このページではオリジナルであるPS2版『学園都市ヴァラノワール』と、GC移植版『学園都市ヴァラノワール ROSES』を紹介します。判定はいずれも「クソゲー・不安定」。


学園都市 ヴァラノワール

【がくえんとし う゛ぁらのわーる】

学園都市 ヴァラノワール ROSES

【がくえんとし う゛ぁらのわーる ろーぜす】

ジャンル アドベンチャー+シミュレーション

対応機種 プレイステーション2
ニンテンドーゲームキューブ
発売元 アイディアファクトリー
発売日 PS2 2002年10月31日
GC 2004年1月23日
定価(税抜) PS2 通常版:6,800円
限定版:7,800円
GC 5,800円
プレイ人数 1人
判定 クソゲー
ゲームバランスが不安定
ポイント ひたすらに運ゲー
意中の相手が運次第で攻略不可能に
声優だけはそこそこ
ネバーランドシリーズリンク


概要

アイディアファクトリーから発売された「ネバーランドシリーズ」の一作。
今作はOVAが作画崩壊やつっこみどころ満載の脚本で有名だが、ゲームそのものもクソゲーであった。
GC版はアニメーションを追加しており、「アニメゲーム」と銘打っている。


ストーリー

魔導世紀1048年、シンバ帝国によって設立された『魔法学園都市 ヴァラノワール』。
当初、戦乱の世にあり、優秀な武将を育成するために設立されたこの学園もシンバ帝国崩壊と共に、
独立国家として多くの勇者を輩出することになる。

学園の中にあり、人知を超えた邪神や魔王と戦うための勇者を学校教育によって生み出そうとする機関『勇者育成学部』。
そこで、神の領域の学問を学べる生徒はエリート中のエリートに限られた。
学園中の中等部から『天才』と呼ばれる生徒達が集まり、『勇者育成学部』への進学を掛けて、
今日も実戦さながらの受験を繰り返す。
壮絶極まるその争いの日々を、いつしか人は『受験戦争』と呼ぶようになった・・・。

そうした中、ミュウとお爺さんは学園都市の煙突掃除をして暮らしていた。
ある日、お爺さんはミュウに今まで貯めてきたお金と、一本の剣を手渡し、勇者育成学部への編入を薦める。
わけも分からず、しかし、学園生活に胸躍らせるミュウが抱くその剣こそ天魔剣であった。
その一振りの剣と、天才と呼ばれるリュート・クリスタルとの出会いがミュウの運命を変えるのであった・・・。(製品紹介ページより引用)

システム

  • 学園アドベンチャーと戦術シミュレーション要素が合わさったシステムになっている。
    • ゲーム内時間は1週間単位で経過し、「試験に挑戦」するか「試験は今度」にして他の生徒とのイベントを見るかのどちらかを選ぶ。
    • 「試験」を合格することがゲームの進行につながる。指定されたダンジョンの最深部に到達することなどが条件。期限が存在するため計画的に攻略する必要がある。
    • ダンジョンは戦術シミュレーションのバトルになる。システムは一般的なものだが、マップに段差がありいきなり高いところには登れないことや、キャラの向きの概念があり後ろや横から攻撃を受けると被ダメージが増加するといった要素がある。
    • マップにはアイテムが落ちていてそれを回収することができる。クラスメイトと遭遇することもあり、勧誘して試験をいっしょに進めることが可能。
    • 試験に挑戦しない場合は学園の教室や中庭などから1箇所を選び散策する。イベントの発生条件を満たしていればイベントが発生する。
  • アイテム合成システム
    • 今作はダンジョンに突入する際には必ずレベル1から開始される。そのため装備品を充実させておくことが攻略のカギとなる。
    • 所持しているアイテムを「賢者の石」というアイテムを消費することで合成することが可能。
    • 合成することでより強力な武具にしたり、特殊効果を他のアイテムから移してくることが可能。
    • 基本的に同種のアイテム同士で合成するが、異種のアイテムで合成した場合は何が生成されるかランダムになる。

