ディズニー エピックミッキー:ミッキーのふしぎな冒険
【でぃずにー えぴっくみっきー みっきーのふしぎなぼうけん】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ニンテンドー3DS
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発売元
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スパイク・チュンソフト
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開発元
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DreamRift
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発売日
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2013年9月26日
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定価
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5,040円
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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『アイラブディズニー』シリーズを意識したレトロリスペクティブなアクション
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ディズニーシリーズリンク
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概要
Wii版が好評を博したことによりシリーズ化された、エピックミッキーシリーズの1作品。Wii版の正当続編である『ディズニー エピックミッキー2: 二つの力』と同日に発売された。
こちらは『2』までの開発元であるジャンクションポイントではなく、DreamRiftというオーランドのゲームスタジオが開発を担当したいわば外注作品であり、外伝作のような立ち位置である。
ストーリー
忘れられたキャラクターたちが暮らす世界、ウェイストランドに、突如不気味なお城が現れた。
それは、人々に忘れ去られたことによりウェイストランドに送り込まれた邪悪な魔女ミズラベルが支配するふしぎなお城だった。
ミズラベルはカートゥーンワールドのキャラクターたちをお城に閉じ込め、ハートパワーを奪っていた。
ウェイストランドのリーダーであるオズワルドは、ミズラベルに立ち向かうためにかつてウェイストランドを救った英雄・ミッキーマウスに助けを求めた。
ミニーマウスもさらわれたと聞いたミッキーマウスは、イェン・シッドのアトリエから魔法の絵筆を手にし、ウェイストランドへと再び向かった。
特徴
副題「ふしぎな冒険」及び原題の「Power of Illusion」からもわかる通り、MDで発売された『アイラブミッキーマウス ふしぎのお城大冒険』(原題:Castle of Illusion、以下「ふしぎなお城」)などのクラシックなミッキーの横スクロールアクションを意識した作りになっている。
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ミッキーの攻撃手段は「ふしぎなお城」同様のヒップアタックによる踏み付けと、スピンによる近距離攻撃、魔法の絵筆からペイント・イレーサーを飛ばす遠距離攻撃。
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ペイントで敵を倒すとハートを、イレーサーで倒すとEチケット(後述)を落としやすい。
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下画面にはミッキーの現在位置と、ペイントで具現化できるオブジェクトがアウトラインで、イレーサーで消せるオブジェクトが青色で表示されている。タッチすることでゲーム内の時間が止まり、ペイントやイレーサーでオブジェクトを描いたり消したりできるようになる。
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ペイントするときはタッチペンで線をなぞることで具現化する。なぞりはBADからPERFECTの4段階で評価され、良い評価を得るとペイントとイレーサーが回復するが、はみ出しすぎてBADになるとペイントを減らされてしまう。
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また、ペイントの結果に応じてスターゲージも増え、半分以上貯まるとミッキーのスピードと攻撃力、ジャンプ力が一定時間強化される。
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イレーサーで消すときはタッチペンを使ってオブジェクトを塗りつぶす必要がある。オブジェクトの膨らみには通貨のEチケットが隠れておりイレーサーでなぞると入手できるが、一定時間で膨らみは消えてしまう。こちらにはBAD判定のみがあり、はみ出すとイレーサーを減らされてしまう。
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ゲームが進むと「スケッチ」というペイントで召喚できるアイテムが手に入る。足場などを配置するタイプや、ティンカーベルなどのミッキーを強化するタイプ、スクルージやグーフィーなどの味方を呼び出すタイプがある。召喚には一定量以上の残ペイントが必要。
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マップの各地には、ディズニー映画のキャラクターが閉じ込められている。助け出すことで、お城の拠点である「とりで」の部屋に住むようになる。
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とりででは助けたキャラクターからクエストを受けられる。クエストにはペイントでオブジェクトを描くものや、とりでの中の他のキャラクターに助けてもらって解決するもの、各ステージに隠されている仲間のキャラクターやアイテムを持ってくるものがある。
