Counter-Strike

【かうんたー すとらいく】

ジャンル FPS
対応機種 Windows
Mac OS
Linux
Xbox
発売元 Sierra Studios
Valve
開発元 Valve
発売日 PC 2000年11月9日
Xbox 2004年3月25日
判定 良作
ポイント 1時代を築いたチーム戦FPSの傑作
大規模大会や模倣作など社会現象に
本家譲りの高い拡張性
Counter-Strikeシリーズ
Half-Lifeシリーズ


概要

ベトナム人で『QUAKE』MODクリエイターのミン・リーが開発し、1999年に公開されたFPS『Half-Life』向けオンラインマルチプレイMODを発端とし、その高い完成度からValveが開発者ごと権利を買取り、2000年にValve公式タイトルとして発売された作品。
このため、初期は『Half-Life: Counter-Strike』とも呼ばれていた。

チーム戦主体で互いに競い合うマルチプレイFPSであり、その高い競技性から2000年代以降のオンラインFPSの1時代を築いた作品である。
ゲームエンジンは『Half-Life』同様にGoldSrc*1を採用している。
MOD時代のβ1.0~β7.1、その後リテール版が1.0となり、ここからバージョンアップが繰り返して行われており、最終バージョンが1.6であることからコミュニティからは「CS1.6」と呼ばれることが多い。
本項もバージョン1.6を基に記述する。


ゲームシステム

基本システム

  • テロリスト側とカウンターテロリスト(特殊部隊)側に分かれて競い合う、チーム戦主体のFPS。ステージ毎に定められたミッションを達成するか、敵チームのメンバーを全滅すると1ラウンドが終了する。
    • デフォルトの基本ルールは大まかに分けてテロリスト側の持つ爆弾を設置して起爆/解除する「爆弾解除」、テロリストに囚われた人質NPCを救出地点まで誘導/妨害する「人質救出」、VIPに指定された特殊部隊側のプレイヤーの一人を警護/殺害する「VIP警護」の三つ。
      また、このほかにもサーバーによってはデスマッチやコンクエスト(バトルフィールド方式)、射撃練習、非対称マルチプレイなど独自ルールを採用したカスタムマップを採用している事も多い。
  • 武器はナイフ・グレネードなどを除けばメイン武器(ライフル等)とサブ武器(ピストル)の二挺のみとなっており、Half-Lifeのような複数武器の同時携行は不可能。
    その代わり独自システムとしてラウンド開始時に武器購入が可能となっており、前回のラウンドにおける戦績に応じて与えられた資金を利用して武器を購入することができる。
    • 性能の高い武器ほど値段が高く、性能の低い武器ほど値段が安い。また、倒した敵の武器は奪うことが可能なため、高額な武器を持てば持つほど倒された時のリスクも跳ね上がる。
  • プレイヤーは各ラウンドのクリア時にチームの勝敗や敵の殺害スコア、もしくは爆弾設置・解除や人質誘導・救出などのチームへの貢献の度合いによって金銭ボーナスを獲得できる。

操作

  • 基本操作はほぼ元となる『Half-Life』と同一。ただし上述の武器購入システムに合わせ、Bキーでショップの表示、Gキーで所持武器の投棄が可能となった。
    ただしショップを表示させて購入では、購入可能になってからラウンド開始までに間に合わない場合も多いので、cfgファイル*2を書き換え、良く使う武器はワンボタンで買えるようにしておくのが吉。
    例えばF1で防弾ベストとヘルメット、F2でデザートイーグル、F3でM16かAK-47といったように。
    • 武器を投棄した状態では落下している武器を取得可能。敵を倒すと相手の持っている武器がドロップし、この際に素手状態で武器に重なることで拾うことができる。

評価点

デフォルトルールの高い競技性

  • あくまでデスマッチが基本ルールだった前年の『QUAKE III Arena』『Unreal Tournament』とは異なり、状況は単純ながらも複雑な駆け引きが行われる各種デフォルトマップは非常に戦略性・エンタメ性・競技性が高い。
    今でこそ多くなっているが、当時は非対称のマルチプレイ自体が珍しく、その点でも支持者が多かった。
    • 特に本作のルールの一つである爆弾解除(de_map)は多くのプレイヤーの支持を得ており、ほとんどの競技大会が採用、「カウンターストライクといえば爆弾解除マップ」と呼べるほどの高い人気を誇っている。
      後々2000年代前半にCSのルールを流用したFPSが多数登場した点も、本作が道を切り開いたといえる。

多種多様でユーザーフレンドリーなカスタムマップ

  • 『Half-Life』譲りの高い拡張性を誇っており、射撃練習場から市街地、飛行機、軍事基地といった新ロケーション、デフォルトでは存在しない特殊ルールを採用したもの、別ゲーム作品の移植、お化け屋敷的なネタマップなど、作れるものは非常に多い。
    • 本作が高い人気を誇った第二の理由であり、後に本家に逆輸入された非対称マルチプレイ「ゾンビエスケープ」など、優秀な作品が数多く作られた。

個人単位でも高い拡張性

  • 個人単位であっても非常に拡張性が高く、キャラクタースキンの変更、武器スキンの変更、Bot追加、練習用マップの追加などやれることが非常に豊富。ファンコミュニティが形成され、多種多様なMODが製作され賑わった。
    • ただ、Q3で使われていたような「ブライトスキン」系のMODはVACBANの対象となっているので注意。