問題点

  • 猛烈な運ゲー
    • シミュレーション面においてもアドベンチャー面においてもひたすら運次第の要素がある。
    • シミュレーション面においてはMAPの配置のランダム要素が強すぎる点がある。
      • 敵味方の初期配置や落ちているアイテムが完全ランダムのため戦略が立てられない。
      • 味方がいきなり敵陣の真ん中で有無を言わさず袋叩き、落ちているアイテムにろくなものがない、勧誘しようとしたキャラが敵に袋叩きで勧誘前にやられる、そもそもお目当てのキャラがマップに出現しないなどなど。
      • 首尾よくお目当てのキャラとめぐり合えても勧誘できるとは限らない。運が悪いと勧誘を断られ、勧誘しようとしたキャラに次のターンでこちらが攻撃されて戦闘不能なんてこともある。しかも悪い事に、主人公のミュウは素早さのパラメーターが低めで行動順が後半どころか最後という事も多く、勧誘前に殴られる事もザラ。
    • アドベンチャー面においてもランダム要素が襲い掛かる。
      • 試験終了ごとに登場キャラの何名かが強制退学となり登場しなくなる。この人選がランダムなため、攻略対象がいなくなってしまうことも。これは勧誘して一緒に試験をクリアしていたとしても発生する可能性がある。ライバルキャラであるリュートは例外で最後まで居なくなることは無いが、他はいくら仲良くなろうが運が悪ければ居なくなってしまう。
      • イベントの発生にはキャラごとの「親愛度」を高める必要があるが、これを上げるにはシミュレーションパートで行動を共にしていくしかない。だが勧誘できるかは運ゲーなので結果としてイベントを起こせるかも運が大いに絡む。さらに、試験を終えるごとに解散するため、次の試験開始後に再び運ゲーを乗り越えて勧誘成功する必要がある。
      • 「親愛度」がある程度以上のキャラが退学になると、別れのイベントが発生する。狙ってみる事が難しいのである意味レアイベントだが、お気に入りのキャラとの別れを見られて喜ぶプレイヤーはまず居ないだろう。
      • 直接の運ゲー要素ではないが、試験に挑戦しないときのイベント発生も不親切で、散策箇所も多数のためそう簡単に狙ったキャラのイベントは起こせない。また、試験の合格が優先されがちになるためこの要素そのものが中途半端になりやすい。
      • キャラを攻略する際に必須となるイベントには、対象キャラを勧誘している状態「では無い」事が発生条件のイベントも。大抵のキャラは最初のイベント位なのだが、全てのイベントがこの条件のキャラも居る。
      • 学園らしく文化祭や体育祭などのイベントもある。ただし特定のキャラが残っていないと発生しない。誰が残っているかによって同じイベントでも複数のパターンがあるのだが、条件となるキャラが1人でも欠けていれば該当パターンは見れず、また前述の通り誰が退学になるか等はランダムの為狙って発生させるというのは至難。 全てのパターンで条件を満たせていない場合、「祖父の仕事の手伝いで参加できなかった」というさみしいイベントを見るハメに・・・。
    • このようなランダム性の高さから、セーブ&ロードは必須作業となっている。
  • とれていない戦闘バランス
    • 試験開始時は必ずレベル1からという都合上、敵を倒してレベルアップしつつ進むのが常道となっている。
    • しかし、レベルアップのペースと敵の強化具合が釣り合っていないため、奥に進むに連れて急激に戦闘がつらくなる。まともなバランスなのは最初の試験のダンジョンぐらい。
  • 戦闘のテンポが悪い
    • システム設定でキャラボイスをオフにしないと行動したりするたびにボイスが挿入され異様にテンポが悪くなる。
    • 敵AIの処理速度がやや遅く、何も行動しない場合でも処理時間が同種のゲームに比べて長い。
    • 攻撃やユニットが撃破されたときなどの演出がいちいち長く、これもゲームのテンポを悪化させている。
    • シナリオが進むに連れてダンジョンの階層も深くなっていくのだが、テンポの悪さから時間を食われて飽きやすい。
  • キャラクターについて
    • 登場キャラクターがとても多く、序盤から大量に顔見せだけはあるもののキャラの把握や感情移入が難しい。
    • 説明書にもすべてのキャラは載っていない上に、出会えるかどうかに運が絡むこともあり全容の把握は困難を極める。
    • 人数が多めなためか、差別化が上手くいっていないと感じるユーザーもいる。
  • セーブシステム関連
    • 非常に運要素の強いゲームであるにもかかわらずセーブデータは3つまでというPS1時代と同じ仕様。
    • ソフトリセットがないため、一々本体をリセットして再開するしかない。運要素が強いことと重なり非常に苦痛。
    • セーブ可能なのは試験場へ行く前の準備中と試験場で次の階層に行く前のみ。他のキャラクターとの交流イベントを見ようと思ったら試験場から抜ける直前のセーブデータを用意しておくしかない。

