本項では以下のタイトルを取り扱っています。

  • 『古き良き時代の冒険譚』(PlayStation 4/PlayStation Vita用ソフト)
  • 『古き良き時代の冒険譚 Be』(PS4/Vita版アップデート版)
  • 『古き良き時代の冒険譚 Ne』(Nintendo Switch移植版)

判定は全て「クソゲー」です。



古き良き時代の冒険譚

【ふるきよきじだいのぼうけんたん】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 PlayStation 4
PlayStation Vita
メディア ダウンロード専売
発売・開発元 だいだい
発売日 2016年12月15日
定価(税込) 1,944円→275円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 クソゲー
ポイント 2016年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門大賞
既存ゲームに対して問題提起する挑戦的な「コンセプト」を掲げたが……
攻撃手段が2種類しかない、単純すぎるゲーム性
ネットスラング混じりの凡庸なストーリー
ゲームバランスもいい加減
古き良き時代シリーズ
冒険譚/Be/Ne / 龍后伝
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧


ルールは明快、セーブだっていつでもできる!
だけど手強いシミュレーションRPG登場!



概要

有限会社だいだいが開発・発売したSRPG。

公式サイトには「 最近のゲームは、難しいと思いませんか? 」と始まる「コンセプト」が掲げられている。
主旨は「近年増えている複雑なゲームや長いゲームはストレスが溜まる」と問題提起する内容で、それに対し本作は

1つ、ルールはわかりやすくシンプルに。
2つ、小難しい話や鬱展開にはならず。
3つ、誰でも満足感を持ってクリアできる難易度で 。

という3つのコンセプトを示している。
ゲームをプレイするのが億劫(おっくう)だと感じているあなたに、やっていただきたいゲームです。」と締められており、その非常に挑戦的な文言は発売前から賛否を呼び一部で話題となっていた。
当然、その内容に対するハードルも上がり、本作はより厳しい視線に晒されることとなったのだが……。


特徴及び問題点

SRPGとしての問題点

シンプル過ぎて戦略性がない

  • 攻撃手段は通常攻撃と魔法攻撃のたった2つ。
    • ダメージの計算式は通常攻撃が「攻撃力から防御力を引いたもの」、魔法攻撃が「双方の魔力の数値の差に魔法の威力を足したもの」となり、計算結果が1未満になる場合は1となる。
    • どの攻撃も100%命中するので、命中率や回避率といった概念は存在しない。またクリティカルといったものもない。
    • なお、この計算式自体はサモンナイトシリーズファイアーエムブレムシリーズなどでも用いられているものであり、攻撃手段についても計算上は通常攻撃と魔法攻撃の2種類であることには変わりないため、この計算式そのものが問題なわけではない。
      • 前述のシリーズはこの計算式にクリティカルや命中率の概念、ユニットの相性や配置により攻撃力に補正が掛かる等、ランダム性や戦略性を持たせる要素を多数盛り込んでおり、シミュレーションゲームとしての楽しみを成り立たせている。
  • 攻撃魔法の種類が「ファイア」しかない。当然属性の概念もない。
    • 魔法の名前も「ファイア1」や「ヒール10」といった特に捻りもない…どころか開発中の仮称と言われた方がずっと自然なレベル
    • 魔法名の後ろについている数字は、ダメージや回復などの計算用の数値である。わかりやすいと言えばわかりやすいがメタ臭が半端なく物語への没入感を阻害する。
  • ユニットは「ソルジャー」「ランサー」「ガード」「メイジ」「ヒーラー」の5種類だけ。主人公も入れれば6種類だが、かなり少ない。
  • マップも移動できる床と移動できない壁の2種類しか存在せず、地形によってステータスが変わる、移動範囲が変わるといった要素はない。
  • 「ルールはわかりやすくシンプルに」のコンセプト通りなのだが、これはSRPGというジャンルを根本から否定している。
    • というかこのコンセプトを掲げておいて何故SRPGというジャンルにしたのかが謎。そもそもSRPGにある程度複雑なルールとそれを理解し一手一手時間をかけて進める手間が無ければただの作業ゲーにしかならないからである。
    • SRPGとは手順や戦略性を考えるところに面白さがあるジャンルであり、そこを全否定されたらプレイする意味がなくなるのは当然である。

