ミニ四駆レッツ&ゴー!! POWER WGP2
【みによんく れっつえんどごー ぱわー だぶりゅーじーぴーつー】
| ジャンル | ミニ四駆RPG |  高解像度で見る
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| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| 発売元 | 任天堂 | 
| 開発元 | ジュピター | 
| 発売日 | ニンテンドウパワー:1998年10月1日 ROM:1998年12月4日
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| 定価 | ニンテンドウパワー:2,381円 ROM:3,800円(各税別)
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| 判定 | 良作 | 
| ポイント | WGPをうまく再現したレースシステム キャラゲーとしても良好なRPGパート
 改造の楽しさは皆無
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| ミニ四駆シリーズリンク | 
 
ROM版はオリジナルステッカー(パッケージ表紙の絵柄)付き。
概要
第2次ミニ四駆ブームを牽引した『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』のアニメ化第2期『爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP』の舞台となった第1回ミニ四駆世界グランプリ (WGP)、今作はその次回大会を描いたゲームである。
アニメでは第2回大会はアメリカで開催される予定だったため、パラレルワールドといったところ。
参加チームは日本、アメリカ、ドイツ、イタリア、ロシア、アフリカ、中国、南米、フランス、エジプトの10か国。南米、フランス、エジプトは大会初参加。
特徴
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ストーリーは全10章。
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流れは、イベント発生→RPGパート(前)→イベントレース→RPGパート(後)→WGPレースで全章共通。
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イベントレースは勝利が必要。WGPレースは敗北でも進むが、敗北数がかさむとゲームオーバー。
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第10章のみWGPレースが2回ある。
 
 
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マシン
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マシンは当時各キャラが使用していた最新のもののみが登場する。例えば豪ならビートマグナムのみ、サイクロンマグナム以前はでてこない。
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マシンには、PW、CN、SP、DF、WT、DP、BPの各パラメータが存在する。
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PW(パワー)は最高速度、CN(コーナーリング)はコーナーを小さく回れる性能、SP(スピード)は加速力、DF(ダウンフォース)は上り坂や下り坂での性能、WT(ウェイト)は重さ、DP(ダメージポイント)は攻撃への耐性、BP(爆走ポイント)はダッシュ時の速度アップ量とゲージの減りを意味する。
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PWとSPは逆な気がしないでもない。
 
 
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セッティング
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パーツの種類は、モーター・バンパー・タイヤ・ギアー・バッテリーの5種類
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各パーツには基本ステータスに加えて、PW、CN、SP、DF、ALLのいずれか1つがボーナスで付いている。
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ボーナスはPW、CN、SP、DFなら+1~4のいずれか、ALLなら+1か+2のどちらか。
 
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この5種類の他に、オプションパーツを1つ付けることができる。
 
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レース
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コースには現実のようなレーンの仕切りはなく、アニメのように全マシン同じところを走る。
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そのため衝突も起きる。敵マシンとの衝突では耐久値が減る。減少量は当たり方、当たっている時間、DPによって増減する。
 
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基本は自動的に走るが、左右キー入力で若干のステアリングが可能。コース取りを変えたり、コーナリングの補佐ができる。
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爆走ゲージを消費してダッシュが可能。ダッシュは操作マシンのみと全マシンの2種類、ゲージの消費ペースはBPによって増減する。
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爆走ゲージはレース開始時に100%チャージされた状態で開始されるが、ゲージは130%程度まで上限が存在する。
 ここまで全てチャージしてから爆走するとゲージを全消費して1レース1回のみ必殺走行を使用可能。
 ただしこれはWGPレースのみで、草レース等では101%以上のゲージ部分はロックされる。
 
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RPGパート
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舞台となる風輪町MAPでイベントをクリアすることでゲームは進む。
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メインイベントの他にいくつかサブイベントがある。クリアするとオプションパーツやWGPレースで使えるレースアイテムを入手可能。
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土屋研究所の職員と勝負して新規パーツを入手することもできる。
 
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各地に配置されたコースでベストラップを更新することでGPチップの強化(他のゲームでいうレベルアップ)も可能。
 
評価点
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豊富な登場キャラ
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WGPレーサーは当然として、アニメWGP編では出番の少なくなっていく第1期(国内編)キャラも豊富にイベントに絡んでくる。
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また、続編『爆走兄弟レッツ&ゴー!! MAX』の主人公である一文字兄弟も登場する。
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劇場版で登場した南米のチーム『XTOリボルバーズ』のその後は原作・アニメでも描かれていなかったため、ファンには嬉しいサプライズだった。
 
