修正依頼」が出ています。対応できる方はご協力をお願いします。


Kathy Rain

【きゃしぃ れいん】

ジャンル ポイントクリックADV
対応機種 Windows XP/7
発売元 Raw Fury
開発元 Clifftop Games
発売日 2016年5月5日
定価 1,480 円(Steam)
$14.99(GOG)
プレイ人数 1人
備考 Adventure Game Studio 使用
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 日本語なし、しかも英作文あり

概要

  • ドット絵調のポイントクリックADV。
    • ドット絵だがキャラクターは左右に動くだけでなく、画面奥方向にも移動し、その場合は遠近法によるキャラの小さいドット絵が用意されているなど、凝っている。
  • Clifftop Gamesはスウェーデンのゲーム開発会社で、本作がデビュー作となる。

ストーリー

1995年。大学でジャーナリズムについて学んでいる女子大生Kathy Rainは、ルームメイトのEleenから、Kathyの祖父のJoseph Rainが亡くなったと聞いた。
翌日、祖父の葬儀には間に合わなかったものの、なんとか埋葬には間に合った。
葬儀に参列していた祖母の話では、祖父は1981年に何らかの事件に巻き込まれてそれ以来車椅子での生活となったが、祖父はその事件について何も語らなかったという。
Kathyはその事件について調査を始めることにした。

ゲーム内容

  • 本作はオーソドックスなポイントクリックADVである。
    • notebookに調べるべきことが自動で記入され、他の登場人物にそのことについて聞いてまわる。
    • 行き先はバイクに乗ってから決める。この行き当たりばったりな感じが主人公のざっくりとした性格と変にマッチしている。
    • アイテムを持ち歩けて、他の登場人物にアイテムを見せて話を聞いたりできる。アイテム同士を組み合わせたり、ハッカーからもらったハッキングツールをどこかのPCに使用したりできる。
    • ストーリー分岐はなく、一本道。

評価点

  • ちゃんと練られたストーリー
    • 最序盤は誰に何を聞いても進展しない。しだいに情報は集まるもののそれらがどう関係あるのか分からず、情報は増えても謎は謎のままとなる。

賛否両論点

  • BGMがチープである
    • まるでSNES時代のようなチープな音質である。
    • ドット絵調なグラフィックに合わせてた演出のつもりである可能性も否定できない。
  • 実はオカルトである
    • 祖父の遺品から心霊写真が出てきたところからオカルト展開が始まる。
    • 水子の霊も出てくる。
    • 「A Detective is Born」という宣伝文句から本格推理を期待した場合は期待はずれとなる。
  • 主人公がDQNである
    • 祖母の第一声は「どこかでお会いしたことがありましたか?(意訳)」。祖父の訃報が届かないぐらいの没交渉である。
      • 1981年の事件直後にDQNな父親のせいで一家が崩壊し、Kathyの母がKathyを連れて家を出ていって、それ来連絡が途絶えていたらしい。
      • ゲーム内では父親のさらなるDQNな行動と悪事が明らかとなる
      • しかし主人公も同じ犯行を犯す…。血は争えない。
    • 舞台となっている架空の町Conwell Springsは州内で一番犯罪率の高いヤバい場所という設定。
      • それでも単身で暴走族のアジトに踏み込む女主人公。
      • そもそも主人公の父親もその暴走族の元構成員
    • 主人公は口が悪い
      • 愛想の悪い看護士に対して「十分な給料をもらっていないのか?(意訳)」という選択肢が出てくる。
      • 初対面のハゲに話しかけられて「お前みたいなキモいハゲは知り合いにいない」もしくは「仲間とだけ話してろ(意訳)」という選択肢が出て、その中から選択する必要がある。
      • 暴走族の構成員に"fucking pig!"、リーダーに"Shit!"と言う命知らずである。

問題点

  • ドット絵であることにより、見づらくなっている。
    • フォントの可読性が低い
      • 文字は大きいものの、わざとドット絵調にしているため読みにくい。
      • 翻訳ソフトにかけるためにOCRソフトを使用しても、ほぼ読み取れない。
    • UIもドット絵調であり、オブジェクトにインタラクティブした際にでるUIアイコンが特に見にくく、使いにくい。
  • バックログ機能がない
    • 字幕が付くものの、会話は早口であっという間に書き換わってしまい、しかもバックログ機能がなく、聞き逃すとおしまいである。
  • 高難易度である
    • ちょっと思いつかないであろう部分がある。
+ 2日目ネタバレ
  • カセットテープの音声をPCに読み込み、音声編集ソフトで編集して、それを誰かに聞かせることで先に進めるという箇所がある。
    • まず、PC横のスキャナで、確かに主人公が「カセットテープも取り込める(意訳)」とは言っているものの、音声データが読み込めるとはちょっと思いつかないのではないか。
    • 音声編集ソフトと書いたが、そのソフトの使用方法は全くのノーヒントであり、編集機能があることすら気づかない可能性もある。
    • そして、音声編集ソフトで拾い集めたワードで自然な会話文(もちろん英文)を作文する必要がある。総当りで正解にたどり着くのは無理であり、結局、攻略サイトのお世話になることになるであろう。
+ 3日目ネタバレ
  • 病院に入院している人物に面会に行こうとするが、ナースはその人物は入院していないと言いはる。
    • 病院の前にいる"自称俳優"に「病院の受付のナースがあなたのファンだって言っているから、ファンサービスして来なさいよ(意訳)」と嘘を付く。
      自称俳優がナースに話しているところで自称俳優にスタンガンを使うと、ナースが自称俳優を連れて行くのでその隙きに病院に忍び込む。
      • ノーヒントでスタンガン使用は思いつかないであろう。

総評

日本語もない上に、フォントがOCRソフトによるスキャンに不向きなものであるため、手打ちで翻訳ソフトを使うしか無い。さらに謎解きで英作文があり、言葉の壁が高くそびえている。
主人公は手保安官事務所の立入禁止の留置所に侵入したり、無抵抗の仲間にスタンガンを使うなど手段を選ばない。このように、ほぼ犯罪のかなり無茶な方法で捜査を進めるため、何をさせればいいのか思いつかずに途方に暮れることもある。
それでもストーリーは本当に引き込まれやすく、翻訳ソフトや攻略サイトにお世話になりながらも、どうしても話の続きを読みたくなる。

後の展開

  • 『Kathy Rain the Director’s Cut』が2021年内に発売予定であるとされている。
    • 本作よりも謎解きの量が増えているとされている。完全版というところだろうか。
  • 本作には「A Detective is Born」というコピーがついていて主人公は最後に「次はもっとうまくやるわよ(意訳)」と言っているが、本作が商業的にはいまいちだったためか、本稿執筆時点では続編は出ていない。
    • YouTubeに上げられた『Kathy Rain the Director’s Cut』のトレーラー動画のコメント欄に開発者から、D.C.版が発売されたなら続編の制作に取り掛かる予定であるというコメントが有る。
最終更新:2024年01月03日 11:39