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アルノサージュ ~生まれいずる星へ祈る詩~

【あるのさーじゅ うまれいずるほしにいのるうた】

ジャンル 7次元RPG
対応機種 プレイステーション3
発売元 コーエーテクモゲームス
開発元 ガスト
発売日 2014年3月6日
定価(税抜) 通常版: 6,800円
ダウンロード版: 6,000円
AGENT PACK: 9,800円
判定 なし
ポイント あなたと7次元少女が星を救う物語の完結編
前作を知らないと理解が追いつかないストーリー
プレイヤーの特異な役割とそれを生かした奇抜なイベント
サージュ・コンチェルトシリーズ
シェルノサージュ / アルノサージュ


"想い"の強さは絆になり、やがてそれは奇跡となる



概要

アルトネリコシリーズ』から連なるエクサピーコ宇宙世界観を広げて送り出した新シリーズ「サージュ・コンチェルト」の第二作にして完結編。
前作『シェルノサージュ ~失われた星へ捧ぐ詩~』はヒロインとのコミュニケーションが主体のADVだったが、本作は敵を倒していくRPGである。
前作の登場人物が多数続投し、前作の積み重ねを礎にして物語が展開される。

なお、本作は『アルトネリコ』の世界で地上が崩壊するよりも前の時間軸となっており、終盤には『アルトネリコ』シリーズとのリンクが描かれる。

あらすじ

失われた星から旅立ち、新たなる惑星を求めて何千年も宇宙に彷徨ってきた巨大移民船。
人間を苛むがごとく、未知な生命体--シャールが人を襲い、どこかへ攫っていく。
シャールを奉るジェノミライ教団が発足してから、シャールに抗う人間たちはフェリオンという都市に流れ着いていく。
デルタ・ランタノイルという青年は、半年前除隊されたフェリオンの軍事組織PLASMAに復帰。
記憶喪失に戸惑いながら、恋人キャスティ・リアノイト(キャス)に支えられて活躍していく。
彼の活躍の背後には、ある常軌を逸する仕組みがあった…。
そしてこの世界の運命の一端を担う、7次元先からこの世界に降り立った少女、イオナサル・ククルル・プリシェール(イオン)は、長年の沈黙を破り、世界を救うために7人の友の助力を求めて奔走する。
傍に侍らせる人型ロボット--EARTHES(アーシェス)も、ある仕組みを身にまとっている…


