Among the Sleep - Enhanced Edition

【あもーんぐざすりーぱ えんはんすどえでぃしょん】

ジャンル アドベンチャー/アクション
対応機種 Windows/MacOS X/Linux(Steam)
PlayStation 4
Xbox One
Nintendo Switch
メディア ダウンロード*1
発売元 Soedescol*2
開発元 Krillbite Studio
発売日 【Win/Mac/Linux】2017年11月2日
【PS4/One/Switch】2019年5月29日
【Switch(日本)】2019年9月12日
定価 【Win/Mac/Linux】1,730円
1,900円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
セーブデータ 1個
判定 なし
ポイント 育児鬱をテーマにしたホラー
後半に死に要素あり
マップを暗くしすぎ


概要・あらすじ

ノルウェーのインディーズデベロッパー、Krillbite Studioのデビュー作品となる2歳児視点のホラーゲーム。 くまのぬいぐるみをプレゼントしてくれた母が突然姿を消してしまったことを皮切りに、不気味な幻想世界を探索して母の記憶を捜していくことが目的となる。 本作は2014年に5月にWin/Mac/Linux版を皮切りに発売された*3『Among the Sleep』のリマスター版。*4

システム

  • 1人称視点の探索型アクションゲームである。三次元空間で表現される地形を探索する。
  • Aボタンで立つ/ハイハイの切り替えができる。
    • 立つと視界が広くなり、ハイハイだと早く歩けるほかベッドや箪笥の下に隠れたりも出来る。
  • Bボタンで段差をよじ登る。
  • L/Rでものつかむ。重いものの場合、掴みながら左スティックで運べる。軽いものの場合は掴みながら右スティックでわずかに動かすことが出来る。
  • その他、Yで手に持っているテディベアを抱きかかえ周囲をほんのりと照らすことができる。このアクションは立っているときでないと行使できない。
  • アイテム
    • L/Rボタンを押すとアイテムが拾える場合がある。
    • 先の道で使わなくてはならないアイテムも存在する。そのようなアイテムはXボタン+L/Rボタンで手に持ち、適切な場所で再度L/Rボタンを押すと使うことが出来る。
  • リスタート地点
    • 一定区画まで進むとセーブされるチェックポイントセーブ方式だが本作は特殊な仕様となっている(後述)。
    • 転落したり、敵に捕まったりすると即ミス。ゲームを終了させずに再開した場合は最後に通ったチェックポイントからやり直し。
    • 但し、ゲームを終了してメインメニューに戻ってから再開した場合は、最後に通過したチェックポイントではなく、 最後にセーブが行われたチャプターの先頭からのプレイ となる。*5

評価点

  • ポリゴンの描写力
    • 森や家といった現実にある風景から、非現実的な地形まで幅広く描写してある。
  • ホラー演出
    • BGMや足音など、ジワジワと恐怖を書き立てるような音響の工夫がされている。
  • 赤ん坊のスペックとゲーム性の合致
    • 全編にわたって敵の攻撃に対して無防備。つかまったりするとやられてしまうので、緊迫感を出すことには成功している。またハイハイで物の陰に隠れてかいくぐるゲーム性は独特である。
  • テディベアの存在
    • お供となるテディベアは、夜にたった一人取り残された主人公(およびプレイヤー)の元に残された味方とも言うべき存在。
    • 適宜こちらに話しかけてくれることで、怖く錯綜としやすいストーリーをきちんと進行させる役割も担うことができている。

賛否両論点

  • マップの視認性が悪すぎる
    • 基本一本道なのだが、似たような地形も多いので非常に迷いやすい。
    • とにかく暗くてほぼ何も見えない場所もある。どこから何が出てくるかが分からないのでホラー演出としては有効かもしれないが、プレイの難易度を不当に上げているきらいがある。
      • テディベアをハグすることで若干照らすことは出来るがそれでもすずめの涙程度。足元に何があるかが分かる程度であり、周囲の地形までは照らして把握できない。
    • 敵に追われるような状況では、隠れられる場所を見つけなくてはならないのでこういった視認性の悪さは死活問題となりうる。
  • 脅かし要素に特化
    • グロ系の表現は一切なく、いかにも何か出てきそうな夜道のグラフィック、音響、突然現れる幽霊といったギミックが怖いというゲーム。
    • どういった演出を好むかはプレイする人次第か。
  • 短い
    • ユーザーレビューでは「ある程度マップ内を探索するなどしても概ね3時間半~4時間で終わってしまう」という不満点が多かった。
    • 開発元の見解では「平均クリア時間は概ね3時間前後を想定していた。無駄にボリュームを水増ししてプレイ時間を伸ばすことよりも内容が濃い物を短時間でプレイするほうが良いと判断したため」と述べている。
    • 実際に没となったレベルデータと思しきものがゲーム内のミュージアムで見ることができるので「もう1、2チャプターあっても良かったのでは」という意見もあるが、先述の不満点は「価格の割に短い」というのが大半だったことから来ている。*6

問題点

  • アクション性がほぼない
    • 実質探索がメイン。アクションを要求されることはないほか、コントローラーによる操作性もよくない。
      • 主人公の2歳児のフットワークもあまり良くは無い。中盤に敵が出てくるが、対処としては隠れるしかやることがない。頻繁に出くわすようになるのでストレスフルである。
    • 箪笥の引き出しを使って階段を作りよじ登るといった場面がかなり多くワンパターン。
    • ものを掴むのにかなり苦労する。左スティックでないと動かせない場合、右スティックでないと動かせない場合がある。
    • 変に細い足場の上では操作を誤ると足を踏み外しやすい。こういう落下死でコンティニューとなっても面倒くさいだけであり、ゲーム性や怖さのどちらにも貢献しているとは言いがたい。
  • ストーリー
    • ストーリーが特に無い。オープニング時、エンディング時に主人公の2歳児が置かれている状況が少し分かる程度。
    • 母親の精神状況が悪化したことが事の発端とはなっているが、主人公の2歳児がメインで体感する怖い世界がいったい何なのか、道中襲ってくる女の人のような幽霊が結局何者なのかがわからない。2歳児がただただ怖い夢を見たといったところか。

総評

アクション性・ストーリーが犠牲となってはいるものの、非力な2歳児視点となり、雰囲気突如襲ってくる恐怖のなか探索する独自の特徴を持ったAADVである。それなりに本格的な脅かし系統のホラーをやってみたいなら、手に取る余地はあるだろう。

最終更新:2021年10月30日 11:37

*1 海外ではCS機版のみパッケージ版もリリースされている

*2 海外でのCS機パッケージ版及びSwitch版のパブリッシャー。Switchを除いたDL配信版はKrillbite Studio自身がパブリッシャーを務めている。

*3 その後PS4版が2015年12月、XboxOne版が2016年6月に発売された。

*4 Steam配信版は旧版を所有しているユーザーには無償でEnhanced Editionへアップデートされる形で配布された。

*5 これは本作のチェックポイントセーブはオンメモリ上に保存されるものであり、HDD等にセーブされるデータは「そのチャプターをクリアしているか否か」の情報だけとなっているため。『Dead Space3』や『バイオハザード オペレーション・ラクーンシティ』にも同じセーブ方式が採用されている。

*6 但し、当然の話しではあるが本来の価格で買った人と割引セールで安価に買った人とでかなりの温度差があったことは否めない。