Star Wars Jedi Knight: Dark Forces II

【すたー うぉーず じぇだいないと だーくふぉーす つー】

ジャンル FPS
対応機種 Windows
発売元 LucasArts
マイクロマウス(日本)
【Steam】Disney
開発元 LucasArts
発売日 1997年10月10日
1997年10月24日(日本)
定価 10,800円(日本)
【Steam】620円
配信 Steam/gog.comにてダウンロード販売中
判定 良作
ポイント 『スター・ウォーズ』FPS第二弾
広大な3次元マップ
ジェダイ要素も大幅強化
スター・ウォーズシリーズ
ジェダイナイトシリーズ
Dark Forces / 1 / MotS / 2 / Jedi Academy


ストーリー

A Long Time Ago, in a Galaxy Far, Far Away...
遠い昔、遥か彼方の銀河系で…


エンドアの戦いによって第二のデス・スターが破壊され、帝国軍の敗北が決定的となってから1年後。

反乱同盟側は新共和国の樹立に向け協議を進めていたが、辺境は依然として無政府状態となり、残党の中には帝国の首領に成り代わろうとする者たちもいた。

かつて帝国軍士官となったものの謎の帝国軍将校に父親を殺されたことを知って脱走し、

戦争中は反乱同盟側に協力していた傭兵「カイル・カターン」はある時、無法惑星ナー・シャッダで情報ブローカーのドロイドである8t-88にある取引を持ち掛けられる。

カイルを出迎えた8t-88は、父親モーガンを殺したのは「ジェレク」という名前のダーク・ジェダイの男であるという情報を教える。

しかしジェレクの情報を求めようとするカイルに、8t-88は突如銃を突きつける。

彼はジェレク率いる帝国軍残党からカターン家で発見された暗号ディスクの解読を依頼され、唯一の手掛かりとなった息子カイルを脅してディスクの中の情報を手に入れようとしていたのだった。

機転を利かせて反撃し暗号ディスクを逃げる8t-88から奪回したカイルは、故郷スロンの自宅に侵入し父親のドロイドであるWeeGeeを発見する。

暗号ディスクを読み込んだWeeGeeは一本のライトセーバーと、父親の残したある映像を再生する。

カイルの父モーガン・カターンは「ジェダイの谷」と呼ばれる遺跡の守護者として、その情報をシスやダーク・ジェダイから長年秘匿し続けていたのだった。

ライトセーバーを手に入れたカイルだったが、もう一つの贈り物である「ジェダイの谷」の座標が記された天井画は既に残党によって持ち去られ、宇宙船へ積み込まれようとしていた。

相棒ジャン・オースの支援やライトセーバーの持ち主でありフォース・ゴーストとなっていたモーガンの友人クー・ラーンの助言を得て、カイルはジェダイの谷を守るべくジェダイとしての才能を開花させていく。


概要

ルーカスフィルムのゲーム部門であるルーカスアーツによる1997年発売のFPS。
前作『Star Wars: Dark Forces』同様にFPS形式となっており、主人公も引き続きカイル・カターンが務めている。

動作エンジンは擬似3Dの「Jedi engine」から3Dの「Sith engine」へと移行、キャラクターグラフィックやマップは立体的なものへと変化した。


ゲームシステム

操作方法

  • 本作からF1キーで視点変更が可能になった。ライトセーバー使用時やジャンプアクション中などにTPS視点に切り替えることで、より安全な立ち回りで動くことが可能に。
  • WASDで前後左右への移動を行い、マウスで視点操作を行う。Spaceキーでドアやスイッチを稼動させ、Shiftでダッシュ、Cでしゃがみ・潜水、右クリックでジャンプ。
    • マウス左クリックで射撃(プライマリ)を行い、Zキーで射撃(セカンダリ)、数字キーで武器選択を行う。縦方向ではないものの前作同様射撃はある程度のオートエイムが働き、かなり大胆な立ち回りでも当たるようになっている。また、リロードの概念は存在しない。
  • Rキーでアイテムを選択し、Enterで選択中のアイテムを使用する。一部装備はファンクションキーに割り当てられており、即座に使用することも可能。
  • マップはtabキーで平面が、escキーからのメニューで立体が表示できる。

ゲーム進行

  • マップは探索式から直線構造へと変化し、宇宙船に合流すべくスタート地点に戻ったりといったことはなくなった。クリアは自動で行われるようになった。
    • 残機制から任意セーブへと変化し、一般的なFPSと同一のシステムへと変更された。ただしオートセーブはない。
  • 道中では頻繁にダーク・ジェダイとの決闘チャプターが挿入される。ダーク・ジェダイにはビーム系兵器がどの方向であっても効かないため、ライトセーバーによる一騎打ちを行うことになる。

