ストーリー・テール
【すとーりーてーる】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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Nintendo Switch
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メディア
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ダウンロード専売
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発売元
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eastasiasoft
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開発元
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Maxim Nuriev
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配信開始日
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【Switch】2020年12月10日
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定価
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1,180円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1箇所・オートセーブ方式
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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2人主人公を操るファンタジーアクション かなり陰険な死にゲー難易度 タイトルに反してストーリー描写は少ない
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概要
ロシアのゲーム開発者であるMaxim Nuriev氏が手掛けたダウンロード専売ソフト。Switch版のみ香港のメーカーであるeastasiasoftから発売された
ジャンルは横スクロールアクションだが、敵を倒すという概念がほぼなく、敵回避を含めたジャンプアクションとしての趣旨が非常に強い。
女主人公「プリンセス」と男主人公「王子」が2人が操作対象で、ゴブリンの洞窟を舞台に活躍するプリンセス視線を中心としたファンタジーなストーリーが描かれる。
ゲームルール
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ゲームの流れ
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全70ステージを順々の攻略していく。オールクリアをするとステージセレクトが可能となり、おまけのステージも少数追加される。
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操作キャラはステージによって異なり、プレイヤーの任意でキャラセレクトを行う事はできない。全体的にプリンセスを操作するステージの割合が多い。
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ポーズ中において好きなタイミングで2段階の難易度の切り替えができる。またステージ中には頻繁にチュートリアルの解説が入る(OFFにする事も可能)。
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操作体系
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移動・ジャンプ・特殊行動を駆使しながら、プリンセスと王子の操作していく。両者の操作体系はほぼ共通。
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アナログスティック等左右で左右移動。ジャンプボタンでジャンプ。壁に接した状態でジャンプすると壁ジャンプ。ジャンプ中に地形へとしがみつく事もできる。
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専用ボタンでプリンセスは「魔法技」、王子は「攻撃技」の特殊行動を行う。ただしステージによっては操作を要しない特殊行動もあり。
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ステージによっては「水中を泳ぐ」「巨大化により移動制限がかかる」「ジャンプ入力が効かない」などの変則的な操作を強いられる場面もある。
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特殊行動について
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本作ではステージクリアに必須の「特殊行動」があり、操作もしくは自動効力で魔法(攻撃)技が発揮できる。
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プリンセスは「ジャンプ中に浮遊力が加わる」「地形となる雲を発生」「ジャンプ力を高めるバネの発生」「テレポートによる前進ができる」などの効力。
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王子は「敵を吹き飛ばす(もしくは凍らせる)炎のムチを出す」「ハンマーを地面に叩きつけて周囲にあるもの(王子含む)を浮かせる」などの効力。
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どの特殊行動が起こせるかはステージ固定で、特に序盤のステージでは特殊行動自体が存在しない場合もある。
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プリンセス限定で「時間経過で使用できる魔法技が切り替わる」「噴水付近で使用したい魔法技を複数から選択できる」系のステージも登場。
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アイテムと友達について
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各ステージにはクリアに必須の赤・青・緑の「鍵」のいずれかが配置されている。鍵は使用するたびに消費。
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赤と青の鍵は各色と同じ「宝箱」を開けるために必要で、中には別色の鍵が入っている。同色の鍵で「封鎖通路」も解除する効果もある。
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出口ゲートを作動させるには必ず緑の鍵が必要となる。また隠し部屋に繋がる「隠しゲート」にも緑の鍵が必要だが、このゲートは例外的に鍵を消費しない。
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各ステージのどこかに「ハート」が1つ配置されている。いわゆるやり込み要素的なアイテムで、無視してもクリアの影響はない。
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ほとんどのステージでは非常に取得し辛い(見つけにくい)場所に配置されている。取得したハートはステージ別で記録され、やり込みの目安となる。
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一部のステージには「困っているゴブリン」が何かのアイテムを欲しがっており、該当アイテムを渡すと友達化する。
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友達化させると以後同じ外見のゴブリン全員が主人公に襲ってこなくなる恩恵。また友達化すると同時のそのステージのハートが手に入る場合が多い。
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ステージクリアとミス条件について
