Star Wars: Republic Commando

【すたー・うぉーず りぱぶりっくこまんど】

ジャンル FPS
対応機種 Windows(Steam)
Mac OS
Xbox
Nintendo Switch
PlayStation 4
発売元 LucasArts
【日本語版】エレクトロニック・アーツ
【Switch/PS4海外版】Aspyr
【Switch/PS4日本版】THQ Nordic ジャパン
開発元 LucasArts
発売日 【Xbox(北米)】2005年2月28日
【Win(北米)】2005年3月1日*1
【Xbox日本語版】2005年2月17日
【Win日本語版】2005年3月1日
【Switch/PS4海外版】2021年4月6日
【Switch/PS4日本版】2021年12月23日
配信 Steamにてオンライン販売中
判定 良作
ポイント カジュアルなタクティカルシューター
3人の部下を指揮して戦略的に立ち回る
ジェダイほぼ無しの硬派なシナリオ
スター・ウォーズシリーズ


ストーリー

A Long Time Ago, in a Galaxy Far, Far Away...
遠い昔、遥か彼方の銀河系で・・・・


分離主義勢力と銀河共和国の対立から勃発した銀河規模の戦争「クローン戦争」は、その戦火を銀河全体へと拡大し続けていた。

分離主義勢力はバトル・ドロイドによる機械軍団によって侵攻を行い、対抗する銀河共和国は「共和国グランド・アーミー」を設立。

凄腕の賞金稼ぎをベースに製造した歩兵「クローン・トルーパー」を用いてドロイドの侵略に抵抗を図り、両者は激しい戦闘を続けていた。

通常のクローンとは異なる優秀な指揮能力を持つ兵士「RC-1138」は、3名の部下を持つ特殊部隊「デルタ・スクワッド」のリーダー。

ジオノーシスの戦いにおいてドロイド製造工場の破壊に成功した彼らデルタ・スクワッドは、通常のクローン兵では対応できない様々な事態に出撃し、任務を遂行していく。


概要

スター・ウォーズシリーズを題材に、タクティカルシューター的な部隊指揮システムを採用したスピンオフのFPS。
開発を担当したのは、FPS『スター・ウォーズ ダークフォース』シリーズなどを開発したLucasArts。

映画本編の内容に絡んだものではなく、『エピソード2/クローンの攻撃』と『エピソード3/シスの復讐』の間の時期に起きた「クローン戦争」を題材としており、EP3に先駆けてウーキーの首長ターフルやグリーヴァス将軍などのキャラクターが登場している*2
マルチプレイモードも搭載されているが、現在はサービスを終了している。
尚、Windows/Xbox版共に完全日本語版がエレクトロニック・アーツより発売されたが、日本が最初の発売となった珍しいケースである。*3


ゲームシステム

基本システム

  • 基本操作はオーソドックスなFPSタイプ。主観視点で移動、攻撃、操作を行い、ステージの奥へと進んでいく。
    ステージ構造は一般的な直線型であり、弾薬の置かれた隠しエリアはあるがルートの自由度はない。
    • 武器はそれぞれ残弾無限のピストル、弾数が多く連射できるサブマシンガン、スコープでの遠距離狙撃が可能なスナイパーライフル、装甲の硬いドロイドに有効なグレネードランチャー、そして特殊武器の系5種類を同時携行可能。
      特殊武器カテゴリには複数の武器が存在し、ジオノーシスではレーザー砲、トランドーシャン戦ではショットガンやサブマシンガン、コンクションライフル、キャッシークではウーキーボウキャスターなど、ステージや敵によって入手できるものは異なる。
    • 体力システムは時間経過で自動回復するシールドゲージ+通常HP方式で、攻撃を受けると先にシールドが減っていく。シールドが空になるとHPが減少し、減ったHPはバクタタンクまたは各所のバクタ補給装置を利用して回復する。

チャプター構成

  • クローン戦争開戦のキッカケである「ジオノーシスの戦い」に参加する第一章、宇宙に漂流しているスター・デストロイヤーへ調査に向かう第二章、キャッシークに向かいウーキー族への加勢を試みる第三章と全三章構成。

