残業悪夢
【ざんぎょうあくむ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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Windows(Steam) Nintendo Switch
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メディア
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ダウンロード専売
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発売元
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Navila Software Japan
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開発元
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Umiringo Studio
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配信開始日
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2019年10月10日
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定価
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【Win】1,100円 【Switch】330円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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3箇所・オートセーブ方式
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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判定
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なし
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ポイント
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プログラマーの悪夢が舞台の横スクロールアクション 上質なゲームバランスで遊びやすい 2Dアクションゲームとして淡泊な一面あり
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概要
Navila Software Japan発売によるダウンロード専売ソフト。開発はUmiringo Studioが担当。
ジャンルはスタンダードな横スクロールアクションゲーム。主人公の攻撃が飛び道具である関係上、アクションシューティングとしての要素も少々含まれる。
残業の毎日に疲弊する「プログラマー」が夢の中で「コードの神様」に出会い、退勤と引き換えに4つのバグ探しの依頼を受けるというストーリー設定。
ゲームルール
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ゲームの流れ
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ゲームを開始する前に「ジュニア」「シニア」「ディレクター」からの難易度選択を行う。後発になるほど難易度が高くなる。
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難易度によってHPの初期最大値やミス後の復活場所などの相違はあるが、どの難易度も敵配置や攻撃パターンに差はない。ゲーム途中の難易度変更は不可。
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主人公であるプログラマーを操作し、コードの世界に散らばる「バグ」を見つけだすのが目的。全4世界×12ステージ構成。
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すべてのステージをクリアした先に1つのバグが入手でき、次の世界へと進行できる。攻略をする世界及びステージの順番は完全固定となる。
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4つのバグをすべて入手すると表面上の目的達成となるが、ゲームの目的はそれだけではない。ネタバレの可能性があるため詳細は割愛する。
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全ステージをクリアすると「それまでのクリア時間」「メールの確認回数」「ミス回数」などのプレイ結果の表示がなされる(後述のコードレビューも同様)。
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ステージクリア(ジュニア・シニア)もしくはセーブポイント(ディレクター)に触れると途中セーブがなされ、ゲーム中断後にそこからの再開が行える。
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本編をオールクリアすると隠しモードである「コードレビュー」が解禁される。
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このモードでは本編における各世界を単独でプレイできる。本編同様難易度選択が可能で、ベスト8までの最短クリア時間が難易度別で記録される。
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全難易度共に下記の特殊アイテムが初期状態ですでに獲得された状態となっている。また、このモードでは途中セーブによる再開機能が対応していない。
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操作体系
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基本的な操作は主人公の移動とジャンプ及び攻撃というスタンダードなもの。それに加え、ゲーム序盤からの追加操作も行える。
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アナログスティック等で左右移動。ジャンプボタンでジャンプを行い、ゲーム序盤から二段ジャンプも可能となる。
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攻撃ボタンで画面端まで届く飛び道具を前方に撃つ。ジャンプ中の攻撃は可能だが、前方以外での撃ち分けはできない。
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ゲーム序盤からの追加操作としてダッシュボタンで前方にダッシュができる。ダッシュ中の移動制御や飛び道具の操作は無効。ジャンプ中でもダッシュ可能。
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アイテムについて
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HPの回復効果のあるアイテムが3種類存在する。ただし、セーブポイントはディレクター専用アイテムとなる。
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ステージ内にはHPを1ポイント回復させる「ライフ」とHP全快の「ティーカップ」の各アイテムが定期的に配置されている。
