ダイナブラザーズ2
【だいなぶらざーずつー】
ジャンル
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リアルタイムシミュレーション
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対応機種
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メガドライブ
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発売・開発元
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CSK総合研究所
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発売日
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1993年12月3日
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定価
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8,800円(税別)
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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良作
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ポイント
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初心者向けで完成度の高いRTS コミカルだが筋の通ったシナリオ 可愛いキャラクター達
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概要
メガドライブで発売されたRTS。恐竜たちの神となって恐竜たちを導き、攻めてきた宇宙人の撃退を目指す。
前作からシステムを改良し、前作にはなかったストーリーも用意されている。
ストーリー
前作で文明の存在しないジュラ星に攻めてきた宇宙人たちは恐竜たちの抵抗により侵略に失敗した。
ジュラ星に取り残された宇宙人のハカセとティアラは宇宙人軍団の生き残りを探し出し、UFOの残骸をかき集めて恐竜たちを退治しようと再び行動を開始する。
あなたは創造神「The Egg」となり、恐竜たちを導き、宇宙人の野望を食い止めるのが目的だ。
特徴
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ゲームモードは「れんしゅう」「ストーリー」「オリジナル」「たいけつ」の4モードが存在する。
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れんしゅうでは各恐竜ごとの動き方を解説するチュートリアルがプレイ可能。
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ストーリーは全45面あるステージを攻略していく。合間にストーリーデモが挟まれる。
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オリジナルはEASY、NORMAL、HARDの難易度ごとに各10面のステージを攻略する。前作準拠のシンプルなモード。
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たいけつは恐竜チームと宇宙人軍に分かれて戦う2P対戦モード。
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プレイヤーは攻撃側と防御側に分かれ、時間経過でそれぞれのターンが入れ替わる。防御ターン時には一部のコマンドの動作が変化する。
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対戦時には環境を選択してハンデをつけたり、上級者用の高難易度モードも用意されている。
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プレイヤーは様々なコマンドを駆使してオートで行動する恐竜たちを導いていく。
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敵を全滅するとステージクリア、逆に味方が全滅するとゲームオーバーのシンプルなルール。
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コマンドはおおまかに「自然」「指令」「導き」「The Egg」「卵創造」「植物創造」「遺伝子操作」「マーキング」「キャッチ」の9系統が存在し、さらに細かく細分化される。
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一部のコマンドを使用する際はパワーを消費する必要がある。パワーは活動中の味方ユニットから定期的に得られる。
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コマンド詳細
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系統
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コマンド
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消費パワー
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詳細
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自然
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降雨
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50
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味方の周りに雨を降らせる。植物の成長促進や荒れ地の整備、火災の消化など幅広く使える基本コマンド。 同じ場所に使い続けると地形が湿地に変化する。
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日照り
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800
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太陽光線を放射し、草類を弱らせる。湿地を乾かしたり、積雪を溶かせる。 使い続けると干ばつが起こり、地形を乾燥させる。
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落雷
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700
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電気ショックによって付近の卵を一斉に孵化させる。樹木の破壊や敵を気絶させることもできる。
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大雨
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1800
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画面全体に集中豪雨を降らせる。降雨の数倍の効果を持ち、連続して行うと洪水が起こる。
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暴風
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1500
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風の力で生物たちをかき乱し、樹木を吹き飛ばす。うまく使えば行動をコントロールできる。連続して使用すると大嵐となり、生物すら吹き飛ぶ。
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地震
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2000
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振動で卵を破壊する。連続して使用すると大地震となり地割れが発生し、生物を気絶させる。 地形によっては二次災害が発生する。
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隕石
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8000
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無数の隕石を降らせ、地形もろとも破壊する最強の自然現象。 地割れ、火災の拡大などで生物や植物のほとんどを死滅させる。
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指令
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進撃モード
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全ての恐竜を指定した方向へ移動させる。攻撃タイプの恐竜は身近な敵や視界に入った敵を優先する。 基本状態である全方向を選択すると、自由に活動する。
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繁殖モード
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草食獣が繁殖しやすい状況にする。肉食獣は視界に入った敵だけを攻撃し、迎撃型はほとんど動かなくなる。
