シャングリラ・ワールド
【しゃんぐりらわーるど】
ジャンル
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ノベルゲーム
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対応機種
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Android 4.1以上
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メディア
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ダウンロード
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発売元
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エンタブリッジ
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開発元
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エンタブリッジ
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発売日
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2019年4月16日
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定価
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基本無料(広告視聴あり) クリア後の章は広告視聴をするか360円で購入
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1個
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レーティング
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全ユーザー対象
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判定
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良作
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ポイント
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AIとともにMMORPGを開発する物語 人生とゲームの切れない関連性
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概要
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テキストを読み進めていくADVゲームの1作。
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青年タクが開発していたMMORP「シャングリラ・ワールド」を舞台に、ゲーム内AIのフィオナ、そしてテスターとして雇われた少女美咲の3人で、シャングリラ・ワールドをリメイクしていくストーリーである。
登場人物
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タク
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明朗快活な高校生。プログラマーとしての才覚があり、たった1人でMMORPG「シャングリラ・ワールド」の開発を手がける。
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フィオナ
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シャングリラ・ワールド中のヒロインを務めるキャラクター。
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ゲーム内のキャラクターであるが、タクの技術により独自の自我を持っている。シャングリラ・ワールドのゲームとしての欠陥に目をつけ、作り直しを提案すべくタクからゲームマスターの権限を奪い取った。
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全体的にノリがよい性格がタクに対しては毒舌。ただ単にタクを見下しているわけではなく、彼女なりに思うことがあるようだが…。
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美咲
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ゲーム好きで引っ込み思案な少女。数々のバイトを受けるが様々な事情で長続きしてこなかった。
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入院続きの生活を送ってきており、友達を作りたいと思っている。シャングリラ・ワールドのテスターの募集に興味を持っていたところを、フィオナにスカウトされる。
システム
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ストーリーは原則1本道。間違えた選択肢を選ぶとバッドエンドかアナザーエンドになる。
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セーブは、ストーリーを一定区画進めることで自動的にセーブされる形式。
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メインメニューに戻らずにゲームを中断すると、再開した際は最後にセーブした場所からのスタートとなる。
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メインメニューに戻ると、一度読了した章・節をいつでもプレイしなおすことが出来る。
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広告
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一括30秒のものが放送される。
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広告を見ることで、間違えた選択肢のところから即座にやり直し可能となる。
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その他、シナリオの一定区画を進んでいる間広告を見なくてはならない場合もある。
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スタミナ制は一切採用していない。
評価点
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とっつきやすさ
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タップ以外の複雑な操作を必要としていない。
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タク、フィオナ、美咲の3人の対話そのものがストーリーの9割を占めるので、物語自体も理解はしやすい。
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連続タップすれば、彼らの発言もすばやく次に送られていくので攻略のテンポ自体も悪くは無い。読み飛ばしてしまった範囲は、バックログでもういちど読み直すことも一応可能。
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AIを用いた独自の設定
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本作は、AIが自我を持つという世界観である。
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序盤のフィオナの活躍だけでなく、終盤のとある展開でもこのAIが影響を及ぼしてくる。
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シャングリラ・ワールドには独自のAIが搭載されており、プレイヤーたちがログイン中にとった行動をAI分析し、ログアウト中に補助を行うといった機能もある。
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MMORPGの開発やあるあるを題材にしている
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登場人物たちが、ひとつのMMORPGを開発していくという物語であり、プレイヤーにどうすれば楽しんでもらえるようになるか、といったことを真剣に議題にしていく。
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レベル上げ、NPCとのイベント、ランク付け、季節要素、課金要素は果たして必要なのかといった基本的なことを題材としている。
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ゲームプレイヤーにとってのあるあるも議題に取り入れており、共感性の高いものとなっている。クリエイター側の自己満足や薄ら寒いような展開とはならない。
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ほのぼのしていた中盤からの急展開
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ネタバレ
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陽気でネタキャラと思われていたタクは、実はかなり数奇で壮絶な経歴の持ち主である。
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中盤までは天才プログラマーたるタクが設計したMMORPGを、クソゲーではない作品として完成させるストーリーとなっている。
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しかしそれ以降タクの闘病にまみれたひどい人生に焦点が当たるようになり、ゲームを作っていた本当の目的が明かされる。そこから人生とは本当にクソゲーなのか、という題材に発展していく。
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フィオナも、シャングリラ・ワールドの改良だけではなく、実はタクに生きる目標を見つけさせるという目標を掲げていたことが判明。みさきがテスターに選ばれた理由も、タクの生きる理由を作るためであったところが大きい。
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その他
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立ち絵のパターンはかなり豊富。表情だけでなく、キャラの衣装にもいくつかバリエーションがある。
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ゲーム中のとある進行の都合で本当にアプリからサインアウトさせられる演出があり、プレイヤーの意表をついてくる。
問題点
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本編以外のルートのつくりこみ
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根幹のストーリーの出来は良いのだが、バッドエンドは実質物語をぶつ切りにする存在なだけ。
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バッドエンドになると、登場人物が苦しんだり、悲鳴を上げる展開になった後、唐突に話が終わってしまう。なぜバッドエンドなのか納得のいかない場合もある。また赤黒く「GAME OVER」と表記されることもあり怖い。
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アナザーエンドも一応メタネタだったり、エンタブリッジの別アプリの宣伝だったり、あるいはまったく別のストーリーに展開して終わり、といったところ。こちらは一応楽しむことは可能か。
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広告の視聴頻度が少々多い
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全バッドエンド・アナザーエンドを網羅することで、新たに視聴可能になるストーリーが存在する。
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選択肢を選ぶ場面から開始したい場合は広告を見なくては成らないので、効率よくエンディングを網羅しようとすると3~5分に1回のペースで広告を見ることになる。
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課金コンテンツについて
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クリア後のとある章は、課金コンテンツ(あるいは広告視聴)となっている。
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本編のボリュームに比べて特にたいした内容でないので、ここだけ課金コンテンツにする必要があったのか怪しいところ。
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ADVゲーとしての機能性
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バックログ機能が弱い。バックログで閲覧できる範囲は、最後にイベントスチルやムービーが挟まれた場所から今読んでいるところまでと狭い。
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セーブは完全自動。セーブされる頻度自体は高いので中断しづらいわけではないが、好きなタイミングでセーブできない。
総評
ゲーム性自体はただテキストを読み進めるシンプルなものだが、MMORPG開発に関する共感性の高い題材から取り掛かり、現実をどう生きるかをテーマに転換していくストーリーの読み応えは高い。
最終更新:2022年03月23日 19:55