超時空要塞マクロス2036
【ちょうじくうようさいまくろす2036】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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PCエンジン スーパーCD-ROM2 (CD-ROM2両対応)
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メディア
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CD-ROM 1枚
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発売元
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メサイヤ(日本コンピューターシステム)
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開発元
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デュアル
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発売日
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1992年4月3日
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定価
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7,200円
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判定
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なし
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ポイント
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PCエンジンにおけるマクロスゲー筆頭 ステージ場所によってシステムが変化 シューティングとしてはやや微妙
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マクロスシリーズリンク
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概要
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1992年にてメサイヤからリリースされたPCエンジンソフトの横スクロールシューティング。
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当時OVAで展開していた「超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-」の関連企画の一つとして生み出され、ゲームの舞台はアニメ版をベースにしたパラレルストーリーとなっている。
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なお、本作は「マクロスII」との関連性はほぼなく、劇場版「愛・おぼえていますか」の後日譚である。
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本作ならではのオリジナルエピソードや、アニメ版のキャラクターデザインである美樹本晴彦氏による描き下ろし絵などがセールスポイントとなっており、ジャケットにも記載されている。
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本作と同時期に他機種から『超時空要塞マクロスII』や『超時空要塞マクロス スクランブルバルキリー』といった横スクロールシューティングがリリースされているが、関連性は特にない。
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本作の同年にて、PCEにて同じメサイヤからストーリー上の続編にあたる戦術シミュレーション『超時空要塞マクロス 永遠のラブソング』がリリースされた。
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なお、メサイヤ関連のマクロスゲーは本作と永遠のラブソングの2作のみである。
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スーパーCD-ROM2推奨だが、通常のCD-ROM2にも対応している。ただしビジュアルシーンのアニメーションや、ボイスによる演出が楽しめるのはSCDのみ。
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一人プレイ専用、全6ステージ構成、オプション項目にて四段階の難易度調整が可能。
主なルール
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本作は各ステージの道中戦とボス戦によって、操作方法やシステムが大幅に相違がある為、それぞれ個別に紹介する。
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ミス条件について。
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道中戦は1ダメージミスの残機制だが、ボス戦においてはライフも併用した残機制となる。
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道中、ボス戦共に途中復活で、すべての残機がなくなればゲームオーバーとなる。
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道中戦においては、自機がスクロールと壁に挟まれるとミスしてしまうが、壁に触れるだけではミスにはならない。
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自機スピード調整について。
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本作においての自機スピードの調整は、ゲーム開始前のオプション項目で三段階から切り替える形式となっている。
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すなわち、ゲーム中では一切の自機スピード変更ができず、事前に設定された速度で固定となる
道中戦
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操作系統。
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十字キーにて自機の移動、ボタンは各自、メインショットボタンと特殊ショットボタンに使用する。
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メインショットは直進型ショットと上下型ミサイルを同時に放つ。このショットは好きなだけ撃つ事ができ、特に使用制限などはない。
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もう一つのショットである特殊ショットは、ステージ前に装備した特殊武器(後述)を放つ事ができる。
メインショットとの併用は不可で、放つには必ず特殊ショットボタンだけを押す必要がある(メイン射撃中はこのショットは一切撃てない)。
また、ステージ1だけは特殊ショットそのものが一切撃てない(メインショットのみしか攻撃手段がない)。
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特殊ショットを連続で撃ち続けると画面左下に表示された加熱ゲージが上昇、溜まれば溜まるほど特殊ショットの性能が弱体化してしまう(撃てなくなる訳ではない)。
弱体化した特殊ショットは、特殊ボタンをしばらくの間押さないでいるとゲージが冷却(減少)され、元の状態に戻す事が可能。
なお、メインショットはいくら撃とうが加熱ゲージに一切影響される事はないので、弱体化中にメインショットへ切り替えれば自然とゲージが冷却されていく。
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特殊ショットについて。
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ステージ2以降はステージ開始前にて、使用する特殊ショットを14種類からどれか1つ装備させる選択画面に移行する。
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各装備には経験値というものが設定されており、装備するには所定の経験値が必要。条件を満たしていないものは装備できない。
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経験値とは要するにステージ中にて稼いだスコアの事であり、スコアを稼げば稼ぐ程、装備できる特殊ショットの数も増えるという仕組みになってる。
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クリアした前ステージにて使用した特殊ショットは、その次のステージでは「メンテナンス中」という理由で装備できなくなるが、さらにその次のステージでは再び装備可能となっている。
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上記にも示した通り、ステージ1は特殊ショット自体が撃てないので選択画面とも無縁である。
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装備できる特殊ショットの必要経験値とショット性能の詳細は以下の通り。
特殊ショット名
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性能(説明書のほぼ原文ママ)
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必要経験値
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ハーピー