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集合モード
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指定した場所に向かわせることができる。
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突撃モード
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要
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指定した敵を取り囲んで攻撃させる。倒すと全方向進撃に戻る。モード中は徐々にパワーを消費する。
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乱闘モード
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要
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恐竜たちを狂暴化させる。優勢時に一気呵成する時に使う。モード中は徐々にパワーを消費する。
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導き
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1行動ごとに50
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指定した恐竜に乗り移って移動する方向などを指定できる。
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The Egg
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自軍拠点に瞬時に画面を移動する。
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卵創造
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要
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パワーを消費して特定の恐竜の卵を作る。恐竜ごとに必要パワーは異なる。
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植物創造
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要
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指定した場所に植物を作る。地形によっては生えない。植物ごとに必要パワーは異なる。
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遺伝子操作
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要
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指定した卵の遺伝子を操作し、種族を変えたり能力を強化できる。 スカポン卵(無精卵)を草食獣にすることも可能。改造内容によって必要パワーは異なる。
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マーキング
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指定したキャラをトレースする。
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キャッチ
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マーキングしたキャラの位置に瞬時に画面を移動する。
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登場する恐竜/宇宙人は草食獣や肉食獣などの種族が存在し、自動的に活動する。
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食物連鎖の要素もあり、場合によっては味方同士である肉食獣が草食獣を食べてしまうこともある。
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恐竜たちは食事をとることで体力が回復し、体力が一定以上になると卵を産んで増える。体力がなくなると死亡する。
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今作では新たに必殺技が追加され、ランダムで大ダメージを与えることができる。
+
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生物の種類
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恐竜/宇宙人
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種別
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詳細
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ステゴ/ナメじろー
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繁殖型草食獣
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もっとも基本の生物。繁殖させやすく、パワーの吸収効率が最も高いが、放置しても増えすぎるほどなので注意。改造用の卵供給源としても優秀。ただ体力が非常に低く攻撃力も低い。天敵の敵肉食獣にモリモリ食われたり、飢えでバタバタ死んだりする。
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トリケラ/コロむんき
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防衛型草食獣
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攻撃力は低いが体力はかなり高く、敵肉食獣に勝てずとも弱らせ、弱った肉食獣なら勝てる。荒れた地形に強く、飢えにも強い。反面、ステゴにパワー吸収効率で劣り、特に繁殖力はかなり劣る。
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アロ/にんぽーくん、ポンポン
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迎撃型肉食獣
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全キャラ中最速の足を持ち、攻撃型に次ぐ戦闘力を持つ。卵食獣の天敵。ただ、迎撃型なだけあってあまり動かないため誘導してやる必要がある。
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ティラノ/ガウガウ、ボスナイト
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攻撃型肉食獣
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全キャラ中最高の攻撃力の持ち主で体力も高い。敵地に入り込めれば草食獣を食いまくり、一気に荒らすことができる。荒れた地形には弱い…というかそこで消耗しては勝てないので、雨で進撃路を整備してやるのが重要。繁殖はかなりしにくい。
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プテラ/バッタもん
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飛行型肉食獣
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今作から初登場の唯一飛行可能な生物。荒れ地や水上でも追加の体力消費が無く、ある程度は地形を気にせず移動できる。肉食獣の割に攻撃力・体力とも高くなく、戦闘で活躍できるかは地形次第など、使いこなしは難しいが魚食可能等々利点も大きい。
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ピーちゃん/ペロリンチッチ、ティアラ
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卵食獣
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卵を食べる唯一の種族。卵状態なら肉食獣だろうと無力。最速もあって敵の戦力を減らすことに長けるが、戦闘力はほとんどない。迎撃型が居なければ無双状態。
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パスワードコンティニュー制。
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ストーリーモードだけでなく、れんしゅう、オリジナルモードそれぞれにパスワードが用意されている。
評価点
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笑いあり涙ありのシナリオ
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コミカルなキャラクターたちのやりとりが楽しく、恐竜たちや宇宙人側のキャラも立っている。
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科学文明の発展ばかり追いかけるハカセ、とあるきっかけで恐竜たちと関わっていくティアラ、乱暴者だが仲間想いのガウガウ、傲慢だがおバカでどこか憎めないバッタもんなど宇宙人側のキャラはとくに濃く、印象に残る。
