ボクらの消しゴム落とし

【ぼくらのけしごむおとし】

ジャンル アクション / パーティ / アーケード / パズル *1
対応機種 Nintendo Switch
発売元 SAT-BOX
開発元 SAT-BOX
発売日 2018年11月8日
パーティパック:2019年4月18日
バトルロイヤルパック:2020年1月23日
チャレンジパック:2020年12月17日
定価 1,450円
パーティパック:550円
バトルロイヤルパック:550円
チャレンジパック:550円
プレイ人数 1~4人
レーティング CERO:A(全年齢)
判定 なし
ポイント 子供向け凡ゲーとみくびるなかれ、大人もハマれる妙な中毒性
「ぼくの考えたさいきょうの消しゴム」を作るモードも搭載

概要

小学生の遊びをテーマにしたパーティゲーム「ボクらの」シリーズ第1弾。

本作はかつて少年たちが教室で興じた競技「消しゴム落とし」をゲーム化したもの。
基本的なルールは非常に単純、「消しゴムをぶつけあって相手の消しゴムを机から落とした方が勝ち」
対戦はターン制であり、Lスティックで「消しゴムを飛ばす方向と強さ」を調整、射出に用いるボタンに応じて「普通に直線で飛ばす」「右回転(or左回転)をかけながら飛ばす」操作となる*2

モード

主なものを紹介する。

  • バトル
    • 本作の基本的なモード。プレイヤーは自機となる消しゴムをひとつ選択し、敵消しゴム1体と消しゴム落とし勝負を行う。全100ステージ。
    • ステージの形状は幾つかバリエーションがあり、通常の学習机、溝にひっかかりのある古い木製机、2つの机の間に定規の橋を渡したステージ、机の周囲を重い筆箱で囲ったステージなどがある。
    • また同型のステージでもペンや下敷きなどの文具が異なる配置で机上に散らばっており、ギミックとなっている。
    • 残機は3からスタート。自機が落ちると1つ減り、すべて失うとその時点でゲームオーバーとなる。
    • 5ステージごとにボスステージがあり、クリアによって以降そのボスステージから再開できるようになるほか、残機が1つ増える。
      • 但し残機は5が上限。
    • 撃破した消しゴムは以降自機としても使えるようになる。
  • チャレンジ
    • 様々なお題をクリアしていくモード。操作方法は変わらないが自機として用いる消しゴムは決まったものとなり、ステージによって「サッカーボール(型の消しゴム)をゴールネットまで飛ばす」「指定位置で止まれるよう力の加減を調整して飛ばす」「消しゴムでスマートボールを行い規定点数以上を出す」などの達成条件を満たすとクリアとなる。
  • 進め消しゴムくん
    • 3D形式のアクションゲーム。ジャンプとダッシュを駆使し、教室内の机や様々なギミックを飛びわたりつつ、道中でコインを拾い集めていくエンドレスゲーム。
    • おまけモードとしての存在とはなるが、制限時間がかなり厳しく設定されており、チェックポイントの通過、または時計アイテムの取得によってタイムリミットを延長しつつ、更に得点マイナスアイテムを避けながらコインを集める必要がありなかなかシビア。
  • 天下統一
    • 各都道府県に存在する「各地の名物を模した消しゴム」と対決しながら全国統一を目指すモード。
    • 本モードでは強制的に「2点先取制」となっており、2敗すると敗北、残機が1減少する。
      • 残機は初期値3で、すべて失うと現在侵攻中のエリアの全消しゴムと対戦やりなおしになる。
    • エリア内の全都道府県に勝利するとそのエリアのボスが登場、そのボスを倒して初めて制圧となる。
      • ボスは舞台となる学校の教師たちが担当。北海道・東北エリアは数学教師の「伊達」先生、関西エリアは体育教師の「豊臣」先生と、一応地域の戦国武将になぞらえた名前が設定されている。
      • 男性教師陣は兜に眼帯にマントにとコスプレまでしてしまっている。この学校では消しゴム落としは先生までをも巻き込んだ一大ブームとなっているようだ。
    • 本モードも、勝利後は相手の消しゴムを自機として使えるようになる。
  • カスタマイズ
    • ある意味本作の目玉。サイズ違いの消しゴムや鉛筆、定規などを最大15個まで組み合わせ、「自分だけのオリジナル消しゴム」を作ることができるモード。
    • 作成した消しゴムは当然、チャレンジと「進め消しゴムくん」以外の各モードで使うことが可能。
    • サッカーボール型消しゴムの周りに分度器を羽根のように付け、更に前方には複数の鉛筆によるトゲを装備……と、小学生男子の考えるそのままのような物体を作れてしまう。最早それは消しゴムでもなんでもないのだが、どうせ敵の使う消しゴムも同じ発想なので気にする必要はない。

