ドラゴンスレイヤー

【どらごんすれいやー】

ジャンル アクションRPG
対応機種 PC-8801、PC-8001mkIISR、FM-7、X1
発売・開発元 日本ファルコム
発売日 【PC88】1984年9月10日
【FM】1984年11月
【X1】1984年12月20日
【PC80】1985年3月
定価 【FD版】7,200円
【テープ版】4,800円
配信 【PC88】プロジェクトEGG/2014年9月9日:900円(全て税別)*1
判定 良作
ポイント RPGにシンプルさを持ち込んだ初期の作品
ファルコム隆盛の切っ掛け
高い自由度と熱中度
ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ


概要

ファルコムが発売した『ぱのらま島』につづくRPGの第2弾で80年代の代表作『ドラゴンスレイヤーシリーズ』の第一作目。『ハイドライド』などと並びアクションRPG黎明期を支えた作品のひとつ。
ブロックを押して道を切り開くなど謎解きというよりパズルゲーム的な要素を重視しているのが特徴。

PC88版には複数のバージョンが存在し、テープ版のLEVEL 1.0、ディスク版のLEVEL 1.1、仕様変更が行われたLEVEL 2.0が存在する。
本記事ではバージョンごとの違いについても明記する(特に記載のない場合は共通)。
なお、FM版とX1版以降の移植はLEVEL 2.0に準拠している。


特徴

  • ステージクリア型のRPGで、ドラゴンが守る四つの王冠(以下、クラウン)を家に持ち帰るのが目的。
    • ステージ数はLEVEL 1.0が1ステージ、LEVEL 1.1が10ステージ、LEVEL 2.0が20ステージで、全ステージクリア後はまたステージ1に戻るループゲーム。
    • フィールドは切り替えはなく、左右が繋がっている。壁に囲まれた迷宮エリアなども存在する。
  • プレイヤーの強化は家にアイテムを持ち帰ったり、アイテムを取得することで行われる。
    • 金貨を持ち帰ると1枚につき生命力(HIT POINT)が500アップ、パワーストーンを持ち帰ると攻撃力(STRENGTH)が2500アップする。
    • 敵を倒すことで経験値(EXPERIENCE)を獲得でき、これが防御力に相当する。
    • 家に戻るとこれらの増強に加え、経験値の値まで生命力を回復できる*2
  • 剣、金貨、魔法のツボを除くアイテムは一度にひとつまでしか持てない。
    • プレイヤーの右側に表示されるアイテムを所持している間は何も拾えなくなるため、他のアイテムを取りたい場合は一度地面に置かねばならない。
    • LEVEL 2.0ではクラウンも複数持つことが可能。四つ全て持った状態で家に戻らないとクリア出来なくなっている。
  • アイテムはそれぞれに特殊な効果があり、どのアイテムを持っていくかが重要になる。
    • 指輪 - 壁や家を押して動かすことが出来る。
    • 十字架 - 所持している間、敵から攻撃されなくなるが自分も攻撃できなくなる。LEVEL 2.0では地面に置いても効果があり、モンスターは十字架の上を通れない。
    • - 所持した状態で宝箱を調べると開けることが出来る。消費はしない。
  • 経験値が一定に達すると魔法を使用可能になったり、斜め移動が出来るようになる。
    • 魔法は所持している魔法のツボを消費して使用する。ジャンプ、マップ確認、敵の動きを止める、壁を破壊するなど多彩な魔法が存在する。
    • セーブも魔法のひとつとなっており、最後に習得する。続きからの再開時には経験値を25%消費する。
      • LEVEL 1.0では存在しない。同じテープ媒体であるが、X1版では可能。
    • 宝箱から出現する死神に取りつかれた状態、もしくは十字架やクラウンを所持した状態では魔法を使えなくなる。
      • 死神は十字架の上を通過するか家に戻ると引き剥がすことが出来る。LEVEL 2.0では十字架に乗ると消滅する。
  • 戦闘は体当たり方式。後の半キャラずらしは存在しないが、斜め移動での攻撃も可能。
    • 戦闘時には敵のステータスも表示される。モンスターの他にもアイテムを持ち去るゴースト、モンスターを生み出す墓石などのトラップが存在する。
    • ドラゴンを倒すと四つのクラウンが出現し、ゴーストによって持ち去られてしまう。ステージに散らばったクラウンを全て家に持ち帰ればクリアとなる。
  • 本作ではリアルタイムとターン制を合わせた時間制限のあるターン制を採用している。
    • 画面右下の人型(インジケータ)が左から右へ移動し、一番右まで行くかプレイヤーが動くとターンが経過する。
    • プレイヤーとモンスターが交互に動くが、プレイヤーが一切行動せずともインジケータが一番右まで移動してターンが経過すればモンスターは動いてくる。
    • ESCキーを押すと一時停止が可能。