それでいてとにかくテンポが悪い

  • 移動、行動それぞれに微妙なウェイトが掛かる。
    • それぞれは短いものの、全体的な印象としてとにかくゲームの進みが悪く、至極単純なシステムなのにやたらと待たされる印象が強い。
    • 敵ターンは特に顕著で、ユニット1体1体に行動が回るタイミング、移動、攻撃がいずれもワンテンポ遅れる。
      • 移動も攻撃もしないユニット1体でも約1秒のウェイトが掛かる。
  • 各戦闘の前に「サポートカード」と呼ばれるアイテムを使用可能。マップ上の緑色のマスで取得できる。
    • サポートカード自体に大きな欠点は無いが、攻撃時に毎回使用の有無を聞かれるので、テンポが非常に悪い。
    • 敵からの攻撃にも使用できるが、お陰で本来なら放置できる敵ターン中にも操作しなければならないため、余計テンポを損ねている。
  • 敵ユニットのAIも悪い。
    • 攻撃範囲に味方ユニットがいないと移動しない(いわゆる待ち伏せタイプ)ため、わざわざこちら側から近づく必要があり、無駄に時間がかかる。
    • 孤立してHPが減ったユニットは(回復手段のないユニットでも)後方に逃げる。移動力を上げる手段のない本作では、単に追いかけっこを強いられて遅延されるだけになり面倒。
  • 中盤以降、マップがユニットの行動マスに対して無駄に広く、入り組んでいることが多い。ターン数が増えてストレスが溜まる。
  • 操作性が悪く、方向キーでのカーソル操作はかなりもっさりしている。
    • 具体的にはキーを押しっぱなしにしてもカーソルは1マス分しか動かず、速く操作するには連続してキー入力をしなくてはならない。
    • スティック操作なら入れっぱなしで速く移動できるが、今度は精度が微妙ですぐ滑ってしまう。