賛否両論点

壁抜き

  • CS1.6では「どの壁でも1枚は1枚」であり、その壁が石に見えようが木のドアだろうが、壁貫通可能となっている武器*3ではなんでも弾がすっぽ抜ける。
    そのため定番の位置で待っていると壁の向こう側からヘッドをぶち抜かれる。一見チートにも見えるが、上級者に言わせればそのような位置で待っている方が悪いとなる。

アップデートによるバランス変動

  • シリーズ第一作というのもあって後の作品と比較して大幅なバランス調整が行われることが多く、初期バージョンである1.0と最終バージョンである1.6ではデフォルトマップから武器、テクスチャ、システムに至るまでその内容にかなりの違いがある
    • 定められたルールの下で競い合う競技ゲームとしての側面が非常に強かったため、対戦環境が変動するアップデートが行われるたびに一定数の不満の声が挙がった。特に特殊部隊側のみ使える、銃弾を弾くことが可能なライオットシールドは非対称型マルチプレイの観点から賛否が分かれることとなり、続編である2004年の『Counter-Strike: Source』では削除されてしまった。
      このシールド、メインウェポン枠を埋めるので武器はピストルのみになってしまうが、構えたまま出れば「当たり判定が腕や脚の一部」レベルになるまでカバーされるため、AWPを構えて待っているような長い通路でもほぼノーリスクで偵察出来てしまう。攻撃力の低下もAIMが上手い人であれば、距離減衰が激しいのと装弾数以外はライフル並の威力があるデザートイーグルでカバー可能。
      そのため日本では「間違って買ったら即捨てること」が暗黙の了解レベルになっていたため、CS:Sで消えたところで大した影響は無かった。

問題点

チートの横行

  • オンラインゲームの宿命ではあるのだが、本作もまた数多くのチーターの餌食となっていた作品である。
    • 現在『CS:GO』『CoD』『TF2』といった多くの作品で使用されているVAC(Valve Anti-Cheatソフトウェア)も本作のチートの横行をきっかけに開発されたものであり、2002年に導入された*4

初心者狩り

  • もともと射撃のクセの強さやマップ依存の戦略性、各種移動テクニックなど上手く立ち回るのに時間が要るゲームではあるが、デフォルトではbot対戦や射撃練習、マッチングシステムなどの生温い機能は実装されていない。当時の大抵のオンラインマルチ同様、ゲームを始めたての初心者はまず貧弱な装備で熟練者に手も足も出ずひたすら殺される所からのスタートとなる。

バニーホップ

  • Goldsrcは元々Q1の改良エンジン…という事で、このバグも引き継いでしまっている。
    もちろんこのテクニックを多用したQ1やグレネードでのブーストも使えるTeam Fortress Classicのような加速は出来ないが、下り坂を利用すればかなりの加速が可能。
    HLと違い、空中や移動中では弾がど真ん中に飛ばないことから、使える使えないで極端には有利不利という訳では無いが、一部のマップではかなりの差が出る。
    大会ではこのテクニックを使いにくくするため、ホイールへのJumpバインド禁止や、Jumpを連打するスクリプトの禁止という処置が取られている*5
    • バージョン1.2までは「バニーホップするだけで加速」まで残っていたため、デザートイーグル片手に物凄い勢いで突っ込んでくるテロリストが各地で見られたという。
    • なお、CS:Sでも単発バニーホップならまだ使用可能。微妙な障害物を空中で回避するぐらいには使える。

総評

元は個人製作のMOD作品でありながら最終的には3年で150万を超す大ヒットを遂げ、MODコミュニティの形成、幾多の賞金大会の開催、海賊版の横行、本作を模倣した「CSクローン」の乱立など、数多くの社会現象を巻き起こした作品。
シンプルながら競技性の高い基本設計、そして多種多様でユーザーブレンドリーなMOD環境という2つの要素が高く評価され、長期間に渡り高い人気を保ち続けた。
2021年3月現在に於いても、Steam統計の「現在最もプレイヤー数が多いゲーム」にランクインし続けるなど未だに根強い人気を誇る。
本作を発端として、Valve社は『カウンターストライクシリーズ』として複数の続編を発売。競技大会御用達の定番作品として、その地盤を確固たるものにした。
本作で確立された要素のいくつかは現在でも多くのマルチプレイFPSに継承されており、今なお高い影響力を持ち続ける金字塔として評価されている。


余談

  • 初期版から1.5まではネットワークサービスにパブリッシャーのSierraが運営していた『World Opponent Network』(WON)を使用していた。2003年リリースの1.6でValve運営のSteamに移行し、WONは2004年7月を以てサービスを終了した。
  • 爆弾テロや人質誘拐を引き起こす側としてプレイ可能であるという内容が問題視され、ブラジルでは2008年から2009年の1年間にわたって本作が発禁処分となっていた。
+ タグ編集
  • タグ:
  • FPS
  • Valve
  • Counter-Strike

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年02月09日 18:50

*1 id SoftwareのQuakeエンジンをベースとしたゲームエンジン

*2 操作や設定を記述しておくファイル

*3 デザートイーグルとライフル全般、またAWPは2枚抜ける。

*4 尚、Steamで配信されている他社作品では販売ページに「Valveアンチチート有効」と書かれているものがそれに該当する。

*5 Quakeと違い、着地前のジャンプ先行入力が効かないので、連続ジャンプを目押しで行う必要があり難易度が非常に高くなる。