フォース

  • Q/Eキーで選択してFで実行する、もしくはファンクションキーで実行するおなじみの特殊能力。実家でライトセーバー取得後に利用が解禁される。
    • ステージクリア時に戦績として「スター」が与えられ、そのスターを各種フォース能力に割り当てることでフォース能力が強化される。フォースには移動やアイテム取得に向いた中立・防御や回復を行うライトサイド、攻撃に特化したダークサイドの3つのバリエーションがあり、中盤でどちらかを選択することが可能になる。
    • フォース取得画面は随時escキーで確認でき、下にあるメーターの傾きがライトサイド側である程度まで進めるとグッドエンドに、ダークサイド側である程度まで進めるとバッドエンドになる。ライトサイドとダークサイドのフォースを両方取得することができない。

使用武器

  • 素手を含めると合計10種類の武器を使用でき、それぞれに1~0までの数字キーが割り当てられている。
    + 武器とその能力一覧 ブライアー・ピストル*1
  • 初期装備の拳銃型ブラスター。使用弾薬はエネルギーユニットであり、ブレは少ないが連射できず火力に欠ける。
  • ストームトルーパー・ライフル*2

    • 序盤から終盤まで主力として活躍する機関銃。使用弾薬はエネルギーユニット。ブレは激しいものの、連射速度が高く弾薬供給も多いため非常に役に立つ。

    サーマル・デトネーター

    • グランが多用する手投げの手榴弾。プライマリで着発に、セカンダリで時限式になる。チャージによって飛距離が伸びるが、投げる高さも高くなるため天井が低いと自爆する。

    クロスボウ*3

    • グレイブ・タスケンズが主力として利用する、狙撃に利用可能なウーキー族の高威力エネルギー兵器。チャージすると弾丸が拡散する。セカンダリは誘導弾となる。

    インペリアル・リピーター・ライフル

    • 前作でダーク・トルーパー用に開発された機関銃。使用弾薬はパワーセル。プライマリで連射し、セカンダリで3発同時に集中発射する。命中精度が高く弾速が早いためほかの武器に比べて狙撃に向く。

    レール・デトネーター

    • 吸着型のグレネードランチャー。プライマリで着発式として発射し、セカンダリで吸着爆弾として発射する。中盤からエリート・ストームトルーパーが使用し、吸着モードで猛威を振るう。

    シーケンサー・チャージ

    • 前作における地雷と同等の武器。使い勝手は悪い。

    ストゥーカー・コンクションライフル

    • 命中すると爆発を起こす狙撃銃。使用弾薬はパワーセル。命中率は高いため遠距離から敵を倒す際に重宝する。

    ライトセーバー

    • 直立状態で正面のビームを弾き、攻撃で相手の腕を切り飛ばす、映画でおなじみの近接武器。威力はそこそこだが射程距離が見かけ以上に狭く、一般兵相手にまともに使用するのは難しい。巨大生物ケル・ドラゴンやレーザーを跳ね返すAT-ST、ダーク・ジェダイとの決闘において強制的に利用しなければならなくなるため、使用頻度はそこそこ。
      直立状態で通常の攻撃を行い、移動しながらの攻撃で振る方向が変化する。Zキーで隙はあるが攻撃範囲の大きい強攻撃を繰り出すことができ、攻撃していない状態で向いている方向から飛んできたレーザー弾を弾くことができる。


評価点

持ち味を存分に生かした映画的ストーリー演出

  • 前作同様にルーカスフィルム直属のゲームスタジオであるルーカスアーツによって作成されており、そのストーリー演出のクオリティは非常に高い。
    • 各ミッションごとの膨大なテキストは廃止されたものの、合間合間には実写とCGを巧みに組み合わせたムービーが挟まる。声優の格好や演技は悪くなく、CG部分もミニチュアでないためややチープさはあるがそこまで違和感が多いというほどでもなく良好。実質的な『スター・ウォーズ』外伝映画としても見られる。
    • ストーリー自体は同ルーカス作品の『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』の模倣に近い形となっているが、「遺跡を暴き絶大な力を手に入れようとする帝国残党と、父の意思を継ぎ阻止に挑む息子の戦い」として違和感無く本編ストーリーに馴染んでいる。

ジェダイ要素の大幅な増加

  • 前作で問題視された、『スター・ウォーズ』を構成する重大な要素のひとつ「ジェダイ」についても、フォースやライトセーバー、ライトサイドとダークサイドの決闘といったゲームシステム面で積極的に取り入れられることとなった。映画同様の戦いが楽しめるようになり、より『スター・ウォーズ』らしさが前作より増した。