ゲームバランス

  • 全体的に魔法が強過ぎる
    • 本作では魔法攻撃がかなり有用であり、2マス先まで壁やユニットを無視して攻撃できる、魔法攻撃では反撃を受けることがないなどいいとこ尽くし。味方が使えば強力なのはもちろん、敵が使ってくると当然厳しくなる。
    • ステータスを強化できる補助魔法は、1度使用すれば3ターン継続とこちらも強力。防御力の低いユニットの防御力を上げれば前衛で活躍できるようになる。
    • 隣接攻撃しかない通常攻撃と差別化して2マス先しか攻撃出来ない、などのデメリットがあれば差別化できたであろうに、1~2マス攻撃出来て特筆すべきデメリットが無い(むしろメリットだらけ)であれば、戦闘面でのバランスは崩れて当たり前である。
  • ユニット間の格差
    • 主なユニットは前述した5種類だが、使い勝手は大きく異なる。
      • 「ソルジャー」は攻撃力こそ高いがそれ以外の能力が低い。一応「ランサー」よりは防御力が高いので前衛としては使える。
      • 「ランサー」は魔力が高い代わりに防御力が低く敵側が魔法をあまり使ってこない序盤の内は使えないが、敵側に「メイジ」が大量に現れ、補助魔法を使える「ヒーラー」が仲間になる中盤以降になってようやく活躍できるようになる。
      • 「ガード」はいわゆる盾役のユニットなのだが、敵側が積極的に攻め込んでこないせいで盾としては使えない。だがその高い防御力を生かして序盤の内は敵側の「ソルジャー」や「ランサー」を殲滅するのに役立ってくれる。
      • 「メイジ」は前述の魔法攻撃が可能な他、攻撃力を上げる補助魔法も使用可能で全ユニット中最強。味方としてはもちろん頼りになるが、敵として現れた場合は脅威となる。
      • 「ヒーラー」は回復の他にステータスを強化できる補助魔法がかなり強力。後半は「ランサー」に補助魔法をかけて戦う戦法が有効となる。
    • 総じて、敵味方共に「メイジ」が抜きんでて強すぎる。攻撃力アップの補助魔法も優秀なため、結果として「メイジ」中心のゲームバランスが出来上がってしまっている。
      • 後半のステージになるとアリの巣のように入り組んだマップ構成も登場し、壁越しに配置された敵側の「メイジ」が一方的に魔法攻撃を仕掛けてくる。
      • 本作のシステムが単純すぎるため仕方ないのだが、難易度の上げ方が「メイジ」を嫌らしく配置するという一辺倒で雑。
  • レベルアップ・経験値の仕様
    • ユニットは各種行動によって経験値が加算されていき、100溜まるとレベルアップする。しかし、HPが0になり退却したユニットは、レベルはそのままだが溜まった経験値を全て失ってしまう。
    • 勝利時に残ったユニットにはボーナスとして最大3体、最少1体レベルアップできる。ただし退却したユニットがいた場合その数だけレベルアップできる人数が減ってしまう。
    • 上記2点の仕様により、一度退却したユニットを育て直すということが難しく、そのまま足手まといになりやすい。
    • また、レベルアップ時のステータスの上昇値が高すぎるのも問題点。例えば「ガード」の防御力は1回のレベルアップで3も上がる。
      • たった3と思うかもしれないが、前述したシンプルなダメージ計算式でこの数値の上がり方は確実にバランス崩壊を引き起こす。
      • そのため、敵と味方のレベル差が2ほど開くだけで全く歯が立たなくなる。
  • 撤退前提のゲームバランス
    • 敵ユニットのレベルは、ステージを進めるにつれてどんどん上がり強くなる。そのため、こちらのユニットもなるべくレベルを上げて育てておくのが望ましい。
    • しかし、上記のレベルアップの仕様上、一度でもユニットが退却してしまうとレベルアップの機会が減ってしまうので、なるべくHPが0にならないように気を付ける必要がある。
    • 対策としては、やられそうなユニットがいた場合、メニューから「撤退」を選択してプレイ中のステージを最初からやり直すこと。
      • 撤退すると敗北回数が記録されるが、それ以外にペナルティーはない。と言うか、ゲーム序盤のチュートリアルでこの 撤退によるレベリングが推奨される。
  • サポートカードも強力なものが多い。
    • 種類は以下の6つ。
      • 「ポイントアップ」攻撃や回復などといった行動の値に5を追加する。
      • 「魔力戦闘」通常攻撃のダメージを魔力の差で計算する。魔力の高い「メイジ」が使えば「ガード」や「ソルジャー」に攻め込まれても対応できる。ここでも「メイジ」優遇である。
      • 「HP・MP全回復」行動前にHPとMPを全回復する。本作のチートカードその1。
      • 「反撃禁止」後に行動する側の攻撃が無効になる。元々魔法攻撃が反撃不可なのでサポートカードの中では地味な効果。
      • 「完全防御」受けるダメージを0にする。本作のチートカードその2。
      • 「サポート不可」相手のサポートカードを無効化する。
    • サポートカードはボスも使用してくるが、「サポート不可」で容易く対策できる。
    • 前述したように撤退にペナルティーはないので、サポートカード集めも撤退を使用した経験値稼ぎのついでに行えば、一応簡単にクリアはできる。
  • 以上から本作のゲームバランスはかなり雑であり、「誰でも満足感を持ってクリアできる難易度」とはとても言い難い。
    • 簡単にクリアするには無駄に時間のかかる稼ぎを強いられ、敗北回数を抑えるようにクリアするにしてもレベルの低いユニットが敵にやられないように守りながら進めなくてはならない。どちらにしてもストレスが溜まりやすい雑で歪なゲームバランスとなっている。

