ミッキーのマジカルアドベンチャー
【みっきーのまじかるあどべんちゃー】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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8Mbit ROMカートリッジ
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発売・開発元
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カプコン
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発売日
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1992年11月20日
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定価
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9,180円
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判定
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良作
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ポイント
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SFC初のディズニーゲーム 初心者から熟練者まで楽しめる難易度 実はディズニーの顔を被ったカプコンアクション
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ディズニーシリーズリンク
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プロローグ
ある晴れた日のこと。
ミッキーは、ドナルド、グーフィー、プルートたちと野原で、仲良くキャッチボールをしていた。
グーフィーの投げたボールを取り逃したミッキー。
プルートがボールを取りにいくものの、戻ってこない。
心配したミッキーがプルートを追いかけると崖に落っこちてしまう。
崖に落ち、不思議な世界に迷い込んだミッキーはおじいさんに出会う。
おじいさんの話によると、プルートは不思議な世界を支配するピート皇帝に連れられていったのだと言う。
そして「さらった者を魔法の実験台にする、皇帝から逃れられたものはいない、諦めた方がいい」と続けざまに話す。
それでもプルートを助けたいミッキーに、おじいさんは陰ながら協力してくれることになった。
そしてミッキーはプルートを助けるためピート皇帝の城に向かうのだった。
概要
スーパーファミコン初のディズニーゲームであり、ミッキーが単身でプルートを救うということで基本1キャラ操作となる。
2Pプレイも出来るが、初期のFCにあるような交代制であり、協力同時進行のプレイは出来ない。
初期はノーマルのみでの操作となるが、ステージをクリアして進めていくことで最大3つのコスチュームに着替えられる。
コスチュームを駆使して皇帝ピートからプルートを救い出すのが目的となる。
全6ステージ+数エリア+各ステージのボスという構成でライフ制と制限時間が存在する。ライフは難易度によって個数が変わる。
特徴
コスチュームシステム
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コスチュームは初期を含めて全4種類。これらを駆使してピート皇帝の城を目指す。
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ノーマル
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おなじみ赤ズボンのミッキーの姿。敵を馬跳びで踏みつけて気絶させることが出来る。ブロックや気絶した敵を掴んで投げることが可能で、序盤はこれが敵への攻撃手段となる。
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ウィザード
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中東風の魔法使いのスタイル。魔法による攻撃が主でロックマン4 新たなる野望!!の様に溜め撃ちが可能だが、ゲージメータが無くなると魔法で攻撃出来なくなる(踏みつけは可能)。魔法のランプでゲージを回復できる。
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コスチューム入手後はショップで消費量が半分になるアイテムが購入できる。ただし高価。
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更に水中で息継ぎ不要で泳ぐことが可能。魔法の絨毯を起動させる能力も持っている。これらはゲージが無い状態でも可能。
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そのかわりノーマルやクライマーの様にブロックや気絶した敵を持つ事は出来ない。
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攻撃性能は溜め撃ちできるぶんファイヤーマンより格上で、溜め撃ちすると横一列に並んだブロックや宝箱を一気に破壊できるほどの威力。
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ファイヤーマン
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消防士の姿に変身。放水攻撃が主で火を消したり、火のモンスターを消したりできる。ウィザード同様ゲージメータが無くなるとほぼ放水が出来なくなる。消火栓で回復できる。
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放水の水圧を利用していくつかの種類の壊せないブロックを動かすことも可能でミッキーより大きなブロックも押す事ができる。ステージ5では特定のブロックに放水することで氷の足場を作ることも出来る。
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放水のダメージ自体はウィザードよりかなり劣り、ボス戦で使用すると長期戦を強いられる(ラスボスのピート皇帝戦で顕著)。とはいえ、ステージ3のボス攻略には必須なコスチュームになる。
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ウィザードと同様にブロックや気絶した敵を持つ事は出来ない。
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同時にこちらもコスチューム入手後に1/2消費になるアイテムを購入できる。こちらも高価。
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クライマー
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登山家スタイルになる。持っているフックつきロープを飛ばして自在に足場やブロックを上り下りできるのが特徴。「ヒットラーの復活 TOP SECRET」を彷彿とさせるワイヤーアクションが可能となる。