評価点

  • 単純なルールと物理演算による面白さ
    • ほぼ徹頭徹尾「消しゴムを弾く」ことによってのみ成立しているゲームだが、操作性はよく、また消しゴムの形状から思いもよらない動きを行うことがあり、動かしているだけでも楽しめる。
    • 特に「回転をかけながら弾く」という操作がアクセントになっており、外側に重心のある消しゴムは遠心力で予想以上の「弾き飛ばし」を見せたり、反対に想定以上に勢いづいて自滅するハプニングが発生したりする。
      • あわや転落、と思いきやデザイン重視でつけていた鉛筆がフチにひっかかって命拾い、敵消しゴムの方が反対に落下していく……といったドラマティックな展開が偶然生じることもあり、意外に緊迫したバトルとなる。
  • 整備されたルールとかけひき
    • 本作の消しゴム落としでは、操作ターン時に敵消しゴムもろとも自分の消しゴムも落ちてしまった場合、操作側の負けとなる。
    • つまり力に任せた押し相撲だけでは却って不利になる他、あえて危険なフチに陣取り相手の落下を誘う戦術をとることもできる。
  • ステージが進むほど「強い」わけではない敵消しゴム
    • これは普通なら「問題点」になり得る内容だが、バトルモードはステージを進むほど難度が上がるわけではなく、「カッコいい敵消しゴム」が増えるようになる。
    • 例えば恐竜型の消しゴムやクワガタ消しゴム、スティックのりなど文具を組み合わせ人型ロボットのようにしたもの、三角定規と鉛筆を組み合わせて飛行機にしたもの……といった具合だが、そういったものが特別強いわけではなく、むしろバランスがとれず勝手に落ちて自滅することすらある。
    • 撃破した消しゴムは自機として使える、というコレクション的側面もあり、寧ろ「魅力」順でステージを構成しようとしたフシがある点は長所といえるだろう。
  • キャラの可愛さ
    • ここまでの通り本ゲームは大人でもプレイに耐えうる内容となっているが、とはいえキャラデザはあくまで「子供受け」を意識したものになっており、デフォルメのきいた可愛らしいものとなっている*3
    • その中で天下統一に登場する理科教師の「長宗我部 楓」先生は「姫カットのロングヘア」「ふわふわした喋り方」「腕に対して袖が長すぎる白衣」「ショートケーキを3つ連結した変な消しゴム*4」とやけに狙いすましたコンセプトにより、頭一つ抜けた魅力を持つキャラクターとなっている。

賛否両論点

  • 敵の自滅の多さ
    • 人によっては「それがいいんだよ」とも思える事象となるが、本作、先にも触れた通り「敵消しゴムの自滅」がそこそこ発生する。
    • 特にバトルモードの巨大消しゴムや、天下統一モードに登場する「地鶏」「わんこそば(のお椀)」など丸みを帯びた名物は、こちらが何もしていないのに1手目で勝手に場外へと転がっていくことがしばしば。
    • そのある種「いい加減さ」も本作の魅力といいたいところではあるが、対戦ゲームのCPUの態度としてどうなんだと言われると、疑問が生じないこともない。
  • 不安定な消しゴムを用いるとターン終了が遅れることがある
    • バトル時のターン終了は基本的に双方の消しゴムが机上に接地し、安定した時点となる。そのため、バランスが悪く揺れたままだったりギミックと接触して小さなバウンドを続けた状態になるとターン終了が遅れてしまうことに。
    • とはいえフェイルセーフも組み込まれており、完全に静止していなくても2、3秒ほどで強制的にターンが相手に渡るようになっている。この機構があること自体は評価点だが、もう少し早くてもよかったかも?

