メタルサーガ ~鋼の季節~
【めたるさーが はがねのきせつ】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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サクセス
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開発
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クレアテック モバイル&ゲームスタジオ
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発売日
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2006年6月15日
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定価
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5,040円(税5%込)
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レーティング
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CERO:全年齢対象
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判定
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クソゲー
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ポイント
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(メタルマックス)シリーズファン待望の2D新作 使い辛い事この上ないフルタッチオペレーション バグが非常に多い グラフィックやBGMなどは高評価
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メタルマックスシリーズ
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概要
サクセスによる分家筋「メタルサーガ」シリーズ2作目。キャラクターデザインは海外のアーティストとして有名であり、開発中止になった『メタルマックスワイルドアイズ』のキャラクターデザインを担当していた今井修司が担当する事となった。
開発に『メタルマックス』シリーズを生み出した宮岡寛氏とクレアテックが加わり、ハードをDSに移した事でタッチ操作が導入されたが…。
特徴
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ボタン操作はほぼ使用せず、タッチパネルのみで操作するフルタッチオペレーション仕様となっている。
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戦闘画面が従来通りの2Dサイドビューに戻った。
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パーティメンバーは従来の「3人+犬」の4名から「2人+犬」の3名に減少。戦闘に参加できる戦車は一台のみ(一台に二人が乗り込む)。
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特技がレベルアップによる取得、および回数制に変更された。
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戦車の防御力が、従来の装甲タイル方式からシャシーごとの耐久力に変更された。
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またシャシーも強化する事で固定武器などが変化するようになった。
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新たに職業として「料理人」と「ハッカー」が追加された。
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料理人はバイオモンスターに対して絶大な攻撃力を有する他、材料とレシピが揃っていれば料理アイテムを作成できる。
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ハッカーはバトルパソコンでロボットを操作して戦う。マシン・タンク系モンスターから技のデータを吸い出してロボットに使わせる事が可能。
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本作の色物戦車枠はなんと
戦闘機
である。
問題点
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尋常じゃ無い程にバグとフリーズが多い。
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ゲームが進行不可能になるような深刻なバグも多く、一部バグについては攻略本に注意書きが掲載される程である。
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テキストの誤字脱字も当然のように見られる。
「〇〇はガス
は
吐き出した」「〇〇は甲羅
の
閉じこもった」等、特にゲームの進行には問題のない誤字から、人物(姉妹)が間違っているものや、アイテムの効果(回復量)が間違っているというプレイに影響のあるものまで様々。
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取扱説明書でも態々記載する程のウリとしていた戦車装備「オーディン砲」ですらバグ被害の例外ではなく、せっかく組み合わせを考えてもゲーム再開時に初期の組み合わせに戻るなど悲惨な目にあっている。
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バグの数や詳細についてはこちらを参照。
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操作が必然性を感じ辛いタッチ操作のみで、ストレスが溜まりやすい。
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メニューの開閉や選択肢の決定、装備、ありとあらゆる操作をタッチのみで行うのだが、UIのレイアウトは従来作品と全く同じ。
