屋上の百合霊さん
【おくじょうのゆりれいさん】
| ジャンル | アドベンチャー |  
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| 対応機種 | Windows XP~8 | 
| 発売・開発元 | ライアーソフト | 
| 発売日 | 2012年3月30日 | 
| 定価 | 8,800円(税別) | 
| 廉価版 | 普及版:2014年4月25日/5,800円(税別) | 
| 配信 | 2015年6月19日/5,800円(税別) | 
| レーティング | アダルトゲーム | 
| 判定 | 良作 | 
| ライアーソフト作品 | 
 
概要
ライアーソフト30作目の節目となるゲーム。
女子高を舞台にしたオムニバス形式の百合作品。
ストーリー
城跡に建ち、“シロジョ” の愛称で親しまれる 商科九ツ星女子学園。
ある事情をきっかけに、静かな学園生活を送っていた無常少女
「遠見結奈」は、昼休みの屋上でふたりの幽霊と出会う。
戦前に事故死した「榎木サチ」と、30年前に病死した「永谷恵」。
百合な想いを抱えて死に、出会い、恋人となったふたりの百合霊。
彼女たちの切なる願いは、「悔い無く素晴らしい初体験」
……しかし、その仕方が分からない。
地縛霊ゆえに学園敷地から出られない百合霊たちは、
性知識の獲得と、秘めし恋に悩む乙女たちのため、
「学園内に百合カップルを増やす手伝い」 を結奈に持ちかける……。
(公式HPより)
特徴
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手帳(カレンダー)からエピソードを選ぶ形式
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読み進める画面は一般的なADV形式。
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最初は主人公である「遠見結奈」視点のメインエピソードのみ解禁されており、その月のメインエピソードを一通り読み終わると、カップルごとのエピソードが解禁される。
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その月にある一通りのエピソードを読み終えると翌月に進む事が出来るようになる。
 
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手帳にはCG閲覧項目やBGM視聴項目もあり、一般的なおまけ項目も内蔵された形になっている。
 
評価点
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青春群像劇としての出来の良さ
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先輩と後輩、教師と生徒、友人グループ内の友情と愛情、優等生と不良等カップルは様々。それぞれの出会いから付き合うまで、そして18禁シーンまでが丁寧に描かれている。
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中には物語開始時点で付き合って長いカップルも存在する。彼女たちの場合、百合カップルの先輩としての描写が主となる。
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結奈(第三者)視点と各カップル視点での両方の描写がある事で物語に深みを与えている。
 
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キャラ単体でも魅力的なキャラが多い。
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睦月たたらの文章もテンポよく読み進めやすいバランスの良い文章になっている。
 
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主にライト層へと向けられた作り
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主人公が女性であるが、基本的に一歩引いたところで各カップルを見ていく形になっている為、男性プレイヤーでも物語を読み進めやすくなっている。
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全体的に非常にさわやかな作風になっている為、単純な学園ものとしても人を選びにくい。
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舞台が舞台なので登場人物すべてが普通の女子高生や一般人であり、重たいバックボーンを持っている者はいない
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また百合作品にありがちな悲恋や死別といった胃袋に来るような重たい展開もなく、最初から最後まで爽やかな雰囲気の文章である。
 
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舞台設定も雰囲気づくりに一役買っている。
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城跡に建てられた和風な建物で、一般的な学校の雰囲気と独特な和風の雰囲気がうまく合わさっている。
 
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作風に合った絵柄
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原画はぺぐ。本作のさわやかな青春群像劇の空気にも合っている。
 
賛否両論点
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18禁シーン
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心理描写メインであり、エロさはあまり感じられない。
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本作があくまで多様なカップルの恋愛模様を描く作品なのでこれで良いという声も多いが、やはり18禁ゲームとしてみると少々残念な声もある。
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最初のエロシーンまで爽やかな場面が続くため、百合霊さんたちのエッチのご報告を聞いたとき、主人公と一緒にプレイヤーまで
「そういえばこういうゲームだった」
と思い出す程。
 
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ズバリという18禁CGがない。
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局部のアップといったモザイクを必要とするCGは一枚もなく、また少しずつ18禁シーンの内容が掘り下げられていくようなスタイルのため、序盤の方ではもやっとする終わり方のシーンが多い。
 
