シャダムクルセイダー 遥かなる王国
【しゃだむくるせいだー はるかなるおうこく】
| ジャンル | RPG |  
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| 対応機種 | ゲームギア | 
| 発売・開発元 | セガ・エンタープライゼス | 
| 発売日 | 1992年9月18日 | 
| 定価 | 5,500円 | 
| 配信 | バーチャルコンソール 【3DS】2012年7月18日/286円(全て税別)
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| 判定 | 良作 | 
 
概要
この時代では珍しい、アラビアンナイトの世界観をモチーフにしたRPG。全5章構成。
システム
基本的にはオーソドックスなコマンド選択式RPGであるが、本作には以下のようなシステムも備えている。
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オートセーブ機能
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本作にはセーブコマンドがなく、移動時・メニュー画面終了時に自動的にセーブがかかるオートセーブ方式。
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そのため、電池切れで中断したり戦闘中に全滅しても次回再開時はその地点からすぐに再開できる。
 
 
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戦闘時の仕様
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戦闘については素早さの高いキャラから順番が回ってくるシステム。そのため、素早いキャラは敵の行動1回に対し2回行動が可能なことも。
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各キャラクターごとに固有の戦闘コマンドも所持している。
 
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バッドステータスは毒・睡眠・気絶(戦闘不能)の3種。いずれも戦闘終了後には回復する。
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このうち毒はHPの減少こそないものの数ターンで強制的に気絶する仕様。
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また睡眠に関しては覚醒判定はターンごとに行われ、覚醒したターンから即時行動が可能。
 
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魔法に関しては仲間である魔人のみ行使可能。各地にある石版で魔法の取得が行われる。
 ただし魔人はバッドステータス攻撃を受けることがない代わりに装備・経験値の概念がないため成長はドーピングアイテムのみで、また戦闘中の気絶状態の回復が不可能。
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そのため、戦闘は魔人の生存を最優先に考える必要がある。
 
 
評価点
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ゲームでは珍しいアラビア系の世界観
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ストーリーや登場人物はアラビアンナイトやゾロアスター教をモチーフとしており、ゲーム化される事の少ないテーマを描いている。
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その一方で、王国転覆を企む悪の独裁者「カダフィ将軍」などの少々ストレート過ぎる危ないネタも…
 
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オーソドックスながらも王道のストーリー
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比較的扱われることが珍しい世界観ながらも変に奇をてらわず、王道のストーリーが展開。
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登場人物のキャラクターも十分立っており、グラフィックの質の高さも相まって非常に魅力的。
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マニュアルもイラストをふんだんに使って登場人物の個性を出しており、ストーリーへの感情移入度の向上に貢献している。
 
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高水準のゲームバランス
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簡単すぎず難しすぎずの戦闘バランスで、次に行くところがわからない局面は少なめでわかりやすい。
 
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高水準のグラフィック
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ゲームギアとしては高品質のグラフィックで、本作の独特の世界観をより魅力的に引き立ててくれる。
 
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システム面での快適さ
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オートセーブが自動で行われるため、燃費の悪いゲームギアにとってはかなりありがたい機能。
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戦闘の全滅時にはタイトル画面に戻されるものの、この機能のおかげで戦闘前の状況にすぐ復帰できるため実質ノーペナルティ。
 
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全体的な操作性もよく、移動呪文が消費0で行使可能なのがありがたい。
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移動呪文行使の際に魔人が合成音声で「アイアイサー!」と喋ってくれたりする。
 
 
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BGMの質も良好。
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ゲームの世界観に絶妙にマッチした音楽は音色の美しさもあって好評。
 
問題点
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高いエンカウント率
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今作はフィールド・ダンジョン共にエンカウント率が若干高め。さらに敵の回避率が割と高めなため、この方面ではストレスがやや溜まりやすい。
 
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戦闘中の逃走行為について
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「にげる」は主人公専用コマンドだが、前述の通り本作では素早さの高い順に行動が回ってくるシステムであるため、主人公は素早さが低いため敵から逃げるのにも難儀する。
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また、逃走の行為自体が主人公専用コマンドとして扱われている関係上、主人公が眠りあるいは気絶の状態異常に掛かった状態になると逃走自体が出来なくなる。中でも死亡や戦闘不能に当たる気絶状態はアイテムを使わない限り自然回復しないので、仮に復活アイテムのストックが尽きている状態では絶対に逃走が出来なくなってしまう。
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そういった点を防ぐためにも、復活アイテムは常にストックしておくと良いだろう。
 
 
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ダンジョンからの脱出に関して
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魔神が覚える魔法の中には、ダンジョン脱出用の魔法が用意されていない。
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上述の様に、今作では高いエンカウント率との戦いになるのだが、ダンジョン侵入時はともかく、脱出の際にも脱出用魔法が存在していない関係で、ダンジョンから脱出するまで気が抜けない仕様になっている。
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一方、とある魔法は最終ダンジョン時のみダンジョン脱出用の魔法として機能する。最終ダンジョンのみ脱出魔法が使える仕様があるのなら、せめて通常ダンジョンの方にも脱出用魔法を用意できただろうに。
 
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オートセーブ方式のため、セーブデータの管理が若干面倒。
総評
携帯機の特性に合わせたシステムチューニングを行っており、ストーリーもあまり扱われることのなかった世界観ながら王道展開でお手軽に遊べる構成の良作。
VCでも配信されていたので遊ぶハードルもかなり低かったが、3DSのeショップがサービス終了した現在では新規入手は実機に限られるものの、お手軽に遊びたいRPGをプレイするのであればおすすめの逸品。
余談
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本作のマニュアルの巻末には開発後記としてスタッフの一言が掲載されているのだが、そのすべてがいろいろとぶっ飛んだ内容なのはあまりにも有名。
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残念ながら(?)VC配信版のマニュアルでは当然のごとくカットされている。
 
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海外でも発売されているが、海外版のタイトルは「Defenders of Oasis」(オアシスの守護者)。アラビアンな舞台世界なのにクルセイダー(十字軍)では流石にマズかったのだろうか…
最終更新:2023年11月18日 23:46