クライシスゾーン
【くらいしすぞーん】
ジャンル
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ガンシューティング
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対応機種
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アーケード (SYSTEM SUPER 23 Evolution 2)
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販売・開発元
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ナムコ
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稼動開始日
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1999年11月1日
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判定
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良作
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ポイント
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『2』をベースにした外伝作 武器がサブマシンガンに 爽快感重視のゲームデザイン
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タイムクライシスシリーズ
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概要
『タイムクライシス』シリーズの3作目にして初の外伝作として、1999年に稼働を開始したアーケード用ガンシューティングゲーム。
『タイムクライシス2』のシステムをベースに、武器が装弾数40発のサブマシンガン・1人プレイ専用といったアレンジが加えられている。
ストーリー的にも、他のナンバリング作に登場するVSSEは小ネタとしての登場に留まり、ワイルド・ドッグに至っては一切登場しない。
ストーリー
2000年8月、外資系電力会社「ガーランド・エレクトリック・インダストリー」社は、英国・ロンドン郊外に複合施設「ガーランド・スクウェア」をオープンした。
同施設は中央広場を中心に、大手デパート・同社のオフィスビル・ホテルを構えており、オープン以降、連日多くの客で賑わう英国の人気スポットとなっていた。
しかし、オープンから2ヶ月後の10月16日、同施設はアメリカ人のデリック・リンチ率いる反英国テロリスト集団「URDA」によって占拠されてしまった。
URDAは以前から英政府への反体制を掲げ、外資系企業の施設を襲撃しており、ロンドン郊外で連日賑わうガーランド・スクウェアは絶好の標的だったのだ。
人質を取って多額の身代金を要求したURDAに対し、英政府は対テロ特殊部隊「STF」の第1小隊を現地へ派遣、URDAの排除及び各施設の奪還を命じた。
プレイヤーはSTFの第1小隊長クロード・マクガレンとなって、URDAとの戦いに身を投じることとなる。
特徴
ペダル操作とアクションポイントシステム、射撃が下手な敵兵は「青」・命中率が高い敵兵は「赤」と、『2』のシステムの殆どを維持しているが、
今作では1人プレイ専用化、使用武器が連射可能なマシンガンへと変更された事に関するシステム変更がなされている。
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ペダルを離した際に隠れる場所が金属製の防弾盾になった
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防弾盾には横長の覗き穴があり、従来作と同様に隠れながら敵の動きを窺える。極一部のポイントでは物陰に隠れるようになっている。
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1ステージ3エリア制から1ゾーン(ステージ)制となった
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最初の3ステージはプレイヤーの好きな順序で選択できる。3つ全てをクリアすると、最終ステージへと移行する。
後のステージほど敵の命中率が上がるので、苦手なステージを最初に選択するといった戦略プレイや、単純な練習プレイも可能となった。
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このシステムはシリーズのアーケード作品では今作が最後となっている。
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耐久力を持つ敵兵の大幅な増加
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従来作での雑魚敵の殆どは1発攻撃を当てれば倒せたが、今作では極一部の青兵を除いて何発も攻撃を当てなければ倒せないようになった。
それに伴い、茶服の「ナイフ・手榴弾兵」以外の雑魚敵は、撃つとその場でよろめくようになった(白服の「強化兵」のみ撃破寸前でよろめく)。
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作中では耐久度の高さにものを言わせてこちらの攻撃でも怯まずに接近し、殴りかかってくる敵も存在する。
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耐久力を持つ敵はダメージを与えると頭上に緑色のライフゲージが表示される。
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それにあわせてボスの耐久力も『2』から強化されており、如何に敵の攻撃を回避しながら連続して銃弾を叩き込めるかがクリアへのカギとなった。
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「アクションポイント」の制限時間が減少
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『2』での制限時間はアクションポイント毎に40秒設定となっていたが、今作ではデフォルトのミディアム設定で35秒と若干短くなった。
