注意:このページではPSP『不思議の国の冒険酒場ポータブル』と、その3DS移植版『不思議の国の冒険酒場』(共に良作)を併せて紹介する。
不思議の国の冒険酒場ポータブル (PSP)
【ふしぎのくにのぼうけんさかば ぽーたぶる】
不思議の国の冒険酒場 (3DS)
【ふしぎのくにのぼうけんさかば】
| ジャンル | 酒場経営RPG | ※PSP版
 | ※3DS版
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| 対応機種 | プレイステーション・ポータブル ニンテンドー3DS
 Nintendo Switch
 プレイステーション5
 プレイステーション4
 Windows(Steam)
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| メディア | ダウンロード専売ソフト | 
| 発売元 | ライドオンジャパン | 
| 開発元 | ライドオン・インコーポレイテッド | 
| 発売日 | 【PSP】2011年7月12日 【3DS】2014年6月25日
 【Switch】2023年12月21日
 【PS5/PS4】2024年2月14日
 【Win】2024年5月9日
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| 定価 | 【PSP/3DS】600円 【Switch/PS5/PS4/Win】1,500円
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| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 戦闘や採取で食材ゲット! 料理を食べてレベルアップ! 食材の組み合わせを推理すればレシピいらず
 シナリオ:吉池真一(初代アトリエシリーズ担当)
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| 不思議の国/冒険酒場シリーズ 不思議の国の冒険酒場 / 不思議の国のラビリンス/マレニア国の冒険酒場
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概要店
 『不思議の国シリーズ』として携帯アプリで展開していた『不思議の国の冒険酒場』『不思議の国の酒場2』をベースとしたスマホアプリ『不思議の国の冒険酒場』のPSP移植版。
 採取に赴いたり新たな街で様々な食材を購入することで、レシピを増やしていく。端的にいえば、『アトリエシリーズ』の料理版といったところ。とくに初代の『ザールブルグシリーズ』を連想させる。それもそのはず、シナリオ担当は初代アトリエシリーズを担当していた吉池真一。
 「王国一の酒場を目指す酒場経営RPG」という名目で、酒場の営業時間も夜ではあるが、開発できるレシピはスイーツ等も充実しており、メニューは酒場というよりレストランに近い。
システム店
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食事
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戦闘を重ねることでレベルアップをするのではなく、料理を食べることでレベルアップする。
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同様に食事でステータスUpするゲームとしては『ダンジョンメーカー』などもあるが、『ダンジョンメーカー』にはレベルの概念がない。本作では、料理に経験値が振られていて、経験値が規定値に達するとレベルアップする。
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料理とは違うが日本ファルコムのゲーム「ツヴァイ!!」は食べ物を食べることでレベルアップする。こちらも敵を倒しても一切強くならない。
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但し、食事だけではスキルが習得できない(後述)。
 
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各キャラクターには満腹度が設定されており、一日で食べられる料理の量は決まっている。
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基本的に肉などの主食料理は取得経験値が高い代わりに満腹度が上がりやすく、デザートやジュースは満腹度の上昇が緩やかな代わりに取得経験値が低い傾向にある。
 
 
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調理
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食材を調達する必要がある。下記の方法で入手する。
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お店で買う。
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ダンジョンで拾う。
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畑で育ててもらう。
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釣りポイントで釣りをする。
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お城の料理コンテストの賞品。
 
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また、食材があっても、「フライパン」「オーブン」などの「ツール」がないと調理できないレシピがある。
 「ツール」はお店で買うか、お城の料理コンテストの賞品で手に入る。
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調理はお店のかまどの前でのみ行える。
 
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レシピ開発
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料理を作るには、食材の組み合わせを知っておく必要がある。それが記されているのがレシピ。下記の方法で入手する。
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お店で買う。
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街の人に話しかけてヒントレシピを得る。あくまでヒントなので、使用する食材を類推する必要がある。
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ダンジョンの宝箱から得る。
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「オリジナル調理」により、レシピを持っていない料理をノーヒントで作る。料理が作成できた場合、レシピ一覧にその料理が登録される。
 
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最後の方法を使うと、攻略サイトなどで食材の組み合わせがわかればゲーム内でレシピを手に入れられなくても新しいレシピが作れる。
 
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お店開店
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料理を調理して、メニューに登録したのち「開店」すると料理が売れてゆく。
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料理にはそれぞれ人気度が設定されており、長期間同じメニューが続くと飽きられて人気が落ちて行き、売れ行きが悪くなる。
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ゲーム内時間の季節によって、売れ筋の料理がある。
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特定のメニューの組み合わせによる「コンボ」で売上が伸びる。
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店全体の来客数や客の懐具合は「店ランク」に左右される。
 
