ロットロット
【ろっとろっと】
| ジャンル | アクションパズル |  
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| 対応機種 | アーケード ファミリーコンピュータ
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| 販売元 | アイレム(AC) 徳間書店(FC)
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| 開発元 | アイレム(AC) HAL研究所(FC)
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| 発売日 | 1985年9月(AC) 1985年12月21日(FC)
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| 定価(FC) | 5,200円(税別) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 判定 | スルメゲー | 
| ポイント | クセの強い操作方法 オンリーワンなパズルゲーム
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概要
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1984年に徳間書店のテクノポリス別冊『プログラムポシェット』の読者投稿として掲載されたMSX用ゲームプログラム「LOTLOTLOT(ロットロットロット) 」をベースに1985年にアイレムがアーケード版を制作。同年にファミコン版も発売された。
システム
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操作は1レバー1ボタン。フィールドはタテ3×ヨコ5マス分のスペースで区切られた部屋が4×4ブロック並んでおり、各部屋間は1マス分の壁で仕切られている。この壁は自動的に点滅して消えたり現れたりする。
天井部の上には1マス分の大きさのボールが大量に待機しており、天井部分の壁が消えたらボールが下に落ちてくる。ボールは動けるスペースがあれば常に左右方向へ動いていて、横の壁が消えれば隣の部屋へ流れていく。
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プレイヤーが操作するのはこのフィールド上を自由に移動できる2つの矢印のような自機の赤色の方。これを動かすと少し遅れて緑色のもう一つの矢印が、赤色の方が動いたルートを正確にトレースして移動して赤色と重なるように動く。その場で停止してから動けば同じ時間停止してから動きだす。この時ボタンを押すと、赤色と緑色の矢印がいる部屋の中のボールが一瞬で交換される。こうしてボールを移動させて処理していく。
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運良く自然に落ちる事もあるが、大量のボールを運任せで処理出来る程甘くない、
 
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フィールドの最下段は左から「OUT」、「0PTS」、「10PTS」、「30PTS」、更にフィールド右側の壁の外は「50PTS」となっており、ここにボールを落とすと表示ポイント×個数分のポイントが加算される。
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「OUT」のスペースの床部分だけは壁ではなくロープが張られているような状態になっていて、ここに1個でもボールが入ると警告音が鳴り、下からカニが現れる。カニのスピードはロープ上にあるボールの数が多いほど速くなる。ボールを一瞬でも全てどければカニは引っ込むが、どけないとカニがロープを切ってしまい「OUT」に落ちて1ミスとなる。自機のストックが無くなればゲームオーバー。
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ボールの中にはたまに赤いボールが混ざる。これは横の壁が空いても決して右隣の部屋には移動せず左隣の部屋への移動か下方向にしか落とせない。赤いボールの隣にある普通のボールは部屋の中で道を塞がれた形になる。しかしこの赤いボールを最下段に落とせば5000点ボーナスが入る。
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因みにこのボーナスは「OUT」ゾーンに落としても得られる。
 
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ラウンドスタート時に目標スコアが表示され、アーケード版はそれに達した瞬間にステージクリアになる。ファミコン版以降は「ボーナスステージ」になる。赤いボール以外の色が白くなり、右下の50ポイントに落ちる場所の壁だけがオープンした状態になる。つまり現在フィールドに残っているボールを制限時間内に右下に送り込む事になる。ここで落としたボールは1個100ポイントになり、更に時間内に残ったボールを全て落とせれば10000点のボーナスが入る。
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赤いボールはそのままなのに右下以外の床は開かなくなるのでパーフェクトも取れず、ただただジャマな存在になる。
 
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1面はチュートリアル的にこのゲームのシステムを覚えるにはもってこいの難易度になっている。ここで少しでもこのゲームに慣れてもらおうという開発側の配慮なのかも知れない。
評価点
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ハマればクセになるゲーム性
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独自のゲーム性による面白さは唯一無二で、これでしか味わえない。
 
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パズルゲームに大事な爽快感を得られるポイントが複数ある
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1ブロックいっぱい(15個)の玉をまとめて落としたり、邪魔な赤いボールを落としてボーナス点を得られると達成感がある。
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時々右上の壁が上手く空くと50PTSにボールが滝のように流れ落ちていく。こうなると勝手にスコアが上がっていくのはありがたいし気持ちいい。もちろんこんな事態はしょっちゅう起こりはしないが、起こればラッキー。
 
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シンプルだが軽快なBGMや爽快感を演出するSE
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ボタンを押した時に自機が回転する力強い音や、ボールが連続で落ちると鳴り続ける音が耳に心地いい。
 