制限時間は筐体の難易度設定で変わり、ベリーイージーで50秒、イージーで40秒、ミディアム以上では35秒となる。敵の命中率も高難度ほど高くなる。
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これにより、プレイヤーはマシンガン装備といえど、従来作同様、隠れてばかりはいられない迅速なプレイを要求される他、
ゲーム後半からは敵の命中率強化・耐久力のある敵が配置され、これも従来作同様に時間が厳しいアクションポイントも健在している。
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敵の命中攻撃の警告表示が変更
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『2』では敵の命中攻撃時に丸型の赤い閃光が発生、敵の銃弾が赤く強調表示されていたが、大量の破壊・爆発描写がある今作ではこれらの他に、
攻撃直前の敵に「ピピピッ」という甲高い音と共に黄色い丸型の『クライシスサイト』が発生、「音と更なる強調表示」で警告してくれるようになった。
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但しこの警告表示が適用されるのは射撃攻撃とナイフ兵のナイフ投げのみで、手榴弾とミサイル、格闘攻撃は未表示なのは『2』と同じなので注意が必要。
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クライシスサイトが付いた敵がよろめかせられる兵士だった場合、ダメージを与えて怯ませると攻撃をキャンセルできる。
上級者になれば撃たれる前の一瞬で敵を怯ませて倒し、隠れる事で発生する僅かなタイムロスを減らすという事も可能。
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スコアシステムの「ノーミスヒット」ボーナス廃止
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武器がマシンガンである都合上、スコアボーナスは「一定時間内に連続ヒット」と「規定タイム内にゾーンクリア」のみとなった。
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これにより、ハイスコアプレイではあらゆる物を絶え間無く撃ちつつ素早いクリアを目指す事となり、ナンバリング作とは全く違ったプレイが要求される。
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ガンコンの照準検知方式が変更
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従来の走査線方式から、筐体内のCCDカメラでガンコンの赤外線を常に読み取る方式へ変更。
これによりトリガーを引いた際に画面が白く光らなくなった他、狙っている箇所が小さなレーザーサイトで表示されるようになり、快適にプレイできる。
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一方で、ガンアジャストモード(照準調整)が廃止されたことや、筐体メンテナンス周りが複雑化した問題が新たに発生してしまった(詳細は「問題点」を参照)。
ステージについて
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ステージ情報
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ドライクリークプラザ
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ガーランド・スクウェアの左側に位置するデパート。2階の受付カウンター前から、音楽店・倉庫・美術店・廊下・スポーツ用品店を制圧していく。
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このステージのみ、明確な中ボスと言える強敵が登場しない。
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ボスは大型の主砲・誘導ミサイル・上面および側面の機関銃・2門のガトリング砲を搭載した歩兵戦闘車。
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ガーランドパーク
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ガーランド・スクウェアの中央広場。電話ボックスと柱が立ち並ぶ広場下部の屋台村から、彫刻のある中央部・テクノロジーセンター横を制圧していく。
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アーケード版では唯一の屋外戦ステージ。中ボスとして、青兵が操縦する黄緑色の武装オートジャイロ6機が2機・1機・3機に分かれて登場する。
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ボスは機関砲や複数の誘導ロケットと投下爆弾を搭載したRAH-66戦闘ヘリと、その部下であるオートジャイロ3機(うち2機は赤色)。
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ガーランド・テクノロジーセンター
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ガーランド・スクウェアの右側に位置するオフィスビル。換気口からオフィスへ突入、1階上の謎の研究室・上層階の工事中エリアを制圧していく。
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ボスはURDA特殊工作員のデブ&ガリな黒人、タイガーとエッズィ。前者は小銃の乱射や格闘・物の投げつけ、後者は格闘とナイフ投擲で攻撃してくる。
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この2人はステージ途中にも中ボスとして登場するが、ライフゲージを減らしても怯むだけで倒せない。
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ゲイザー1(最終ステージ)
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ガーランド・スクウェアを全制圧したSTFだが、デリックの姿が見当たらない。STFの誰もが疑問に思う中、突如地震が発生。