評価点

  • 複雑さを廃したRPG
    • 当時は『ウルティマ』や『Wizardry』が日本国内での販売が始まり、『ザ・ブラックオニキス』に代表される国産RPGが登場した時代であった。
    • これらの作品は基本的にコマンド式で、『ウルティマ』のように一見アクションのように見えて実際の戦闘はコマンド選択で行うのが普通だった。しかし、本作ではターン制という点は変わらないものの、攻撃したい敵の方向に移動するだけで攻撃可能な体当たり戦闘を採用して感覚的なプレイを可能とした。
      • ちなみに同年にアーケードで稼働した『ドルアーガの塔』や本作の数か月後に『ハイドライド』が登場し、奇しくも同じ体当たり戦闘を採用している。ただし、それらが「剣を出す」「戦闘モードを切り替える」といった要素があったのに対し、本作はそのまま体当たりするだけで可能になっており、よりシンプルになっている。
    • ターン制を採用しつつも時間制限を設ける事でリアルタイム性を獲得し、敵のアルゴリズムも単純化することでサクサクプレイ可能で、ほとんどアクションゲームに近いプレイ感覚を実現している。ここに『倉庫番』的なパズル要素を取り入れることで面白味を増すことに成功している。
      • 前述のルールも非常にわかりやすく、プレイ感覚はとてもシンプルに纏まっている。魔法の習得に伴い行動範囲が広がっていく自由度の高い探索要素もあって熱中できるゲームに仕上がっている。
  • LEVEL 2.0における改良
    • 特に十字架の仕様変更やドラゴンを倒した後、家の周りを墓石に囲まれる仕様も廃止されたことにより難易度はかなり下がっている。
      • 十字架はゴーストにも効くため、重要なアイテムを十字架で囲むことで持ち去りを防ぐことも可能になった。
    • 単純に難易度が下がっているわけでもなく、獲得できる経験値が半分になっていたり、モンスターやドラゴンを強化することで異なるバランス調整が行われている。
    • ただ、安全地帯を確保しやすくなったことで後述する序盤の難易度の高さが緩和され、遊びやすいバランスになっていると言える。
      • なお、旧バージョンユーザーには1,000円で新バージョンへの交換も行われており、なかなかに良心的だったと言えよう。
  • 多種多様なモンスター
    • 敵の種類が何気に多く、倒していくことで上級のモンスターが出現していく。
    • 見た目もバラエティに富んでおり、最弱はスケルトンというよくあるモンスターだが、後にはだのタ〇リだのといったどう見てもネタなモンスターが大量に出てくる。勿論悪魔などのまともな見た目のモンスターも多いが、この辺りは当時らしいお遊び要素であった。

問題点

  • 序盤の難易度が高い
    • 序盤は出来ることが少ないこともあってシビアな難易度となっている。特に剣を手に入れる前に四方を敵に囲まれると文字通り八方塞がりで詰み(当然、剣を手に入れた後でも強い敵に囲まれたら詰む)。このための自殺キーも用意されているほど。
    • 十字架を持っていけば攻撃されなくなる……のだが、あくまで攻撃されなくなるだけで、こちらに纏わりついてくるのは変わらないので囲まれて詰む事が多々ある。はっきり言ってLEVEL 1.0/1.1における十字架はほとんど役に立たない。
  • 作業的で中弛みしやすい
    • 剣を入手した後はパワーストーンや金貨を集めて自身を強化していくわけだが、ドラゴンを倒すためには40万程度の攻撃力が必要。単純計算で160個のパワーストーンを一つずつ持って帰らねばならないのでどうしても中弛みする。
      • 宝箱やアイテムが大量に落ちている場所に家を移動させる(引っ越す)事で効率よくプレイすることを説明書でも推奨している。
    • また、ゴーストによって頻繁にアイテムを持ち去られてしまうため、持ち去られたアイテムを探して右往左往…という事もよく起きる。
      • この持ち去りが序盤の難易度の高さの要因のひとつでもある。2.0がいかに親切になったか一番実感しやすい要素と言える。
  • 攻撃力が最大値を超えるとオーバーフローしてしまう
    • 宝箱の数が限られているため、こうなってしまうとクリア不能となる。もっとも、上記の通り40万ほどの攻撃力があればクリア可能なので、よほどのやりこみプレイヤーでもなければ問題ではないが…。
    • ちなみにドラゴンを超える最強のモンスターでも47万ほどで倒せる。LEVEL 2.0では52万ほど必要だが、それでも上限まではまだある。
  • セーブの仕様
    • 前述のように最強の魔法として設定されているため、セーブできるようになるまで大量のモンスターを倒さねばならず、不便さが目立つ。
    • おまけに再開すると経験値が減らされて弱体化してしまう。経験値は防御力も兼ねているので、デメリットがかなり強い。

総評

厳密にはアクションではないものの、アクションRPG的なプレイ感覚を実現し、かつRPGの持つ複雑さを廃したわかりやすい作品となっている。
「前代未聞麻薬的爽快遊戯」というキャッチコピーの通り熱中度も高く、木屋善夫作品初のヒット作となった。
それまでADVを中心としていたファルコムがアクションRPG路線へ転換する切っ掛けとなった作品であり、その人気は次回作『XANADU』で爆発する事となる。


余談

  • ファルコムミュージアムにおける記述によれば、本作は『ウルティマIII』で敵の横にいながらコマンド入力する手間を解消するために体当たり戦闘を採用したという。
  • 前述のタ〇リについて、2017年に行われたイベントで語られた話によれば、富士通の販促の消しゴムを元にドット絵を打ったのだとか。
  • 当初は『ドラゴンゾーン』というタイトルだったとの事。
    • 余談だが既に『ドラゴンスレイヤー』と言うディズニー映画が存在していた(1981年公開。ただし日本公開は本作より後の1986年)。
  • 開発を短縮するため、木屋善夫氏と井上忠信氏が同時に開発を行い、木屋氏のバージョンが採用された。井上氏のバージョンは後述のログイン版で日の目を見ている。
  • スクウェア(PC98、MSX)、エポック(SCV、GB)、日本ビクター(SS)の三社により他機種へのライセンス移植が行われている。
    • 他にもゲームブックなどが存在する。
  • PCマガジンやログインにプログラムリストが掲載されたことがある。内容はLEVEL 1.0相当。
    • 製品版と若干仕様が異なる他、マップを自作するエディットモードが用意されていた。オリジナルマップの募集も行われた。
  • 今作ではドラゴンを倒してクラウンを持ち帰るのが目的だが、逆に次回作以降ではドラゴンを倒す為に(魔剣ドラゴンスレイヤーを手に入れるために)クラウンを集める形に変更された。