特徴

  • 2人の主人公と、それぞれのパートナーとなる2人のヒロインの2タッグの視点を切り替えながら進むストーリー
    • 主人公は人間の青年デルタと人型ロボットのアーシェス。デルタは前作の登場人物である「ター坊」が成長した姿であり、パートナーは前作でもター坊の幼馴染だったキャス。アーシェスは前作のシステムに準じてプレイヤーの分身となるロボットであり*1、前作ヒロインのイオンが引き続きパートナーとなる。
    • 判り易く分けると、デルタは自らの意志を持って喋る『FF』タイプ。アーシェスはプレイヤーの分身的な喋らない『DQ』タイプとなる。
      • しかし本作の大きな特徴は、この2人の主人公に画面の前のプレイヤーがゲームハードを通じて直接干渉しているというメタフィクション的設定が盛り込まれていることである。
      • アーシェスはプレイヤーが直接操作する。デルタについても操作によって超人的な立ち回りが可能となる*2が、引き換えに当人の感覚や記憶の喪失に見舞われる事が描写されている。
    • 片方の進行が行き止まりになったら、もう片方に切り替え、向こうだけではもらえないヒントを得て進んでいく。
  • 舞台
    • 時間軸は、前作の「夢セカイ」で語られた一連の出来事から5000年もの時が流れた時期であり、前作で描かれた惑星ラシェーラから飛び立った巨大移民船「ソレイル」が主な舞台となる。
    • 物語はまずデルタ編から始まり、プロローグの終わりを以って2年の年月が経過する。この空白の2年間がリアルタイムで2年掛けて前作を展開した期間とされる。そして前作終了と共にアーシェス編が始まり、以降は同一時間軸の中でデルタとアーシェスの視点を切り替えながら進行する。
    • 5000年も経過しているが前作キャラの多くが続投している。これは彼らがコールドスリープで永き眠りに就いていたり、時間を跳躍したため。
  • ザッピング
    • セーブポイントで行われる機能で、2タッグの視点を切り替える。
  • 戦闘システム
    • ランダムエンカウトのターン制バトルだが、通常のRPGとは趣が大きく異なっている。まず戦闘が始まるとヒロインが詠唱する「詩魔法」を選択。主人公は詩魔法詠唱が終わるまでヒロインを守って戦わなければならない。ヒロインがやられるとゲームオーバー。
    • 攻撃をヒットさせる、撃破やブレイク*3ボーナスによるターン継続、防御成功などで主人公の攻撃力を高める「バースト値」と詩魔法の「ハーモニクスゲージ」が上昇。後者が一定まで溜まれば「ハーモレベル」が上昇し、ハーモレベルが1以上で詩魔法が発動できる。
    • 敵はWAVEと呼ばれる編隊を組み、マップ毎に設定されたWAVEが順番に戦いを挑んでくる。通常戦闘は詩魔法を発動する、規定ターンが経過する、自力でWAVEを全滅させるのいずれかで終了する。
    • 詩魔法が発動すると、その魔法の威力とハーモレベルに応じてWAVEを吹き飛ばし、戦闘が終了。ボス戦の場合は戦闘が継続する。
      • WAVEを全滅させてしまえばそのエリアはフリーになり、移動するまでエンカウントしなくなる。逆にWAVEが残っていると再びエンカウントするが、残存した次のWAVEが強敵だった場合、バースト値とハーモニクスゲージが無い状態で戦う羽目になる。
    • 攻撃は多段攻撃(□ボタン)、範囲攻撃(△ボタン)、ブレイク攻撃(×ボタン)、パワーアップ攻撃(○ボタン)の四種類を駆使する。使用可能回数はそれぞれ設定されており、使い切るとターン終了。
    • 敵ターンではタイミングよくボタンを押して防御する。上手く防げればダメージを軽減できるが、防御可能回数は決まっており、使い切ってしまうと残りの攻撃で一方的にヒロインをタコ殴りされてしまう。
    • 特にボスは攻撃演出の所為でタイミングが読みにくかったり、多段ヒットの攻撃も放って来るので防御も難しくなってくる。
    • ストーリーが進むと各戦闘で1度だけ主要キャラの支援を受けられる「フレンド技」が使用可能に。使用すると技に対応したキャラが2Dアニメ付きで現れ、ダメージに加えてデバフなどの効果を与えられる。
  • 店と調合
    • モブ店での売買のほかにも、ネームド店主合計4人の店で売買・調合・世間話ができる。
    • 調合では1つアイテムを作る度に主人公、ヒロイン、店主の3人が教育番組の如く歌って踊る演出が入る*4
    • 世間話と調合を経て店主と仲を深め、経営奮闘のドラマが見られる。店主4人に対し、こちらも主人公2人とヒロイン2人の4人全員が1人ずつそれぞれのイベントの主軸となって進めていくのも見もの。最終的に完成したアイテムはプレイヤーにとって大いなる助けになる。
      • 一度見た会話は通常は二度と見られないが、クリア後の「エクストラ」では何度も鑑賞可能。アーシェス側の選択肢も再度表示されるので両方のパターンが見られる。
  • ジェノメトリクス
    • ヒロインや主要キャラの精神世界に入り、心に抱く問題を解決して絆を深めるモード。『アルトネリコ』のコスモスフィアのようなもの。
    • ジェノメトリクスでは、ヒロイン1人だけでなく、ほかのキャラとも同時につながることがある。
    • 精神世界での活動によって、能力強化の結晶を入手でき、ヒロインが新たに詩魔法を習得する。
    • 複数人の精神世界が入り混じったジェノメトリクスはコスモスフィア以上に混沌としており、中には逆シェルノサージュと言うべきイベント*5すら用意されている。
  • 禊ぎ
    • ヒロインと一緒に風呂に入って、結晶のインストールと、集めたトークマター(話題)で世間話ができる。
    • 世間話はデルタの場合はキャスとのバカップルな会話を暖かい目で見守る。アーシェスの場合はイオンと向かい合い、話題毎に用意された選択肢でプレイヤー自身が応対する。
      • こちらも会話は話題毎に一度きりだが、調合感想と同じくクリア後の「エクストラ」では何度も鑑賞可能。
    • DLCによりサブキャラとも風呂に入って世間話できる。
  • ジェノミリンク
    • セーブポイントで進行状況を反映させ、前作と連動する。製作したアイテムの一部がこちらにコピーされる。逆に向こうにアイテム制作のヒントなどのさらなる進展を促すこともある。
    • また、「セカイリンク」を行うことで本作が『シェルノサージュ』のセーブデータからの連続した物語(『シェルノサージュ』プレイ済み扱い)となり、作中でもアーシェス=『シェルノサージュ』のプレイヤーと認識される。彼方でのイオンとの関係によって本作の展開も微変化する。

