サイレントデバッガーズ
【さいれんとでばっがーず】 
| ジャンル | アクションシューティング |  | 
| 対応機種 | PCエンジン | 
| メディア | HuCARD | 
| 発売・開発元 | データイースト | 
| 発売日 | 1991年3月29日 | 
| 定価 | 6,800円 | 
| 配信 | バーチャルコンソール:2007年6月26日/600Wiiポイント(配信終了) プロジェクトEGG:2017年1月10日/500円(全て税抜)
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| 判定 | 良作 | 
 
概要
デコことデータイーストがPCエンジン専用で発売したファーストパーソン・シューティングゲーム。
近未来の宇宙ステーションを舞台に音で敵を探りだすという斬新なシステムが特徴の作品である。
ストーリー
"DEBUGGER"の歴史は、「統合大戦」の終結と同時に統合政府から打ち出された「外宇宙進出政策」に端を発する。
人類は、自らの繁栄を維持、発展させるために、様々な社会秩序を生み出してきた。
既存の秩序を破壊し、新しい秩序を建設する、それこそが人類の歴史そのものであるといっても過言ではないだろう。
しかし、高度な社会秩序は、時として思わぬ混乱を生じることがある。
その混乱がたとえ小さくとも、社会秩序が高度であればあるほど、体制に与える影響は大きなものとなってしまうのだ。
故に管理体制は、それらの混乱(=BUG)の根絶、消去のためには全力を尽くす。
"DEBUGGER"とは、これらの混乱要素を消去するためには、なにものをもいとわない、そんな時代が生んだ存在であった…。
(説明書より一部引用)
デバッガー志願者であるあなたは、相棒のレオンと共に一年前の事件から無人となっている大型貨物ステーション"ゲイン"へと向かう。
巨額の財宝の噂と、そこへ行ったデバッガー達が誰一人として戻ってこないという噂の謎をつきとめるためステーションへ降り立った二人は謎の怪物に遭遇する。
特徴
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画面構成は3DダンジョンRPGと同じで、十字ボタンの前後で移動、左右で旋回、Iボタンを押している間は照準を動かせる。
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画面下には簡易マップが表示されているが、セレクトボタンで詳細なマップの確認や武器チェンジを行えるメニューを開ける。
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武器はライフル系とランチャー系をそれぞれ1種類ずつ持っていくことが出来る。武器によって弾数制限かバッテリー消費かが異なる。
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ライフル系はIIボタン、ランチャー系はスタートボタンでそれぞれ発砲でき、同時に使用することが可能。
 
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プレイヤーに不利な状態が発生するとレオンが新しいアイテムを渡してくれ、2つまで装備していく事ができる。
 
武器一覧
| 系統 | 武器名 | 概要 | 
| ライフル系 | MOTOR CANNON | 高速炸裂弾を発射する汎用無反動マシンガン。装弾数は90発。 | 
| MEGA BEAMER | 約2秒でエネルギーをチャージし、GRANADE LAUNCHER並のビームを発射する。バッテリー消費。 | 
| LIPP SHOOT | 超小型ミサイルを発射する多目的ホーミング・ガン。装弾数60発。 | 
| ランチャー系 | GRANADE LAUNCHER | 非常に低速だが、ほとんどの敵を一発で倒せる。装弾数は5発。 | 
| SONIC LAUNCHER | 大音響を発生させる一種の威嚇兵器。バッテリー消費。 | 
| SLEEP LAUNCHER | 敵を一定時間眠らせるが、接近しすぎたり時間経過で目を覚ましてしまう。装弾数は10発。 | 
| 初期装備 | HAND GUN | 最初から装備するビームガン。バッテリー消費。 | 
 
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舞台となるステーションはエレベーターになっているコアブロックと周囲のモンスター発生ブロックで構成されている。
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コアブロックにはバッテリーや武器の弾数を回復できるブロックが存在し、各部屋に入ることで補充が出来る。
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特定のモンスターはコアブロックに侵入してくるが、侵入から一定時間が経過するとそのブロックは切り離されて機能停止してしまう。
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ブロックごとに耐久値が設定されており、これがゼロになると切り離される。切り離されても影響のないブロックもあるが、重要ブロックへの侵入率が上がってしまう。
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停止したブロックの機能はもちろん使用不可能になるが、前述のようにレオンから救済アイテムを貰える。
 
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中央にあるコンピュータールームにいるレオンに話しかけることで武器やアイテムの交換、モンスターのおおまかな残存数を教えてもらえる。
 
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各階層にいる敵を全滅させてコンピュータールームへ戻ると次の階層へ進める。
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チュートリアルステージの第一階層は特に制限はないが、本番は全五階層を100分間の制限時間内にクリアする必要がある。
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画面右下に表示されているバッテリーが尽きるとアウト。コンティニュー時には10分間のペナルティーが発生するが何度でもコンティニュー可能。ただし、制限時間経過や一部の特殊な条件になるとゲームオーバーでコンティニューできない。
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バッテリーは2本装備しているが、装備中の方が切れてしまうとアウトなので適宜交換する必要がある。バッテリーはCブロックにあるチャージルームで回復できる。また、特定のアイテムを装備すると使用していない方が自動回復するようになる。
 