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中盤から登場するクローン部隊ダイナブラボーズも忘れてはいけない。専用のテーマと共に終始脱力させる彼らとハカセのやりとりはシリアスな展開に笑いを提供してくれる。
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気の抜けるコミカルな展開も多いが、一方で仲間の死を悲しんだり、危機に駆け付ける熱い展開も豊富に用意されている。そして、エンディングではジュラ星の秘密が明かされる。
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命や自然の大切さを訴えつつ、最後までコミカルさを忘れない物語は本作の人気を支えている。
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れんしゅうモードのチュートリアルも彼らの会話によって進行し、それぞれの特徴やコマンドの使い方を丁寧に教えてくれるので理解しやすい。
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グラフィック、音楽
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恐竜や宇宙人たちのグラフィックも可愛く、デモシーンではコミカルに動き回るので見ているだけでも楽しい。
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背景や演出も非常に気合が入っており、特にエンディングにおける演出は素晴らしいの一言。隠しパスワードで恐竜たちのアニメーションだけを見る機能も用意されている。
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音楽面も本作の雰囲気に非常にマッチしている。
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雰囲気に合わせたほのぼのとした曲から悲壮な場面の曲、一発逆転時の曲など豊富な曲があり気分を盛り上げてくれる。
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初心者でも遊びやすいRTS
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ボタン操作から入る懇切丁寧なチュートリアルが用意され、ストーリーモードも序盤は使える恐竜やコマンドが少ない状態で始まり、徐々に要素が増えていくため初心者でもとっつきやすい。
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基本的な流れは雨を降らす→草食獣を増やしてパワーを確保→パワーが溜まったら肉食獣を作り、進撃方向を決める…とこれだけ。
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しかしながら地殻変動によるユニットの強化・弱体化や天変地異を起こすことで味方を有利にしたり、植物による妨害、新たな種族、コマンドの追加で戦略性も高められており奥深さも失われておらず、非常に出来が良い。
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パスワードも文字数が少なめで単語になっているので、憶えやすい。
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良好なゲームバランス
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難易度曲線も絶妙で、誰でも遊びやすい序盤から終盤はRTSらしく歯ごたえのある難易度となっている。
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各面はキャラの生息圏を拡大するのが基本で、敵陣とは距離と荒れ地などが障害となっている。奇跡も味方生物が居ないと出来ない。生息圏を拡大すれば自然と間の障害が減っていく。なので、自陣の強化・拡大に専念できる序盤、拡大しつつ障害を超えて奇襲する中盤(低難易度だとここで片が付く)、ノーガードの殴り合いになる終盤、と無理なく移行できる。
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低難易度面は数分もあれば終わってしまうものの、高難易度面はじっくり腰を据えて攻略する必要があり、SLG好きにも満足できる内容である。
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ストーリーモード後半にはパズル要素の強いステージやステゴ1匹だけで周囲を囲まれたステージ、最初は何も見えないステージなど特徴的な高難易度ステージが多数登場するので、何度も試行錯誤を繰り返すことになるだろう。
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クリア時にはクリア時間や残りの恐竜たちが表示される。各ステージの解法も多数存在するため、身に着けたテクニックを使った早解きや縛りを入れて繰り返しプレイするのも面白い。
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2P対戦では卵食獣からいかに卵を護るかといった読みあいもあり、こちらもなかなか楽しめる。
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ストーリー、オリジナル合わせて70面以上に加え、パスワードによる隠しステージ15面とボリュームも豊富。また、2P対戦用の隠しゲーム「ダイナ・ファイト」も収録されている。
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ある意味リアルな弱肉強食と色々な戦術
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奇跡の素たるパワーを得るためにも、繁殖型草食獣のステゴを増やすのが基本だが、増やしすぎると草を食べ尽くしてガンガン餓死し始める。しかしステゴが減ると草の回復の方が多くなり、ステゴが再び増えだす。
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トリケラは防衛型だが、敵陣に突っ込ませる方法もある。ティラノで敵草食獣を食っても草がそのままなら、早々に敵草食獣の個体数も回復してしまうので、草を食べてそれを潰すのだ。また離れ小島へ強行上陸するなど、ステゴにできないことができる。
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肉食獣もしばらく食べないと味方を容赦なく襲い始める。逆に敵地侵攻前や敵肉食獣迎撃前に繁殖型を食わせる手もある。
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敵の侵攻に対して対抗策を用意しておかないと蹂躙、あまつさえ増殖される。まさしく天敵不在の自然界。逆に仕込んで置いたトリケラ防衛網が数匹目で敵肉食獣を倒したり、置いておいたアロが敵卵食獣を撃退したりはしてやったり!な感じ。しかし敵が来ないと…
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プテラもコストの割に弱いが、水場があれば魚を食べて自活できるという長所があり、温存して徐々に増殖→地形無視して一斉襲撃など、どのタイプにもいろいろな使いようがある。
問題点
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ほとんど存在しない。
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強いて言えば、導きコマンドでの誘導は慣れが必要なことと、ステージ中での中断機能がないことくらいだろうか。
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展開が地味
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ほぼ全て戦略級のSLGであり、奇跡を使用しての戦術級がある程度。長期的に先を見通して手を打ちながら「眺める」のが基本なので、劇的な展開などはあまり無く、戦略レベルの大逆転というのもまず無い。これをじっくりやれると見るか、地味で山場もないと見るかは人次第。
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ただ1に比べれば戦闘時に必殺技や回避もあるようになったため、ランダム要素も増えてはいる。
総評
初心者から上級者まで楽しめる完成度の高い隠れた名作。
非常に丁寧なチュートリアルと難易度によって一般的に敷居の高いRTSの中ではとっつきやすく、入門に適している。
間口は広く、奥深さもあり、家庭用RTSの中でも指折りの一作と言えるだろう。
余談
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1995年6月にはメガドライブのケーブルテレビ配信サービス「セガチャンネル」で、追加要素を加えた最終版『ダイナブラザーズ2 スペシャル』が配信された。
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追加ステージの他、セーブ機能が追加され、パスワードメニューから好きな攻略・到達済みのステージを自由に選択してプレイ可能で遊びやすくなっている。
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こちらのバージョンはバーチャルコンソールで配信された他、2019年9月に発売されたメガドライブミニにも収録されている。
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メガドライブミニ版
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上記スペシャルがプリセットされている。メガドライブミニ版の共通仕様として、いつでも4つまでセーブが可能で、問題点であった途中セーブも解決している。
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メガドライブミニ全部の話だが、完全再現で問題もない。今遊ぶならこれだろう。
最終更新:2023年09月20日 04:06