NINJASLAYER: AREA 4643
【にんじゃすれいやー えりあ よろしさん】
ジャンル
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トップダウンシューター
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対応機種
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Windows(Steam) Mac OS X(Steam)
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発売元
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Diehardtales Games
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開発元
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デスモフモフ
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発売日
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2018年12月21日
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価格
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1,200円
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判定
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バカゲー
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良作
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ポイント
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公式忍殺スピンオフ アーケードライクな王道シューター 日本語が怪しすぎて未対応扱い
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◆概要な◆
サイバーパンクニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」をベースに、同小説の翻訳を担当している「翻訳チーム」ことオンライン・パルプノベルマガジン「ダイハードテイルズ(Diehardtales Games)」によって発売されたスピンオフ作品。
コンセプト・シナリオ・BGMはダイハードテイルズが監修し、開発は横スクロールSTG『ネコネイビー』や忍殺二次創作ゲーム『バリキ・ジャンプ』、忍殺公式無料ゲーム『急げ!ニンジャスレイヤー』『逃げろレオパルド』を担当したデスモフモフ(ネコ忍者コア)が担当している。
ニンジャスレイヤー単独のゲームとしては初めて公式に有料販売が行われた作品。
『Smash T.V.』や『Hotline Miami』の影響を受けたことが公言されており、アーケードゲームめいた全方位シューターとなっている。
(これまでのあらすじ)
ストーリーは第三部最終章「ニンジャスレイヤー:ネヴァーダイズ」終結直後から始まる。
世界を支配していた人工知能「アルゴス」の爆発とともに、ネオサイタマの破滅は回避されるはずだった。
だがユニヴァースの境界線は乱れたまま収まらず、新たなSteam次元すらも生み出してしまう。
過去に滅びたはずの何者かが、Steam次元からこの宇宙全体をコントロールしようとしていたのだ。
偉大なる次元旅行者にしてエターナルニンジャチャンピオンのザ・ヴァーティゴ=サンは、世界の運命をあやぶむ。
彼の手でSteam次元のネオサイタマへと召喚されたあなたは、この事件の真相を突き止めねばならない……!
(Steamの販売ページより)
◆ゲームプレイ◆
操作
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方向キーまたは左スティックで移動し、マウスで照準移動、マウス左または右スティックでメイン攻撃(射撃)、マウス右でサブ攻撃(近接)を行う。
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攻撃を命中させるたびにBOMBゲージが上昇し、ゲージが最大まで溜まった状態でマウス右を長押しするとBOMB(ヒサツ・ワザ)を放つ。
ゲーム進行
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能力の異なる主人公を選択し、全5ステージを個別攻略していくトップダウンの全方位シューター。
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スコア機能があり、戦闘や道中の物資破壊などを駆使して高いスコアを稼いでいく。獲得したスコアはステージごとに記録される。
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複数のエリアに区切られたステージを進み、敵を倒して進んでいく。ボスを破壊するとステージクリア。
◆キャラクター◆
合計4人のプレイヤーキャラクターが登場。それぞれ武器の挙動が異なり、選択したキャラによってプレイスタイルは大幅に変化する。
ヤクザ天狗(YAKUZA TENGU)
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ヤクザスーツにテング・オメーンを付け、贖罪のためニンジャを狩る狂ったニンジャハンター。
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本編開始より以前からニンジャを狩っていた熟練。非ニンジャだが一部サイバネ化しており戦闘力は高い。
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射程距離の長いヤクザガン、近距離戦用のドス・ダガー、照準方向広範囲を燃やす聖水とオーソドックスな性能。ボムも火炎は派手だがプレイヤーにダメージがないなど極めて使いやすい。
イビルヤモト(EVIL YAMOTO)
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「イビルバース」においてザ・ヴァーティゴに倒された悪魔が生み出した、ヤモト・コキ風のキャラ。
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マカロンにつられて召還された。非ニンジャだがモータルでもない。
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射程距離の短いドリルメリケンサック、連鎖的に敵を吹っ飛ばす殴打、ドリルメリケンサックの射程・性能強化と全体的に近距離パワー型。難易度は高いが連鎖でスコアを稼ぎやすい。
ドールハウス(DOLLHOUSE)
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「ブーブス・バンド ~ロックンロール女囚軍団~」に登場したベーシスト。
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ハッパでラリっていたら偶然ネオサイタマに辿り着いた、非ニンジャの一般人。「ロックンロールのチャンスだ!」を合言葉に、ナチスではなくヤクザ相手に戦う。
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ベースをかき鳴らしての全方位攻撃、ベースを利用した殴打、自動追尾型悪魔の召喚と低威力広範囲攻撃型。攻撃力が高くないためボス戦では苦戦するが、照準合わせの労力が比較的少ない。
ニンジャスレイヤー(FUJIKIDO)