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店ランク
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お店の累計売上もしくは、お城の料理コンテストの結果により「店ランク」が上昇する。
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お城の料理コンテストは10の倍数の日付の日に行われる。
 
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店ランクが上昇することでワールドマップで行ける行き先が増えたり、イベントが進行したりする。
 
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ダンジョン探索
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ワールドマップからダンジョンまたは、よその村に移動すると1日経過する。
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ダンジョンに行くと食材が落ちている。
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小麦やライスは紙袋詰で、牛乳はビン詰で落ちている。
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森ではキノコが拾いやすいなど、ダンジョンごとに落ちている食材に偏りがある。
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特定の季節だけ落ちている物もある。
 
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モンスターとエンカウントすると戦闘となる。
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モンスターを倒すと食材が得られることがある。
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戦闘中にモンスターからレアアイテムを盗む事も可能。
 
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モンスターとの戦闘に勝っても経験値は得られないが、倒したモンスターによっては属性ポイントが得られる。
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属性ポイントが貯まると、その属性のスキルが使えるようになる。
 このため、ただただ食べてレベルアップするだけではスキルが習得できず、バランスが悪くなる。
 
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ダンジョンにはボスがいる場合がある。この場合、ボスを倒さないとストーリーが進展しない。
 
評価店
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経営要素
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ゲーム開始直後にそれなりの所持金があり、何にお金をつぎ込むかが問われる。
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装備を強化するのか、ツールを購入してお店の設備を拡充するのか、食材を購入するのか、レシピを購入するのか。
 
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ダンジョンで手に入るのは食材のみ。調理してお店に出して、お客さんが注文しなければお金は手にはいらない。
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食材をそのまま町の店に売ることも出来るが二束三文である。
 
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シナリオは店ランクと連動しており、店の発展と共にストーリーも進んでいく。
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お客を飽きさせないように、お城のコンテストで勝つために、新たなメニュー・食材を求めて東奔西走することになる。
 
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お金が足りなくなっても、井戸から水を汲んで売ることで無限にお金を稼げる。少額なので、あまりバランス崩壊にはならない。
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料理は食べると経験値になるが、食べて成長するか、お店に出すかの選択が悩ましいところ。また、料理によっては能力の一時的な強化や耐性を得る効果もある。
 
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ドット絵主体のグラフィック
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マップや歩行グラフィック、敵キャラクターなどはドット絵で描かれている。
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とても丁寧に描かれており、SFC時代を彷彿とさせる雰囲気となっている。
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戦闘においては味方と敵キャラクター共に、常にアニメーションする。
 
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ネタ要素満載の説明文
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食材や料理の説明文がパロディやネタが多く含まれており、笑いを感じさせる説明文が多い。
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ネタだけではなく、料理の説明文においしそうな表現が多く、プレイしていくうちにお腹が減ってしまうことも。
 
問題店
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不親切なヒント
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一部のヒントは非常に不親切で、総当たりか当て推量か、さもなくば攻略サイトを見ないかぎりまず分からない。
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例を挙げると『「フルーツポンチ」は果物3種とはちみつをボウルで混ぜると作成出来る』とヒントがもらえる。しかし、レシピ入手時点でもすでに7種の果物が入手可能で、そのうちどの3種を使用するのかのヒントは一切ない。このような例は他にもかなり多い。
 
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また、特定の料理を酒場に並べる事でボーナスが発生する「コンボ」は完全にノーヒント。
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ただし、アトリエシリーズと違って期日などは無いため、積極的にコンボを発生させて稼いでおきたくなる(プレイヤー心理として)ようなシステムではなく、純粋な「上乗せボーナス」なので、コンボを一切発生させなくても問題は無い。
 
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タマゴや肉など同じ素材でも何種類か用意されており、正しい素材じゃないと成功しない料理も見受けられる。
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例えば「かつ丼」はガルーダエッグというタマゴを使うのが正解なのだが、普通のタマゴで作ろうとすると失敗になってしまう。かつ丼のレシピが中盤でもらえるが、タマゴを選択しても作れないため、おかしいと思ったプレイヤーは多いだろう。
 
 
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一部料理について
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寿司にはさびありとなしの二種類があり、それぞれ別の料理扱いではあるのだが、そのうちコンボに影響するのは「さびあり」のみ。
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同じくポトフやチャウダー、紅茶やコーヒーにも、通常と高級の二種類があるが、使う水が違うだけで別の料理扱いとなっている。こちらもコンボに影響するのは「通常」のみ。
 