評価点

  • 設定を生かしたユニークなシナリオ
    • 大筋こそ船の危機を救う物語だが、前作でも伏線が張られたインターディメンドという技術*6が本格的に応用されることにより、「プレイヤーが画面とハードを通じて作中世界に介入する存在となり、それを作中人物が認識してきている」 という大掛かりな設定を盛り込んでいる。前作が「別世界を覗き見るゲーム」とするなら、本作は「別世界に直接干渉するゲーム」と言える。
      • 所謂メタゲーの部類に入るが、整全な世界観のおかげで作中世界に馴染ませ、使命感を植え付けて真摯にかの世界と付き合うようにできている。むしろプレイヤーがそちらの世界に組み込まれると言ったほうがしっかり来るのだろうか。
      • それでいてメタさに負けない物語の壮大さを持ち、プレイヤーにまさに自分が世界を救っているカタルシスを与える。
      • セーブ&ロードや非リアルタイム戦闘、作中の時間や場所が一瞬で飛ぶ、果てはとてもじゃないがお見せできないものにモザイク処理が施されると言った「ゲームならよくあること」も、全部インターディメンド技術によるものと解釈することができる。
    • ジェノメトリクスも、謎解き、そして上述の設定に基づく新風な展開がもたらされる。
      • イオンの精神世界はそれこそ、前作でイオンとの絆が深まれば深まるほど感慨深く、胸を締め付けられる話である。
        + ネタバレ
      • エンディングは大きく分けてノーマルとトゥルーの2種類存在するがどちらの結末に辿り着くにしてもこの設定であるが故にプレイヤーの心に残るものは重く切ない。
        • 具体的にはプレイヤーとイオンの別れが描かれるのだが、前作で彼女との生活に入り込み長い時を過ごした人ほど尋常ではない深い喪失感を抱える事になる。
        • この感覚は前作の(発売当時からプレイしていれば)リアルタイムで2年もの歳月を彼女と過ごす特殊なゲーム性ならではであり、他の作品ではまず味わえないだろう。
      • その一方、セカイリンクをした状態でトゥルーエンドを迎えると、『シェルノサージュ』側にて真のエピローグと言うべき演出を見る(聞く)ことができるというサービスが用意されている。
        • もちろん本作単体でもしっかり物語の結末を見届けることはできるが、この演出はイオンの物語を最初から最後まで見届けたプレイヤーだからこそ辿り着き、知ることができる本当の結末であり、前作と今作にのめり込んだプレイヤーほど感慨深いものとなっている。
  • 宇宙船という限定的な舞台ながら、その特異過ぎる状況や構造から閉塞感はほとんど無く、7次元先の世界で繰り広げられる不思議な冒険を堪能できる。
    • ビルの立ち並ぶ都市、青空の広がる大地、宇宙船の推進部に築かれた町などロケーションは独特且つ豊富。
  • 進歩したグラフィック
    • ハードがPS3に移ったおかげか、前作でみられるオブジェクトの粗っぽさが払拭される。
    • 前作でもある程度評価できるキャラモデルも、光影表現が強化されてさらに見栄えが良くなった。
    • 続投キャラは全員新モデルで登場し、成長したという実感を与えてくる。
  • メリハリのある戦闘システム
    • プレイヤーのターンは行動回数を使い切らない限り敵ターンに移らないが、□攻撃を連打するたびに繰り出される攻撃はアクションゲームのコンボのような快感がある。
    • 各攻撃の特性と敵の特性によって使い分け、殲滅効率を上げるための行動順にプレイヤーの腕が問われる戦略性のある作り。
    • 戦闘の評価で勝利演出も変化。低い評価なら各ヒロインが一言喋るだけだが、最高評価にもなればデルタとキャスがハイタッチして決めポーズ、イオンがアーシェスの腕に抱きついてくる、と言った豪華な演出が入る。
  • 音楽
    • 音楽と詩は、やはりアルトネリコシリーズ・前作の流れを沿った豪華な作り。
    • 南条愛乃氏が担当するヒロインに昇格したキャスが謳う詩と、阿知波大輔氏・柳川和樹氏によるインストは各場面を盛り上げる。

