18:51