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崖下をロープにぶら下がりながら進むといった応用もできる上、ロープも強風に耐える程の耐久力を持っておりかなりアクロバットなアクションが可能。爽快感がある。
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一部の大風のステージトラップや敵が起こす強風はむしろロープにぶら下がっていないと吹き飛ばされて一発アウトとなってしまう。
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ロープの攻撃自体は敵を怯ませる程度の効力しか持たない。ただし気絶した敵を手繰り寄せて掴むことは可能。ゲージは無く、他二種に比べてかなり機動性が高いのが特徴。
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ごく一部の敵の盾を引っぺがして攻撃可能にすることもできる。
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ノーマルの性能を併せ持つ実質的な上位互換であるため、入手はもっとも遅く、丁度後半からとなる。
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見つけにくい場所に隠されているが、ショップも存在し、貯めたコインでいろんな物を購入することが可能。進行次第では非売品になっていることもあり、コインが足りない場合は商品が灰色に表示される。
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ショップの取り扱いアイテム一覧。
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たくさんのハート(20枚)
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その場でライフが全回復。
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魔法のランプ(20枚)
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その場で魔法ゲージが全回復。
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消火栓(20枚)
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その場で水ゲージが全回復。
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デラックスハート(200枚)
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最大ライフが一つ増える(最大10個まで)。ライフも全快
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魔法消費1/2(300枚)
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魔法ゲージの消費量が半分になる。 対応するコスチュームを入手していない場合は非売品になる。
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水消費1/2(300枚)
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水ゲージの消費量が半分になる。 対応するコスチュームを入手していない場合は非売品になる。
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各ステージにはおじいさんの魔法の力で色々なブロック箱が存在しミッキーの手助けになってくれる。またそれ以外のものもミッキーの支えになるものも。
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ミッキーの助けになる仕掛け一覧。
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ノーマルボックス
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黄色いブロック箱。掴んで投げることができる。魔法や放水で破壊することも可能。
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無限ボックス
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赤いブロック箱。掴むと元の場所に無限に再生。魔法をかけると光るリンゴに変化し1000点獲得。
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ストーンボックス
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灰色のブロック箱。壊すことが出来ないが放水で移動させることが可能。 足場としてよく登場し、中には羽のついたものもある。
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スリッピーボックス
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ボール状の箱。ストーンボックスと同じく、クライマー状態でロープを引っ掛けるのに使えるが、上には乗れず滑り落ちてしまう。
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ミッキーの宝箱
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ミッキーの顔を模した大きな箱。基本はリングが付いており引っぱって開けると色々なアイテムが出る。 リングが付いてない場合は物を投げつける・魔法・放水で破壊可能。
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上昇ボックス
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投げると上へ回転しながら上昇する箱。上に載ることができる。
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トマト(小)
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掴んで投げると上へ飛んでいき、そのうち破裂する。つかまって上昇することが可能。
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トマト(大)
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上に乗ったり触ったりすると転がり始める巨大な実。玉乗りのように反対方向に走りながら乗ることが可能。ただし乗り続けていると…。
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コイン
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ショップで購入するのに必要なもの。ノーマルボックスに入っている。 宝箱に大量に入っていることもある。出来る限り取っておきたい。
