この記事では『鉄道ゼミナール -JR編-』と『鉄道ゼミナール -大手私鉄編-』を併せて紹介します。



鉄道ゼミナール -JR編-

【てつどうぜみなーる じぇいあーるへん】

ジャンル 教養
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 タイトー
開発元 音楽館
発売日 2008年3月27日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント 鉄オタのためだけにあるソフト

概要

JRグループの鉄道に関するクイズを収録したソフト。情報を集めたデータベースのほか、おまけとして鉄道に関する読み物を鑑賞することもできる。

ゲーム内容

  • 鉄道ゼミナール
    • 車両ガイド…1回につき4形式がJRの車両の中からランダムで選択され、その解説を読んだ後1問クイズに挑戦するというもの。本作のメインモードである。クイズは正解でも不正解でもよく、読み終わったものは「済」となる。
    • 鉄道検定…鉄道のほぼ全分野に関するクイズに答えていくモード。初級から超特級まで5段階の難易度があり、一回の出題は25問。20問以上正解で合格となる。
      • 4択で選ぶ問題が多いが、○×問題や並び替え問題、写真の間違いをタッチする問題もある。
  • データベース
    • その名の通り鉄道に関する事項を多数読むことができる。
      • 車両図鑑…JR各社の鉄道車両に関するデータを見ることができる。機関車、貨車といった分類から探したり、車体色や所属会社から絞り込むこともできる。
      • 鉄道用語辞典…鉄道のあらゆる分野の用語の解説が読める。
      • 読み物…はやのん氏による4コマ漫画、および向谷実氏によるコラムを読むことができる。車両ガイドを読み進めることで解放されていく。
  • おためし検定
    • その名の通りお試しで10問の鉄道クイズを解いていく。結果によって「鉄道マニア度」が点数表示される。

評価点

  • 圧倒的な情報量・問題数
    • 鉄道検定・データベースともその内容は莫大なもので、ボリューム的には鉄道ファンをも唸らせる。
      • 用語辞典では記号(キハ、オロネなど)も完備。マニアックなタンク車の小文字記号も入っている。
      • 車両図鑑ではその車両の性能や運行区間、さらには「バリエーション」といった塗色・形態差も全て写真付きで見ることができる。さらには保留車や試験車などのレア車両やジョイフルトレインも個別に収録している。
    • 読み物も普通に面白い内容である。
  • 参照しやすいデータベース
    • 記事内では単語にリンクが貼られており、タッチするとその単語記事にジャンプできる。このため調べ物が非常に楽。
      • SIVの記事はインバータへの転送になっているなど、重複が起こらないようにするための工夫もされている。
  • あえてJRだけに絞ったこと
    • 1項目について十分な量のデータを用意する点で、国鉄に遡ったり私鉄を加えたりせずJRに限った点は評価できる。

賛否両論点

  • 鉄道検定の難易度
    • 中級以上の問題は難しめ。一部はマニアックという言葉すら生ぬるく、非鉄ともなれば初級ですら投げたくなる。
      • 車両ガイドを読むだけではわからない「制限速度」「搭載機器」などの出題もある。高得点を目指そうと思ったら興味のない分野についても手探り同然の勉強をしなければならない。分野別に出題できれば良かったのでは?
    • 合格条件である25問中20問正解というのもかなり厳しい条件。

問題点

  • 一部つまらない暗記を要求する出題
    • 「○○系のデビュー年は?」という問題がその際たる例である。かなりの数出題されるが、登場年ばかり覚えたい鉄道ファンなどほとんどいないだろう。
    • というか、ムカイヤくんが「この問題は嫌いだ(意訳)」と出題後に言ってきたりする。もう何がしたいのかわからない。
  • 全ゼミナール制覇の意義に欠ける。
    • 全クリアの特典はメニュー画面の色を変えられるだけ
  • 大半のジャンルを網羅しているデータベースだが、切符に関する情報がほとんど無い。イメージキャラクターは切符なのにである。
    • また、車両図鑑に一部誤りがある。特に運用範囲の間違いが多い。
  • きっぷくんが怖いとの声多数。
    • 陰影の薄い画風、穴のような目、身体にざっくり空いた鋏痕などがこのような評価を招いたと思われる。
    • 大手私鉄編ではICカードになったので改善。