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画面上部と右下にはカラーセンサーとサウンドセンサーが用意されており、これを頼りに敵を探していく。
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敵が近づくとステレオ音で敵の居場所を示し、カラーセンサーの色が青→黄→赤と変化していく。
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敵が左右や後方にいる場合はサイドアラートやバックアラートが点灯し、視覚的にどこに敵がいるかを表示してくれる。
 
評価点
斬新かつ緊張感のあるゲーム性
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音を頼りに敵を探し出すというシステムは当時としては非常に独特で斬新だった。
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ステレオ音声を採用しているため敵の位置によって音の出る方向に違いが出て距離により音も大きくなる。ヘッドホンを使うとさらに明確に感じ取ることが出来、臨場感も増すつくりになっている。
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BGMが流れるのはイベントシーンやレオンのいるコンピュータールームにいる時だけで、ゲーム中は無音。足音とサウンドセンサーの音だけが響く中、どこから襲ってくるかわからない敵を探し歩くのは非常に恐怖感と緊張感がある。
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特に最終ステージはとあるギミックにより、サウンドセンサーをフル活用して戦わねばならない。ボスステージのためか敵の数こそ少ないのだが、その分ギミックにより最大の緊張感が発揮されるステージとなっている。
 
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難易度はやや高いながらも絶妙なバランス。
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武器はいずれも弾薬数やバッテリー残量に注意する必要があるためリソース管理も重要で、この点も緊張感を煽ってくる。
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狙う場所によって部位破壊も可能。コアブロックに侵入してくる緑の敵や初期装備のセンサーに反応しない黒い敵など耐久力の高い敵も弱点を狙えば瞬殺できる。
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ブロックの機能が停止すると非常に不利になるので、戦い方を考えるのも重要。待ち伏せたり、ジャンプユニットをいつでも使えるようにするなどコツを掴むのが攻略の近道となる。
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制限時間は短く思えるが、何度かコンティニューしても問題なくクリア可能な時間に設定されている。
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後半にいくにつれてステージが広大化・迷路化するため、余裕はあるが緊張感は高い。特に敵が残り一匹になるとなかなかセンサーに引っかからなくなり、焦燥感に駆られる。
 
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これらの要因から難易度はやや高めながらも攻略のコツとプレイヤーの腕前の上達によりクリアできる絶妙なバランスになっており、クリア出来た時の達成感は高い。
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裏技で敵が一切見えなくなる高難易度モードやステージセレクトも用意されており、ノーマルのバランスに物足りないプレイヤーも安心のつくり。
 
 
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グラフィックやBGMも良好。
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独特な世界観で有名なデコゲーの中では『探偵 神宮寺三郎シリーズ』などと並んで比較的まともでシリアスな世界観が描かれており、それに伴ってグラフィックの描きこみも良好。無機質な宇宙ステーションと異質な化物の取り合わせはSFホラーの古典『エイリアン』を彷彿とさせる。
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あくまでシチュエーションが似ているだけで、シナリオは完全オリジナル。エンディングでは化物の正体や「ゲイン」の秘密などが明かされ、なかなか熱い展開が描かれる。
 
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BGMは少ないながらも良曲揃いで、フロアの敵を全滅させた際に流れるクリアBGMなど、普段、曲がないからこそ印象に残る曲も多い。
 
問題点
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敵を全滅させていくというシステムのためか、クリア後のリザルト表示やスコアといった要素はない。
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タイムアタックは可能だが、やや物足りない感は否めない。
 
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会話の表示速度が遅く、イベントもスキップ不可で若干テンポが悪い。
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続編を作るつもりだったらしく、シナリオ自体は未完で終わっている。
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いかにも続きがありそうなシナリオでスタッフロールの最後でも「TO BE CONTINUED」と表示されるのだが、残念ながら続編は出なかった。
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レオンの過去、ヒロインの素性など数々の謎を残したままで、シナリオに注目するとややスッキリしない。続編ありきで作ったゆえの弊害と言える。
 
総評
制限時間の迫る中、音を頼りに敵を探し出すという斬新かつ緊張感溢れる作風が人気を博した良作STG。
今遊んでも色褪せないゲーム性で、全体的によくまとまっており評価も高い名作である。
余談
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2007年6月26日にWiiバーチャルコンソールで配信されたが、2012年3月6日に配信終了している。
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2017年にはプロジェクトEGGにて配信された。
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なお、WiiVC版と一緒に配信終了したソフトもこちらで配信されている。
 
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両方とも、権利元は他のデータイースト作品も取り扱っているG-modeになっている。
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本作の5年後にワープが発売した『エネミー・ゼロ』は本作を参考にしたシステムを採用している。
最終更新:2022年02月08日 17:22