 
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街の人のセリフがランダム
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街の人との会話からヒントレシピを得ることが出来るのだが、セリフがランダムなので運が悪いと数回話しかける必要があり、最悪、ヒントが入手出来ることに気づかないこともある。
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アルフィネの一部イベントは、図書館にいる時でないと進行しないものがある。
 
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シナリオ進行のテンポが悪い
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基本的に店ランクを上げないとシナリオが進行せず、新しいマップやダンジョンが出現しない。しかし、店ランクを上げるためのコンテストは10日に一回しか行われない上、上位ランクになると1回のコンテストでは昇格出来ない。
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よって、ゲーム中の日付の大半は「すでにクリアした、イベントも発生しないダンジョンに通い、既知の食材を集めて料理をして売り出す」と言う作業を強いられる事になる。
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この面倒な作業を行わないと経験値もお金も手に入らない。売上はコンテストと並んで店ランク上昇の条件であるため、絶対に無視出来ない。
 
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レベル上げがしづらい
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レベルを上げるためのEXPの入手は食べた料理に応じて増加するため、経験値が多くもらえる料理が作れない序盤はレベルが上げにくい。
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料理にはそれぞれ増加する満腹度が決められているため、効率よく上げるには「満腹度が99未満且つ、それに近い状態で、満腹度が高い料理を食べさせる」必要がある。
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満腹度は一日ごとにリセットされるが、下げるには胃薬を使うかキャベじるを飲ませる必要がある。
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キャベじるは唯一満腹度を下げる効果がある料理だが、満腹度が99の時は飲ませることができない。一度99になってしまったら胃薬でしか下げられないため面倒。
 
 
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ヒミツ図鑑のコンプリートが大変
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特にモンスター関連。全ての敵からアイテムを盗むスキルを使用し、アイテムを実際に盗まないと図鑑が完成しない。アイテムを持っていないモンスターにも使用し、盗めないことを確認する必要がある。
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そのため、アイテムを盗むスキルを所持しているフレッドかリーディアをパーティに入れることが必須となってくる。幸いどちらも有用な仲間で、シナリオ上としても稼ぎとしても使いやすい。
 
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シナリオ上で出現するボスモンスターに関しては、盗める機会を逃すとクリア後までお預けになる。そしてボスが再度出現するのは、エキストラダンジョンのボスラッシュモードのみ。目的のボス以外の全てのボスを相手しないといけないため、かなり面倒。
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低確率で出現するモンスターから、低確率で落とす装備品もある。スキルで止めを刺すとドロップ率を上げる「切り落とし」を使用しても落とさないことも多い。
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モンスターとレシピについてはコンプリートすると強力なアイテムが手に入るので、完全クリアにはよけて通れない。それ以外の項目はコンプリートしなくても特に影響はない。
 
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その他細かい問題点
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拠点であるBGM「首都マスハイム」が人によって飽きやすい。仕様上、ゲーム中で聞く機会が多いこともあるため、余計に感じる。
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持ち物から食材から作れる料理一覧を表示できるのに対し、料理を作る時のソート機能では食材から検索して料理を作る、ということができない。
 
3DS版の主な変更店
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絵柄の変更。
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ユーザーインターフェイス改善。
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イベント会話のシーンで表示されるキャラクターグラフィックに、表情差分を追加。
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主人公シーラを外すことが可能になり、自由なパーティ編成が可能に。
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一部レシピ名の変更。
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酒場で売る料理の価格を全般的に調整。
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料理の取得経験値と満腹度を全般的に調整。
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酒場の調理場にて新しく獲得したヒントレシピの一覧を表示。
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キャラクターのパラメータやスキルの威力など、戦闘バランスを調整。
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装備可能なアイテムや習得可能スキルを一部変更。
総評店
RPG部分については、ダンジョンはそれほど深くなく、戦闘のシステムも普通のターン制で難易度はさほど高くない。気軽に楽しめる。
一方のお店経営では、メニューが飽きられるというシステムが効いており、新しいレシピ開発を迫られることとなる。このため、更に珍しい食材を捕りにダンジョンへと赴かなければならない。
食へのこだわりの罪深さを感じながら湧き上がる食欲にあらがいつつプレイしてみてはいかがだろうか。
その後の展開及びシリーズ作
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更にその後はシステム等を引き継いだ続編となる『マレニア国の冒険酒場 ~パティアと腹ペコの神~』も発売された。
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今作の姉妹シリーズとしては鍛冶屋がテーマの『不思議の国の鍛冶屋』シリーズが存在。こちらはタイトルにも料理ではなく武器や防具を作っていく内容。
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同シリーズは『マレニア国の冒険酒場』のシステムも元にしたリメイク作『砂の国の宮廷鍛冶屋』が据え置きハードにて発売されている。
 
最終更新:2024年08月17日 11:32