総評

従来鉄道ファン向けのゲームといえば運転シミュレーターが大半を占めていた中、知識を試すのにバッチリなクイズに莫大なデータベースと、鉄道ソフトの新境地を切り拓いた作品である。
問題は難しいが非鉄にも鉄道に触れやすい構成になっており、鉄道に興味のある人には誰でもお勧めできるゲームに仕上がっている。


鉄道ゼミナール -大手私鉄編-

【てつどうぜみなーる おおてしてつへん】

ジャンル 教養
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 タイトー
開発元 音楽館
発売日 2009年1月22日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント コアな分野の問題が増加
鉄オタに嬉しい要素も
超豪華なBGM

概要(私鉄)

『JR編』の約1年後に発売されたバージョンで、その名の通り大手私鉄*1の情報を集めた内容が特徴となっている。

追加要素

  • 各社検定
    • 各会社ごとの問題を受けられる。列車の運行をモチーフにした制限時間制で、正解すると「通過」となり制限時間が増えるが、不正解だと「停車」となりタイムロスになってしまう。
  • サバイバル検定
    • 100問コース、1000問コース、3000問コースから選んで、ひたすらクイズに答えていく。
  • ミニトレイン
    • Bトレインショーティーのような、小さな鉄道模型。自分でマップ上にストラクチャーを配置してジオラマを作ることができる。
    • 車両やストラクチャーは、車両ガイドや検定をクリアすることで増えていく。また、既製ジオラマが2種類あり、これも車両ガイドを読むことで解放できる。

評価点(私鉄)

  • やはり今回もボリュームも情報もバッチリ。大量の画像とともに各社の情報を参照できる。
  • スーパーベルズと向谷実による、非常に良質なBGM。
    • 各社検定では会社ごと専用のBGMが用意されているが、これがかなり秀逸。特にスーパーベルズ曲は鉄道ファンからも神曲との呼び声高いものが多い。
      • なお一部はRailfanシリーズおよびTrain Simulatorシリーズの過去作から使い回されている。
  • きっぷくんのデザインが可愛くなった。

問題点(私鉄)

  • 無理ゲーレベルの問題
    • 降車位置や車内ステッカーの問題など、何をどう調べれば情報に当たれるのか分からないレベルのものが存在する。
  • 各社検定に難易度調整がない。
    • このため、最初から無理難題をふっかけられる可能性が生まれている。
  • 子供向けに近いミニトレイン。
    • 車両がデフォルメされているうえパーツの種類も多くなく、鉄道模型や他のシミュレーションソフトと比べるとどうしても見劣りする。
    • 車両ガイドを全部見てジオラマ2を解放すれば、一応まともに作られたコースを遊ぶことができる。

総評(私鉄)

ライトなファン向けの要素が多数追加されており、好意見も多くなった。とにかく良質なBGMも評価が高い。
とはいえクイズ部分の難易度が高めなのは相変わらずなので、鉄道ファンにお勧めしたい作品である。


余談

  • この頃は鉄道クイズ・データベースソフトが流行していたようで、本作の他にも『鉄道検定』『クイズの旅 鉄道旅情編』『トレインマスター』『鉄道データファイル』といったゲームがDSで発売されている。
    • これ以前にはWindowsで『広田尚敬監修 鉄道データファイル』というソフトが出されていたりした。
  • 『大手私鉄編』の音楽を収録した『鉄道ゼミナール 音楽編』というCDが発売されたが、本編と違い歌詞付きかつ終点があるためサントラとしてはおすすめできない。
    • ただし正式なサントラではなく、あくまで「スーパーベルズのいちシングル」なので批判はお門違いである。また、歌入りバージョンの電波ソング感が好みという人もいる。
最終更新:2020年09月09日 23:42

*1 私鉄の中でも特に規模が大きい事業者を指す。現在は東武、京成、東京メトロ、西武、京王、東急、小田急、京急、相鉄、名鉄、近鉄、京阪、阪急、阪神、南海、西鉄の計16社が該当。