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原作主人公であり、操作キャラクター唯一のニンジャ。5回死亡したステージでのみ選択可能。
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発売当初は未登場だったが、Ver.1.1のアップデート時に隠しプレイアブルキャラクターとして追加された。
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威力・攻撃範囲共に高い性能を持つスリケン投擲、硬直するが高威力のチョップ、全方位に攻撃するヘルタツマキと全キャラクターでもっとも高い性能を持つ。
評価点
爽快感の高い戦闘
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過去にPC/Switchの横スクロールシューティング作品『ネコネイビー』を開発した実績のあるデスモフモフ作品なだけあり、派手な攻撃や破壊可能オブジェクトなど非常に爽快感の高い内容が魅力。
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グラフィックもしっかりと書き込まれておりよく動く。多関節で動き、さまざまな攻撃を繰り出すボスなどしっかりと作りこまれている。
豊富な原作再現
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ファンタジー・ニンジャ・スタイルを主軸にした特徴的な
勘違い日本観を持つ作品のゲーム化であり、クローンヤクザ、モーターヤブ、マグロツェッペリン(鬼瓦ツェッペリン)、ズンビー実験体、バイオスモトリなど原作に登場したさまざまなキャラクターが参戦。
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日本語の怪しいあらすじ、威圧感のあるチュートリアル、クローンヤクザ討伐時の断末魔、ボス撃破時の「サツバツ!」、死亡時の「ショッギョ・ムッギョ」「インガオホー」「ナムアミダブツ」など、日本語翻訳によって独特のミームを築き上げた語彙の数々が詰め込まれている。
歯応えのある難易度
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最初のステージこそ簡単なものの、徐々にシューターらしく歯応えが増していく。しかしパターンは構築しやすく、繰り返し挑戦することでクリアできるレベル。
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救済措置としてフジキドも用意されているためクリアだけなら難易度は高くはないが、全キャラクターでのクリアを目指すとなると歯応えのある難易度となる。
賛否両論点
ニンジャ率の低さ
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設定上仕方ないが全体的に本編で脇役・やられ役だったキャラやサンシタニンジャに焦点が当てられており、本編で活躍したような大物ニンジャはあまり登場しない。
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もっともフジキド以外の主役キャラは全員非ニンジャなため、設定上ニンジャを大量に出しすぎても太刀打ちできないはずではあるのだが。
本編との直接的関わりの薄さ
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『走れ!ニンジャスレイヤー』『逃げろレオパルド』両作は本編を題材にしていたが、本作は番外編キャラが原作とは違う異次元のネオサイタマに集うスピンオフとなっている。
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本編との直接的な関係が薄いばかりか、イビルヤモトとブーブス・バンドというニンジャスレイヤー本編には登場しないキャラまで存在する。
問題点
あくまでニンジャヘッズ向けの内容
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初心者でも理解可能なやさしいゲームとしては作られておらず、開幕から忍殺および翻訳チームのファンこと「ニンジャヘッズ」以外を全力で置き去りにする内容が
原作通りに続く。
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独自の作風や世界観、用語、キャラクター設定を把握していないと状況が理解しづらく、真に楽しむまでのハードルは比較的高め。
そのため、あくまで重度のヘッズ向けファンアイテムと考えるのが妥当かもしれない。
パワーアップの概念はない
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アーケードSTGや『Hotline Miami』のような武器の強化や切り替えといった概念はないため、武器数はプライマリ・セカンダリ・ボムの三つで固定。キャラクターごとに性能は大幅に異なるが、ある程度慣れると戦略性の幅に物足りなさを感じることもある。
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火力はどのキャラも高めに設定されているため爽快感は維持されており、無いから不便というほどではないが。
◆総評◆
良い意味でも悪い意味でも重篤ヘッズによる重篤ヘッズ向けの、原作小説の濃い作風を継承した内容が特徴の作品。
アーケードライクなトップダウンシューターとしては至って真面目に作られているが、それを彩る様々な勘違いジャパン的世界観が原作同様の独特な魅力を醸しだしている。
「ニンジャスレイヤー」原作知識の網羅が前提と敷居は非常に高いものの、コアな忍殺ファンからは高い評価を受けている。
◆余談◆
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ダイハードテイルズ公式有料noteによるファンの支援やデモ版配布を得て満を持して発売に漕ぎ着けた本作だったが、「日本語がフルサポートされていないように思える」という
わかりやすい謎めいた理由により審査に引っかかっていた。
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その後
研修再審査が行われ、現在ではインターフェイスのみ日本語・英語に対応していることがvalveに認められている。もちろん字幕も日本語対応なのでごあんしんください
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本作はSteamゲーには珍しく、セールを一切行わないことが公式から宣言されている。
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発売を記念し、スコア表示機能を用いてのスコアアタックが2018年12月21~25日にかけてTwitter上で行われた。
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わらいなく=サンの設定画が存在する主要ニンジャと異なり、公式に指標となるデザインの存在しない脇役メカやほんやくチームの与太話発のキャラが多いため、そういった一部キャラは独自のキャラクターデザインとなっている。もっとも、Flashめいたアニメーションになったりグッドルッキングガイズ重点になったりと媒体によって作風変化の激しいニンジャスレイヤーにとってはさほど珍しい現象ではない。多様性!
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発売当初は「AREA 4643」という実際分かりにくいタイトルで発売されていたが、4年後の2022年夏に行われたRTAイベント「RTA in Japan」で本作のスピードランが配信された際に「ニンジャスレイヤーのゲームだと知らなかった」「なんで教えてくれないの」と言う人が大勢いた、という理由で「NINJASLAYER: AREA 4643」に改題された。
最終更新:2023年07月29日 20:58