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要は、単に従来ボタンで行っていた操作を全てタッチパネルに落とし込んだだけなのである。タッチ操作の必要性を全く感じない。
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ボタンでの操作もあるにはあるが、Bボタンでのメニューのキャンセルや十字ボタンでのフィールドマップのスライド位しか出番が無い。その上スライドは速度が遅く、結局タッチで動かした方が速い。
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画面内のアイコンも妙にサイズが小さく、DSのタッチペンでも押しづらい。
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一応擁護(?)しておくと、フルタッチペン操作にした理由は当時問題になったコピーへの対策…らしい。公式サイトにも関連しそうなメッセージがある。
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ダッシュ不能で、とにかく移動が遅い。こちらもストレスが溜まる大きな要因の一つ。
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メタルマックス・メタルサーガシリーズとしての魅力を損なう要素がやたら多い。
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シリーズ作品中では自由度が低く、決められた条件を満たさないと解放できない地域が多い。
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このため序盤は一本道で進んでいき、中盤になってやっと自由度が少し上がる。
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しかも中盤のマップ(鉄道工事現場)にバグがあり場合によってはゲームが詰む。
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ワールドマップも従来の徒歩移動形式から各地を繋ぐラインの上を通行するボードゲームの様な形式に変更された。
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その弊害で従来のシリーズの魅力であった手探りで町やダンジョンを見つけていく楽しみが悉く削ぎ落とされてしまい、
街同士を往復する為には必ずダンジョンを経由しなくてはならない為
、非常にテンポを悪くしている。
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ライン通行中は目的地まで辿り着くのに待ち時間を要する為に、遠くの目的地をタッチペンで指定すればするほど二度手間が掛かる煩わしさである。
通行中にも戦闘が発生する
為、その度に戦闘を行わなければならず、移動の為に出来の悪いボードゲームをやらされている様なものである。
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勿論、シリーズ皆勤の転送装置かドックシステムを使えば移動の煩わしさは改善されるが、前者は人間時でしか使えない上に後者は入手出来るのは中盤からと言うあまりにも遅すぎるタイミングである。
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上述した通りパーティメンバーが3名に減少し、戦闘に参加できる戦車は一台のみ。このため、戦車に乗った場合の戦闘は2人だけしか操作できない。
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一応二台目の戦車をけん引して連れていく事が可能ではあるが、勿論戦闘には参加できない。
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戦車の扱いが微妙。
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一部戦車のデザインが不評。グラフィックも2Dドット絵と併用されている為か、統一感に欠ける。
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一部の戦車を5段階まで改造するとフリーズする。
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効果音も全体的に安っぽい。さすがにまるでやる気を感じない程ではないが…。
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ラストダンジョンの攻略難易度が非常に高く、なおかつ仕様が不親切。
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最強クラスの雑魚敵がたむろするダンジョンなのに、かなりの長区間で戦車が使えず、生身での進行を余儀なくされる。これだけならシリーズ他作品でもあるシチュエーションだが、今作では「当該区域に必ずハッカーを連れて行く必要があり、それ以外の仲間が使用できない」という更なる制限が加わる。
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ハッカーは加入が遅いため、仲間が自由に選べるダンジョンでは連れて行く優先度が低くなりがちで、ラスダン攻略までに育成が進んでいないことが多い。ラスダンの雑魚との白兵戦で通用するレベルまで育て上げるのはかなりの手間となる。
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加えて当該箇所は壁に触れると手前のエリアに戻されてしまう仕掛けが全体を通じて大量に存在し、道幅も狭いので慎重に避けて歩いていかなければならない。先述したタッチ操作限定の仕様との相性がすこぶる悪い。
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さらには前述の多数のバグがここにもあり、攻略中にバグのせいでハマりが発生することがある。遭遇すると脱出のために全滅が必至であり非常にストレスが溜まる。
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道中の通行に特定の3種類の料理のうちどれか一つを要求される場面があるが、うち1つが初歩的レベルの料理であり、料理人のレベルによっては成功しすぎて上位種の料理になってしまう。残り2つはかなり高レベルの料理であるため、料理人のレベルが中途半端だと要求料理がどれも作れないことがある。