クエストをクリアするとEチケットがもらえたり、ミッキーのハートや攻撃力などがパワーアップする。
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スクルージなどの商人キャラを助けると、Eチケットでパワーアップを購入できるお店を開いてくれる。
評価点
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グラフィック
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16bit時代を彷彿とさせる懐かしいドット絵で描かれたミッキーやディズニーキャラクターは再現度も高く、表情も豊かで好評。
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レトロディズニーゲーへのリスペクト
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ミッキーの操作性や技はエピックミッキー特有の絵筆攻撃を除けばMDのアイラブミッキーマウスシリーズそのもの。効果音もアイラブミッキーシリーズから引用している。ラスボスであるミズラベルも「ふしぎのお城」のラスボスであり、ミニーがさらわれるシチュエーションも再現している。
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アイラブミッキー以外にも、スクルージが杖ホッピングで攻撃したり、アラジンがリンゴ投げで攻撃するなど、8bit~16bit時代のディズニーゲーへのリスペクトが随所に見られる。
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程よい難易度
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ディズニーゲーらしく、難易度はアクションに不慣れな人や子供でもクリアしやすいものになっている。
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苦戦したとしても、とりででパワーアップを購入したりクエストをこなしたりしてミッキーを強化すれば難なく進めるようになる。
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残機制も廃止されており、デスペナルティも中間ポイントまで進行が巻き戻るだけと軽い。後述の問題も発生しているが…
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さまざまなキャラクターが出演
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「白雪姫」から「塔の上のラプンツェル」まで、主要な長編映画からキャラクターが出演している。
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お姫様に照れるグーフィーや、「アラジン」の商人ペドロやティアナに出資するスクルージなど、キャラクター同士のクロスオーバー会話も見られる。
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エピックミッキーの世界観を活かしている
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ストーリーでも触れられた通り、本作の事件は「人々に忘れ去られたキャラクターが送られる世界」であるウェイストランドに、人々に忘れ去られたレトロゲームである「ふしぎなお城」のラスボスミズラベルが送り込まれたことにより始まる。レトロディズニーゲーへのリスペクトと、エピックミッキーならではの設定を両立させていると言えるだろう。
賛否両論点
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キャラ間の格差
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ボイスはミッキーとオズワルド、ドナルド、グーフィー、後述のピートにのみ用意されている。「ハハッ!」や「グワワワ」といった掛け声程度であり、他のキャラクターは終始無言。少し寂しいとはいえ、携帯機ゆえの容量やオリジナル声優を集める手間を鑑みると仕方ない面もある。
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「ライオンキング」のザズーが「ザズ」と名前を間違えられていたり、口調に違和感のあるキャラクターもいる。ここら辺は翻訳の問題。
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白雪姫などの戦う術を持たないキャラクターはともかく、ムーランやラプンツェルのような原作で悪人と戦う描写のあるアグレッシブなキャラクターが城内の一角で棒立ちのままミッキーの助けを待っているのは、違和感がある。
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ステージモチーフの一つとして選出されているとはいえ、ピーターパンのウェンディらダーリング兄弟にそれぞれ別の部屋が用意されている。ちょっと優遇気味。それに対して救出するのが後半とはいえ、オーロラやティアナは仲間のキャラクターが登場しないなど、冷遇気味。
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ピノキオに至っては救出後はジミニーとともにとりでメインホールに待機する都合上、話しかけることすらできなくなってしまう。
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据え置き版2作では大活躍するオズワルドだが、今作ではとりでのメインホールに滞在しており、オープニングとエンディング以外ではまともな出番がない。ナビゲート役だったガス・グレムリンに至っては説明書のストーリー以外影も形もない。人気映画のキャラクターは充実している分、エピックミッキーの特色だったクラシックキャラクターの出番はことごとく削られている。
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本作のナビゲーション役は、最初にミッキーが出会ったジミニークリケットが担う。