シナリオ面の問題点

  • ストーリーはとある国で王位継承の試験を7人兄妹たちが「王族の墓」と呼ばれるダンジョンで王位を競い合うというものなのだが…。
    • まず、その兄妹たちの王位継承の動機は大抵がいい加減であり、「働きたくない」だの「ダンスパーティーを開きたい」だのろくな理由が無い。王族をにわか成金かなんかと勘違いしているのだろうか。
    • そもそも実戦ではなく負けても死なない試練なのでどうしても軽さが拭えず、上に記したように揃いも揃ってちゃらけた軽薄なノリで試験に臨むため「絶対に負けられない一生に一度だけの戦い」という覚悟も感じられず戦闘にも緊張感がない。
    • 兄妹のキャラクターも、「ニート」「厨二病」など、ファンタジーの世界観にも「古き良き時代」にもまるでそぐわない現代的な設定がドカドカ出てくる。
      • しかも現代の観点で見ても既に散々使い古されており、本作の設定自体もありきたりなため性格の引き出し方に魅力や個性が感じられる訳でもない。
    • 「ステージ」「レベル」といった、ゲーム用語丸出しの会話も複数登場する。チュートリアルモードなどではなく本編で当たり前のように口走る。
      • ただ使われるだけではなく、「次はステージ3よ」「レベル5になるまでレベル上げして」とキャラクターが説明し始めるため、全く没入感がない。
      • 上記の通り実戦ではないため、設定上完全に矛盾している訳ではないのだが、緊張感は明らかに削がれる。
      • 最終面も「次はステージ21か、あとどれくらいなんだろう」と主人公がつぶやいたところに国王が現れ、ここが最終層だと告げるという流れ。およそ感慨や盛り上がりとは程遠い。
    • 合間合間に挟まるギャグも微妙なものが多く、中には世界観を無視した内容のものもある
      • かといって笑えるほど突き抜けているのかというとそうでもないのでサムさばかり催しバカゲーとしても評価できない。上述したキャラの性格付けもそうだが、「古き良き時代」を名乗っておきながら現代的(且つ微妙)なギャグやネットスラングを捻じ込むセンスには首を傾げざるを得ない。
      • スマートフォンをイメージした会話アイテム「スマフォ・ストーン」なんてものも登場する*1
    • 根本的にテキストの分量自体も極めて少なく、ステージ間に1分も掛からずに読めるテキストが挟まるだけ。
      • それもチュートリアルである最初の数面と、ボス面(兄妹の出て来るステージ)だけで、それ以外のステージはその短いテキストすら出ない。
      • ボス面でも、ステージ間(開始前、クリア後)以外の会話は一切ない。ステージ内でボスに近づいても戦闘になっても、会話イベントが発生するようなことはない。
  • 確かに「小難しい話や鬱展開」にはなっていないが、全く見所のない薄っぺらいストーリーであり「冒険譚」というより「家族会議」と揶揄されている。

演出・グラフィック面の問題点

  • 2016年のゲームとは思えないほどチープ。2,000円以下という値段を考慮しても極めてクオリティは低い。
    • イラストはキャラクター9種類+一般ユニット5種類にそれぞれ一枚絵が存在するのみ。本作のグラフィックは全てにおいてこの一枚絵のみである。
      • アニメーションはもちろん表情差分も一切無く*2、会話にしろ戦闘にしろ棒立ち。フィールド等のアイコンもこの一枚絵の表情部分を切り取っただけ。
      • ユニット表示は敵でも味方でも変わらず、左右反転させただけの使い回しである。
    • 攻撃時の演出も安っぽい。
      • こちらも通常攻撃と魔法攻撃それぞれ1パターンずつしか無く、主人公だろうが一般ユニットだろうが剣撃や魔法のエフェクトは一切変わらない。
      • 簡素な分テンポが良いのであればともかく、前述した通りテンポは最悪なので擁護しようがない。
    • ゲームを通してずっと眺めることになるフィールド描画が極めて安っぽく、 とてもじゃないがコンシューマーゲームの作品には見えない。
      • 壁と床の四角をそれぞれ2種類ずつ用意して敷き詰めただけののっぺりとした画面であり、手抜きと呼ぶのも憚られるほど工夫には乏しい。
      • 床の色だけ進行に応じて変わる(全3種類)。
      • 何の工夫もなくパターンも少ない四角を敷き詰めた適当なマップ、後述の効果音もあって、RPGツクールで初心者が適当に作ったような雰囲気が強烈に漂う。
  • クソゲー最後の砦となりやすいBGMも、質は非常に低い。
    • 曲数自体が少ない上に、メロディーも単調で楽器の数も少なく、およそ旋律と呼べるものに乏しい。
    • そもそも、曲調からしておよそ戦闘曲らしさが無く、メニュー画面のBGMと言っても通じるレベルである。ボス曲のような概念もなく、他の兄妹と戦うボス面でもそうでない面でも全ステージ同じ曲が流れるため、全く盛り上がらない。
    • 本作の展開と同調するようなだらだらとした単調な曲が延々と続き、ただでさえストレスの溜まるゲームプレイが余計にだれやすくなっている。
    • スタッフロールが存在しない ためにBGMの作成者は不明。見るからに低予算であるため、フリー音源の可能性も高いのだが、フリー音源でもこれより遥かにまともなものはいくらでもある。
  • BGMと同様、効果音も劣悪。
    • こちらもFlashゲーム等で同一の効果音が見られることからフリー音源だと思われるが、全体的に使いどころが微妙で音が軽い。
    • ジングル音なども雰囲気に合っておらず、音楽が地味なところにやや派手な音が鳴るので浮いている。
  • 500円未満程度の価格帯であれば、予算の都合上イラストパターンの少ない作品は珍しくない(それでもクオリティが一段劣る評価になることが多いが)。
    • だが、本作の約2000円という価格はダウンロード専用作品としては高価格帯であり、とてもじゃないが同じ土俵に上げていいものではない。