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ラスボスの直前に車止めがあるため、ラストバトルは強制的に白兵戦となり戦車が使用不可能。ラスボスに唯一有効な武器が白兵用なのでストーリー上仕方がないのだが。
賛否両論点
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あまりにも味の有りすぎるキャラクターデザイン
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前作『砂塵』の神綱征哉氏のアニメ絵から一転して、数々の作品に携わったベテランアーティストの今井修司が担当する事となった。
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今井氏の実力自体は相応であり、人選自体は間違ってないものの、問題なのは味の有りすぎる画風である。本作ではSFC時代にあったスクリプト制御によるドットキャラクターの演技が廃止され、今井氏のカットインによる紙芝居がイベントとして挿入される仕様となった。
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しかし、今井氏の画風は海外アート寄りすぎるせいで味はあるが恐ろしく人を選ぶものとなっており、序盤で主人公が『とある人物の死』に涙を流すシーンがあるが、そこで挿入される紙芝居が『
情けない泣き顔
』と言う想像を重視していた従来のメタルマックスとはかけ離れたものとなっている。
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今井氏が手掛けている本作のパッケージイラストも同様で、本作のメインキャラ5人+1匹がそれぞれの明日を見据えている構図となっているが、力み過ぎたイラストのせいで少々イロモノかつ不気味に感じる。ある意味『4』のパッケージと肩を並べる出来であり、本作を知らない人からすればその異様さに驚くであろう。
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BGMには良曲が多く、且つ世界観に合った物が多い。ただしDS音源の影響か、ヘッドホン無しだと少々音が軽めに感じられてしまう。
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一部のみではあるが、過去作で使用された楽曲も使われている。
評価点
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シリーズでは珍しくロードムービー要素が強い王道的なシナリオで、主人公が旅立ち、道中で5人の仲間を集めながらノアの復活を阻止すると言う展開は地味ながらも安定感のあるものとなっている。後のマルチパーティを採用した『MM3』『MM2R』とは異なり仲間とのイベント上の固定のやり取りも存在する為、本作にしかない魅力があると言える。
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戦車集めや賞金首、わらしべイベントなどシリーズらしいやり込み要素は一通り揃っている。
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シリーズ唯一のクオータービューによるグラフィックドット絵は見栄えが良く、携帯機での次作にあたる『MM3』では背景がローポリゴンの粗いグラフィックになってしまった為、本作の全てドット絵で描画されたグラフィックは地味ながらも特筆すべきものがある。3頭身のキャラクターのドット絵は動きはあまり少ないが、今井修司氏の原画を再現している。
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ただし歩行グラフィックは4方向の物のみ、戦車はキャタピラが動かないなど残念な部分もある。
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本作主人公が初代『メタルマックス』の主人公の息子であると匂わせているなど、シナリオには見所も多い。
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イベント選択肢もネタに走ったものがあるなど、テキスト面もメタルらしさが詰まっていると好評。
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上記の通り不評な要素が多いものの、一部システムは後のシリーズに受け継がれている。
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「回数性の特技」「攻撃範囲の決まった武器」「武器を複数装備できる」など。
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ロケット墓場や迷いの森、鉄道工事現場などのユニークな仕掛けの数々。
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バグなどが足を引っ張っているが、システム的にも非常にユニークで、かつ世界観にもマッチした仕掛けのあるマップが多い。
総評
あまりのバグの多さが原因で、どこぞの2壊同様にシリーズの黒歴史とされる事も多い悲運の作品。
とはいえメタルマックスらしい世界観や一部システム、シナリオ等見るべき要素は多く、実際バグを度外視さえすればそれなりの作品に仕上がってはいる。
メタルマックス・メタルサーガシリーズのコミュニティにおいて本作をやり込んだプレイヤーをそれなりに見かけるのも、その証左と言えよう。
その後のメタルサーガ
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上述通り、本作の評判は散々であり売り上げも2万本と厳しいものであった。
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この所為もあってか後の『旋律の連鎖』(2007年)から『荒野の方舟』(2015年)までは長らく携帯電話での展開となっていた。
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2021年3月13日の「メタルマックス30周年 生誕プレ生放送」にて、メタルサーガシリーズの完全新作「PROJECT WOLF」が発表され、2021年5月24日には正式名称である「メタルサーガ 叛逆ノ狼火」が発表された。対応機種はSwitchのみ明かされているが、ほかのハードでも発売する可能性があるとのこと。
最終更新:2024年03月26日 13:19