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ディレクター限定アイテムとして「セーブポイント」も登場。HP全快の効果と共にミス後はここからの再開となる。
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それ以外の特殊アイテムとしては以下のものが配置されている。ただし、コードレビューでは初期状態で全獲得されている状態のため登場しない。
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ステータスUPアイテムとして、「HP最大」と「飛び道具の連射数増加」が一部区間に配置。いうまでもなく獲得しておきたいアイテム。
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ゲーム序盤において「二段ジャンプ」と「ダッシュ」が行えるクリア必須アイテムが1箇所ずつ配置され、取得後はそれらの操作が追加される。
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厳密にはアイテムではないが、ボス以外のほとんどのステージには「メール」が1箇所配置されており、触れると意味深なメールのやり取りが確認できる。
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ステージクリアとミス条件について
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ボス不在のステージではステージ奥にある「ゲート」を潜れば、ボスステージではボスを倒せばクリアとなる。
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各世界につきボスステージが2回挟まれ、2回目のボスを倒せばバグ入手。なお、戻り専用ゲートを潜る事で前ステージへの後戻りも行える(例外あり)。
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ジュニアとシニアはステージクリアするたびにHPが全快するが、ディレクターはHP回復なしで先に進まなければならない。
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HPの初期最大値はジュニアは6ポイント、シニアとディレクターは3ポイントからのスタート。HPをすべて失うとミスとなる。
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敵やトラップ等に触れると1ポイントのHP消費。落とし穴に転落してしまうとジュニアは1ポイントダメージ後の戻り復活で、他の難易度は即ミス。
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ミス後は自動的にステージの最初(ジュニア・シニア)もしくはセーブポイント(ディレクター)へとHPが全快した状態で戻される。
評価点
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上質なゲームバランスで遊びやすい
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アクションゲームとしての難易度はごく普通で、ゲームバランスは上質な部類に入る。
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主人公の攻撃が飛び道具タイプなため遠距離からの攻撃が行いやすく、HPの過剰な消費に陥る局面はあまりない。敵そのものを避けて通れる場面も多々あり。
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どちらかといえばジャンプアクションの趣旨の強い内容だが、制限時間が定められていないため、慌てずにジャンプしていけば十分に先へと進める余裕がある。
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敵の配置数や耐久度は可もなく不可もない絶妙なもので、さらにはステージ構造も短めでさくさくとクリアできやすい作りとなっている。
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ジュニアやシニアにおいてはHP回復やセーブ箇所が多数存在するため多少のごり押しが効く一方で、制限の多いディレクターでは苦戦を強いられやすい。
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悪夢のプログラムワールド
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プログラマーにとっての「デジタルな悪夢が具現化したかのような世界観」が映し出される様に独特の個性が感じられる。
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「主人公は緑の長方形」「敵は全員アスキーアート」「ステージ背景や地形はPCウインドウをイメージしたかのような外観」が全編通して表現される。
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現実世界においても過剰な残業が発生しやすいとされる「プログラマーという職業の闇」が垣間見れる演出も数多い。
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オープニングからして996勤務に悩む主人公の苦悩が描かれ、退勤したいという願いのために悪夢の中でもがく絵面が重々しい。
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メールのやり取りでは「残業を行う事が常識であり美徳」といった趣旨の表示がなされ、いかに本作におけるプログラマーとしての職務が異常なのかが窺える。
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そもそも「これは評価点なのか?」という突っ込みどころもありそうだが、他のゲームではなかなかにお目にかかれない個性という面では評価すべきだろう。
問題点
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アクションゲームとしての淡泊さ
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純粋にアクションゲームとして見た場合、ステージの代わり映えが少なくプレイが淡泊になりがちな感は否めない。
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敵の種類や仕掛けは全編通してさほど多くなく、特別な爽快感や達成感があるわけでもないため、ひたすらに地味なプレイとなってしまう。
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複数の難易度は用意されているものの、ゲームそのものの構造に変化がないのも残念なところ。もっとも、販売価格を考慮すれば妥当なボリュームではある。
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やり込みといえる要因も少なく、高難易度クリアやタイムアタックあたりしか明確にやり込めるものが見当たらない。
総評
見た目の異質さに反してクセが少なく普通に遊べるアクションゲームといえる一方で、今時の2Dアクションにしては薄味な淡泊さも否定できない一作。
むしろ「悪夢の中で彷徨う主人公の苦悩」が体感できる個性の方が特徴的で、アクション以上に雰囲気ゲームとしての魅力すらも感じられる。
最終更新:2021年07月15日 21:11