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質・量の揃ったイベント
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RPGパート前半ではWGPレーサーが絡むメインイベントが起きる。主にビクトリーズ・稀に他チームのWGPレーサーを操作し、その章の主人公として物語を進めるアニメを意識した構成。
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毎回操作キャラ、絡むキャラが変わるおかげで様々なキャラにスポットが当たる。手抜きキャラゲーにある「いることはいるがただ数回会話をするだけ」というキャラは少ない。
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イベント自体もシリアス・ギャグ・熱血と幅広いパターンがあり内容も質が良く、キャラゲーで心配なキャラ崩壊もない。
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「アニメでやったレースのリベンジマッチ」など、製作者が元作品をきちんと知っていないと作れないようなエピソードも多々ある。
 
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後半ではビクトリーズを鍛えたのち、前半で絡んだレーサーのいるチームとWGPレースで対戦する。終盤ではもはやお約束と化し、対戦相手発表の前に突っ込まれるニヤリとした演出も。
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この手のお約束展開になる理由付けとして、開催地が日本であるため、ホームであるビクトリーズ以外のチームはスケジュールに合わせて来日して開催地近くに宿泊しているという描写がある。実際、来日WGPレーサー用の練習サーキットなどが用意された建物が存在し、作中でもそのことについて触れられる。
 
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サブイベントでは主に非WGPレーサーと絡む。相手は黒沢、まこと、ミニ四ファイター、たまみ先生や校長先生など、さらには今作オリジナルのモブキャラまで多種多様。
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校長先生やまこととはレースの他に4択クイズでも勝負する。本作唯一のミニゲーム。
 本作だけでなく原作に関する内容も出題されるうえに時間制限や正解率も厳しいため、子供向けだからと侮っていると意外と苦戦する。なぜか計算問題も多く、中には黒い任天堂的な問題も…
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黒沢といえば魔改造されたブラックセイバーだが、今作ではなんとGPチップを搭載したグランプリマシンに改修されての登場。
 黒沢はアニメではSGJCでJよりも上位に食い込んでいるなど、ビクトリーズに選ばれた面々と比較しても決して劣らない実力の持ち主だっただけに、ビクトリーズに補欠としてすら選ばれなかったことを惜しがる視聴者も少なくなく、黒沢ファンならば胸が熱くなる展開と言える。
 
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「当初はミニ四駆自体を知らなかった女子中学生集団が、複数の章を跨いで徐々に腕を上げ遂には黒沢達に勝利、最終的にビクトリーズと対戦する」といった妙に力の入ったものもある。
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イベントに絡まないキャラ達も毎章全員セリフが変わりプレイヤーを飽きさせない。
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NPCの一人に、ビクトリーズに憧れて「気合の掛け声でマシンを加速させる」真似事を試みている少年がいる。
 ビクトリーズのGPマシンはGPチップを積んでいてある程度の自己判断能力を備えるからこその挙動なのだが、一般マシンでこれをやろうとしている少年は最初は周囲の友人にも半ば呆れた目で見られているものの、後半になると本当に掛け声でマシンを加速させる超常現象を起こすようになるため、見てて飽きない。
 
 
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WGPをうまく再現したレースシステム
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再現が難しいせいか他のミニ四駆ゲームでは「レーンごとに仕切りあり」「最大4台まで」「なぜかドライブゲーム化」といった変更がされており、原作通り5vs5のレースが楽しめるのは本作のみである。
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レース形式もリレー制・ポイント制・4トップ制と一通り揃っている。
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アニメに登場したチームランニングも可能。
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レース開始前のフォーメーション設定画面で5台のうちの任意の台数をチームランニングに設定する事ができ、チームランニングに設定したマシンは縦1列に並んで走る。
チームランニングをするマシンは全台が先頭のマシンと同じ性能になるため、例えば極端にコーナーが多いコースをバラバラに走ると豪やリョウのマシンが遅れがちになるところ、烈や藤吉の後ろにつけて引っ張るという事が可能になる。
 
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ステアリングによって敵マシンのブロックが可能。さらに当たり方を工夫すれば耐久値削りによって疑似的にだがバトルレースも再現できる。
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特に4章のXTOリボルバーズは普通に走るとかなりの強敵なため、削ってリタイアさせてしまった方が手っ取り早かったりする。
 
