バウンティハンターサラ ホーリーマウンテンの帝王
【ばうんてぃはんたーさら ほーりーまうんてんのていおう】
| ジャンル | サウンドノベル |  
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| 対応機種 | プレイステーション ドリームキャスト
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| 発売元 | カプコン | 
| 開発元 | ネクサスインターラクト フラグシップ
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| 発売日 | 2001年5月24日 | 
| 定価 | 5,800円(税別) | 
| セーブデータ | 【PS】1ブロック(セーブデータ3つ分) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 良くも悪くもステレオタイプの内容 実質続編予告の隠しシナリオ
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概要
カプコンからPS/DCで同時に発売されたサウンドノベルゲーム。
ハードボイルドアクションノベルを銘打ち、退廃的な近未来を舞台とした女性賞金稼ぎが主人公の物語。
ゲームプランナーは元アイレムの岡野修身氏、シナリオは『バイオハザード2』などと同じシナリオ集団「フラグシップ」が担当。
後者はゲームパッケージ裏でも記載され、大きなセールスポイントになっていた。
特徴
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メインキャラは、主人公・相棒の情報屋・依頼人の警察幹部・ターゲットであるマフィアのボス・謎の男性ハンターの5人。最初のシナリオは1本だが、1度クリアすると冒頭で新たに2本のシナリオを選択できるようになる。
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この3本のシナリオは、パラレルワールド的な関係になっている。何れも「主人公が警察幹部からマフィアのボス暗殺を依頼され、そこに謎のハンターが乱入する」という点だけは共通しているが、それ以外のストーリーの流れや、登場する脇役達はそれぞれまったく異なっている。
 
カウントダウン
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主に戦闘シーンに登場する、数秒の制限時間付きの選択肢。
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時間切れになると強制的に間違いの選択肢が選ばれ、大抵はゲームオーバーになり、選択肢の直前まで戻される。
 
ディテクティブタイム
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主人公が今後の行動方針について複数の選択肢により推理し、最後に鍵括弧付きの選択肢を選んで実行に移す。
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結果によってシナリオの展開が変化したり、ゲームオーバーでディテクティブタイムのやり直しになることもある。
 
バウンティハンターランク
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そのシナリオ全体でのゲームプレイを評価するスコア。最低はD、最大でS。
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加点・減点式で、カウントダウンで迅速に適切な選択を選ぶ、ディテクティブタイムで適切な行動を決定することで加点。ゲームオーバーになると減点。
 
キーワード
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文章中の青色で書かれた単語の解説を読む、『街』のTIPSのようなWikiなどにおける脚注的システム。L2ボタンで閲覧画面に移行する。
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固有の単語や人物の解説、架空の近未来が舞台ゆえの一般的な熟語の現実との相違の説明が中心。
 
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セーブは一部を除き常時可能。バックログは5ページまで。一度クリアしたシナリオは次の選択肢までのテキストスキップが可能。
評価点
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プロ作家集団が手掛けただけあって、シナリオは起承転結がしっかりしており、テキストのクオリティも標準以上。
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1シナリオのプレイ時間は2時間程度と長すぎず短すぎない塩梅。
 
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ハードボイルド・アクションノベルの名に恥じない演出。
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パッケージで800枚以上の美麗イラストと謳われている通り、CGスチルのクオリティは高い。
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その使われ方もアクション映画を意識したようなエフェクト混じりの連続した動きのあるものや漫画のコマ割りを意識したものになっている。
 
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文章表示もCGスチルのレイアウトを考慮したり、漫画の吹き出しを意識したような配置になっている。
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ハイテンポなジャズミュージック風のBGMのクオリティも高く、本作の物語にマッチしている。
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作曲は音楽制作会社のピュアサウンドとTWO-FIVEの多数の作曲家陣によるもの。
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3つのシナリオ全てをクリアすることでサウンドルームが解放され、自由にBGMを聞くことができる。
 
 
賛否両論点
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シナリオの内容自体は良くも悪くもハードボイルドもののステレオタイプで古臭さが否めなく、展開の意外性にも乏しい。
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ゲームシステムもこの時代では意欲的とは言えず、本作でしか味わえないような唯一無二の体験といったものは見出しにくい。
 
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キーワードシステムは世界観の補足に一役を買っているが、ちょい役の経歴など些細なことにも長文で解説している傾向がある。
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ゲームの設定面に興味があるプレイヤーにとってはいいだろうが、そうでないプレイヤーにとってはいらない機能だろう。
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シリアスなシーンでもどうでもいい蘊蓄が表示されることも多く、『街』と同様に雰囲気に水を差すように感じられる。
 
問題点
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ディテクティブタイム時にセーブができない。高バウンティハンターランクを狙う場合はタイミングを予測してこまめにセーブするしかない。
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最初のシナリオクリア時にCG閲覧機能(CGルーム)が解放されるが、一覧機能が無く1枚ずつ順に見ていくのみ。
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さらに他のシナリオのCGも閲覧できてしまうため、軽いネタバレになってしまう。
 
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最初のシナリオクリア後の2本の追加シナリオの中盤以降の展開が、最初のシナリオの重要人物に焦点が当たるという既視感のある展開。
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シナリオ終盤の選択肢によっては、エピローグが最初のシナリオと大差ない内容になってしまう。
 
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シナリオ3本とも、クリア後に最高のランクである「S」を取ることで、最後の4本目のシナリオが出現するのだが…
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50ページほどで唐突に終了し、いかにも「次回作に続く」といった内容になってしまっている。選択肢やキーワードも全くない。
 
総評
シナリオのクオリティ自体は標準以上で、その点ではプロ作家集団のフラグシップの実力を発揮できたと言える。
演出面も十分で、概要にピンときた人にとっては期待通りに楽しめるだろう。
だが、内容の古臭さは否めなく、ゲームに独創性・意外性を求める人にとっては退屈なゲームになるかもしれない。
発売ハードが両方とも末期であったこと、一般のノベルゲーム自体が下火になっていたこともあり、ほとんど話題にならなかった点も悔やまれるところである。
その後の展開
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翌年、同じくフラグシップによる続編『クリティカルバレット 7th TARGET』がPS2で発売された。
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内容的には完全に本作の続編なのだが、なぜかパッケージには本作の事がまったく触れられていない。
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さらに本作の4本目のシナリオに登場するキャラも、全く登場していない。
 
 
余談
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本作のオープニングムービーでは、『ゴジラvsメカゴジラ(1993年版)』などの特撮作品に多数出演していたカナダ出身の俳優のシェリー・スゥエニー氏が出演、クレジットされている。
最終更新:2024年07月22日 19:21