直後にSTF本部から、ガーランド社がガーランド・スクウェアの地下5kmに極秘裏に建設していた実験用原子炉「ゲイザー1」に関する情報が入る。 彼の目的は当初からゲイザー1を暴走・核爆発させ、英国を滅亡させる事だったのだ。STFは地下の制御室へ急行、デリックらと死闘を繰り広げる。
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ボスは針を撃ちだすショットガンで武装したデリック・リンチと、彼の率いる多数の兵士達。内容は短めながらステージ全体がボス戦となっている。
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最終ステージだが意外な事にステージ中に赤兵が一切登場しない。その代わり、青兵の命中弾を撃つ頻度が非常に高く設定されており、油断は禁物。
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評価点
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非常に爽快感の高いゲームデザイン
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『2』で好評だった要素をベースに、敵と背景物をマシンガンで撃ちまくる爽快感を追求したゲームデザインは高評価を受けた。
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ノーミスヒットボーナス・撃つと減点の仲間等といった、マシンガンでは至難の業な精密射撃に関するスコア要素が軒並み廃止された点も、爽快感強化に繋がっている。
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一方でスコア稼ぎも意識する場合、コンボも重要ではあるが、本作では早くクリアするほど高得点を貰えるタイムボーナスが非常に重要となっており、ハイスコアを狙うにはただ闇雲に撃っていればいいだけでなく、しっかりパターンを考えて、効率良く手短に素早く敵を一掃する必要もあり、やり込んで極めるにおいては正確さが要求される一面も損なってはいない。同時にクリアタイムも重視される点に限っていえば『初代』に回帰したとも言える。
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筐体のガンコンも作中で主人公が使うマシンガンをよく再現しており、内蔵されたモーターによる振動で連射時は爽快感だけでなく迫力も体感できる。
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「クライシスサイト」の存在も、破片や爆発で雑然とした場面でも容易に命中攻撃の識別・回避が可能で、万人向けに配慮されている。
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命中弾発射を事前に知る事が可能になった一方で、今作では命中攻撃の頻度を『2』より上昇させてバランスを取っており、極度にヌルくもなっていない。
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『2』の警告方式では、命中弾の発射が分かるのは敵の「攻撃後」である為、近距離の敵からランダムに命中弾を撃たれると対応できずに被弾というケースが起こりがちだった。
これを今作では警告タイミングを「攻撃前」とした事で、至近距離の敵から命中弾を撃たせても違和感が無くなり、自由な敵配置や迫力のカメラワークを実現している。
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『2』から進化したグラフィックと、抜群に進化した破壊演出
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使用基板は『2』のそれよりもクロック周波数が1.5倍速いCPUを搭載した専用品となり、グラフィック面が全体的に進化。
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特に画面内のオブジェクト量が大幅に増加、『2』では連続ヒット維持の為に数個置かれる程度だった破壊可能な背景物の数は比べ物にならない程に増加した。
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舞台が複合施設という事で、背景物も雑誌・石膏像・陶器・ボール・パン・風船等の商品系、ブラウン管やタワーパソコン等の機材系と非常に独特で豊富。
撃った際の描写も、破片が飛散する・撃った箇所からボロボロと崩れる・撃った分だけへこむ…とかなり細かく、破壊要素への相当なこだわりを感じられる。
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上記以外にも、ボス戦で破壊された建造物が他ステージでも反映される、ガーランドパークでは吹きすさぶ風を木々と落ち葉で表現する等の細かな演出も増加。
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キャラクターのモーションもほぼ全てがモーションキャプチャーによるものとなり、非常に自然かつ滑らかに動いてくれる。
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「接近戦」を意識したシリーズでも最もダイナミックなカメラワーク
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屋内戦がメインであることや、主人公の主な回避手段が従来作の「遮蔽物に隠れる」ではなく「所持している防弾盾で防御する」であること、前述の「クライシスサイト」の存在により、
今作では至近距離での撃ち合いや途中でこちら側が移動しながら攻撃をするアクションポイントが多く、従来作ではシステムの都合上表現しづらかった「接近戦」を見事に表現している。
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この「接近戦」を意識したブレまくりなカメラワークに加えて、進化した破壊表現のこともあり、戦闘中の臨場感はシリーズでも相当なものとなっている。
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爽快感溢れるゲームを支えるサウンド