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前後にショットを発射。
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10,000
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エレメンタル
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前方に貫通弾を発射。
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20,000
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エティン
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前方にツインレーザーを発射。
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30,000
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ヒドラ
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誘導ミサイルを発射(最高5発)。
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40,000
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セイレーン
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攻撃可能なピンポイントバリア。
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70,000
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ホーネット
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前方に広範囲なレーザーを乱発射。
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100,000
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フェニックス
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全方向にショットを発射。
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200,000
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サラマンダー
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ナパーム弾を発射。
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230,000
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メデューサー
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下方向にレーザー攻撃をするオプション。
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260,000
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キマイラ
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フォーメーション可変可能なオプション。
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300,000
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ラミーア
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全方向にレーザーを発射するオプション。
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350,000
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シルフ
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縦一列にショット攻撃するオプション。
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400,000
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グリフォン
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強力なミサイルポッド。
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450,000
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ワイバーン
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最強の誘導レーザー。
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500,000
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アイテムについて。
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ステージ中にて、ときおり出現する主に赤い色の敵を倒すか、何もないところをショットで撃ち込む事によりアイテムが出現する。以下その詳細。
アイテム名
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効果
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赤アイテム
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メインショットの直進型ショット側のパワーアップ。
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青アイテム
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メインショットの上下型ミサイルのパワーアップ。
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リン・ミンメイ
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いわゆる1UP。
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バルキリーの影
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一定時間、自機が無敵になる。
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赤、青アイテムにて取得したランクはミスしても一切のパワーダウンはしない。また、特殊ショットに関するパワーアップアイテムは存在しない(装備にはパワーアップの概念がない)。
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ボス戦突入について。
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道中戦を越えるとボス戦に進み、道中戦からは一旦離脱する。
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大方のステージには道中戦の最後に中ボスが配置されており、ボス戦の前にそいつを倒さなければならない。よって、本作は道中戦とボス戦の2回に分けてボスクラスの敵がステージ内に登場する。
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その他の情報。
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道中戦における自機の形体はファイター(戦闘機型)固定となっている。ステージの一部ではガウォーク(半人型)に変形する事もあるが、操作方法などは特に変わらない。
ボス戦
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操作系統。
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十字キーにて自機の移動、ボタンは各自、左回転ボタンと右回転ボタンに使用する。
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この状態の自機は各自ボタンを押す毎にショットの向きを360度方面にて左、もしくは右回転させる事が可能。他のゲームで例えれば、『ロストワールド』の操作性に近い。
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ショットは何も操作せずとも自動で放出され続け、撃ち止める事は絶対にできない仕様となっている。
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ショットは常に自機の向いている方向へのみ放たれる。道中戦でいうところのメインショットや特殊ショットといった概念は一切無い(常にオートショットのみが放出され続け、他の攻撃手段はない)。
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ライフ形式について。
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画面左下に道中戦にはなかったライフゲージが表示されている。