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一番扱いがひどいのがピートであり、救出対象としてではなく、ちょっと強い雑魚敵として複数体登場する。ミズラベルが作ったコピーという設定なのだろうが…
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地震攻撃などをしてくる通常版と、
トゲゾーのような
甲羅に入っていてスピン以外でダメージが与えられないタイプの2種類あるが、タフな通常ピートと比べ甲羅ピートは一度スピンでひっくり返せば攻撃一発で倒れる。明らかに弱い。他にギミックとしてピートの顔が描かれた
ドッスン
ピート・スマッシャーが登場する。
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エピックミッキーならではの要素
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オリジナルのエピックミッキーの世界観ならではのダークさや、悪人プレイも可能なゲーム進行の自由度は失われてしまっている。
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「いつものディズニー」らしいといえばディズニーらしいファンタジックな世界観でもある。ここら辺は前作ファンとそうでないディズニーファンの間で意見が分かれるところであろう。
問題点
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テンポの悪さ
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先に進むためには、ペイントやイレーサーを使ってオブジェクトを描いたり消したりする必要があるのだが、このペイントやイレーサーを使ったギミックが頻繁に出てくるため、ゲームのテンポを大きく削いでいる。
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ペイントでオブジェクトを描いたりイレーサーで消したりする度に演出が挟まる。オブジェクトを描いた後に消さなくてはいけない場面、連続した大砲を描かなくてはならない場面など、ペイント・イレーサーを連続して使う場面ではかなり冗長になる。
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ペイントもイレーサーも適当になぞってはみ出すとペイントやイレーサーが大幅に減らされるペナルティを受けてしまう。そのため適当に済ませることができない。
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また、デスペナルティではステージ進行がチェックポイントまで巻き戻るが、巻き戻るまでに入手した宝箱や助けたキャラクターも入手、救出前に戻ってしまう。そのためまた宝箱やキャラの元に行き、入手時の会話イベントをもう一度見なくてはならない。
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ボリューム不足
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ステージは全部で11個。ボスもラスボス含めて3体のみ。プレイ時間は正味5時間~クエストを全てクリアして8時間程度。
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クリアデータはセーブされず、クリア後に解放される要素もない。クエストを全てクリアした場合でもエンディングが少し変わるだけ。
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また、一度倒したボスとの再戦もできない。
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スケッチの格差
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スケッチはペイントを多く消費する。そのため気軽に連発できない。
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全体的に、足場を呼び出すスケッチの「プラチナプラットフォーム」を使ってミッキーだけでは行けない場所にある宝箱を取りに行くというパターンが多い。探索はプラットフォームと落下速度が遅くなる「ティンカーベル」があれば済んでしまう。
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反面、いつでもアイテムを入手できる「ナゾの宝箱」から出てくるハートやEチケットは雀の涙ほどなので緊急回復手段としても稼ぎとしても機能しておらず産廃になってしまっている。
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印象に残らない音楽
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Wii版では各クラシック短編のアレンジ曲を使用していたが、本作は全てオリジナル曲。
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各映画の世界が舞台だが、アラジンやピーターパンなどの名曲は流れない。
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音楽の出来は悪いわけでもなく、雰囲気にはあっているのだが、下画面でのペイント・イレーサー使用中は別の曲に切り替わってしまうため、ステージ曲の印象が薄くなってしまっている。
総評
ボリュームのなさやテンポの悪さは目につくが、アクションゲームとしては破綻しておらず、それなりに楽しむことができる1作である。
エピックミッキーシリーズとして見た場合はシリーズファンには不満な部分もあるが、人気のキャラクターが多数登場し、彼らと交流できる点はディズニーファンには嬉しいところ。
レトロゲームファンやディズニー映画のファンなら手に取ってみてもいいだろう。
余談
英語版のパッケージには、なぜか本作には一切登場しないハートの女王が描かれている。日本語版では本作に登場するマッドハッターに差し替えられている。
最終更新:2024年07月15日 22:04