【おまかせ せいばーず】
ジャンル | アドベンチャーアクション | ![]() |
対応機種 | セガサターン | |
発売元 | セガ・エンタープライゼス | |
開発元 | 日本メディアプログラミング (JAMP) | |
発売日 | 1996年2月23日 | |
定価 | 5,800円(税別) | |
プレイ人数 | 1人 | |
レーティング | セガ審査:全年齢推奨 | |
判定 | なし | |
ポイント |
変身ヒロイン(実写)と妖怪退治 セガが実写を推していた時期の実験作 特撮番組の体で進む独特な雰囲気 声優・千葉紗子の新人時代が拝める貴重な作品 ゲーム部分はおつかいイベント中心 良くも悪くも実写ヒロインへの愛ありきなゲーム |
「炎封法」夢月!!
「雷封法」加菜月!!
「光封法」如月!!
いつでも!
どこでも!
だれでも!
私
たち
に、
お・
ま・か
・せ!
退
魔
業
(セイバーズ)
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90年半ばのゲーム業界は、技術革新によって既存の2Dドットに捉われない新しいグラフィックが模索されていた。
最終的には3Dポリゴンが主流となっていくが、その裏ではアニメや実写での表現を模索していた企業も存在する(たとえば前者はNECがPC-FXのウリにしていた)。
当時のセガは『バーチャレーシング』『バーチャファイター』で3Dゲームのパイオニアとなった傍ら、その裏では実写ゲームにも力を入れていた(『ワンチャイコネクション』(*1)など)。
本作はそんなセガが送り出した実験的な作品の一つで、変身ヒロインものを実写で表現したADVゲームである。
実写による変身ヒロインについては他ジャンルにおいて既に前例があり、本作発売の数年前(90年から93年)に制作された特撮ドラマ『東映不思議コメディーシリーズ』の題材として実写の変身ヒロイン(通称『美少女編』)が打ち出されている。この作品群の内、戦士に変身して悪と戦うバトルヒロインをテーマとした3作品(*2)(*3)が後年における「戦闘美少女戦士」というジャンルの先駆け(*4)として認知されており、(*5)、本作もその流れを汲む作品として宣伝されていた(*6)。それでもメジャーな題材とは言えず、発売前の雑誌レビューでもイロモノと見なされる向きが強かった。
結果的に本作はゲーム作品としても珍しい試みとなり、「未来しか見ていない」と揶揄されるセガを体現した作品に仕上がっている。
主演を務めたのは、南青山少女歌劇団出身のオリジナルユニット「FEEL」。ゲーム・音楽・ライブパフォーマンスのメディアミックス企画として立ち上がったグループで、本作はその最初の企画として行われた(*7)。
江戸の昔
悪さをした108匹の妖怪たちが、謎の風水師によってある丘の上に封印された。
そして、現代。その丘の近くで高校の遠足があった。仲良し3人組の雛子、華奈、若羽は遠足に大喜び。
ところが、はしゃぎすぎた彼女たちはうっかり封印石を壊してしまい(*8)、封印されていた妖怪たちが解放されてしまったから、さあ大変。
そのとばっちりで、たまたまそこにいあわせたクラスメートの男の子(プレイヤー)まで宝石にされてしまう。
そこへ封印石の精霊のおじいさんが現れ、「すべては、おまえたちの責任じゃ!三人力を合わせ、妖怪どもを封印し、征伐せえ!」と言い放ち、3人組に妖怪たちと戦う力を秘めた道具を授けた。妖怪を封印し直せば、男の子も人間に戻ることができるという。
かくして、
退魔業 になった仲良し3人組の妖怪征伐が始まった!(取扱説明書より)
+ | ... |
+ | ゲーム終盤のイベント |
今作はゲーム性を重視した作品ではなく、アイドルの活躍に重きを置いたドラマの色合いが強い。
売りは「実写ヒロインと戯れる」という点に集約されていて、この一点に気合の入ったソフトである。
主たるドラマシーンの空気をどう感じるかはプレイヤー次第で、人によって「ミニドラマが楽しい」とも「ぶっとんだ作品」とも評されている。
その持ち味に惹かれれば、本作でしか味わえない強烈な魅力が待っているかも。
+ | リンク先の裏技内容 |
*1 サターンのローンチタイトルの一つ。香港を舞台にしたコマンド選択式アドベンチャー。
*2 『美少女仮面ポワトリン』『不思議少女ナイルなトトメス』『有言実行三姉妹シュシュトリアン』
*3 美少女編の6作品の内、初期2作と後期の1作は異世界からやってきた魔法使いが騒動を巻き起こす、いわゆるエブリデイマジックものである
*4 アニメにおける戦闘美少女戦士物の先駆作として知られるセーラームーンは、原作漫画が不思議コメディシリーズ美少女編の人気作『美少女仮面ポワトリン』(と東映ヒーロー戦隊もの)に影響を受けていることで知られる。
*5 上記の3作は、武器こそ使えど戦闘は基本的に素手による肉弾戦をメインとしているため、初代作で「徒手空拳で戦うバトルヒロイン」を打ち出した『プリキュアシリーズ』は、同じアニメの『セーラームーンシリーズ』ではなく東映不思議コメディの直接的なフォロワーである、とみる向きも存在する
*6 こうしたジャンルのルーツを辿ると、1971年の『好き! すき!! 魔女先生』にまで遡る。
*7 『セガサターンマガジン』96年2月9日号より。
*8 作中のムービーはあらすじの印象と若干異なる。こちらでは雛子が転んで石を倒しそうになり、それを止めようとした他二人も巻き込まれて石を押し倒してしまう流れになっている。
*9 ここで言う「ギャルゲー」とは"女の子を楽しむゲーム"という広義のニュアンスであり、いわゆる恋愛ADVや恋愛SLGでは無い。
*10 その筋では有名な脚本家の浦沢義雄が全シリーズの脚本に関わっている(一部は複数のライター参加だが、全話を単独で担当した作品も多い)ため、非常にナンセンスかつシュールな作風で知られている(端的にいうと、意思を持って動きしゃべる無機物、ロボット、不思議生物、宇宙人や形容しがたい怪人、妖怪などの奇天烈で異質な存在が実写世界に普通に同居している点を特徴としている)。またシリーズ全体のコンセプト自体が『“変なことをやる”』であった。
*11 酉年の神様に妖怪退治の使命を押し付けられた三姉妹の活躍を描く『有言実行三姉妹シュシュトリアン』。本作の世界観やキャラ設定からしてモチーフ元と思われる。
*12 キーコンフィグによってボタンが変わる都合と思われる。
*13 扱いは特別出演で、曰く「インタラクティブな話に戸惑った」とか
*14 動画内では『おまかせ退魔業(セイバーズ』となっているため、誤解の結果ではなく単にカッコを付けなかっただけと思われる。)
*15 同様の誤記をしていたサイトや「退魔業(セイバーズ)」と表記していたサイトは過去にも存在したが、サジェストされているタイトルには正式名称の「!」や単語の間を空けるような空白が一切無く、多くの人が動画タイトルをそのまま使って検索した形跡が見られる。なお同投稿者の生配信プレイ時は正しい名前で表記されていた。