問題点

  • 天下統一ボスの高い難度と、消しゴム形状のメリハリのなさ
    • 天下統一モードのボス消しゴムはいずれも「複数の文具を組み合わせた」ものとなっているが、それゆえに重量があるため押し負けることがかなり多い。
    • 特に数学の伊達先生の消しゴムは重心の低さと回転時の安定感から本作全体でも最強レベルとなっており、ほとんどの消しゴムが全く勝負にならない。前述の通り残機を失うとそのエリアの最初からになってしまうため、かなりの徒労感が生じる。
      • 実はちょっとした抜け道もあるのだが……*5
      • この伊達先生の消しゴム、プレイヤーが使っても最強であるため、逆に言えば北海道・東北エリアからプレイして早期にこの消しゴムを手に入れてしまえば、あとはほぼ困ることがない。
    • 各都道府県の名物を模した消しゴムは「食べ物」縛りであるため、似た形状の消しゴムが非常に多い。
      • 何せ食べ物に縛ったおかげでほとんどが「平皿」「どんぶり」「お椀」「箱」に大別できてしまう。いわば「色違いモンスター」のようなもので意図的な可能性はあるが、メリハリは感じられにくい。
    • 一応天下統一を果たすことで特別な消しゴムがゲットでき、更に周回プレイによってまた別の消しゴムが貰えるのだが……
      • 上記問題点のためそもそも周回のモチベが保ちづらく、しかも周回を重ねて何が貰えるかというと「色が違う普通の消しゴム」「虹色に染められた普通の消しゴム」「いぶし銀に輝く普通の消しゴム」である。もう少しなにかなかっただろうか。
  • バトル中の台詞のバリエーションが少ない
    • バトル中、勝敗が決定すると自分方、相手方にフキダシと少量の台詞が表示される。「よっしゃー」「ちくしょー」「無念…」などの非常に簡素なものではあるのだが、バリエーションにも乏しく、正直なくてもいいレベル。
    • またキャラクターごとの出し分けもないため、天下統一では全教師がバトル中のみ同じ口調ということになってしまっている。
      • つまり、そう、あの学園のアイドルと呼んで差し支えない長宗我部先生まで「調子いいぜー」と口走るわけである。 いや、それはそれでいいのか……?
  • ボス曲のクオリティ
    • バトルモードのボスステージ、および天下統一のボス戦では対戦中のBGMも変化するが、これがずいぶん気の抜ける曲となっている。
    • 雰囲気はRPGのバトル曲のような風味を持たせているのだが、ブラスによる「ププププィ~~~ン」という下品なピッチベンドが続けて鳴るうえ、ループも短い。
    • 人にもよるが、この楽曲のせいでできるだけボス戦は早期終了させてしまいたくなってしまう。
  • たまに発生する不自然なバウンド
    • 概ね物理演算に問題は無いが、例外的に、大きさのある消しゴムが倒れてマップ上の文具を下敷きにした際、異常な反発力を発生させて宙に飛び上がることがある。
    • そう頻繁に発生するわけではないが、この謎の反発力で飛び跳ねた結果場外まで吹っ飛ばされることが稀にある。さすがに理不尽さが拭えない。
  • カスタマイズモードの微妙な不自由さ
    • 「自分の考える最強の消しゴムを作れる」モードではあるが、カスタマイズモードの仕様上、パーツを重ねることができない。
    • 「重量」「重心」「衝突力」が大事なゲームなのだが、このせいで普通に作ると「大きくてひらべったい消しゴム」になってしまいがち。重さは稼げるものの圧力がなく、特にボス相手に当たり負けしがちとなってしまう。
    • 一応、パーツの回転ができるため工夫次第で何とかならなくもない。例えばパーツをすべて寝かせるのではなく「立てた」状態で縦横に並べ、対戦時の1手目でわざと倒れるようにすれば疑似的にパーツを重ねた状態に出来る。余計な1手を増やしてしまうが……
    • 何より敵消しゴムは平気で自由に文房具を組み合わせた物体を出してくるわけで、若干アンフェアな気分になるかもしれない。

総評

ロープライスでデフォルメタッチのキャラクター、更に題材が消しゴム落とし、ということで子供だましとスルーするかもしれないが、その実、ゲームプレイの手軽さと奥深さを持つ佳作。
むしろある種の「ゲームとしてのいい加減さ」は大人だからこそ楽しめるかもしれない。
さあ、今こそキミだけのさいきょうの消しゴムを作って、ライバルに差をつけよう!

余談

  • 商品説明の注釈について
    • MyNintendo Storeの商品説明には、
      >※このゲームにはちょっと変わった消しゴムたちが登場しますが、すべて消しゴムです。
      との注釈があるが、これは恐らく天下統一モードを中心に食べ物型の消しゴムが多量に出現するためと思われる。
    • 実際その見た目は消しゴムとしての有用性を完全放棄した「食材」「料理」としての登場であり(秋田・きりたんぽに至っては囲炉裏に刺さった状態で登場)、机から落下する際は郷土料理を床にぶちまけているように見えるかもしれない。
      あくまで、本ゲームに登場するものはすべて消しゴムです
  • キャラクターの名前について
    • 先生たちにはフルネームが存在しているが、どう考えても主人公サイドである少年少女たちはゲーム中にいっさい名前が登場しない
    • 公式サイト上にもなく、発売から約2年経った2020年7月にSwitchのゲームニュース公式チャンネル上でやっと「ゆうと」「ひな」「そうた」「いつき」という下の名前が公開された。
  • 2021年8月26日に続編となる『ボクらの消しゴム落とし 新学期』が発売された。
    • 主人公選択制に変更され、後発の「ボクらの」シリーズで登場した「りん」「るい」「たくみ」「あきら」が合流している。
最終更新:2021年12月05日 23:27

*1 公式サイトでの記載。少々欲張りすぎではある。

*2 Switch本体が携帯モードであればタッチペンでの操作にも対応している。

*3 同社の「机で」シリーズと同じ絵柄である。

*4 しかも妙に機動力が高く衝突力も強い。

*5 ポーズメニューから任意にモードセレクトまで戻れるため、負けそうになったら天下統一モード自体を抜ければよい。言ってしまえば簡易リセットなので裏技というほどでもないが。