3Dで再現された『スター・ウォーズ』世界

  • 前作の舞台のひとつでもある犯罪惑星ナー・シャッダやカイルの故郷スロンの巨大なダム、AT-STが巡回する帝国軍基地、ジェダイの遺跡群など、前作同様にロケーションはさまざま。谷間に落下し傾いていく艦船からの脱出といったスクリプト演出を駆使したロケーションも登場し、映画さながらの体験を味わうことが出来る。

帝国軍の大型兵器が登場

  • 3DとなったことでAT-STやAT-AT、TIEボマーといった帝国軍大型兵器が複数登場。2Dエンジンの前作では描けなかった巨大兵器との戦闘を楽しむことが出来る。

雰囲気を盛り上げるBGM

  • MIDIだった前作から進化し、映画同様のオーケストラ演奏に変化。映画でお馴染みの曲が流れるようになり、より雰囲気が向上した。
    • 前作同様の場面ごとの転調も健在。ずっと同じ曲が流れ続けるのではなく、戦闘中などと探索で曲が変化するなどゲームに沿った調整が施されている。
    • 最初のチャプターである惑星ナー・シャッダでいきなり「カンティーナ・バンド*4」が流れるなど、一部のステージにおける曲のチョイスも原作ファンを喜ばせるもの。

オンライン対戦登場

  • 最大32人のオンライン対戦が実装。前作で不満点の一つとして上がっていた要素であり、「『スター・ウォーズ』を題材とするオンラインFPS」は本作が初となった。
    • ランキングを上げるとフォース強化用のスターが獲得できるなど、ジェダイ要素もゲームプレイに落とし込まれており、『スター・ウォーズ』らしい独特な対戦を楽しむことができる。

NPCの登場

  • 一般住民や店主、アストロメク・ドロイド、パワー・ドロイド、プロトコル・ドロイド、小柄な種族の整備員など、一部マップに非戦闘NPCが登場するようになった。
    • AIの出来は悪いものの、駆動音を鳴らしたりグランに殴られていたりと演出の一部として機能している。またこれにより、前作と比較して市街地などの割合が増えた。
    • 反面、プレイヤーを支援してくれるNPCは登場しない*5。援護射撃を行うNPCは、本作の拡張パックである『Star Wars Jedi Knight: Mysteries of the Sith』にて実現することとなった。

パズル要素の改善

  • スイッチとギミックを行き来し、正解になるまで押し続ける単純かつ面倒なパズルは廃止され、高低差を活用したダイナミックなパズルが大量に盛り込まれた。分かっていれば容易に突破できるためストレス要因にはなりにくく、またパズル構造自体も倫理的構成のため「パズルをやらされている感」がかなり少ない。

賛否両論点

いまいち使い道が多くないフォース

  • 特殊能力「フォース」が登場したはいいが、初期は中立のみ選択できハイジャンプや一定時間の高速ダッシュ、アイテムの引き寄せといった微妙なものばかり。中盤からはやっとライトサイド/ダークサイドのフォースが解禁されるものの、選択しての使用やファンクションキーでの発動は機敏さに欠ける為それらの使い勝手もあまり良いとは言えない。

使い勝手の悪いライトセーバー

  • 前作で要望の多かったライトセーバーが登場したはいいものの、いまいち射程が短く使い勝手が悪い。振る速度も素手並み、攻撃反射能力の有効範囲も狭く連続したレーザー攻撃は防げない、何もしていない時しか攻撃を反射できない、反射した弾が撃った敵に当たるかどうかは完全ランダム、ロックオンできないため視界操作が面倒、そもそも0キーが遠すぎる、と色々な難点を抱えている。
    • 説明書などでは攻撃範囲が分かりやすいTPS視点が推奨されている一方、ライトセーバーでブラスターの光線を防御したい場合は相手の顔に照準を合わせ続ける必要がある(付属マニュアル)のでクロスヘアの表示されるFPS視点でないと防御が難しい。
    • 当たり前だがライトセーバーの攻撃反射能力に爆風は含まれておらず、本作においては手榴弾を延々投げ続けるグランや吸着爆弾を撃つエリート・ストームトルーパーが天敵となる。ゲーム的には武器を切り替えれば済む話ではあるが、吸着爆弾が剥がせずに爆死するジェダイはかなり滑稽。

問題点

戦略性のないダーク・ジェダイとの決闘

  • 本作のライトセーバーは振っていない間だけ、正面からのレーザーとセーバー攻撃のみ防ぐという自動防御式であり、任意で防御体制にすることが出来ない*6。実質的に「距離を取りつつ隙を見てライトセーバーを振るだけ」と単調であり、追従カメラもないため格闘ゲームのような隙の読みあいによる高度な剣戟には程遠い。
    • 敵もプレイヤーも移動速度が速く、移動や大ジャンプを多用した三次元的な挙動を行うダーク・ジェダイも登場する。一定位置に留まりながらの鍔迫り合いはできず、結局のところ防御されないよう相手の周りを回りながらライトセーバーを振り続けるのが最適解のボスが多い。