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リンゴ・ブルーベリー
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得点アイテム。それぞれ500点と200点が加算される。ほとんどは宝箱に入っている。
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ミッキーの人形
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1UPアイテム。隠されていることも多い。
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ハート
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ひとつ取ることにライフが1回復する。
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魔法のランプ
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魔法ゲージを1節分回復。
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消火栓
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水ゲージを1節分回復。
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デラックスハート
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光り輝く大きなハート。取ると最大ライフ数がひとつ増える。
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氷ブロック
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放水を当てると足場が出来る。ただし数秒で壊れてしまう。
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魔法のじゅうたん
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魔法をかけることで起動する。乗って空中を降下することができる。向きに応じて動いてくれる。
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評価点
ディズニーらしさ溢れる作風
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グラフィック、サウンド、構成どれをとってもディズニーらしさを上手く表現している。
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冒頭やエンディングのアニメーションのドット絵も美麗。不思議な世界へ迷い込むミッキー。ミッキーに手助けをしてくれるおじいさんとファンタジー風な世界観。そしていつもの悪役ながらのピートが皇帝であるという点もディズニーのお約束として上手く取り入れている。
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直立するミッキーは可愛らしく明るい笑顔を絶やさない。笑顔ばかりでなく気絶したり、敵に触れて驚いたりと表情が多彩。更にウィザード以外で水に入れば、こちらに訴えかけるかのように不安な表情を向けてきたりするのも特徴。見ている側を楽しませてくれる。
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操作も十字キーによる移動の他は「つかむ・投げる」と「ジャンプ」だけと単純明快。プレイしやすいのもポイント。
多彩なギミックとコスチューム利用を前提としたステージ構成
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ステージ1より地上へ降りる際に大きな木の実に乗って移動、ステージ2では木の中の樹液を潜り抜けるという場面もある。ステージ3は地底へ降りるエレベーター面とファイヤーマンの放水を利用しないと先へ行けない仕掛けもある。ステージ4の険しい山道ではクライマーが大活躍する。
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ステージ1から4までがそれぞれのコスチュームに沿ったステージ作りになっているのが特徴。大げさにいえばカプコンのアクションゲー要素をごった煮したような出来。
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ラストステージ6は全コスチュームを前提とした作りになっておりこれらを上手く生かしながら進むのが鍵となる。
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ゲージ制を取り入れているコスチュームは魔法のランプ・消火器で回復が可能。更にショップで安価ながらフルチャージも出来る。
個性あふれるキャラクターたち
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テントウ虫、芋虫といった敵もいればミッキーを丸呑みしようと狙っている魚もいたりする。更に、形相の悪いキャラが殆ど敵という判り易いものになっている。
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鳥を掴むことができ離すと(しばらく持ち続けていると勝手に離れる)コインを落としてくれたり、ビーバーの通る巣が実は残り人数増加の隠れ場となっていたりということもある。
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中ボスも存在し、子バッドを撒き散らしつつレッドアリーマーの様な動作を持つ「バッド」。飛び跳ねつつトゲの実を撒き散らし腰蓑をブーメランの様に飛ばしてくる「ボヨヨーン」。ハンマー片手に火の玉を吐きつつ溶岩をハンマーで噴出す攻撃をする「メラメラーン」がいる。いずれも手ごわい相手。
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各ステージのボスは蛇、蜘蛛、石像、鷲、トドの亜人となっているが殆どがピートに似た顔付きとなっており、倒すと人魂が抜けていく。その人魂がピート皇帝と会うための伏線となっているのもポイント。
初心者、上級者の双方にとられた難易度バランス
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「EASY」にすれば子供でも何とかクリア出来る難易度だが「HARD」ともなると初期最大ライフは2となりお手つきは1回だけとなる。
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ただ途中のボックスやショップで最大ライフを増やすアイテムを手に入れれば、どのモードであっても最終的にライフを最大の10まで上げられる。
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HARDだと敵の攻撃が激しくなったり、足場が減ったりとまさに辛口モードになる。中ボスやボスの耐久度も上がっており、一部ボスは攻撃も強化される。熟練者でも唸らせる。
賛否両論点