賛否両論点

  • 展開のクセ
    • 前作を知らなければ五里霧中な一方、前作経験済でも消化しにくい新旧混じりの独自設定の絨毯爆撃の下、メインストーリーがハイペースで展開されていく。
      • 前作が独特なゲームデザインでハードルが高く人を選ぶ作品だったのに対し、本作はジャンル自体はメジャーなRPG。しかも発売当初はプラットフォームも違っていた。
      • 公式サイトや事前情報では前作と密接に関係があることについてはあまり触れられておらず、そもそもメタゲーであること自体伏せられている。
      • そのため、前作を飛ばして本作からいきなり始めてしまい見事に置いてきぼりを食らった人や、普通のRPGだと思ったらメタゲーで面食らった人も相当数居たと思われる*7
      • また発売時点では前作はまだ完結しておらず(12章+α構成のうち、10章時点)、前作経験者でも繋がりが分からない部分が多かった。前作記事でも述べている通り演出上の意図があった面もあるのだが、分かりにくいのも確かである。
    • メタゲー故にプレイヤー自身が作中世界に感情移入できないとストーリーに付いていけない。特にプレイヤーと同一視されるアーシェスへの自己投影は必須で、それこそ本当に「アルノサージュをプレイしている」のではなく「7次元先に本当にある世界を見ている」気にならないと存分に楽しむ事はできない。
      • そのため、普段からゲームの主人公に自己投影をしないorできない人には勧め難い。特に今作は前作と違って明確な登場人物として干渉する形式のため、より深く没入する事が求められる。最低でも、アーシェスというキャラ(或いはそれを操作している人物)を演じるぐらいの心構えは必要だろう。
      • アーシェス自身、意思表示は選択肢で行うのだが、殆どが2択(時には1択も)な上に違いもあまり無いものが多かったりと、前作同様キャラの方向性もある程度決まっている。そういうキャラを演じることを強いられている感も否めない。
      • 幸い、プレイヤーが自然とその気になりやすいシナリオ運びにはなっているが、前作同様「スケベな所があるオタク寄りの少年~青年」のイメージが少なからずあるので、自己投影のし易さが人によって大きく分かれる。
    • 混迷した状況での人物の心境変化もややつかみにくい。特にカノンとコーザルは前作の境遇からは本作との不連続性が漂う。
+ やや重いネタバレ解説
  • 前作11話で一度カノンとコーザルは消滅し、本作でカノンの謳う「em-pyei-n vari-fen jang;」「yal fii-ne noh-iar;」でコーザルほか惑星とともに消滅したジェノム達は蘇るが、その以前カノンはどのように復活したのかは不明。前皇帝から拝領した「命導御霊鈴」のおかげかどうかはわからない。
    • 本作序盤、2人は「人間たちが星を潰した罪を贖う・咎める」よう動くが、前作からすると星を潰したあのグランフェニックス計画は惑星自身の合意の元で決行されたもの。
    • それを知らないか、どうあれ惑星の意志をあの決断を下すまで追い詰めた人間はやはり悪いと考えるかは最後まであやふやである。
    • コーザルは前作の深思熟慮な賢者の性格から一転、頑迷で短慮な振る舞いが目立ち、そのギャップに不満を思うユーザーが多い。
      • ゲーム外の話だが、内部資料の公開サイトであるworldsettingdocumentでコーザルに関する記述を鵜呑みにするとコーザルが極悪人になってしまう。
      • 本編を見る限り多くの負の設定が没になったようだが、はからずともコーザルのマイナスイメージを強めている。
  • 終盤では、『アルトネリコ』からのゲストキャラとしてシュレリアが登場するが、彼女の活躍とはファンサイトのトウコウスフィアに舞い戻ったごとくあざとさ大放出である。
    • 極め付けは本シリーズの人物に「行かないで!」と選択を迫る場面。トロフィーにもなるがその選択の意味的に取得するのにためらう代物。
  • プレイヤー自身をストーリーに取り込む作風ではあるが、実際の所はプレイヤーの分身であるアーシェスにしろ、作中で扱われるプレイヤーの存在にしろ、現実のプレイヤーの意思に関係無く振る舞わされる事が多々ある。ストーリー上の都合はあるのだが、それにしても実際のプレイヤーを無視し過ぎな部分も幾つか。
    • アーシェスはデルタ視点で敵として登場したり、一部のイベントでプレイヤーの意志に関係なく能動的に行動するケースもあり、設定に不統一感がある部分も。本編でもジェノメトリクスでもプレイヤー云々関係無しに活躍して立派に主人公をやっているシーンは少なくない。
    • 特に後半のあるシーンでは「自分の体の制御を取り戻そうと立ち向かってくるデルタをあざ笑うような態度で抑え付け、その後、デルタとキャスの愛の力で撃退される」という役回りをプレイヤーが演じさせられると言った、人によっては嫌悪感を抱きかねないイベントがある。
    • 特に開発側が意図している通り世界観にのめり込んでいるプレイヤーほど不快になるだろう。通常、プレイヤーは真摯に世界と向き合っているという流れで進んでいるのに、急にこのような態度を取るのは違和感が強い。
      • なお、本作の最終的な黒幕はプレイヤーと同じ立場にある別のプレイヤーと言える存在であり、作中世界を単なるゲームとして扱い、そこに生きる人々も駒としか見ていない*8
      • 自身の「ゲームクリア」のために作中世界を危機に陥れており、実際のプレイヤーはその「敵」に対して本気で作中世界を救うために戦いを挑むという構図になっている。
      • にもかかわらず、このシーンではプレイヤーはこのような態度を取ったり作中世界をはっきりゲームとして扱うなど、何故かここだけやらされる事が黒幕と同レベルである。
      • その一方で、後の展開では作中キャラの頼みで快く協力する流れになるので、余計にこのシーンの異質さが際立っている。プレイヤーの心情も、時にはストーリーに沿った急激な変化を要される。
      • しかも、同時刻には同じプレイヤーが操作しているはずのアーシェスがイオンを守るために必死に戦っているので、ここでも設定に曖昧さを感じさせる。
      • 挙句、アーシェスはここで一度大破する。片や主人公達の愛に敗れ、片やヒロインを守って散るという状況に置いてきぼりを喰らうこと必至。
      • デルタ達も、この時に対峙した相手とアーシェスが同一人物だと気付いていないのか、それを言及することは無い。プレイヤーから言う選択肢も無く、以後も別人のように振る舞い続けなければならない。