実質ライトサイドのフォースしか利用できない

  • どちらか一方の側のフォースしか利用不可なシステムを採用しているのだが、ほぼ全てのプレイヤーは初周でライトサイドエンディングを目指すため、ダークサイドのフォースが多くの場合使われずに終わる。
    • 正史もライトサイド側なため、わざわざダークサイド側のエンディングを見る必要がない。無限回復できるライトサイド側のほうが圧倒的に初心者向けという格差も相まって、フォースの数を増やして育成の自由度を上げたはずが結局使われるのはライトサイド側だけという惜しいことになっている。

地雷の処理方法が爆発のみ

  • 敵の設置した地雷は回収手段がなく、前作同様に基本的にサーマル・デトネーターによる爆破処理に頼ることになる。ピストルで狙い撃って誘爆を狙うこともできずやや不便。

微妙すぎるマルチプレイのキャラクターチョイス

  • 要望の多かったマルチプレイが満を持して登場したものの、その参戦キャラクターはかなり微妙なことになっている。
    • 参戦キャラクターは大量のカイル・カターンの色違い、ダーク・ジェダイの人間キャラのみ、ストームトルーパーや士官などの帝国軍兵士、タスケンやローディアンといった賞金稼ぎ種族、そしてマンダロア(ボバ)とCybot(C-3PO)。
    • 映画本編に登場するキャラはボバ・フェットとC-3POのみ*7。更に言えばC-3POは本編に登場するキャラクターの色変えであり、実質的な新キャラはボバ・フェット以外に存在しない。原作ファンであればダース・ベイダーやルーク・スカイウォーカー、ハン・ソロ、若しくはストームトルーパーと戦うための反乱軍兵士といったキャラクターを期待するところだが、そういったファンには応えきれていない。
    • QUAKEのようなスポーツ型のFPSのため、金色のCybotを選択した場合銃を乱射し高速で跳ね回るC-3POというなんともシュールな絵面を見せられることになる。

総評

前作から順当に進化し、3Dとなったことでより高度な演出を実現した続編。
前作『Star Wars: Dark Forces』の特色でもあった、ステージ内のスクリプト制御による演出やムービーによるストーリーの補完はスペック向上と共に格段に増え、『Half-Life』の前年ながらストーリーを第一に置いたゲームプレイを実現、『スター・ウォーズ』ファンも納得のFPSとしてその完成度を評価された。

肝心のジェダイ要素は一作目というのもあって荒削りのままであり、FPSに組み込まれたシステムとしてはやや不便な面が目立つ。これらの不満点は、以降の『ジェダイナイト』シリーズにおいて強化・調整されていくことになる。


余談

  • 2012年のディズニーによるルーカスフィルム買収時に非正史(レジェンズ)に分類され、無かったことにされた数多くの『スター・ウォーズ』作品の一つ。ただし本編キャラの絡まない辺境の出来事ということもあり、時系列的には本作のみではあまり本編とかち合う部分はない。
  • シリーズ中で実写を採用したのは本作のみであり、後のシリーズでは3DCGモデルで表現されるようになった。本作で元傭兵の二枚目新米ジェダイ「カイル・カターン」を演じたジェイソン・コートは、その後2000年に引退しワイン生産者に転職した。
  • 設定上、本作でジェダイとして覚醒した時のカイルは29歳。これはジェダイとしては非常に遅く、エピソードVIのルークすらジェダイとして修行した末で20歳。
    • 設定上はフォースの修行は本来幼少期から行われるはずで、カイルと8歳下のルークですら「青年期にジェダイになった珍しい例」と言われるほど。クー・ラーンの霊体の助言こそあれど覚醒から間髪入れずに様々なフォース能力を会得、最終的にジェレク配下のダーク・ジェダイを全員始末するというとんでもない速度の成長を遂げている。
最終更新:2023年10月13日 17:06

*1 後の作品ではK-16ブライアー・ピストルとも呼ばれる

*2 後の作品ではE-11ブラスター・ライフルとも呼ばれる

*3 映画版ではボウキャスターとも呼ばれる

*4 「エピソードIV/新たなる希望」の酒場で『フィグリン・ダン&モーダルノーズ』が演奏していた曲。

*5 唯一、医療ドロイドのみ話しかけると治療してくれる

*6 ライトサイドで該当フォースを取得した場合のみ、フォースでバリアを張ることで擬似的な任意防御は可能

*7 種族表記ではあるが、一応「ボスク」のトランドーシャン、「グリード」のローディアンなどは登場している。このせいで前作『Dark Forces』から量産型ボスクが大量に登場してしまっているのだが…