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これは単純に自機が敵からダメージを受けると蓄積され、最大状態(ダメージ4回分)まで溜まるとミスしてしまうという、従来のライフ制と同じ意味合いである。
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その他の情報。
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ボス戦にはアイテムや雑魚敵などは出現しない。但し、ボスの中には攻撃手段としての雑魚を出現させるやつもいる。
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ボス戦における自機の形体はバトロイド(人型)となっている。道中戦のファイターなどと比べると、機体が縦幅に大きい分、自機のやられ判定が大きくなってしまう。
評価点
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外観面での作り込みは優秀な方。
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イベントのビジュアルシーンは美麗そのもの。
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ちゃんとマクロスらしい雰囲気を上手く再現できているのは素晴らしい。また、アニメーションや豪華声優陣によるボイス会話も上質で、見応えのあるものとなっている。
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きちんと書き込まれたグラフィックと、良曲揃いのBGM。
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当時のPCE基準で見てもグラフィックの書き込みは頑張っている部類。同時期のスーパーファミコンソフトと比べても遜色がない。
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マクロスらしい臨場感を引き出している、CD音源による豪華なBGMに関しても評価高し。しかし、残念ながらサウンドテストは未搭載。
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資料集としての価値も多少ある。
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説明書にて本作の舞台設定の説明や、美樹本氏の手がけたキャラ絵が多めに収録されており、これもファンならば必見といえる。
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本作で追加された敵側の新機体は、それぞれの陣営の特徴を残しつつ洗練されたデザインでなかなか秀逸。また、これらは次回作でも登場する。
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シューティングとしても遊べる部類。
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もちろん、シューティングとしての土台はしっかりと作られている。
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当然ながら「ただマクロスを題材にしただけのお粗末なキャラゲー」という事はなく、(後述の問題点こそあるが)充分に遊べるだけの内容となっている。
問題点
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ゲームバランスがあまり良くない。
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従来のシューティングに比べ、自機が全体的に大きめに描かれている影響で、敵や敵弾の位置が把握し辛く、突発的なミスを連発してしまいがち。
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特にボス戦においては自機のやられ判定が大きいので、攻撃を避けるのがかなり困難となっている。ボス戦がライフ制になっているのも、これが原因と思われる。
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敵が現れた時にはシグナル音声が流れ危険を知らせてくれるため、理不尽というまでの難度ではない。しかし初見では思わぬミスをしてしまいがちである。
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スコアエクシデンドやミンメイアイテムによる1UPの機会が多いので、初見殺しの死に易さと相殺されバランスが取れているとも言える。
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なお、裏技で自機を完全無敵化したり、残機を最大99まで増やす事もできる。これを使用すればミスに関係なく、ごり押しでクリアすることも可能。
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裏技に関しては説明書に存在が紹介され、「出し方は各自調べて下さい」(意訳)と表記されている。隠しなのに隠さずに裏技を紹介している説明書というのも珍しい。
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これら無敵などの設定はオプションの設定項目として最初から可視状態で存在するが、デフォルトでは変更出来ずコマンドにより解禁されるというやや珍しい仕様となっている。
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シューティングとしてのボリューム不足感。
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全体的に敵の配置が間延びしており、敵を破壊する爽快感が薄い。この辺は開発メーカーの作風なのかもしれないが…。
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ステージが短めに構成されていることも重なり、(ビジュアルシーンを抜けば)思いのほか短時間でクリアできてしまう。
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敵の使い回しも多く、先ステージに進んでも似たような敵、及び敵配置と遭遇してしまいがち。流石にボス戦に使い回しがないのは救いだが…。
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原作(アニメ版)を鑑賞していないと、ストーリーを完全には理解できない可能性がある。
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そもそも、原作マクロス自体が同期のロボットアニメの中でも特殊な設定を持つ作品なので、それを引き継いだ本作もすぐに理解できるようなストーリーとは思えない。
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とはいっても、ストーリー自体はわかりやすい内容に留まっており、原作を知らないプレイヤーでも最低限は堪能できると思われる。
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やはり、シューティングゲームである性質上、あまり多くのストーリー描写を詰め込むのは無理があった模様。ましてや1992年のゲームであるため、あまり多くを求めるのも贅沢かもしれないが…。
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特殊ショットの存在が空気気味。
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ぶっちゃけいうと、メインショットさえあればどうにでもなるゲームバランスとなってしまっている。
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ルールにも示した通り、特殊ショットは連続で使用すると弱体化するというデメリットを持ち、むやみに連射するのは厳しい。
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その反面、メインショットは「前方 + 上下に射程があり連射可能」「撃ち続けても弱体化しない」「ミスしてもパワーダウンしない」と欠点らしい欠点がない。
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よって、ステージを進める程メイン側を多用しがちになってしまい、段々と特殊ショットは蚊帳の外へ追いやられる。
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とはいえ、特殊ショットが全く使い物にならない訳ではない。
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装備にもよるがメインショットでは届かない場所に攻撃を仕掛けられる利便性も持ち合わせる為、「無理に使う必要もないが、持っていればそれなりに便利」という存在であろう。
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悲しいかな、ボス戦には特殊ショットそのものが一切使用できなくなる為に、ますます存在感が薄くなってしまっている。せっかく14種類もの装備が用意されているのに勿体無い…。
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なまじ14種類もある為に、どれを装備していようとクリアに影響はない。すなわち、メインショットだけで攻略できる調整が要求されたのだとも思われるが…。
総評
本作限定のオリジナルエピソードや美樹本氏書き下ろしデザインのキャラクターといった外面的な豪華さは光るものの、シューティングとしては凡な完成度に留まり、良作と呼ぶには物足りないゲームではある。
同期の横シューティングマクロスと比べても、『AC版II』や『スクランブルバルキリー』のような、良質なゲームバランス調整や、ガスガス敵を破壊する爽快感は薄い。
「スタッフのやる気は認めるが、作りのセンスがどうもいまいち」という評価に落ち着いていると思われる。
シューティングとしては地味な印象を持たれてしまったのか、続編はジャンルそのものが変わってしまい、開発メーカーも変更されている。
最終更新:2022年10月20日 20:40