サンダークロスII

【さんだーくろすつー】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
発売・開発元 コナミ
稼働開始日 1991年
配信 アーケードアーカイブス
【Switch】2021年4月28日/838円(税10%込)
【PS4】2021年4月28日/837円(税10%込)
判定 なし
ポイント 3年越しの続編
様変わりしたBGM
BGM以外は前作からの変化が少なめ
凶悪難易度の高次周


概要

コナミ製横スクロールSTG『サンダークロス』の続編。
前作の戦いで滅んでいなかった謎の超機械化軍団を完全に壊滅すべく、ブルーサンダー2(2P側はレッドサンダー2)が出撃するというあらすじとなっている。

システム

  • レバー+2ボタンで操作。各種ボタンの役割はショットとオプションコントロール(下記)。全7ステージ。周回制。
    • 1周目7面到達以降は途中参加及びコンティニューができなくなる点は前作同様。
    • 1P側と2P側で機体性能が若干異なり、2P側のほうが連射速度が若干速い*1
  • 基本的なシステムは前作をほぼ踏襲。
    • 武器アイテムは続投の3種+追加1種の全4種類。武器アイテムの種類に関係なく続けて取得する事によって、最大3段階パワーアップさせることが可能。
    • オプションは自機の上下に装備され、最大4個まで(一人プレイでは上下それぞれ2個ずつ。二人プレイ時は各自機で合わせて4個)装備可能。
      • 特徴であるオプションコントロールは、オプションコントロールボタンを長押しする事で、オプションの間隔を広げたり狭めたりできる。
        これにより異なるY軸に攻撃したり、自機に近づけてピンポイントの火力を高める事ができる。
        また裏ワザの類になるが、本作ではオプションを最も自機へ寄せた状態からオプションコントロールボタンを連打することで、更に自機にほぼ重なる状態にまで引き寄せが可能。
        オプションを自機へ固めて集中砲火する事で非常に高い火力を叩き出すことができる。
    • 最大までプションを取得している時は、アイテムがスペシャルパワーアップアイテムに変化。取得するとオプションボタンを押す事でオプションコントロールの代わりに強力な攻撃を行う事が可能。
      • なお、前作にあった1upアイテムとステージ内の特定の箇所を撃ち込むと出現する隠しボーナスキャラは廃止された。
+ パワーアップ詳細
  • O(オプション):自機の上下に子機を装備する。下→上→下→上の順で付く。
  • S(スピードアップ):自機の移動速度を上昇させる。
  • N(ノーマルショット):本作での新武装で初期装備のショットの強化版。オート連射こそないが連射性能と火力に優れる。
  • V(バルカン):ボタン押しっぱなしで自動連射するショット。1発の火力は低め。前作からオート連射の速度が落とされた。
  • B(ブーメランショット):地形や敵に当たると進行方向が変わり、その飛んだ先の敵にも当たるショット。前作から1発の火力が落とされた。
  • T(ツインレーザー):自機の前後にレーザーを発射。前作同様3段階目で耐久度の低い敵を貫通する。
  • パワーアップアイテムは通常、O→S→武器選択→O→…という順に出現し、武器選択は一定時間でN→V→B→T→N→…と変化する。
    • 最初のOから次のSを取って順当にパワーアップしていくとSの2個目は出ず*2に武器選択→O→武器選択→O→…という順に出現し、オプション数が最大に達した時点からスペシャルパワーアップアイテムが出現する。
    • Oを取らないでいると延々Oが出続ける。
    • 最初のOを取って次のSを取らないでいると一定時間でS→N→V→B→T→O→S→…の順にアイテム内容がループし、そのままS以外のパワーアップを取っていくと、Sを取るまでは出るパワーアップアイテムが全てSからのループを続ける。
  • スペシャルパワーアップアイテムは以下の通り。
    • F(フレイム):前作の同名武器から性能が変化し、射程制限なしでY軸連動をする火の鳥型のショットを発射。
    • L(マクロレーザー):オプションから極太レーザーを撃つ。前作と異なりY軸連動はされない、
    • C(クラッシュショット):前作の「ナパーム」にあたる武器。前方へ一定距離飛んで炸裂する爆弾を投下する。敵や地形に当たっても炸裂しなくなり、爆弾の軌道も爆弾同士が寄るように変更された。
  • スペシャルパワーアップアイテムを取ると画面下辺にゲージが表示され、空になるまで特殊攻撃が使える。1回撃つ毎に1メモリ消費される。前作では武器毎にゲージ消費量に違いがあったが本作では一律となった。
  • スペシャルパワーアップアイテムはF→L→Cと変化した後、Nからの通常武器選択ループになる。取るまで出続け、取ったら次以降の出現アイテムは特殊攻撃の残量が切れるまでほぼ全て取ると6000点の?(ボーナスアイテム)になる。