 
問題点
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パートボイスである事
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ライアーソフトのいつも通りとはいえ、やはり今の時代にフルボイスではなくパートボイスであるのは残念。
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ただし、大事な場面ではきちんと声が入っているので、重要な場面で声がないといった事はない。
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一度告白を断られてから、諦めず再アタックして結ばれるキャラがいるのだが、この二度目の告白がボイスなし。のちのフルボイス版で全シナリオを解放すると聞けるおまけボイスでは、担当声優が「ちゃんと告白できてよかった」とコメントしている。
 
 
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一人(阿野藤)だけ恋愛要素に一切絡まない。
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いわゆる主人公の親友ポジションのキャラなのだが、作中の登場人物が何かしら恋愛に絡む中、一人だけサブキャラに徹してしまっている。
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他のキャラ同様キャラ人気はあり、阿野ルート追加を望む声も多い。
 
 
総評
百合を題材にした青春群像劇として非常に丁寧に作られた作品。
18禁の百合ものとして期待すると拍子抜けする事もあるが、様々なカップルの関係を重くなり過ぎず軽くもなり過ぎずバランスよく描いている。
BGMも出来が良く、爽やかな学園物ADVとしての評価も高い。
その後の展開
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人気のおかげかライアーソフトの単独作品としては珍しく各種展開が続いた。
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2013年12月から2014年12月にかけて、その後を描いたドラマCD(全4弾)が発売された。
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それぞれキャラを絞っているが、最終的には全キャラ登場となった。
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最終巻は2枚組みでサントラも兼ねている。
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その内の一つ、阿野がメインとなる話では、阿野が皆とカップルのような事をするという、ある意味阿野ルートのような内容になっていた。
 
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2015年4月30日に、コミックスが2冊同時発売された。どちらも18禁要素のない一般書籍。
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どちらも未来のシロジョを舞台にしており、新キャラを主人公にしている。(本作の登場人物もサブキャラとして登場している。)
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伊藤ハチ『もうひとつのユリトピア』は本編翌年が舞台。
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文尾文『仲良しクイズ』は本編3年後が舞台。
 
 
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制作側のファンサービスも多く、同人誌が春夏秋冬四冊非公式ファンブックとして発売されている。
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人気投票では投票者たちのコメントに対して感想が付け加えられたり、関係者のツイッター等で小ネタや裏設定の配信なども行われた。
 
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海外版がSteamで「Kindred Spirits on the Roof」として表現修正なしで2016年2月13日に配信開始。3,980円。
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日本国内からでも購入できるが、UIと字幕は英語のみなので注意。
 
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2018年1月26日にフルボイス化したリメイク作『屋上の百合霊さん フルコーラス』が発売された。
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2021年5月7日に定額ゲームプラットフォーム「OOParts」で配信開始。PCだけでなくスマートフォンにも対応している。
 
余談
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作中のカレンダーは発売年(2012年)の物が使用されている。
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18禁ゲームにもかかわらずいやらしさのない爽やかな雰囲気や、モザイクのないCGなどにより18禁ゲームとは思えないため、本作より少し前に発売された某きら☆ふわ百合ゲームと比較に出されることが多々ある。
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ちなみに心理描写や人間関係メインなのは一緒だが、そちらは修羅場が非常に多いうえに話も重く、さらに本作よりなぜかエロい。ちなみに年齢指定なしである。
 
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恋愛描写のないキャラについての補足
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公式サイトのHPを見るとわかるのだが、主人公とくっつくヒロインポジションと阿野藤はともに「主人公のサポーター」という位置づけであった。
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そのためプレイヤーは最終的に主人公が最終的に誰とくっ付くのかわからず、また公開された体験版もどちらかといえば阿野との絡みも多く、ルート分岐を匂わせる選択肢(実際はおまけシナリオの条件解放のための選択肢)があったせいで「阿野にも恋愛ルートがある」と思ったプレイヤーが多数発生することとなった。
 
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余談だが他にも誰かと恋愛関係を持たないキャラクターに「三山音七」というキャラクターがいる。
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阿野と仲良しで絡みも多く、この2人がくっつくことを期待するプレイヤーもいた。
 
 
最終更新:2021年06月03日 13:43