A HERO AND A GARDEN
【あ ひーろー あんど あ がーでん】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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Xbox One プレイステーション4 Nintendo Switch
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メディア
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ダウンロード専売
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発売元
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ラタライカゲームス
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開発元
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npckc
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配信開始日
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【One】2020年8月28日 【PS4/Switch】2020年10月8日
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定価
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【One】510円 【PS4】502円 【Switch】500円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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6箇所・任意セーブ方式
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レーティング
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【One】IARC 3+ 【PS4/Switch】CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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壊した修復費用を稼ぐノベル風アドベンチャー 勇者とモンスターの交流を描いたハートフルストーリー プレイ時間は短くゲーム性はほぼない
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概要
日本の開発スタジオであるnpckcが開発したダウンロード専売ソフト。パブリッシャーはスペインを拠点とするCS機へのコンバートやローカライズも手掛けているラタライカゲームス。
スマートフォン向けアプリゲームのCS移植作であり、公式ジャンルは「箱庭クリッカーゲーム×ノベルゲーム」。
ストーリー
勇者が捕らわれた姫を救うために彼女が幽閉された塔へ乗り込むも、その目的は失敗し「モンスターの所有地である庭から抜け出せなくなる呪い」にかかってしまう。
そこへ角の生えたモンスターが現れ「呪いを解きたければ勇者がそれまでに壊してきた施設に対する修理費用を稼ぐように」と提案する。
費用を稼ぐためには庭に実る「ベリー」をたくさん収穫し、ベリー目当てにやってくる客に売って金を得るしか方法はない。
様々なモンスター、そして姫をさらった魔女や姫自身が客として現れるが、彼らは勇者の想像していたものとは程遠い穏やかで平和的な性格であった…。
本作は呪いにかかった勇者と捕らわれの姫、そしてモンスターとのふれあいを描いたハートフルストーリーである。
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登場人物
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登場人物全員に名前が設定されているが、本ページでは本名には触れないものとする。
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勇者
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本作の主人公。捕らわれた姫の救出するため塔へ向かうも、魔女の呪いで返り討ちに合い、庭へと閉じ込められてしまう。
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姫
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本作のヒロイン。とある理由で魔女にさらわれるが、モンスターとの共存に馴染んでいる。
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角の生えたモンスター
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勇者に呪いの解除方法を提案してきたモンスター。無感情で黙々と勇者に接する。
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少年
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猫の擬人化の姿をした少年モンスター。勇者の破壊行動の巻き添えを食らった親の治療をしている。
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魔女
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姫を幽閉し勇者に呪いをかけた張本人。噂では強大な黒魔法で支配を繰り返す邪悪な存在らしいが…。
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その他、勇者の前に現れる異形のモンスターも複数登場。
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ゲームルール
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ゲームの流れ
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最大5種類の「ベリー」を収穫し、稼いだ修理費用で勇者を呪いから解放させていくのが目的。
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ゲーム開始時では1種類のベリーしか収穫できず、他のベリーの収穫はストーリーを進める必要がある。ベリーは時間経過で何回でも実り、収穫の制限はない。
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特定数のベリーを収穫すると客が現れるので、そのベリーを渡せば売価として費用代がもらえる。基本はその繰り返しでストーリーが進行する。
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ネタバレの可能性があるため、最終的なゲームの目標はここでは表記しかねるが、エンディングを迎えるまでの道のりはそう長くはないとだけ伝えておく。
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オプションとして「セーブ&ロード」「会話の早送り」「一度見たイベントスチルの再鑑賞」「エンディング後のささやかなおまけ」などが用意されている。
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操作体系
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「ベリーの回収」「客にベリーを渡す」「メッセージ送り」などの操作が主となる。Switch版はタッチ操作にも対応。
評価点
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ゆるふわタッチのハートフルストーリー
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いわゆる「ゆるふわ系」のタッチで絵柄が描かれ、その雰囲気はかなりほのぼのとしている。
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登場人物全員が可愛らしい絵柄で、ただただ癒されるというべき外観。キャラ同士のゆるいやり取りも相まって、ゆるふわ感がより強調されている。
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作中において殺伐とした描写は一切なく、勇者視線で姫やモンスターたちとの触れあいが描かれる。
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「姫を助けにきた」という勇者と、「部外者に暴れられて被害を被った」というモンスターたちの認識の違いが本作におけるテーマといえる。
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勇者はモンスターと接するうちに「望まぬ被害を生みだしてしまった」という罪悪感に気付き、呪いを解くための償いを行う過程が描かれている。
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モンスター側も勇者をぞんざいに扱わず、大方友好に接するなど一貫して穏健的な存在であり、姫を含めた人間に全く敵意を抱いていない。
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少しネタバレになってしまうが、本作において「正義と悪の対立」も「どんでん返しな展開」もない、ぶれのないハートフルなストーリーが繰り広げられる。
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何かと争いごとに関わりやすい勇者が主人公のゲームとしては異色の設定であり、本作最大の魅力でもある。
問題点
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まともなゲーム性は皆無
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一応はベリー収穫と修理費用の賠償という名目でゲームが行われるが、やることは単調な作業でしかない。
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とりあえずは「無限に沸くベリーを収穫して客に渡す」の繰り返しで容易くエンディングに到達できる。ひたすらにボタンを押すしかやる事がない。
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後発の客になるにつれ、要求されるベリーの数が段階的に増してくるため、段々とイベントが発生する間隔が長引いてくるのも地味に気になるところ。
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公式で堂々と「箱庭」と銘打っておきながら、箱庭に関われるような要素が全くないのも批判材料。明らかに「箱庭ゲーム」ではない。
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プレイボリュームの短さ
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エンディングまでのプレイ時間は1時間超位で、思いのほかにあっけなく終わってしまう。
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そもそもベリーを収穫していけば容易にエンディングへ到達できるため、プレイ時間が変動するようなゲーム的なやり応えややり込みが全く存在しない。
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本作はあくまでも「勇者視線のハートフルストーリーを楽しむ」だけに特化した内容であり、遊戯的な意味でのゲームとしては虚無でしかない。
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画面の代わり映えのなさ
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ゲームの大半は「庭でベリーを収穫するシーン」と「塔内での会話のやり取りシーン」が映される形となり、画面の代わり映えがあまり発生しない。
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専用グラフィックのイベントシーンは全編通して少なく、プレイ時間の大半を庭と塔のシーンに費やされる。悪くいえば非常に地味な絵面で華やかさに乏しい。
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こういうエコ仕様なため、本作のダウンロード容量はかなり少ない。これははむしろ嬉しい評価点といえるが…。
総評
「勘違い勇者と憎めないモンスターとのハートフルなストーリー」が堪能できるという意味ではプレイの価値がある一作。
一方でゲーム性やボリュームは確実に期待できない内容でもあるため、ストーリーや雰囲気に魅力を感じるか否かで評価が180度変わるだろう。
最終更新:2022年05月01日 14:25