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見た目が色鮮やか(AC)
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ボールがクリスタルの様に輝いていて豪華さを感じさせる。またAC版のみ自機の動きをトレースする影の様なのが表示される。
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毎回スタート時にカニが引っ込むところから始まる演出も可愛らしい。
 
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ボーナスステージの追加(FC)
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アーケード版にはなかったボーナスステージの追加は細かいながら嬉しい改良点である。
 
問題点
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クセの強い操作性
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自機とその動きをトレースする二つの矢印をタイムラグによる距離を調整してボールを上手くワープさせる事に全てが掛かっている。このせいでどうしてもとっつきが良くない。
 移動スピードも速くないので焦ると余計に遅く感じてしまう。
 
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忙しい割に案外地味な内容
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一見するとカラフルなボールが溢れていて華やかな感じもするが、常にフィールド上のどこかで出たり消えたりする壁に動かされるボールの流れ、上手く処理すれば高得点だが基本的に邪魔な存在の赤いボール、カニの出現など、気を付けなければならないポイントがフィールド上の各地に分散していて、それをクセのある矢印で適切に随時処理する作業に追われ、展開としては地味。慣れないとストレスフル、慣れてきてもステージが進むと降ってくるボールの量も増え、翻弄されやすくなる。
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演出面で爽快感を感じられるような努力は見られるが、実際に遊んでみた上での爽快感を得られるかはこのシステムを受け入れられるかというハードルを越えるのが大前提。
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そのため当時から「自分でやるより他の人がプレイしているのを見ていた方が面白い」という人もいた。
 
 
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自機が謎の矢印
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ゲームシステム的にはこれが正しいのかも知れないが、パッと見ではこれが何なのか判らない。キャラとして特別可愛らしいわけでもなくさほど個性的でもない。見様によってはちょっと曲がったキノコの様にも見える。
 当時はそこまで気にされなかったのかも知れないが、やはり何だかわからない物には感情移入もしづらい。
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ファミコン版のパッケージイラストでは矢印に目が書かれていてキャラクター性を付けようとしている。ゲームでもこうした方が良かったと思われる。
 
総評
「いかにボールを上手く処理できるか」というゲームではあるが、
自機の操作法を理解した上で画面全体を見渡して「どこに落とせる場所があるか」「どこにボールが溜まっているか」「カニが出てきたらどうするか」等を随時把握し的確にボールを処理する素早い判断力が必要。慣れないと忙しすぎてパズルゲームに大事な爽快感が得られにくい。
苦手な人にはどうにも向いていないが、ある程度コツを掴んでハマれば長く熱中出来る。
人を選ぶゲームなのであまり人気は出なかったが決して出来が悪いわけではなく、他にない独自の要素を持つオンリーワンなゲームである。機会があれば自分に合うかどうか是非プレイして確かめてみてほしい。
移植
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原作のMSX版(LOTLOTLOT)の他に、ファミコン版の移植のMSX版、PC-88版がある。
余談
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アイレムのアーケード版のポスターには「ヘンテコリン?なゲームが出た!!」「交換遊戯って知ってる?」と書かれていた。アイレムもこのゲームの面白さを伝えるのに苦労していた事が窺える。
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ファミコン版は同時に発売された『エグゼドエグゼス』と共にファミマガ誌上で高得点を出すと表示されるパスワードを応募すると、スコアに応じて先着順にメンバーズステッカーが貰えるキャンペーンを行っていた。このステッカーはROMのラベルシールを模した物で、スコアによってシルバー、ゴールド、プラチナ、ロイヤル純金の4段階に分かれており、1000万点達成者の「ロイヤル純金(24KGP)」は先着10名で24金のメッキが施されたラベルだったらしい。
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しかしこのキャンペーンは『エグゼドエグゼス』の方に人気が集中して、本作の方はあまり応募が無かったようである。当時のファミマガでも『エグゼドエグゼス』は全てのステッカー当選者の都道府県と名前が発表されたが、本作の方は発表がなく、3ヶ月程経ってから「いまいちムズカシくって応募が少なかったんだけど、メンバーになりたいコ、どんどんハガキを送ってくれい!両手を広げて待ってま~す(原文ママ)」とまだ募集中だとアナウンスされた。
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そもそもこのゲームで1000万点は相当やり込んだプレイヤーでなければ到達出来ない領域である。
 なお2025年にツールアシストを使いつつ1000万点を達成したプレイヤーが出たが、動画総延長は15時間超にも渡っている。実機で1000万を取得できた人はどれだけいたのだろうか…。
 
最終更新:2025年07月26日 14:13