その他の問題点

  • 撤退レベリングを推奨しているにもかかわらず、クリア済みのステージをやり直せない。
    • このため、成長が立ち遅れてしまったユニットはレベル上げが難しい。特にランサーはメイジ対策として重要性が高いにもかかわらず、序盤は使い勝手が悪いのでスルーされてしまうことが多い。
    • 開発側が想定している通りのやり方でレベル上げを行えないと、本作は非常に苦労する。
  • 使いたくないユニットを引っ込めることができない。そのため少数精鋭の戦法を取ることができない。
    • 前述したレベルアップのボーナスがある以上、弱いユニットを見捨てることもできないので、これもストレスが溜まる要因の一つとなっている。

賛否両論点

登場人物のイラストの完成度が微妙

  • パッと見て一人一人の見た目の区別が付く程度には差別化が施されており悪く無い出来に見えるが、よく見ると服装や装飾などの細かいパーツ類のディテールの描画が雑に済まされていることが確認できる。
    • また、差分が無いこともさることながら全員棒立ちベースで大まかな形もズレ掛けている点もあるため、まともにポージングも取れており細かい所も問題なく描写できているユニットのイラストと比べたらその完成度の差は一目瞭然。
      • キャラクター(人間)とユニット(モンスター)はそれぞれ別のイラストレーターが描いており、且つ画風が噛み合っていないことによる違和感も強いため、そうした意味でも問題と言える。救いである点は先述のBGMや効果音と違い、これらのイラストは本作オリジナルであるところか。

評価点

  • ユニットのイラストは純粋に評価されている。
    • 担当しているのはモンスターのキャラデザを専門としているはるかによるもの。全体的に可愛らしいながらもカッコ良さを両立したケモノキャクターと言ったものであり、その道の嗜好層を中心に好評。それだけにこんなゲームに使われるのが勿体無いとも言えるが。
  • 「ルールはわかりやすくシンプルに」のコンセプト通り、ルールは非常に理解しやすい。
    • 補助魔法とサポートカードは効果がそのまま名前となっているので、とてもわかりやすい。
      • ただ、先述の通りゲームへの没入感は阻害している。
  • 大きなバグなどは存在せず、SRPGとして致命的な破綻は存在しない。
    • 要は「仕様通りなのにクソ」という、いわゆるストロングスタイルである。
    • 前述したコンセプトも(3つ目の難易度以外は)一応守っている。

総評

「ゲームをプレイするのが億劫だと感じているあなたに、やっていただきたい」とのことだが、このゲームをプレイすること自体が億劫になる内容である。
そもそも論としてコンセプトとして挙げた3つがSRPGというジャンルと致命的なまでに噛み合っておらず、コンセプトの時点で間違っていたように思われる。
こんなものを買うよりも中古や各種DL販売サービスで実際に「古き良き時代」のゲームを買って遊んだ方が遥かに有意義であろう。
「シンプル」と「手抜き」を履き違えた典型的なタイプのクソゲーでもある。

現在は後述の更新版に置き換えられており、事実上ワンコインまで値下げされているので当初の2000円という価格とは評価も変わるだろうが、およそまともな評価点が存在しない本作においては購入者の傷の深さ以上の意味はないだろう。


余談

このような出来の悪さから、その年のKOTYでは据置版で大賞を受賞したのだが、携帯版ではノミネートすらされなかった。相手が悪かったのだ…


iOS版

  • 2017年5月3日にiOSで配信された。
    • 最初の3ステージまでは無料で、その後は3ステージにつき360円の課金を求められる。
      • 全21ステージなので計2,160円。PS4/Vita版よりも値段が少し高くなっている。
    • PS4/Vita版との違いとして、タッチ操作による操作性の改善、戦闘テンポが少し早い、MPが切れても魔法が使用できるバグ等がある。
  • 2020年5月現在では配信停止となっており購入できない。