    • そもそもアーシェスの正体が仲間の間に共有されておらず、単なる「意思を持つロボット」として接してきている者もいる。そう言った相手に対しては、イメージ通りの「意思を持つロボット」として振る舞うことになり、それらが混在するため自分が操作しているのが「アバターとしてのアーシェス」なのか「アーシェスというキャラクター」なのか分からなくなる。
  • 世界の運命を左右する危機的状況に別世界の人間が介入しているという設定の関係上、意図的と思われる蚊帳の外感がある。
    • プレイヤーが英雄になる訳ではなく、あくまで作中世界の人々が自分達の手で未来を掴み取り、プレイヤーはその手伝いをする形となる。
    • これにより、他世界に直接干渉し、その存亡を賭けた戦いに助力している感覚は味わえるが、それ故に自分を中心に物語が動く訳ではない(どころか他のキャラがどんどん話を進める)ので人物の心情を掴みにくく、状況の理解もやや難しい。
    • アーシェス視点の調合会話では、店主とイオンだけが盛り上がって完全に蚊帳の外に置かれる物も僅かながらある。その際の選択肢はいずれも自分の存在をアピールするか、空気を読んで黙ってるかという切ないもの*9
  • 本編の流れ自体は概ね王道なのだが、ジェノメトリクスや調合イベントではかなりぶっ飛んだノリも見られる。『アルトネリコ』などで慣れている人ならいつもの事だが、初見の人は戸惑っても仕方ない程には癖は強い。
    • 作中でも「人は生きる事に不自由しなくなるとサブカルチャーに走る(意訳)」と語っている通り現実のサブカル・オタク界隈のノリを7次元も先なのにそのまま持ち込んだようなギャグ・パロディ*10、家族や友人の前でプレイするのが憚られるような際どいイベント・演出などが節操なく詰め込まれている。その無節操さ故、反応は爆笑、ドン引き、困惑、辟易、感嘆などなど、人によって様々だろう。
    • 特に調合については、前作ではイオンが一方的に喋ってプレイヤーが時折返答する程度だったのが、今作では複数人で(アイテムの試用込みで)会話を繰り広げるため、良くも悪くもネタの濃さが増している。
    • ジェノメトリクス内での行動によってヒロインの性格が(戦闘中のみ)変化するのだが、SかMかという分岐もあるため、とても人前でなどプレイ出来ないような台詞が飛び出す事も多々。Mに寄ったイオンが敵ターン時に言う「いいよ!叩いて…!」などは最早ドン引きレベル。
  • パーティー編成要素がない
    • パーティーキャラはデルタ+キャスとアーシェス+イオンの2タッグで固定。ほかのキャラは敵としてか、フレンド技を通してしか参加できない。
    • 2タッグが一画面で並べて戦えるようにはゲームシステムができていない。終始一度に片方しか戦闘に参加できない。
      • ラストバトルには4人揃って臨むのだが、前哨戦では選んだ方のタッグしか戦えず、ラスボスとも律義に1タッグずつ戦う。一応、前哨戦でどちらを選んだかでエンディングが変化するようにはなっているが…。
    • 開発リソースが集中できているかパーティー編成の自由度が無くて面白みが薄いかは意見が分かれる。
  • 詩魔法の効果の低差別性
    • すべての詩魔法は攻撃技であり、付加効果にわずかな差がでるといった具合。
    • 効果に差があると戦闘スタイルによっては使用詩魔法が固定されてしまわずに済むと見るか、戦闘スタイルの幅が狭いと見るか。
  • 調合可能アイテムの種類がとにかく多い
    • 調合時の感想イベントは豊富で内容も楽しく、アイテムの種類も色々とネタに走っていて一覧を見るだけでも面白い。エンディング条件のアイテム以外はデルタ、アーシェス両方に会話が用意されているのでその数も膨大。
    • しかしそれ故に種類は無駄と言ってもいいほど多く、装備品は良いのだが、消費アイテムとなると効果が被っていたり何の効果も無いアイテムが相当数ある。最早ネタの為だけのアイテムも少なくない。種類もかさむので管理も大変に。
    • 詩魔法もそうだが、RPGとしてのバリエーションや戦略性よりも演出、デザイン、ネタを取ったが故と思われる。
      + さらには…(ネタバレ)
      • トゥルーエンドの条件となるアイテムを手に入れるには、調合可能アイテムの殆どを作成しなければならない*11。調合可能箇所4店全てで作れるアイテムが違うため、その数は非常に多く、費やす手間も膨大なものになる。
  • 前作との連携要素(セカイリンク)
    • 前作との連携により、アーシェスとイオンは通常なら赤の他人同士から始まるところ、恋人あるいは夫婦である前提でゲームが始まる。これによってアーシェス編はそれまでの好感度を引き継いでイオンとの冒険ができる。
    • ゲーム的な特典は少ないものの、前作にのめり込んだ人からは概ね好評。
      • 主人公を演じている体ではなく「本当にゲームのヒロインと冒険できたら」という願いを叶え、また、前作で間接的に交流することしか出来なかったヒロインを、今度は自ら守って戦えるという一種の舞台装置となり、ロールプレイが非常に捗る。
    • 一方、『アルノサージュ』から入った層からすれば前作未プレイでは体験できない要素があり、しかもその前作がジャンルの違うADVで敷居が高いと、あまり面白い話ではない。上述した、本作からの新規層が置いてきぼりを喰らいやすい一因に。
      • 一応、イオンの方は最初は初対面のつもりで話しかけてくる*12ので話自体は問題なく進むのだが、その一方でセカイリンクをしていようがいまいが、プレイヤーが前作を知っている事前提の台詞が出て来る事も。
        + ネタバレ
      • 評価点では「セカイリンクをした状態でトゥルーエンドを迎えると『シェルノサージュ』側で真のエピローグの演出がある」と上述したが、逆に言えば前作をプレイしていないとその真のエピローグが迎えられない。
        • トゥルーエンドのラストシーンでは、ある場所に向かうイオンを見届ける前にインターディメンドの接続が切れて幕切れとなる。
        • 心配無用という流れではあるのだが、その後イオンがどうなったのかは分からず終いなので、本作単体で物語にのめり込んでいた人は相当な喪失感に見舞われながら終わってしまう。
        • 前作からのプレイヤーだからこそのご褒美でもあるのだが、本作からの新規層にはまたも納得し難いことに。