賛否両論点

  • ダンジョンに挑戦するたびにスキルリセット・レベル1からスタートに戻される仕様
    • 硬派なダンジョンRPGによくあるシステムであるが、時代の変遷と共に受け入れられるユーザーとそうでないユーザーとで真っ二つに評価が分かれてしまっている。
    • 肯定派はキャラごとの成長率などに左右されず、毎回好きなキャラを固定して使っていけるという点にも注目している。
    • 一方で賽の河原のようだと捉えてこれをもってクソゲーの理由とする意見もある。

評価点

  • キャライラストはかわいい。キャラボイスもそれなりに仕上がっている。
    • イラストのかわいさは思わずジャケット買いしてしまいそうになるほど。
  • 多様なアイテム合成や攻略キャラ多数でやりこみをするだけのボリュームはある。
    • 圧倒的な運ゲーを乗り越えられればの話だが。
  • 米倉千尋氏の歌うオープニングテーマ「Bridge」が良質。

総評

圧倒的運ゲー、その一言に尽きる。
クリアだけでもランダム要素に振り回されることになるが、特定のキャラの攻略ともなれば膨大な試行回数を要求される苦行にも近い作業ゲーである。
先の状況を見通し、計算して計画を立て行動するというSLGの基本になる部分も運要素に左右されてしまう。ゲームとしての醍醐味すらぶち壊しとなっている。
ボリューム自体はあるので10000階の塔を踏破するような気概のある、クソゲーハンターを極めたようなユーザーならもしかすると楽しめるかもしれないが、普通のゲーマーは決して買ってはいけないソフトである。


余談

  • 気が狂ったような運ゲーであるにもかかわらず、ゲーム内称号をコンプリートしたプレイヤーに毎月抽選で10名に原画家直筆サイン色紙プレゼントキャンペーンを実施していた。果たして何人が応募要件を満たしたのだろうか…?

その後の展開

  • 同時メディア展開がなされた作品でもあり、色々と関連作が発売された。
    • 主題歌CD、トレーディングカードゲーム、コミック連載、コスプレ衣装と八面六臂。そこにかける労力をゲームに注ぎ込めなかったのだろうか…?
    • ゲーム発売に先駆け、OVA前巻が2002年10月23日に発売された。後編は2002年11月27日発売。
      • 日本アニメ史上の汚点と言えるほどの作画崩壊アニメであり、『ガンドレス』や『ロスト・ユニバース』ヤシガニ回に並び立つクソ作画として有名となった。
      • こちらも主題歌は『Bridge』であり、EDはOPと同じく米倉千尋の歌う『Stars』となっている。
    • コミックZERO-SUMで『学園都市ヴァラノワール 勇者育成講座』が連載された。全2巻。作者は碧門たかね。
    • 小説『学園都市ヴァラノワール 未来は薔薇の色』が2002年11月20日に発売された。作者は桜庭一樹。
  • GC移植版『学園都市 ヴァラノワール ローゼス』が2004年1月23日に発売された。
  • 本作の登場人物は「スペクトラルソウルズシリーズ」に多く続投している。
最終更新:2023年10月24日 08:50