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ドラえもんのスタディボーイ 九九ゲーム
【どらえもんのすたでぃぼーいくくげーむ】
| ジャンル | クイズ/学習 |  | 
| 対応機種 | ゲームボーイカラー(専用) | 
| 発売元 | 小学館 | 
| 発売日 | 2000年12月20日 | 
| 定価 | 4,378円(税抜) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 九九学習は一通り網羅 GBCなのに喋る
 ミニゲームは辛口
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| ドラえもんシリーズ | 
 
概要
ドラえもんの小学生向け学習ゲーム。
本作は小学校2年算数の「九九」の暗記に的を絞っている。
機能
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ミニゲーム
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九九をテーマにしたミニゲーム2種類が収録されている。後述。
 
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がくしゅう
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九九の式、読みがながカラオケのように表示され、女性の声で読み上げるモード。
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読み上げボイスは独自収録と思われる。鮮明で聞き取りやすい。
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速度も調整でき、等速と倍速が選べる。倍速だとピッチも上がってしまうためやや聞き取りづらい。
 
 
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もんだい
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穴埋め形式で九九の計算問題が出題されるモード。
| きそもんだい | 九九の掛け算がストレートに出題されるモード。「5x8=□」のような形で出題される。 |  
| おうようもんだい | 「かけるかず」「かけられるかず」の2つ。それぞれ「□x8=40」「5x□=40」のような形式。 |  
| マスターコース | 「きそ」「かけるかず」「かけられるかず」のごちゃ混ぜ出題。 |  
 
 
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入力形式は「0~9,〇,0~」の順で、真ん中固定のカーソルに対して数字の列を左右に送っていくリール形式。『〇』はドラえもんの顔になっており、回答確定キーの役割。
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同じ問題で2度間違えると問題解説の映像が流れる。5の段であれば「手袋の指の数を数えてみましょう」として5x4=20などの答えまで教えてくれる。
 
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各段、各レベルで10問全問正解するとレベル名に花がつく。
 
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タイマー
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ドラえもんがアニメーションするタイマー。99秒までのタイマーが3種、9分99秒までのタイマーが1種ある。
| すなどけい | 砂時計の中のドラえもんが埋まっていくアニメーション。99秒まで。 |  
| ふうせん | ドラえもんが風船を膨らませていくアニメーション。時間を過ぎると破裂する。99秒まで。 |  
| とけい | 顔の付いた時計の針が回っていき、12時まで回ったらアウト。99秒まで。 |  
| マラソン | ドラえもんが砂漠と思しき場所を走っていくアニメ。時間を過ぎるとコケる。9分99秒まで。 |  
 
 
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規定の時間内に九九を暗唱する、という勉強法で使う。あまり一般的ではないようだが、一部の学習塾では行われている方法。
 
ミニゲーム2種
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早押しパズル
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『テトリス』のように九九の問題が上から降ってくるので、横5x縦3~6マスに配置された答えの中から次々選んでいく。特にパズル要素はない。
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問題が一番下に到達してしまうと床が1段かさ上げされてしまい、回答猶予がどんどん短くなっていく。
 
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レベルは1~3まである。レベルが増えるほど回答のマスが増え、答え探しと必要回答数が多くなる。
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答えたパネルが消えていくと裏に隠されていたドラえもんのイラストか見えてくる。
 
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ブロックめいろ
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トップビューでドラえもんを操作し、数字ブロックを押して答えの部分に押し込んでいくゲーム。
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ダンジョン風のマップになっており、押すことしかできない大きなブロックを詰みを回避しながら押していかなければならない。
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各種のアイテムも設置されており、例えばどら焼きを取得するとダッシュが使えるようになる。
 
 
その他の機能
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せつめい
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はじめに
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サウンド
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「オン」「オフ」のみ。
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GBシリーズでは本体に音量調節機能があったので珍しいことではない。
 
 
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つうしんたいせん
評価点
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大きな容量を割いて九九すべての読み上げボイスを収録している。
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暗記の上でも音声情報が入ることは効果が高いだろうし、正しい読みを覚えられることは学校の暗唱テストにも役立つ点である。
 
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文字表示が全体に大きくクッキリしており読みやすい。
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問題正解時などのSE・演出はAボタンでキャンセルできるため、即答できるとリズムよくSEが鳴り爽快感がある。
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アニメーションの出来は良いものが多い。
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特にタイムオーバー時の不満顔は愛嬌がある。
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「もんだい」のカーソル上のドラえもんも可愛らしく動くなど、小さいグラフィックでの表現力はある。
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問題不正解時の解説では、特に4の段のF1マシンや7の段のテントウムシはクオリティが高い。9の段の野球チームは少ないドットで9人の顔を描き分けている。
 