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緑の鍵を取得した状態で主人公を「出口ゲート」に到達させればステージクリア。
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本作の敵は原則として倒せる手段はなく、粘着的に敵が襲い掛かってくる場面も多いため、出口ゲートまでの避けを中心としたプレイスタイルとなりやすい。
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主人公がゴブリン等の敵やその攻撃及びトゲなどのトラップに触れるとダメージ。ゲームオーバーの概念はない。
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プリンセスが操作キャラの場合、先述のダメージを受けた瞬間に即ミス。ステージ内には複数の「噴水」があり、ミス後は最後に接触した噴水からの再開となる。
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王子が操作キャラの場合、いかなるダメージでも吹き飛ばされるのみでミスはしない。一部に王子の移動力を一時低下させる攻撃を仕掛ける敵がいる。
評価点
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死にゲーとしての快適性
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死にゲーとしての一面を持ちながらも、分かりやすいルールと良好な操作性のおかげで比較的プレイがだれにくい。
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迷路チックなステージ構造の中で、特殊行動を絡めた操作をいかに行っていくかが重要。ステージによってはパズル風の攻略が必至な局面もある。
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問題点で述べた難易度の件は如何ともし難いものの、格別に理不尽な難しさでもなく、ミスを繰り返せば十分にクリア可能なバランスに留まる。
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ステージ構造が総じて短めで、噴水の配置頻度も高いため、死にやすさとゲームバランスの調和は何とか取れている。王子はそもそもミスの概念自体がない。
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ステージ数は販売価格を考慮すればそこそこ豊富。ハート集めなどのやり込み要素もあるため、それなりに長く遊べるボリュームといえる。
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作中雰囲気の味わい深さ
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作中の世界観としてはダークファンタジーな雰囲気ながら、登場キャラはほぼ全員二頭身サイズのコミカルな絵柄で描かれている。
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全体的に暗い色彩の割合が目立つグラフィックだが、その中にカラフルな色彩の主人公が動き回る。主人公と敵のアニメーションがぬるぬる動くのも見所。
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プリンセスは髪の毛、王子はマフラーをひらひらとなびかせながら動く様がスタイリッシュ。豊富なアクションのバリエーションによる操作も楽しい。
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ステージ全域に攻撃的な敵やトゲが大量に配置されているものの、流血などの残酷表現は全く含まれていない。このマイルドさは公式もアピールしている模様。
問題点
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陰険気味な高難易度
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本作のゲームバランスはお世辞にも良好とはいえず、いらつくレベルのミスの繰り返しをしてしまいがち。
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過剰なまでに敵やトラップが配置されているステージが多く、ほぼ敵を倒せない仕様もあり、回避が異様に難しい。おまけに当たり判定が見た目以上に大きい。
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このような難易度のせいで、プリンセスの死に様を何回も拝むハメとなる。王子はミスこそしないが、ピンボールのバンパーの如くあらぬ方向に吹き飛ばされる。
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画面外の視野を確認できる機能がないため、「ジャンプ(もしくは落下)中に見えない敵やトラップに触れてダメージ」という状況にも遭遇しやすい。
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一応は友達化したゴブリンを増やす事でダメージの元を減らせはするが、悲しいことに友達化できないゴブリンや別種族の敵の割合が非常に多い。
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さらに難易度を押し上げている要因として、攻略のランダム性が含まれる点や難易度選択の意味がない点が挙げられる。
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同じステージでも敵の行動パターンや存在箇所が変化している場合があり、「パターンさえ一致すれば…」という常識も半分否定される。
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2段階の難易度の差がほとんどなく、明確な難易度の違いが実感しにくいのも厄介なところ。難易度がどう変化しているかがいまいち分からない。
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なお、死にゲーであるのは公式の意図であり、決して難易度の根本が崩れている訳でない点は誤解なきように。
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ストーリー描写の少なさ
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ゲームタイトルに反し、作中におけるストーリー描写はかなり少ない。
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ストーリーと呼べる描写は「各ステージの開始前に表示される数行のダイジェスト解説」が大半を占める。明らかにがっつりと描かれる類のストーリーではない。
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他はオープニングとエンディングに軽いイベントが描かれるのみで、ストーリー重視目当てで本作をプレイすると面白みがほとんど感じられない。
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ネタバレにつき詳細は語れないが、2人主人公制を採用している割にストーリー的な意味合いが薄いのも微妙なところ。
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オプションの危険な罠
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オプションの「新しいゲーム」という項目を選ぶと、それまでのハートの獲得状況を含むプレイの記録がリセットされてしまう。
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ポーズ中でもこの項目は選択可能なため、うっかり項目を選ぶと大惨事になりかねない。ただ、ステージの進行状況まではリセットされない。
総評
ゲームとしての粗さも目立つが、ダークファンタジーな雰囲気の中でやり応えありのアクションを求める分には悪くはない一作。
とはいえあからさまな死にゲーかつランダム性も含むため、ミスの繰り返しを「やり込みの一環」と割り切れないとプレイ自体がきつい可能性は否定できない。
最終更新:2023年12月05日 08:18