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パラメータのおかげで「ストレート重視のマグナム」「コーナリング重視で直線でもそこそこ速いソニック」「加速力に欠けるが最高速度はトップのトライダガー」といった性能差もきちんとついている。
 ---同じくSFCの『ミニ四駆シャイニングスコーピオン レッツ&ゴー!!』ではそういった性能差がきちんと再現できているとは言い難かった(内部データとしては一応存在していたが、ほとんど影響が無かった)。
 
難点
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リストラされたチームあり
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第1回WGPに参加した北欧のオーディンズ、オーストラリアのARブーメランズ、ジャマイカのクールカリビアンズといったチームは登場しない。
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いずれも成績が下位に低迷したチームであり新規チームを入れるならば妥当な人選とも言えるが、彼らのファンからしたら残念な変更となった。
 
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ストーリーは特徴で述べた通りの流れで固定。
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RPGパートではサブイベントでオプションパーツと1章につき1つレースアイテムを入手可能。サブイベントは一切動かないどこかにいるキャラに話しかけることで始まる。
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そして舞台は風輪町MAP固定。他のRPGでよくある「最初は行けないが途中から行けるようになる場所」もない。
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そのため毎章「RPGパート前半はメインイベントを進めて後半でMAPを1周り、その後研究所に行きWGPレースへ」のルーチンワークとなりがち。探索する楽しさに欠ける。
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とはいえ、豊富なイベントのおかげで作業感はさほどない。
 
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小学生向けのキャラゲーであることを考えれば、分かりやすさに繋がるこの構成は一概に欠点とも言い切れない。
 
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改造する楽しさに欠けるセッティング
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パーツには他のミニ四駆ゲームによくある耐久度が存在しないため、永久に使い続けることができる。バッテリーでさえも。
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これより前のミニ四駆ゲームである『シャイニングスコーピオン』にせよ『ミニ四駆GB』にせよ耐久度があったが、いずれもパーツ耐久度と絡んだ複雑なセッティングシステムにより難易度の高いゲームになってしまっているので、対象年齢層を考えればバッサリ切り捨てるのも一理はある。
 
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改造できる箇所が5種類というのもたいへん少ない。
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パーツはゲームが進行するにつれ「マーキュリーモーター→ヴィーナスモーター→…」といった具合に新パーツが開発されるのだが性能は上位互換であるため、その時点で最も高性能のパーツを載せるだけの作業になる。
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コースアウトがない仕様のため、スピードを抑えるためにあえて古いパーツを付ける…等という必要性は全く無い。
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最終的にはよほど短いコースを走るとき以外は各種サタンパーツPW+4で統一しとけばまず間違いないゲームバランスである。現実のミニ四駆にある試行錯誤の楽しさが存在しない。
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またこのシステムのために、「コーナリング性能が上がるバッテリー」「加速力が上がるバンパー」など、物理法則を無視しているかのようなパーツが存在するのも気になる。
 
 
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改善の余地があるレース面
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フェンスにぶつかると大幅に減速するのだが、序盤はCN(コーナーリング)の数値が低いためインからコーナーに侵入するとすぐ衝突してしまう。ストレート重視のマシンなら連続コーナーではほぼ確実にぶつかってしまうほど。
 そのため序盤はCNが重要。
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一方、終盤ではストレート重視のマシンでも中盤のコーナリング重視マシンを軽く超えるほどパラメータが上がるため、無茶なダッシュでもしないかぎり衝突することはなくなる。
 そのため終盤では「PW(最高速度)≒そのマシンの速さ」になりがち。
 
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チームランニングを行う場合、爆走ゲージが使用できなくなる。通常ダッシュの他、必殺技も使用不可能に。
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「その分それぞれのマシンが得意なセクションで走れるんだから」ということなのだろうが、ダッシュによるスピードアップはその程度のメリットを帳消しにして有り余るほど大きいため、タイムを縮める事だけ考えた場合チームランニングはやるだけ損。
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チームランニングを行うか否かを選べるのはレース開始前だけ、レース中に途中から行ったりやめたりできない。
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フォーメーションも縦一列のみ、横一列やくの字型はない。
 
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DF(ダウンフォース)は前出の通り坂道での速さに影響するパラメータだが、システム上本来の言葉の意味とは全然異なっている。
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言葉の意味としては空気抵抗とボディの形状によって「マシンを路面に押さえつける力」の事を指し、これが高いマシンほど坂道などでマシンが浮き上がりにくくなる=コースアウトしにくくなる、というもの。
 しかしこのゲームは坂道はあるがシステム上コースアウトがそもそも無いので、単に坂道におけるマシンのスピードを表すパラメータになっている。
 しかも、SPやPWで決まるマシン本来の素早さから減算されにくくするパラメータ…等と言う仕組みではなく、単純に坂道ではPWではなくDFでスピードが決まるというだけの雑な設定。
 そのため、この数値が相当高くなると『上り坂で逆に加速する』という珍現象が起こる。終盤にDF偏重のセッティングをした時くらいしか拝めないとはいえすさまじい光景である。
 