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製作は従来同様「ひげ中村」こと中村和宏氏がメインで担当。曲調も従来同様のオーケストラ風がメインだが、今作ではドラムやシンバルを強調したものが多くなった。
エリアクリアBGMやダメージ・カウントダウン音・WAIT表示の音も、『2』に似た雰囲気を出しつつ全て新規に製作されており、外伝作ながら「タイムクライシスらしさ」は失われていない。
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効果音も破壊可能な背景物が増えた為、ガラス・コンクリート・木材・紙・風船・金属と、素材毎に異なる破壊音や破片の飛散音が用意され、非常に手が込んでいる。
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因みにシステムボイスに関しては『2』の2P側の流用だが、今作では一部で新ボイス(ゾーンセレクト、コンティニュー時)が使われており、完全な使い回しに終わっていない。
賛否両論点
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散見される非現実的で突飛な演出
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『2』と同様に、主人公のクロードや敵のボス達の戦闘力が現実では明らかにありえない無理のあるもの、あるいは超人的なものになっている。
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クロードは部下を率いて戦っている描写はあるものの、実際はたった1人で歩兵戦闘車や戦闘ヘリをマシンガンで破壊してしまうのだが、これはまだマシな方。
その歩兵戦闘車と戦闘ヘリはわざわざ狭い室内で近距離戦をする・大型ミサイルをSTFがいる歩道橋の破壊に使う…と見た目は派手だが非効率的な戦法を取る。
人間ボスは、何れもが数十発の銃弾を喰らっても怯みもせず攻撃を行い、エッズィに至ってはその状態で重力を若干無視した高速移動を行ってくる。
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ただこれらの演出はそこまで悪目立ちしておらず、舞台に隠された原子炉の存在等のシリアスな雰囲気にアクセントを加える程度に納まっている。
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他にも回避の際に隠れる盾が万能すぎるといった意見もあるが、これはゲーム上の都合がある為、あくまでネタ要素として語られる程度である。
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再び1人プレイ専用ゲームとなった
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グラフィック面が進化したとは言え、『2』で業界初の画面別2人協力プレイを実装し高評価を得ていただけに悔やまれる点である。
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この点は製作側も認知していたのか、下記の移植版や『レイジングストーム』では1画面での2人同時プレイが導入されている。
問題点
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ガンアジャストモードが無くなった
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「特徴」でも触れたように、照準検知方式が変更されたことに伴い、『2』で可能だった「ゲーム開始時の裏技でプレイヤー自らが照準調整できる」機能が削除された。
その為、長期稼動した個体にありがちな「照準がズレていてプレイに支障をきたす」問題が再発した。
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一応、武器がマシンガンであり、精密射撃によるスコアボーナスも無い為、画面の端から端まで撃てる限りはプレイできるのでまだマシではあるが。
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しかもこのCCDカメラのメンテナンスもまた複雑で、採用作品も少ない分スペアパーツの調達も困難であり、オペレーターにも負担を強いる方式となってしまった。
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後の『タイムクライシス3』も今作と同じ照準検知方式を採用した為、精密射撃を要求される場面が頻出する同作では更に大きな問題点となってしまった。
総評
全世界でヒットした『2』のシステムから、独特の爽快感を「武器はマシンガン・撃ったらダメなもの無し」という形で極限まで強化した作品。
低めな難易度と適度なプレイ時間も相まり、基本ルールさえ理解すれば、マシンガンで破壊しまくる爽快感が誰にでも存分に味わえる良作。
余談
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今作の直接的な続編は出ていないものの、2009年に今作のシステムをほぼ引き継いだ『レイジングストーム』が登場した。
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開発は『3』以降の作品と同じネクスエンタテインメント。新たに可変式の難易度や2人同時プレイ、『タイムクライシス4』譲りのボイスシステム等が導入されている。
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本作は、SYSTEM SUPER 23基板で開発された最後のゲームとなった。
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この基板を最後にナムコは独自設計の基板の開発及び発売を終了しており、名実共にナムコ独自基板の最後を飾ったアーケードゲームとなった。
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これ以降、汎用筐体ゲームはPS1ベースのSYSTEM10〜12、大型筐体(と一部の汎用筐体)ゲームはPS2互換のSYSTEM246などの家庭用ハードや、更に数年後になるがPCをそれぞれベースにした基板に完全移行した。
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また、少数ではあるがライバル会社のセガ製基板であるNAOMI基板やChihiro基板を使った作品も存在する。