評価点

  • 前作同様の取っ付き易さ
    • 前作経験者はすんなりプレイできるのはもちろんのこと、シンプルなアイテムパワーアップ制のため、初心者にも取っ付き易い。
      • ミス後の復帰はその場復活+全装備リセットだが、敵の攻撃が緩やかになる上に、アイテムを持ったザコが通常時より多く出現するようになる等復活が困難にならないように対策されている。
        それでも一部復活が難しい箇所はあるが、1周目だけで限れば復活難易度は前作同様低めである。
  • 前作や『スペースマンボウ』を知っているとニヤリとできる演出。
    • ステージ1ボス「エッガー・ドロイド」は前作のステージ1ボス「エッガー」の改良型という設定で、デザインは前作のそれをほぼ踏襲している。
      • このボス戦(とステージ5ボス戦)のBGMも前作のボス戦BGMを意識した曲調で、曲名も「奴は死んではいなかった。= Evil Eyes」とやはり前作を意識したものとなっている。
    • しかしそれ以上にステージ3ボスのデザインやステージ5道中の縦スクロール地帯、ステージ6中盤からの極太ビーム地帯等、同社のMSX2向け横スクロールSTG『スペースマンボウ』を意識した要素が多く見られる。
      • 『スペースマンボウ』は元々『サンダークロス』をMSXへ移植する企画から開発が始まっており、経緯を知った上で見ると中々感慨深い演出と言える。
  • 前作経験者を楽しませるような工夫
    • ステージギミックの追加や、ステージ2道中では序盤からステージ分岐が実装されていたりと、前作をやり込んだ方もなるべく楽しませるような工夫が見られる。
      ステージ分岐の方は難易度的にもスコア的にも下ルートの方が有利のため、あまり意味がないのが悲しいが。
      • 上記ステージ1ボスや、骸骨の兵士のような外観でトゲ付きの尻尾を振り回すステージ2ボスの「ラガマフィン」、ステージ4ボスのトカゲ型ロボット「ダイナソア・ジュニア」等特徴的なボスが多い。
  • 高品質なBGM
    • BGM担当は当時テクモからコナミへ移籍した「メタルユーキ」こと「斎藤幹雄」氏。
      BGMの曲調が前作の明るめで軽快なものから氏が得意とする熱いメロディアスなロックへ路線変更された。
      曲自体のクオリティは非常に高品質で人気も高く、前作同様に『パロディウス』等でアレンジが行われている。
      • 特に人気なのはステージ3BGM「Heavy Metal Bomber」とステージ4BGM「Dog Fight III」の2つ。いずれも斉藤氏の本領発揮といえる曲調。
        無論熱いロックBGMだけでなく、爽やかな曲調のステージ1BGM「Air Battle = THUNDER CROSS II」やステージ6BGM「Star Light」、ジャズ風味のステージ4ボスBGM「Theme of Dinosaur Jr.」といったものも揃えている。
      • ただし大幅な路線変更した結果、特に前作のファンからはやや賛否が分かれるところも。

賛否両論点

  • 難易度の上昇
    • 硬い敵が増えただけでなく、ステージ道中のギミック等、初見では対処しづらい場面が増えており、前作に比べて難易度が上昇。
      加えて本作のランク変動は前作よりも大きめに調整されており、パワーアップを重ねていくと撃たれる敵弾の数が増える。
      • 最も前年の『パロディウスだ! ~神話からお笑いへ~』のようにランク調整を怠ると敵の猛攻によって突破不可能になってしまうことはなく、高ランク進行でも練習次第で十分突破可能な範疇に収まっている。
        ランク上昇は「自機のパワーアップが一定段階以上になると急激に上昇する」タイプであるため、現在では意図的にパワーアップを抑制することでランクを抑えて進行する方法が見つけられている。*3
      • 2P側ではバグによりノーマルショットを敵へ当てた時のヒットエフェクトが表示されないため、1P側を上回る高速連射が可能。
        オプション重ね技と組み合わせると接射のチャンスがあるボスはラスボス含めて軒並み瞬殺可能になるので、とにかく先へ進みたい場合は2P側でプレイする事を推奨されている。
    • 2周目以降は撃ち返し弾がないのは前作同様だが敵の耐久値上昇、敵弾の弾数、速度上昇等で目に見えて難易度が上昇。周回を重ねると更に激化していく。
      高次周になると敵の硬さ、攻撃共にえげつないことになり、ミス後の復活が非常に困難となるので、本作での1000万点到達は至難の業である。
      • 前作は高次周でも難易度変化があまり見られず*4、上級シューターからは物足りないという声が多かったため、初心者と上級者である程度棲み分けがされる調整になったのは評価できる点だろう。
    • なお、前作ではブーメランショットを連射すると大抵の場面で処理落ちが発生していたが、本作ではステージ6後半のビーム地帯のごく一部を除いて処理落ちが発生しない。
      もっさり感が解消された反面、スロー中の画面でじっくりと見て対処する事ができなくなった事が難易度が上昇したと感じる一因と思われる。