味方との連携・指示

  • プレイヤーであるクローン・トルーパー「RC-1138(ボス)」は特殊部隊「デルタ・スクワッド」のリーダーであり、「RC-1140(フィクサー)」、「RC-1207(セヴ)」、「RC-1262(スコーチ)」という三人の部下を従えている。
    • 通常状態ではプレイヤーに追従もしくはステージの先へと前進し、敵に攻撃を加えていく。戦闘不能になった場合でもFキーで応急処置を施す(施させる)ことができ、成功すると体力が半分の状態で復帰する。
    • メンバーが倒れても即座にゲームオーバーになることはないため、プレイヤーの戦闘不能中にも敵の撃破を優先させることが可能。しかし、メンバー全員が戦闘不能になった場合ゲームオーバーとなり、最後のセーブ地点まで戻される。
  • ステージ道中には待機可能な遮蔽物、登場可能な砲台、爆弾を設置して破壊可能なオブジェクト、操作端末、地雷などが配置されており、プレイヤーはそういったオブジェクトに照準を合わせた状態でFキーを押すことで仲間に指示を出すことができる。
    • 遮蔽物や砲台へ指示を出せば味方はそこから敵に集中砲火を浴びせることができ、爆弾の設置を命令させれば射撃での援護だけに集中することが可能。また、端末を早めに操作してシャッターを閉じれば無限湧きが遮断され損害が減るなど、味方との連携次第でより有利に任務を進めていくことができる。
    • 道中各所に配置されている体力回復用のステーションにも指示を出すことができ、負傷した部下に対して回復の指示を出すことが可能。メンバーそれぞれのアイコンは体力が多い順に緑→黄→赤と変化していくため、これを介して回復の是非を確認することができる。

登場兵器

  • 道中では特定地点に固定砲台などが配置されており、自分で乗り込んで攻撃することもできれば味方ユニットに指示を出して援護射撃をさせることも可能。
    • ただし、トランドーシャンなどの人型種族もこれらを操作できるため、空にしていると強奪されてしまうことも。

評価点

程よい戦略性の確保された部隊行動システム

  • Fキーと視点移動だけの簡単操作で各人員を指揮することができ、こういったタクティカルシューターにしては非常にストレスフリー。
    各メンバーも優秀なAIを備えており、適切な指示を出せば非常に効率的に動いてくれる。

魅力のある個性的なメンバー

  • デルタ・スクワッドの各メンバーは互いに装備や色、会話によって個性付けされており、互いにジョークを言ったり、射撃の腕を褒めたりと指揮していくごとに愛着が湧いていく良好なキャラ付けがされている。
    • 性能差があるわけではないが性格は大きく異なり、好戦的なセヴや軽口ばかり叩くフィクサーなど彼らの台詞も魅力の一つ。

終始一貫した特殊部隊然とした雰囲気

  • あくまで架空のSFではあるが、デルタ・スクワッドの各メンバーは実際の特殊部隊から着想を得た装備一式で身を固めている。また、突入時などのモーションキャプチャーにもプロの特殊部隊が関わっており、突入やカバーといった動作にムダがない。
    • 爆弾を設置しての破壊工作やドアロックを破壊しての強行突入など、所々で行う動作も「それっぽい」ものが多め。大規模戦をテーマにした同時期の『スター・ウォーズ バトルフロント (2004)』とは異なる、別視点からのクローン戦争を楽しめる。

比較的固めのプレイヤー

  • 一定以下の攻撃を無効化してくれる自動シールド装置や、定期的に配置されている無限に利用可能なバクタ回復装置など、プレイヤーの装甲や体力は比較的高め。
    • 火力自体はスーパー・バトル・ドロイド数体では連携しなければ脅威となる程度の弱さだが、戦闘が終わるごとに体勢を立て直すチャンスが与えられるため詰むことがない。

個性豊かで独自アレンジの加えられたドロイドたち

  • 主な敵となるドロイドたちは作品の雰囲気に合わせてリアリティのあるアレンジが加えられており、本編デザインとは構成が微妙に異なる。
    • 不気味な顔の付いたB1バトル・ドロイドや、渋い声と圧倒的火力で迫るスーパー・バトル・ドロイド、劇中どおりの厄介さを誇るドロイディカやマグナガードなど、各ドロイドは魅力的な個体が揃っている。