古き良き時代の冒険譚 Ne

【ふるきよきじだいのぼうけんたん えぬいー】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 Nintendo Switch
メディア ダウンロード専売
発売・開発元 だいだい
発売日 2019年9月20日
定価 396円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 クソゲー
備考 『Ne』は現在は配信終了

※PS4/Vitaのアップデート版『古き良き時代の冒険譚 Be』についても解説する。

概要(Be/Ne)

2019年9月5日に突如アップデートパッチが配信され、タイトルも『古き良き時代の冒険譚 Be』へと改題された。
そして同月20日にもSwitch版、『古き良き時代の冒険譚 Ne』が発売された。
タイトルの改題は、下記の追加キャラクターに由来していると思われる。


変更点(Be/Ne)

  • 定価
    • 定価が税込1,944円から税込396円と大幅に値下げされた。
      • ただしPS4/Vita版はパッチが配信される前から値下げされていた模様。
  • 追加キャラクター
    • 『Be』では最弱ユニットの「ベリー」、『Ne』では最強ユニットの「ネオン」が使用可能となった。
    • それぞれ事実上のハードモードとイージーモードが追加された形になる。
  • ストーリーモードをクリアしていなくてもチャレンジモードがプレイできるようになった。
    • ストーリーモードとの違いはストーリーが省略されている事、選ぶ主人公によって初期ユニットが異なる事、加入ユニットを自由に選べる事である。
  • やり込み要素の追加
    • 『Be』ではチャレンジのベリー編を総ターン数230以内、敗北回数0でクリアする。
    • 『Ne』ではストーリーモードを総ターン数240以内、敗北回数0でクリアする、チャレンジのネオン編を総ターン数230以内、敗北回数0でクリアする。
    • 公式サイトによると上記の条件を満たすと何かが起こると言われているが…。
      + 解禁される内容のネタバレ イラストや設定画などのギャラリーが見られる。 正直なところ、やり込み要素のご褒美としては微妙。 ゲームの内容からして絵の種類も多くないため、通常クリアで解禁しても充分なレベル。

問題点(Be/Ne)

  • 上記の変更点以外はそのまま。つまりクソゲーであることに変わりはない
    • むしろ撤退推奨なゲームバランスに敗北回数0(つまり撤退も不可)が条件のやり込み要素が加わったせいで、解禁要素を自力で知りたい人は更に苦痛を味わうことになってしまう。

総評(Be/Ne)

申し訳程度の改善がされているが、根本的な問題点はそのままなのでクソゲーという評価を覆すことはできていない。
定価は非常に安くなっているとはいえ、クソゲー愛好家でもない限り購入する価値はないだろう。


その後の展開(Be/Ne)

  • 2020年12月17日に『Ne』に更に追加要素を加えた『古き良き時代の冒険譚 Ne+』が配信。それに伴い『Ne』は配信終了となった。
    • 変更点は英語対応、思考手順の改良による全体的な難易度の上昇、上級者向けの「スペシャルチャレンジ」の追加があるとのこと。
    • 『Ne』を購入したアカウントならば『Ne+』を当面の間は無料で買える設定なので「損した」とはならないがセーブの互換はない。
  • 2022年2月28日、だいだいの公式Twitterにてロシアのウクライナ侵攻の抗議の一環としてロシア国内でのニンテンドーe-shopで本作の配信停止が発表された。
    • その後、3月5日にはニンテンドーe-shop自体が決済の問題でメンテナンスモードに入りロシア国内で利用不可能になっている。 本作の配信停止は多分関係ない。
  • 2022年4月7日、まさかの続編『古き良き時代の龍后伝』が発売された。
    • 初心者向けを謳う本作とは真逆のコンセプトを打ち出しているが、それがどのような結果になったのかは当該記事を参照されたし。
最終更新:2025年02月24日 05:04

*1 名前がそれっぽいだけではなく、会話時に普通に「もしもし」と言っているので、明らかに電話を意識して作っているのが分かる。

*2 厳密にいえば目線が正面と横の2種類ある。ただ、よく見ないと分からないレベル。