問題点

  • パートボイスの分配
    • メインストーリーがパートボイスで、キャスティングされるのも半分程度なので、エンディングに急ぐプレイだとボイスが少なく感じてしまう。
    • 温泉での結晶整理とタッチ・店での世間話・フィールドトークに多少ボイスあり、戦闘ボイスがジェノメトリクスでの選択肢が影響する人物性向により変化するぐらい。
    • 比重がやや大きいジェノメトリクスもボイスが半分程度で、調合感想と温泉での世間話に至ってはなし。
  • カメラワークの厳しい制約
    • 移動パート時のカメラ方向は完全に現在位置に依存。
  • 敵ザコラインナップ
    • フィールドでランダムエンカウントする敵のラインナップは場違いなケースが散見される。特に終盤に顕著。
    • また、詩魔法で殲滅しきれなかったWAVEは次の戦闘で戦うのだが、上述した通りバースト値もハーモニクスゲージも無いまま戦わなければならない。
    • しかし強い敵は詩魔法に耐えやすいため、生半可な詩魔法では次に強敵と戦わされて逆にピンチに陥ってしまう。ハーモレベル上限が低く敵も弱い序盤はまだしも、後になるととにかくハーモレベルを上げてWAVEを残さないような戦い方になりがち。
  • ダンジョンや街が全体的に狭く短く、RPG的な探索の楽しみは薄め
    • WAVEを全滅させてしまえばエンカウントもしなくなるので、楽と言えば楽だが味気ないと言ってしまえばそれまで。
    • 一方、ラストダンジョンは1マップで終わってしまう短さを誤魔化す為か、WAVEが50にまで一気に跳ね上がる。
  • 戦闘中の処理
    • WAVE全滅もしくは敵の行動を封殺したときにプレイヤー側がボーナスターンを得られるが、その際に3秒ほど処理タイムに入り、ぶつ切り感ができてしまう。
    • ハーモニクスレベル3・4で自動的に1ターン一度以上ヒロインが支援全体攻撃を繰り出すが、プレイヤーの動きをストップさせる演出に入り、数秒後に再開。
      • 演出はカットできないため避けるためにはハーモニクスレベルを抑えながら戦うしかない。
      • また、その演出もヒロインか詩魔法キャラが適当な動きと一種のセリフの後爆発が起こるもので占められている。
  • コスチュームチェンジ関連
    • 条件を満たせば解禁されるシステムとして最初から表示されており、いかにも作中で色々な衣装が手に入って着せ替えながらプレイできそうになっているが、その解禁条件は実は裏ボス撃破。コスチューム自体、イベント衣装への切り替え程度でしかない。
  • やり込み要素は乏しい
    • 「ゲームとして」やり込むべき世界観ではないとは言え、単純にRPGとして見ると周回要素やエンディング後の世界は無いので、トゥルーエンドまで行ってしまえば裏ボスと戦うか、調合、禊ぎ、ジェノメトリクスのイベントを見返すぐらいしかやることが無い。
      • クリア後にはBGM、イベントスチル、ムービーの鑑賞や禊ぎ、調合のイベントのリプレイが可能な「エクストラ」が解禁される。
      • しかし禊ぎ、調合イベントは本編で体験したものしかリプレイできず、調合は良いのだが禊ぎの方は期間限定のトークマターもあるため、取り逃がしの回収にはまた最初からプレイしなければならない。
    • 裏ボスも「340億ものHPを全国のプレイヤーと協力して削りきる」というトンデモ仕様。しかも『シェルノサージュ』側でマイクロクエーサーにエネルギーを送信するとHPが回復してしまう。
      • ストーリー上でも「強大過ぎて普通の方法では倒せないので、封印しておくしかない」という存在だったのだが、いざ倒しても機械的なアナウンスが入るだけで特別な演出や展開は無し。一応、イベント衣装への切り替えとモデル鑑賞の縦回転*13が解禁されるが、その程度。
      • 現在はキャンペーン終了によって他のプレイヤーとの協力や前作操作による回復は無くなり、HPも単独プレイヤーで十分倒せる程度に固定されている。
  • バグ
    • バグノサージュ」などと揶揄された前作に続き、本作も大小のバグが多数存在する。アップデートで修正されているものもあるが、依然として(移植版にも)残っているバグも少なくない。
    • 文字化け、BGM不具合、エラー落ち、フリーズなどは勿論、イベントが発生せず進行不能、主人公が床を突き抜けて自由落下してハマると言った深刻なものも幾つか。
    • 演出の不備なのかバグなのか、中盤の山場にアナウンス音*14がループ再生される演出があるのだが、不必要に複数のシーンを跨って再生される結果、ハイライトされるはずの詩「Class::XIO_PROCEED;」やムービーに水を差してしまうようなことがある。
      • しかもその音量はBGM音量に依存なので、確実に詩を聞くのを妨げてしまう。
      • 無関係なシーンにロードしても、タイトルに戻って「EXTRA」を見ても鳴り続ける。止める為にはセーブしてゲーム終了・再起動する羽目に。
    • 現在は修正済みだが、禊ぎでキャスやイオンに結晶のインストールをすると、本人の声の代わりにデルタの気怠そうな声が聞こえるという本シリーズの売りの1つを見事に潰しているバグすらあった。

総評

前作で築いた世界観を昇華し、RPGとしてゲーム性を付加させつつストーリーを帰着させた完結編。
ヒロインのイオンを始め前作から続投したキャラクター達の織り成す物語にプレイヤー自身を組み込むメタ構造と、
それを生かしたゲーム展開が魅力であり、豪華絢爛な楽曲がそれらを彩る。
しかし緻密且つ独特な世界観と、感情移入の度合いがストーリーの面白さに直結する関係上、
物語を本当に楽しむには前作からしっかり作中世界にのめり込んでいる事と、プレイヤー自身が1キャラに成りきるロールプレイが不可欠であり、
新旧入り混じった数々の設定と駆け足な展開についていくのはそれでも尚、容易なことではない。
また、純粋にRPGとして見ると破綻こそは無いが、演出、キャラクター、ネタを重視したが故のゲーム的な物足りなさも否めない。
良くも悪くも、前作から連なる「7次元先にある世界」を体験し、干渉するという演出に特化した作品と言える。

それでも前作に続き、他ではなかなか味わえない魅力を持つのは確かであり、しかしその魅力をフルに楽しむ為のハードルはかなり高いのもまた確かである。
この世界観と設定に興味が惹かれた人は、相応の覚悟を以ってしっかりと腰を据え、前作共々「7次元先の世界」と向き合って欲しい。