問題点

  • パワーアップのバランスがあまりよくない
    • 新武器のノーマルショットが火力、連射性能共に非常に強力。基本ステージ5まではノーマルショットでいき、後ろから出現する敵が増えるステージ6からはツインレーザーで事足りてしまう。
      • 前作で猛威を振るったブーメランショットは複雑な地形の場面では多少活躍することがあるが、火力が大幅に落とされており使い勝手が低下。
        バルカンは1発の火力の低さが硬い敵が増えた構成と相性が悪く、更に利点だったオート連射の速度が落とされる*5弱体化を受け、事実上ノーマルショットの下位互換となってしまっている。
    • スペシャルパワーアップについては地形の窪みに敵が配置されている場面が増えていることから、地形貫通の利点を生かしやすく前作と比べて使いどころが増えている。
      • ただ、マクロレーザーはフレイムが似た性能(大きな違いがY軸連動するか否かのみ)に変化した上に前述の通り武器ゲージの消費量が統一された為、アイテムの順番上先に来るフレイムが選ばれる事が多く割を食っている。
  • 前作以上の連打ゲー
    • 前作でもブーメランショット連射が強力だったが、今回は硬い敵が増えたことや上記の高次周の仕様のため、連射の重要性が前作以上に増している。
      敵の耐久値が大幅に増加する高次周では高速連射ができない、もしくは速度の早い外部連射装置がない場合はゲーム進行が極めて困難になるといってよい。
      • 上記のオプション重ね技を利用する場合はオプションコントロールボタンも連打する必要がでてくるため、外部連射装置がない環境では指への負担が更に増す。
  • 前作とあまり変わり映えがない内容
    • ギミックの追加等の工夫は見られるものの、システム面の追加要素は武装が1種類追加のみとマイナーチェンジ程度の変化しかされていない。
      前作の「機械敵がメイン」のコンセプトもそのまま引き継いでいるため、前作で指摘されてた地味さ加減も健在である。
      • 同年に同社から高性能な基板を駆使した多彩な演出がウリの『XEXEX』やキャラクターを全面に出してキャッチーさを重視した『出たな!! ツインビー』がリリースされてたこともあり、それらの陰に隠れてしまった感は否めない。
  • コンティニュー移行時の演出
    • 最後の1機が被弾したと同時にBGMが止まってコンティニュー表示へ移行するため、人によっては少し心臓に悪いと感じることも。

総評

難易度の上昇やBGMの路線変更などはあるものの、前作同様丁寧な作りの続編。
しかし前作から進化を感じにくい内容に、同社の『XEXEX』『出たな!! ツインビー』とリリース時期が重なった事や、
更には、あの『ストリートファイターII』に注目が集まる中でのリリースもあり、市場の出回りは悪く、前作以上にマイナーな作品となってしまった。
それ故に長らくプレイできる環境が少なく、中には続編がリリースされてた事を知らない方も見られたほどであった。
現在は家庭用移植版により手軽にプレイできるようになっているので、興味がわいた方はプレイしてみるといいだろう。


他のコナミ作品において

  • セクシーパロディウス』のスペシャルステージのBGMにて本作のステージ1BGM「Air Battle = THUNDER CROSS II」の一部が使われている。
    • また、スペシャルステージのボス「セクシー星人」の攻撃パターンの中に本作のステージ4ボス「ダイナソア・ジュニア」を意識したようなものがある。
  • オトメディウスG』のBGM集ダウンロードコンテンツにて本作の一部BGMがアレンジされている。原曲作曲者の斉藤氏もアレンジャーとして参加している。

移植

  • アーケードアーカイブス(ハムスター)PlayStation 4、Switch版(2021年4月28日配信)
    • 稼働開始30年目で念願の初移植となった。こだわり設定でプレイする機体の選択が可能。

余談

  • ステージ1の背景は当時コナミの本社があった神戸がモデルとなっている。
  • 本作のBGM「Dog Fight III」と「Kartus Part2」はそれぞれ斉藤氏がテクモ在籍時代に担当した『スーパースターフォース 時空暦の秘密』『雷牙』にあった曲の姉妹曲にあたる。
    • 斉藤氏によると「曲のコンセプトが一緒のため、同じタイトルのナンバリングにした」とのことで、厳密にはリアレンジではない。
    • 効果音もクレジット音、エクステンド音が『雷牙』からの流用となっている。他社へ移籍後に前会社の作品の効果音が流用されるケースは中々珍しい。
  • 前作同様海外でもリリースされたが、ゲーム内容については日本版と同じとなっている。
最終更新:2023年08月17日 06:14

*1 更に敵に密着して撃ち込んでる際、弾が敵に当たった時の爆発モーションがカットされた状態で次の弾が発射されるので、連続的にダメージが与えられるという利点がある。スコアラーが2P側でプレイする事が多いのもこれが理由

*2 この仕様のためSを2段階以上上げるには仕込みが必須

*3 具体的には「オプション2個+ショットパワーアップ2つ」か「オプション4個+ショットパワーアップ1つ」の2パターン。特に後者はアイテムが多く出現する状態でスペシャルパワーアップの出現条件を満たせるのでスコア稼ぎを行うプレイヤーからも使用される。

*4 後に2周目以降難易度が大幅に上昇する新バージョンも極少数だが出回った、

*5 前作では強化するごとにオート連射の速度が上がり、最大レベルでは秒間15連射相当のオート連射が可能だった。