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ホラーファンタジー寄りな作風
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BGMやSEも含めた全体的な演出は重厚でおどろおどろしく、有り体に言えば『魔界村シリーズ』風。
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ステージ2「魔法の森」にて棍棒を一定の間隔で振り下ろす切り株のお化けと人食い魚。ステージ3「地底世界」で延々と地底へ降りるエレベータと地底空間。ステージ6の「ピート皇帝の城」のフロア一面剣山だらけなステージなどにそれが表れている。ディズニーアニメ作品の作風自体が必ずしも明るいものばかりとは限らないとは言え、ややシビアでシリアスな雰囲気である。
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水中から飛び出した人食い魚に噛み付かれてそのまま引きずり込まれて即死というショッキングな死亡パターンもある。
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味方となってくれる者が「おじいさん」と途中で現れる「グーフィー」のみ。ドナルドダックも登場するがオープニングとエンディングにしか登場しない。更に言えばFC版でも登場していたミニーは何故か一切登場していない。おなじみの仲間がほとんど顔を見せないというのはさすがにさびしい。
問題点
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一部ボスに対する攻撃方法が限られる。
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3面の中ボス「メラメラーン」は、ウィザードのコスチュームのみ持った状態で挑む事になるのだが、踏みつけ攻撃が効かず、投げられるものも無いため、ゲージが無くなると攻撃することが出来なくなりわざと1ミスするしかなくなってしまう。
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戦うエリアに魔法のランプが2つ設置されているため、よほど攻撃を外す事がなければ詰むことはないが……。それにしても、ゲージが0になった場合のために、他に通用する攻撃方法か、倒すと回復アイテムを出す敵を1体は用意しておくべきだっただろう。
魔法以外通用せず使い切ったら負けるしかない、というのは、理不尽以外の何物でもない。
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なお『マジカルアドベンチャー3』にも似たような中ボスが登場するが、そちらはゲージが0になった場合もダメージを与えられる手段が存在する。非常に面倒ではあるが……詰むことが無いだけ改善されていると言えるだろう。
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皇帝戦でも、理不尽な要素あり。ザコのとうろう君を倒すとゲージ回復アイテムが出るため、完全に詰むことはないのだが…。回復アイテムは、とうろう君を倒した時に身に付けていたコスチュームのものしか出ないので、うっかりウィザードのゲージをゼロにしてしまうと回復できなくなり、威力の低いファイヤーマンしか攻撃方法が無くなるため、かなりの長期戦を強いられてしまうことになる。どっちで倒しても両方のアイテムが(ランダムで)出るようにするべきだった。
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回復アイテムのハート入手が、ノーマルボックスの破壊、宝箱からの入手、ショップで購入と限られている。
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アクションゲームでよくあるように「敵を倒してアイテムを稼ぐ」という方法が通用しない。しかも、ショップはいつも分かりづらい場所にあるため、行くのが面倒。場所によっては隠しエリアと通常エリアを往復してノーマルボックスを復活させライフを稼ぐという手段も存在するが、ノーマルボックスからはコイン等他のアイテムも出現するほか、アイテム自体出現しない事もよくあるため回復には時間がかかる。
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さらに、ステージは最後(エリア4)までクリアしないとライフが回復しない。例えば1-1をクリアして出口に入っても、ライフは減ったままで1-2がスタートする。
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パスワードやバックアップといったシステムが存在しない様子で、電源を切らずにエンディングまで攻略しなければならない。
総評
カプコンのアクションゲームらしい難しさを内包しつつ、難易度ひとつ変えるだけで初心者から熟練者まで遊べる絶妙なバランスを保っており、世界観・システム両面でディズニーキャラクターと上手くマッチさせている。
ミッキーしか使用できなかったり、劇中で顔見せするお馴染みのキャラクターたちがほとんどいないという面では少々寂しいところだが、続編ではミニーなどのパートナーが追加され、この点は改善されていった。
余談
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ゲーム序盤では、おじいさんがミッキーに対して「皇帝から逃れた者はおらん。あきらめたほうがいい」と諭しているが、ゲームオーバー画面では「あきらめてはいかん。プルートを救うのじゃ!」と真逆の発言をしている。『ゲームセンターCX』でもこのゲームを取り上げられており、有野課長やスタッフからツッコミを入れられている。
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もっとも、「あきらめるのじゃ」と言った直後にミッキーの決意を聞き「しかたない」とミッキーへの支援を申し出ていることに加え、ミッキー自身が退くそぶりを微塵も見せていなかったので「いったん決心したことを簡単に諦めるな」という叱咤激励の意味だと捉えれば、一応つじつまは合うか。
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中ボス「バット」は動作パターンや倒されたときに顔を真っ赤にしてダウンすることから明らかにレッドアリーマーのそれであり、事実情のファンサービスであるとも言える。
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続編として『ミッキーとミニーのマジカルアドベンチャー2』『ミッキーとドナルド マジカルアドベンチャー3』が発売された。タイトルの通り、それぞれミニーとドナルドダックがパートナーとして登場し、2Pでの協力プレイが可能となっている。
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更に後にGBA版『ミッキーとミニーのマジカルクエスト』が発売。タイトル通り、ミニーがプレイアブルキャラとして選択可能になっている。『2』『3』も『マジカルクエスト』のタイトルでGBAに移植された。
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この微妙なタイトル変更は、SFC版の海外タイトル『The Magical Quest starring Mickey Mouse』に倣ったものと思われる。
最終更新:2024年02月25日 19:32