 
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必殺技は一定時間、猛ダッシュするもののみ
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烈『ソニック、バスターターンだ!!』←でも猛ダッシュ。
 原作ではバスターターンは一時的なダウンフォースの強化により極限までコーナリング能力を増す技なので、ただの加速はイメージと合致しない。
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ただ、豪のビートマグナムの必殺技『マグナムダイナマイト』のように明らかに再現不可能な必殺技もあるので、一部キャラだけ再現して格差をつけるよりは、やや味気ないが一律ただの加速にするというのもやむを得ないのだろう。
    
    
        | + | ネタバレ | ラスボスチームのリーダーだけ例外で、なんとワープする。 |  
 
 
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キャラボイスはミニ四ファイターのみ
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レース開始時と終了時に『レディ、ゴー!』『ゴール!』と叫ぶ。
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16メガビットという少ないROMの容量を考えれば仕方がないことだろう。
 
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する方が難しいレベルだが詰むことがある
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第8章では前半、沖田カイを操作する。そしてWGPレースではカイ率いるサバンナソルジャーズと対戦。
 この時、サバンナのマシンの速さは育てたカイのビークスパイダーと同一。そして対戦する直線主体のコースではビークスパイダーはスピンバイパーやプロトセイバーを(育て方によってはバスターソニックをも)上回る。さらにレースは4トップ制。
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そのため、極限までビークスパイダーを育てた状態で前半を終えた場合、後半ビクトリーズをいくら鍛えても追いつくことができず勝つことができなくなる。
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ゲームオーバーにリーチがかかった敗北数でこの状態を迎えると詰み。
 
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一応その状態でも「先に爆走を使い前に出たあと、素の状態で自分より速いマシン2台の猛ダッシュをゴールまでブロックし続ける」ことで理屈的には勝利可能。曲芸レベルの操作を要求されるが。
 
総評
『シャイニングスコーピオン』やGBの2作が現実のミニ四駆をシミュレートしていたのに対し、本作はアニメのミニ四駆を再現しようとした作品といえる。
ステアリングと爆走による適度なレース介入のおかげで、他のミニ四駆ゲームにありがちな「レース中はほとんど観戦してるだけ」という欠点をなくしつつタイムを縮める楽しさは損なわれていない。
現実のミニ四駆とのギャップに最初は面食らうかもしれないが、それに慣れさえすればWGPをうまく再現したレースシステムをきっと気に入るだろう。
キャラゲーとしても、元作品のキャラの性格や設定がきちんと踏襲されたストーリーは、そのままアニメの続編として採用できそうなほど出来がよい。
オリジナルモブひとりひとりにも名前・性格付けがされているなど細部に至るまで丁寧な作りで、決して子供だましではなく真に子供達のために作られたゲームであることが伝わってくる良作である。
余談
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当時の任天堂としては珍しいアニメベースのゲーム。BGMに他の任天堂作品の物(例:カービィボウル)が一部流用されている。
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オープニング画面で放置していると、各チームのキャラクター・マシン紹介が流される。
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町のレース場やインターナショナルスクールのコースではレーサー達がマシンを走らせているが、そのキャラに話しかけて叫び声を上げさせるとマシンがダッシュする。その速度や長さもレーサーの腕前によって変わっている。
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正規に登場する最上位のパーツはサタンシリーズだが内部データにはさらに上位の物が存在する。ウラヌス→ネプチューン→プルート→サン→ノヴァと続く。
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続編の主人公である一文字豪樹の2代目マシン「ブレイジングマックス」は、車体全体を翼に見立てた形状とジェットエンジンもどきの採用により本当に上り坂で加速するようになった。本作はその先駆けといえる…かもしれない。
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ニンテンドウパワー書き換えソフトのいくつかはROMカセット版の市販がされたが、当ゲームのROMカセット版は書き換えからたった2か月後の発売となった。
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SFメモリカセットの値段を考慮するとROM版の方が安くつく。しかも特典としてパッケージと同デザインのシールも付いている。
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版権物という契約上の都合や、クリスマス商戦に合わせるためなのだろうが、対象層からすると最初からROM版だけ、もしくは書き換えと同時発売にしておいた方がよかったのでは…?
 
最終更新:2023年11月17日 20:32