賛否両論点

主要キャラの欠如

  • 本作では一般クローン兵たちの戦闘に焦点が当てられており、ジェダイやシス、そして賞金稼ぎや犯罪組織といった映画で印象的なキャラクターは殆ど登場しない。
    • 新三部作の主役たるジェダイ騎士に至っては、登場するのはエンディングでのヨーダのホログラム映像のみ。本編とリンクする部分もそう多くはなく、完全に外伝扱いとなっている。

やや単調なストーリー展開

  • やっていることはひたすら分離主義勢力のドロイドやトランドーシャンの海賊団を倒して進んでいくだけであり、あまりドラマチックな展開は用意されていない。
    このため、通常戦闘をこなしていく部分ではやや単調さを感じがち。
    • ただしドロイド製造工場への潜入やホラーテイストな遺棄船探索、マグナガードとの決闘など、演出的見所も各所にはしっかりと用意されている。

問題点

厄介な無限湧き

  • 二章以降からオリジナルメカとして「ドロイドディスペンサー」という大型トラックほどのサイズのドロイド輸送・射出ポッドが登場するのだが、このドロイドディスペンサーは破壊しない限り無限にドロイドが出現するようになっている
    • どう考えてもサイズ的におかしい量が出現するため違和感があり、また弾薬のドロップなどもないため集団戦では非常に厄介。10~20秒程度の時間を掛けて大型爆弾を設置しなければ破壊できないのだが、ドロイディカやスーパー・バトル・ドロイドといった固い装甲を持つ個体も平気で無限湧きするため一部ステージではモタモタしているとエゲつない難易度と化す。

総評

基本は『Ghost Recon』に代表されるリアルタイムなタクティカルシューターと同一だが、Fキーのみの操作によるカジュアルな指揮システムにより比較的スピード感のあるゲームプレイを実現した作品。
ジェダイの多い映画新三部作や比較的大規模な戦闘のみを描く『スター・ウォーズ バトルフロント』シリーズとはまた異なる、小規模部隊の特殊任務という部分に焦点を当てたことでコアなSWファンから評価された。

本編との繋がりの薄さ*4やストーリー部分の単調さ、ひたすら出てくるドロイド軍団など、選んだ題材故の脚本的な問題は多い。
しかし全体的には変にはみ出ることもなく手堅く纏まっており、ゲームとしての完成度は非常に高いものとなっている。


余談

  • レジェンズ作品ではあるためターフルの救出などの経緯は現在のタイムラインでは定まっていないが、正史のCGアニメ『クローン・ウォーズ』にも監督の意向で少しだけ登場したため、デルタ・スクワッドの4人の存在自体は確定している。
  • イギリスでは本作と同じ世界観を用いた同タイトルの小説が4冊刊行されている。また、元々は本作の続編である『Star Wars: Imperial Commando』が作られる予定だったがコンセプトアートが公開された後にキャンセルとなってしまい、プロットとタイトルは前述小説のシリーズ最終巻(第5巻)に流用されている*5。ちなみに小説は本作とは別の「オメガ・スクワッド」が主人公で、デルタ・スクワッドの方はセミレギュラー扱いとして登場している。
  • 日本では上述の通りWin/Xbox向けに発売されていたが、その後はレジェンズ区分のゲームタイトルなのもあり長期間移植には恵まれなかった。しかし2021年4月には海外Switchにて単品移植され、その後の10月19日にはSwitch日本版パッケージの『スター・ウォーズ レーサー アンド コマンド コンボ』の発売が発表された。
最終更新:2021年12月23日 00:39

*1 時差の関係で日本時間では3月2日

*2 グリーヴァスは2Dアニメ『クローン大戦』から続投している

*3 尚、Windows版は時差の関係で北米では1日遅れの発売となった。

*4 数多くあるスター・ウォーズのゲーム化作品の中でも。「特に原作色が薄いもの」として真っ先に挙げられるのが本作である。

*5 タイトルは『Star Wars Imperial Commando: 501st』