余談

  • 特徴で触れたが、『シェルノサージュ』本編の出来事は、本作の序盤の間の出来事である。
    • 現実世界で配信されていたパックは作中のキャラがリアル同様2年もの期間を掛けて少しずつ作成・送信していたもの、という体裁である。それによって完全に記憶が修復されたイオンが、アーシェスとなったプレイヤーと共に旅立つのが本作のアーシェス編の導入部である。
      • ただし、セカイリンクをしていない場合は、それまでイオンの記憶修復を手伝っていたのは別の誰かとなり、アーシェスのプレイヤーとイオンは初対面として扱われる。
  • ニコニコ静画上で展開されるwebコミックサイト、水曜日のシリウスにて2014年2月24日よりコミカライズ版(著:タツオ)が連載された。単行本は全2巻。
    • アルノサージュ本編の前日談であり、本編では廃墟となっている都市「アメノミライ」を舞台に記憶を失う前のデルタとキャスの活躍が描かれる。
    • また下記のPULSの限定版『サージュコンチェルト・エージェントツインパック』では、特典として本作のヒロイン「ラチェット」の衣装のダウンロードコードが付属していた。
  • ゲーム作品のノベライズを多く扱っていた一二三書房のラノベレーベル、桜ノ杜ぶんこよりDLCで追加された白鷹のジェノメトリクスのアーシェスサイド「寧はるか遠く」で描かれた世界を原案とした、本作及びシェルノサージュの前日談小説「ゆきねライフロギング」(著:糸井健一)も発売された。こちらも全2巻。
    • 2巻はサージュコンチェルト全体で残った最後の謎を補完する非常に重要な作品となっている。更に2巻発売当時に行われたキャンペーンで、本作の真エンドとエピローグの間を繋ぐ後日談小説を読むことができた。
    • しかし非常に流通数が少なく電子書籍化もされていないため、あとから本作を知った層にはストーリーを知る上で最大の障壁となっている。『DX』が発売された際、ガストショップにて在庫品が少数販売されたものの需要を満たすには至っていない。入手出来ても後日談小説のキャンペーンは既に終了している。
  • 吹き替えを含めた英語圏対応のバージョンがある。RPGで海外のファンを離すまいと準備したつもりだっただろうか。
    • しかし本作はストーリーが単体では、一応それぞれ完結しているアルトネリコシリーズ三作と違って、前作とセットなゲームである。
    • 生憎『シェルノサージュ』は英語に対応しておらず、海外プレイヤーにサージュ・コンチェルトシリーズを楽しんでもらうには中途半端と言わざるを得ない。
  • 本作の黒幕はプレイヤーと同様、依り代となっている存在の名前をそのまま名乗るため本名は最後まで不明である。
    • しかし、黒幕が僅かに見せた人間性から「あつし」というあだ名がシリーズファンによって付けられる。公式もエイプリルフールでこのネタを拾われている。

アルノサージュ PLUS ~生まれいずる星へ祈る詩~

【あるのさーじゅ ぷらす うまれいずるほしにいのるうた】

ジャンル 7次元RPG
対応機種 プレイステーション・ヴィータ
発売元 コーエーテクモゲームス
開発元 ガスト
発売日 2014年10月2日
定価(税抜) 通常版: 5,800円
ダウンロード版: 5,143円
AGENT PACK: 8,800円
判定 なし

概要(Plus)

『シェルノサージュ』と同じハードであるPSVへの移植版。


評価点(Plus)

  • 追加要素
    • ネイやカノンとの禊ぎ、白鷹のジェノメトリクスと言った無印のDLCは全て同梱。
    • PSVの「タッチ操作」に対応。「禊ぎ」中にキャラにタッチすると反応してくれる。
    • 禊ぎできるキャラクターとしてサーリ、ネロ、シュレリアの3人が追加。デルタ、アーシェス双方に用意されており、そのボリュームも多く読み応えがある。
      ネロは悪役サイドの人物であり禊ぎがあるのはおかしいが、(ネタバレになるので詳細は伏せるものの)衝撃設定でそれをフォローしている。
      • サーリ、ネロはアーシェスをロボットではなく、それを操作しているプレイヤーと認識したうえで対話してくれる。女の子の友達と会話しているような気分になれ、自分自身が世界にのめり込むロールプレイを促進できる。
      • シュレリアの禊ぎには『アルトネリコ』に関するネタが仕込まれており、シリーズファンなら思わずニヤリとできる。
    • 4人の主人公とヒロインにはそれぞれに新たな衣装が用意される。衣装の中にはクリア後に入手できるものもある。
      • これにより、無印ではほぼ形骸化していたコスチュームチェンジ要素が普通に楽しめるようになった。ただし、イベント衣装はやはり裏ボス撃破が必要。
      • こちらのバージョンのみ、初回特典としてアニメ『ロボットガールズZ』とのコラボ衣装が収録されていた*15
    • ジェノミリンクで『シェルノサージュ』からイオンのコスチュームの一部(ブルーミングヤード、ポーラーズメモリーI、紫陽咲花)を入手できる。
    • エリア探索中、デルタ、アーシェスに背面タッチパネルで悪戯できる。
  • 改善された要素
    • 中盤のある展開におけるプレイヤーの扱いに疑問符の付く展開は無難な形に改善された。
      + ネタバレ
    • 無印の項で上述したデルタとプレイヤーが対峙するシーンは、真摯に世界の危機に立ち向かっているはずのプレイヤーが何故か「デルタを乗っ取った悪者」として扱われ、そう演じることを強いられていたが、PLUSでは「不可抗力でデルタを乗っ取る形になってしまった」という体に置き換えられている。
    • 実際その通りなのだからこの方が流れとしても自然である。
  • その他
    • PS3 → PSVへの移植だが画質の大きな劣化などは見られず、違和感なくプレイできる。
    • 『シェルノサージュOFFLINE』との同時発売だが無印を切り捨てる事は無く、そちらのデータとも連携可能で追加要素も全て解禁出来る。無印をプレイしていたがPS3を所持しておらずプレイ出来なかった人や、PLUSの追加要素は見たいが無印とOFFLINEは別物と考えるユーザーには嬉しい配慮。
  • 『シェルノサージュOFFLINE』との同時発売となった点
    • 前作を全て読み終えてから本作と、順にプレイできるようになっているため、物語の繋がりが分からず困惑するような事態にはなりにくい。