賛否両論点
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ミニゲームの出来はいいものの、難易度がかなり高い。小2向け学習ゲームとしては過剰ですらある。
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「早押しパズル」は意外と時間の猶予が無く、30個の中から答えを探しカーソルを移動するとなると大人でも油断できない速度。
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さらに、ミス時落下中の問題が一旦リセットされるなどの救済措置は無く、問題はそのままで床だけが1段上がってしまう。ただでさえ追い込まれているのに猶予が減った状態で次の問題に答えるのはかなり困難で、そのまま詰みがち。
 
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「ブロックめいろ」もかなり時間制限が厳しく、レベル3ではマップ構成も巧妙になってくる。
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時間制限がかなり厳しい。3-5ともなるとドラ焼きを取得してダッシュを駆使した上で最適ルートを要求される。
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マップ構成にほとんど余裕がなく、1マス押しすぎただけで壁際に押し込んでしまい詰み、となりやすい。
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外周の大回りを要求されたり、回答ブロックを入れる順が決まっていたり、武器アイテムでルートを掘り進んだりと凝った面も多い。
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さらに、制限時間を過ぎても強制敗北にはならず、適当に諦めてリセット、という判断を自分で下す必要がある。
 
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また、これらのミニゲームをクリアしたところでご褒美要素が無いと言ってよく、難易度の高いゲームをクリアする動機付けが弱い。
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大人でも歯応えがあるミニゲームを作ったこと自体は評価できるが、九九暗記段階の小学生にやらせるゲームではない。
 
問題点
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九九の問題しか収録していない。
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九九以前の掛け算一般や、九九以降の2桁の掛け算や筆算、割り算などにつながる内容は一切無い。
 
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画面の使い方が下手
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もんだいモード出題時、下2/3ほどに式と回答用のリールが押し込められ、上1/3は特にリアクションをするわけでもないドラえもんの顔と余白。
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無理に横長の配置にしてリールを使わなくても、テンキーで回答させた方が入力が速かったのでは。
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このドラえもんの顔、静止画ならまだしも、黒目の位置だけがランダムに動き寄り目やロンパリになったりするので割と集中を削ぐ。
 
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がくしゅうモードでも同様で、九九の式や読み仮名の表示は上1/3にしかなく、2/3も面積を使って「はやさ」「はじめる」などのやたら大きいボタンが配置されている。
 
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世界観やストーリーは無い。
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学習漫画的なストーリーすら無い。「のび太が九九を覚えておらず馬鹿にされてドラえもんに泣きつく」などの展開が定番なのだが……
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メニュー画面はドラえもんが砂浜でリゾートしている脈絡のない絵柄。タイマーの各シチュエーションもそれぞれに関係がなく、意味不明。
 
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演出面が地味・変
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問題に正解しても小さなドラえもんが飛び跳ねるだけで、マルバツの記号すら表示されない。
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問題を解き終わると、なぜかドラえもんが開けた大口の中に「100てん」などと表示される。
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『九九マスター』では、「きそもんだい」の全段をクリアすると、ドラえもんがくす玉を割って祝ってくれるささやかなアニメーションがあったのだが、それすら無い。
 
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ミニゲームも同様で、クリアの文字すらなく唐突に終わり、ドラえもんの口の中でスコアを加算するだけ。
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アイコンの絵柄が変で、ミニゲームにドラえもんがネズミに追われる絵、がくしゅうは目が「99」になっている謎のキャラクターが発声している絵が当てられている。
 
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ドラえもん要素に乏しい。
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キャラクターはドラえもんしか登場しない。ひみつ道具なども無し。
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ドラえもんが喋っている設定のセリフなどもなく、絵としてあちこちに貼られているだけ。
 
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ドラえもんの絵柄再現度は低い。
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円形が歪んでいたり、目と頭のサイズ比が不自然なものがほとんどで、パチモン臭が強い。大サイズのものほど顕著なので非常に気になる。
 
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「早押しパズル」のご褒美イラストがドラえもんがこちらに笑顔で歩いてくる汎用イラストで、ご褒美感が全くない。
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そもそもアスペクト比が不適切なイラストを採用しており、レベル3でも左右が断ち切られた状態のものしか表示されない。
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レベル1や2ではパネルの占める面積自体が小さいので、顔の真ん中付近のみとかバストアップなどのさらに意味不明な構図の画像しか見られない。
 
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GBの過去作『九九マスター』では大長編の表紙絵が白黒とはいえ各種解放されたため、非常に寂しいものがある。
 
総評
九九の学習要素はそつなくまとまってはいるが、演出面やキャラゲー要素が非常に弱い。
ミニゲームもクオリティは高いものの、過剰な難易度とご褒美のしょっぱさが厳しい点。
独自に九九の読み上げを収録する、「タイマー暗唱」などのややマイナーな勉強法を提案するなど、学習面は手厚い。
せっかく「ゲーム」として出すのだから、楽しさの方にももっと心を配って欲しかった。
余談
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スタート画面の音楽は、版権の関係で「ドラえもんのうた」が使用できず、フレーズの最後で音を外し、イントロが終わると未知のメロディーが流れるというものになっている。
 ネタ的には一聴の価値あり。
最終更新:2023年09月29日 14:33