家庭用移植(日本未発売)
対応機種
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プレイステーション2
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※画像は北米版
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販売元
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ナムコ
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開発元
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ナムコ トーセ
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発売日
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2004年9月17日(欧州版) 2004年10月19日(北米版)
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備考
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ガンコン2対応
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判定
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良作
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ポイント
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変更点の多いリメイク移植 追加要素は非常に豊富 日本未発売が悔やまれる
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概要(PS2)
アーケード版稼働から5年後、プレイステーション2にてフルリメイク版が欧州・北米・韓国で発売された。
欧州版以外はメインタイトルとして「タイムクライシス」の名が付き、シリーズ作であることが強調されている。
アーケード版の半年後を描いた「グラスマーケット地区」シナリオや、「クライシスミッション」等のモードが追加された。
開発は日本のナムコ及びトーセによるものだが、日本国内では未発売に終わった。
ストーリー(PS2)
ガーランド・スクウェア事件から半年後の2001年4月。デリック・リンチの元副官ジャレッド・ハンター率いるURDAの残党が英国の「グラス・マーケット」を占拠。
STF壊滅を目論むジャレッドは、同地区にいたSTF司令官の娘メリッサ・ケスラーを人質に取り、それと引換に英政府に拘束されているURDA構成員の全員釈放を要求した。
これを受けた英政府はすぐさまSTFの第1小隊を派遣、ガーランド・スクウェア事件を遥かに越える、クロードらSTFとURDA残党との激闘が幕を開ける事となる…。
特徴・評価点(PS2)
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PS2版『2』と同様、PS2のパワーを活かしフルリメイクされたグラフィックと演出
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破壊表現を含む全グラフィックがリメイクされた他、今作では敵兵の断末魔とデリックを除くほぼ全ボイスがアーケード版とは別の声優による新録版に差し替えられた。
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BGMも全てアレンジされており、メニュー・カットシーン・追加モード用に数多くの新規BGMも制作されている。
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PS2版『2』では普通の人なら気が付かないレベルであったアーケード版との差異が、今作では外見・ゲームバランス共に多くなった。
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まず殆どのキャラクターデザインが大きく変更されている他、全モードで制限時間の延長、敵の耐久力増加による難易度アップ等が行われている。
アーケード版のリメイクである「ガーランドスクウェア」シナリオでは一部ポイントで敵の追加配置がされており、全体的に間延びした作りとなった。
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充実した追加要素
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追加された「グラスマーケット地区」シナリオは全3ステージ構成で、商店街・ホテル・海上を舞台にURDA残党との戦いが描かれる。
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前半3ステージを攻略する順番を決められた「ガーランドスクウェア」シナリオとは異なり、従来作のように決められた順番で攻略していく。
「ガーランドスクウェア」シナリオのクリアで解禁される事もあってか、敵の配置や命中攻撃の頻度が全編に渡ってかなり激しく、難易度は高め。
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通常のストーリーモードに「ダブルガン」「スペシャルモード」「タイムトライアル」が追加。
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「ダブルガン」はもう1つの銃を片方のコントローラーで撃てる、2丁拳銃兼擬似的な2人協力プレイモード。
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「スペシャルモード」は、『3』の「武器チェンジ機能」を逆輸入したモード。
通常のマシンガンの他、単発の「ハンドガン(8発)」、攻撃範囲の広い「ショットガン(6発)」を切り替えてプレイできる。
このモードのみ黄色服の強化兵が登場し、倒すと特殊武器が一時的に使える完全新規の別ルートへと分岐する。
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「タイムトライアル」は、クリア済のステージを1つだけプレイするモード。このモードのみ黄色服の戦闘員が登場する。