問題点(Plus)

  • バグも無印に加えて新たなものが発生している。
  • バトル中に処理落ちが発生することがある。
    • ゲームクリアに支障がでるレベルではないが、プレイヤーによっては気になる部分。
  • 無印から僅か半年での追加要素あり移植であり、これら追加要素は無印では一切アップデート等でフォローされることがなかった。当然、無印プレイヤーからすれば愉快な話ではない。
    • 無印プレイヤーが追加要素を堪能するには改めてPLUSを購入してプレイし直す必要が生じる。これ自体は本作に限った話ではないが、本作の場合はPLUSが出るまでのスパンが短過ぎるのが問題である。
    • また、評価点には「前作をプレイしていたがPS3を所持しておらず無印がプレイ出来なかった人には嬉しい配慮」と書いたが、逆に「PSVを所持していない無印プレイヤー」には何の旨味も無い。
    • 無印の強みを敢えて挙げるなら大画面でプレイできる事ぐらいだったが、後のDXの発売でそれも失われてしまった。

総評(Plus)

無印よりは手軽にプレイできる『シェルノサージュOFFLINE』との同時発売で、ネックだった発売時期の齟齬や入り込み辛さをある程度解消した。
処理落ちなど一部気になる部分はあるものの、画質の大きな劣化などはなく移植作品としては満足のいく出来。追加要素の禊ぎも読み応えがある。
依然としてハードルが高めな前作プレイ済という前提はあるが、「次元を超えて世界の危機に臨む」という、普通のRPGでは味わえない体験をしたい人は手に取って損はない。


アルノサージュ ~生まれいずる星へ祈る詩~ DX

【あるのさーじゅ うまれいずるほしにいのるうた でらっくす】

ジャンル 7次元RPG

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Windows(Steam)
発売元 コーエーテクモゲームス
開発元 コーエーテクモゲームス(ガスト)
発売日 2021年3月4日
定価(税抜) 5,800円
判定 なし

概要(DX)

PLUSのリマスター版。こちらも『シェルノサージュDX』と同時発売。

  • 『シェルノサージュDX』との連動は同ハード間のみ。旧版との連動やデータ引き継ぎも同じく不可能。
  • 禊ぎでの触りモードはPCに合わせてかカーソルエイム式になったが、タッチパネルを持つPS4(DUALSHOCK4)とSwitch版でもそれに準じてタッチ操作はなくなってしまった。
  • またWin版は規制に合わせて過激描写に修正が入っている。ならPS4版とSwitch版のタッチ操作にも手を入れて貰えなかったんですかね。
  • シェルノDXで目立ったグラ表現の劣化はこちらにも少なからずあり、光屈折表現(陽炎)が消失。そのせいで味気なくなったエフェクトが多い。
  • ローディング全般が早くなった。
    • …が、詩「em-pyei-n vari-fen jang;」が謳われてフルオートでシーンが進む場面は、無印・PLUSではローディングを加味して、キャラの動きが展開に呼応し、ちょうどサビの終わりに再生停止だったのを崩してしまった。
最終更新:2025年03月21日 22:20

*1 前作でイオンがプレイヤーとの交信に使っていた端末を組み込んでおり、こちらから直接操作が可能になったという設定。

*2 彼自身の身体能力は元々高いのだが、プレイヤーが操作することで死角が無くなったり瞬時に行動できたりと、ゲーム的な戦い方ができている。

*3 敵毎の「ガード値」を削りきった状態。防御力を下げ、攻撃回数を減らせる。

*4 ノリノリのヒロインと店主に対し、デルタは嫌々やってるのが表情や歌のやる気の無さで分かる。また、無骨なロボットのアーシェスも一緒になって踊る光景はシュールで笑いを誘う。

*5 イオンが現実で生活を送り、プレイヤーの方がアイテム探しなどをさせられるというもの。

*6 端的に言うと人型の存在を外宇宙の存在に操らせる方法。失敗しても何度もやり直しでき、そちらから見て完璧な立ち回りができるようになる。

*7 プレイヤーの分身たるアーシェスも「謎のロボット」としか書かれておらず、前作を知らない人からすればまさか自分自身がこのロボットにされてしまうとはそうそう予測できないだろう。

*8 もちろん、設定的にはプレイヤーとは違う世界の存在で、干渉の度合いも行使できる力もプレイヤーのそれとは全く異なる。

*9 前者はイオンに「ごめん、忘れてた」と言ったような反応をされたり、店主に「空気読め」と突っ込まれる、など。後者を選ぶと本当に空気に徹したまま会話が終わってしまう。

*10 しかも中身は完全に現代日本のそれ。スラングも通じる。

*11 n種類合成した、というイベントフラグではないのだが、特定アイテムの材料が別の調合品だったりして、結局は殆ど網羅する事に。

*12 セカイリンクをした場合は、その時の返事で前作を共に過ごした相手だと気付く。

*13 全周、つまり真下に回れて、然るべきのものが見られる。

*14 末尾の空耳から通称「にゃんにゃん」

*15 『ロボットガールズZ』を基としたソーシャルゲーム『ロボットガールズZ ONLINE(現在はサービス終了)』側には今作からのゲストキャラとしてキャスが登場していた。