Mosaic
【もざいく】
| ジャンル | アドベンチャー |  | 
| 対応機種 | Nintendo Switch | 
| メディア | ダウンロード | 
| 発売元 | Raw Fury | 
| 開発元 | Krillbite | 
| 発売日 | 2020年1月23日 | 
| 定価 | 2,170円(税込) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:C(15歳以上対象) | 
| セーブデータ | 1個 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 刺さる人には刺さる孤独描写 もっさりな挙動
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概要
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舞台は、ローポリゴン調で表記される独特なデザインで描かれる世界。そんな世界で、孤独を感じている青年を三人称視点で操作し、退屈ではない日常を追求するアドベンチャーゲームである。
概要
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巨大都市の巨大企業の駒として働く青年は、長らく誰とも話さず住まいのアパートと会社を行き来するだけの生活を送っている。
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会社に通勤し、業務をこなし、青年が暮らす都市の外に残された日に事情を体験していく。
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シナリオは一本道で、ゲーム中に提示される何かを調べることでストーリーが進んでいく。
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クリア後にチャプターセレクトで、気になったチャプターをやり直すことはできる。
 
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ゲームオーバーの条件や制限時間などは設けられていない。
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シナリオに沿っていない場所に行こうとしても見えない壁に阻まれて進めない。
 
操作方法
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通勤時など
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左スティックを倒すと主人公がゆっくりと移動する。
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怪しいところに立ち寄ってAボタンを押すことで、なにかしらのイベントが起こる。
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Yボタンでスマホの電源を入れて眺めたり、仕舞ったりも出来る。
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スマホを開くと、メールを読んだり、単純なゲームアプリをすることができる。
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スマホは右スティックで操作でき、その間左スティックで歩くこともできる。2つを組み合わせることで歩きスマホもできる。
 
 
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スマホアプリ
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BlipBlop
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「Blip」ボタンをひたすら連打して、「Blop」ポイントを蓄積させていくだけのゲーム。Blopポイントを消費することで、Blipしたときのポイントの溜まりかたが早くなるなどの特典がつく。
 
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Love
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近くに居る男性/女性の写真を機械的に選出し、それが好みか好みでないかを回答するだけ。
 
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ちなみにアプリ開始時に自分の性別が質問される。これに女性と回答すると男性を紹介してくる。
 
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会社業務
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ヘクスで表記される簡単な平面上を舞台に、上へ上へと向かって線を引いていくゲーム。
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音楽家に出会う中盤以降だと、主人公に気の迷いが生まれるのか、色のついた物体に妨害されるようになる。
 
評価点
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街並みと自然風景の美術表現
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街は一貫して寒色系で表示され、そこを往来する人々は無言で機械のように流れていく。
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時には、ベルトコンベアに運ばれる荷物のように、時には集積回路を流れる電子のように表現される。
 
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町の人は近くに立とうとすると距離を開けたり、視線をあわせようとするとそらすことも。
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一方で、街の隅っこに残されている自然や音楽は鮮やかな色合いで表現され、そこで音楽を演奏している人は温かく主人公と抱擁することも。
 
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考察の余地がある描写
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社畜同然の生活を送る主人公が、将来への不安を抱いたり、周囲の人間と血の通った付き合いができていない孤独感がテーマにされている。
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主人公が通勤する会社だけでなく、街に貼られている電子掲示板のメッセージも、どこかブラック企業をにおわせるようなものがあったりする。生産性しか重視しなかったり、不眠症をフィーチャーしていたり。
 
賛否両論点
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主人公が見ている心の世界の表現
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主人公の青年の心の中の世界と、実際の世界の境界線が曖昧。
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会社勤務中であっても、主人公は集中できずたびたび空想にふけているようだが、演出からしてまるで幻覚を見ているようにも思える。
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どこまでが現実でおきたことなのか、どこからが主人公の心象風景なのか分かりにくい。
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主人公は会社での孤独や機械的な生活に耐えかね、高いところから落ちたり、血まみれの海を泳いで居たり、機械に箱型に押しつぶされるような妄想(と思われるもの)を繰り広げる。刺さる人には共感が得られるだろうが、大仰すぎるようにも感じられるし、理路整然としたメッセージ性はない。
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幻覚で見えている金魚と会話することになるが、この金魚も結局のところ何者なのか分からない。
 
問題点
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挙動が重い
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一度に大勢の人が表示されるような場面だと、フリーズのような処理落ちが発生する。
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ただ歩き回って何かするだけのゲームなのに主人公の動きが遅くじれったく感じられる。人の波にも置いていかれるレベルであり、Bボタンを押しっぱなしで移動すれば、移動速度が上がるといった措置もない。
 
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カメラアングルを変えなくてはならない場面
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中盤、主人公をカメラアングルを変えつつ移動させなくてはならない場面に遭遇する。
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カメラアングルを特定の角度にしないと先に進めない箇所が存在するほか、カメラアングルの変え方(Aボタンを押しながら左スティック移動)も特に説明してくれない。
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カメラが何か障害物に引っかかるとその場から動けなくなってしまうこともあり、操作性は良いとはいえない。
 
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ゲーム性はぼぼない
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ただ目的のところに歩いていき調べるだけのゲーム。特に物語らしい物語もあるわけでもなく、ただただ街や自然、主人公の心の中の世界の表現を楽しむだけの内容となっている。
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スマホアプリもあくまで、街やひいては主人公が暮らす世界の冷たさ・退屈さを表現するためのギミックでしかない。実質、スマホアプリはつまらない。
 
総評
動きが遅いキャラを三人称視点で動き回らせるといった内容であり、単純なゲームとしての枠組みからは逸脱している。どちらかといえばメッセージ性のあるアート作品といったところ。機械化がすすみ巨大な都市の中で孤独を感じる青年にどれだけ感情移入できるかで、本作の評価も変わってくるだろう。
最終更新:2020年09月03日 10:45