チャイムズクエスト
【ちゃいむずくえすと】
ジャンル
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RPG製作ソフト
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対応機種
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PC-9801
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発売元
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アスキー
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開発元
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チャイム
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発売日
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1991年
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定価
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2,500円 別売マニュアル:500円
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判定
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なし
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備考
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ソフトベンダーTAKERU専売製品
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ツクールシリーズリンク
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概要
『RPGツクールDante98』の前年に発売されたRPG制作ツールで、PC98のこの手のソフトとしては初の製品となる。
一般的なパッケージソフトとしての販売ではなく、ソフトベンダーTAKERUで販売されていた。
仕様と制限
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画面構成は画面左側のフィールド移動画面と右側のパーティステータス表示部に分かれている。
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戦闘時は画面上部に敵の表示(敵の同時出現数は3体まで)、画面下部にパーティステータスの表示となっている。
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スクロール機能あり。マップの端に移動した場合、隣接したマップの端に移動する。
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キャラクターの移動は8方向に移動可能。キャラクターの移動単位は半キャラ単位で行われる。
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フラグに使うイベントスイッチは256個まで。取りうる値は0~255まで設定可能。
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対話式の条件分岐は「はい/いいえ」のみ。
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ショップイベントと所持アイテム分岐を用いることで疑似的に選択肢の多い対話条件分岐は作成可能。
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最大レベルは32、各パラメータの上限は255まで(これは敵も同様)。
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属性の概念がない。魔法は個別に効く・効かないの設定が出来るだけ。状態異常も同様で、耐性を細かく設定することはできない。
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負け戦闘イベントを作ることが出来ない。逃げた場合はそのままイベントが中断されるが、戦闘に負けると強制的にゲームオーバーである。
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PC版ツクールとしては容量制限がきつく、ディスク3枚構成のゲームでしか作成ができない。
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イベントの作成はツクール感覚の簡単な直観的操作でイベントを作成できる初級モードとBASIC言語に似たスクリプトを用いてイベントを作る熟練者モードの2つが用意されている。
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自作のグラフィックは利用可能。自作素材は元のデータに「追加」をすることによって行われる。ただし、空き領域がなくなったときは元素材の差し替えが必要。
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マップチップの通行可能、不可能の設定も可能。また、マップチップの透過も行うことが可能で、これを用いることでベッドで眠る表現や物陰に隠れた人物の表現も可能。
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これとは別にイベントスチルも登録可能。
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BGM、SEはあらかじめ用意されているものを使う。BGMは30種類、SEは10種類。
評価点
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ツールの完成度は高い。
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グラフィックエディタの完成度は高く使いやすい。
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初級モードで作成したイベントはスクリプトとなるため、それを用いてスクリプトの習得を行うことも可能。
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スクリプトの使い方によってはDante98よりも高度なイベント動作も行えた。
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移動の快適さについては随一。
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斜め移動が可能なうえに移動速度もプレイヤーがゲーム中に任意で変更可能。この辺りの機能は後年のツクール作品でも搭載している作品は少ない。
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収録されている素材の完成度は非常に高い。
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マップチップ、モンスター素材の完成度の高さは後年のPC版ツクールにも劣らない完成度。
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BGMの完成度も優秀。
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価格が安価。
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ソフトベンダーTAKERUでの販売ということもあり、『Dante98』の半額以下で購入可能。実際、ツクールシリーズ全体でみてもトップクラスに安価。
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ただし販売形態の都合上、マニュアルは別途メーカーに問い合わせて購入する必要はあったものの、それでも『Dante98』よりも安価であることには変わりはない。
問題点
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利用可能なマップが36マップと少なめ。また、パーティメンバーも4人だけでそれ以上は利用できないためあまり大きな規模の作品は作れない。
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1マップの広さは十分な広さは有しているものの、プレイヤー側で移動速度の調整ができる関係上、高速移動した場合は余計に狭く感じられる。
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マップ領域を節約する場合はBGM・マップチップ・出現エネミーが共用できるマップについては同一マップ上に構築するなどの対策が必要。
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自作の音楽・効果音を組み込むことができない。
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発売時期の近かった『バカスカウォーズ』ではMMLファイルの差し替えで自作音楽・効果音の利用ができただけにこの点は惜しまれる。
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とはいえ、『バカスカウォーズ』単体ではMML作成支援用のツールは用意されていなかったため、BGM作成のハードルは高いままであったが...
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魔法の効果が決められており、名前、消費MP、ポイントの設定しかできない。
総評
ツール自体の完成度はなかなかに高いものの、あまり大規模なゲーム構成には向かないのがネック。
ただ、当時としてはTAKERUでの販売ということもあって『Dante98』発売後も安価で手を出しやすかったこともあって評価は悪くなかった。
その後
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本作の流れを受け継ぐRPG制作ツールは『RPGメーカー』シリーズとなっている。
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こちらはアスキーの『TECH Win』系列で展開され、『RPGメーカー95』『97』『98』と系譜は続いたものの、商業的には失敗となり系譜は途絶えてしまった。
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こういった関係からか、本作はRPGツクールの系譜としては扱われていない。
チャイムズクエスト製ゲームについて
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本作のソフトを遊ぶための公式/非公式エミュレーションソフトは結局出ることはなく、遊ぶ環境としてはPC98のエミュレーションソフトを使って起動させる方法しかとることはできないのが現状。
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また、ソフコンが確立されていない状況であったうえに、フリーでのプログラムデータの配布もほぼ行われていなかったことも相まって今となっては本作を用いて作った作品を見つけること自体が困難である。
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本作を用いた有名な作品としては、奥の細道をモチーフにした『蕉風』や、後に『コープスパーティー』を作成したメンバーによって作られた『サバトの女王』などが挙げられる。
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『蕉風』については、後にTAKERUにて販売が行われていた。
最終更新:2020年11月24日 23:54