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「クライシスミッション」は複数の訓練を順番に行うものから、武器毎の訓練やボス戦といったジャンルから選択可能となった。
問題点(PS2)
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グラフィックのリメイクによるAC版とのイメージからの乖離
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主人公であるクロード
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ヘルメットを外し、素顔を出したスタイルに。個性は出たものの、「ゴーグル型HUDが無いのに何故クライシスサイトが見えるのか?」と突っ込まれることに。
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新録されたボイスもAC版のそれよりも遥かに演技は上手いのだが、些かクールすぎるきらいがあり、一部の台詞は緊迫感が感じられないようになっている。
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URDAの敵兵とデリック
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ナイフ・手榴弾兵を除く敵兵は、AC版ではガスマスク・弾薬ポーチ等の現代的な装備類に色とりどりのベレー帽を着用というかなり独特なデザインだったが、
PS2版ではポリゴン節約の為か、一般兵は覆面・ゴーグルに防弾アーマー、強化兵は真っ白のパワードスーツという、かなり寂しく平凡な装備になっている。
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デリックはAC版では金髪オールバックに緑の軍服・深紅のベレー帽を纏った痩身男性だったが、PS2版では白髪白髭に白衣姿の体格の良い老兵に。
AC版のどこか狂気を感じさせる風貌と比べると、PS2版は歴戦の老兵といった感じであまりテロ組織の首領っぽくない。
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ガンコン2の検知方式がAC版は違う(余談参照)ことによる影響
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レーザーサイトが削除された。ガンコン2では反映できなかった模様。
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トリガー検知の為、トリガーを引くと画面に硝煙の霧が掛かって白くなるようになった。単発武器使用時はかなり白く光ってしまう。そしてアーケード版同様のマシンガン使用時は、例えるなら常時霧がかかったような画面になってしまう。
総評(PS2)
シリーズ恒例の、オマケ要素大幅強化が施された移植版。
国内未発売なのが悔やまれる。
余談(PS2)
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前述の通り、このPS2版は日本未発売の為、日本版のPS2ではアジア版である韓国版でしかプレイできない。
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欧州・北米版ではそれぞれの地域のPS2が必要となってしまう。
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スタッフロールの「翻訳スタッフ」内には、アメリカ・欧州の他に日本の欄がある。ファミ通の発売スケジュールにも一時掲載されていたとの事から、当初は日本版も発売予定だったようだ。
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なお発売中止理由については明らかにされていないが、先発のPS2版『タイムクライシス3』と発売日が比較的近いこと、既にアーケード版稼働から5年が経過かつ『3』の登場で一世代前の作品と化していたこと、開発当時既に日本ではガンシューティングを含む大型筐体ゲームが斜陽ジャンルになっていたことから、本作のPS2版を日本でリリースすることで『3』のPS2版と客層の奪い合いになることを防ぐ為に、名目上『3』のPS2版に統合という形で発売中止になったものと思われる。
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2005年9月15日に同社が発売したバイクゲーム『MotoGP4』では、ナムコオリジナルコースの広告で『鉄拳5』等に混じって本作欧州版のロゴがある。
これにどの様な意図があったかは不明だが、結果としては日本国内でPS2版の存在が唯一、公のゲームに登場した形となった。
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アーケード版にはなかったが、このPS2版のアーケードモード最終ステージ「ゲイザー1」の原子炉には「97-0418」と刻印されており、これが設置年月を示していた場合は1997年4月18日、即ち本作のストーリー上においてガーランドスクエアが2000年8月にオープンする3年以上も前に原子炉が建造、設置されていたことになる。
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これが本当だとすれば、ガーランドスクエア自体が、実は地下5kmに設置した原子炉を隠蔽する為に建築・建造された可能性が極めて高く、施設の所有企業であるガーランドエレクトリック社も法を犯すレベルのかなり危険な行為を犯していたことになる。
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AC版と違い、ガンコン2は旧来の走査線方式のため液晶テレビには非対応。
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発売当時はブラウン管テレビが主流だったので問題なかったが、現在プレイする場合は要注意。
一応コントローラーだけでも遊べなくはないが、そもそも本作はガンコン2でのプレイが前提である。
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なお走査線方式の原理については初代『タイムクライシス』PS版の余談を参照。
最終更新:2025年03月21日 22:46