スーパーファンタジーゾーン

【すーぱーふぁんたじーぞーん】

ジャンル シューティング
対応機種 メガドライブ
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売・開発元 サンソフト
発売日 1992年1月14日
定価 6,800円(税抜)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2008年5月7日/600Wiiポイント
判定 良作
ポイント まさかのサンソフトからの続編
メガドライブでパステルカラーの表現
良質なBGM
ファンタジーゾーンシリーズ

概要

セガを代表する横スクロールシューティング、『ファンタジーゾーン』シリーズの三作目で、続編『ファンタジーゾーンII オパオパの涙』に続く家庭用オリジナル作品。

本作はセガが一切直接関与していない作品である。初代及び『II』のファミコン移植を担当し、質の高い移植ぶりで高い評価を獲得したサンソフトが開発から販売までを手掛けた。

そうした経緯上、まさかの完全新作として期待された反面、アーケード作品の続編を家庭用で発売して成功した例は少なかったため不安も寄せられていたが、初代に負けじと劣らぬゲーム内容の質の高さにより、こちらも高い評価を獲得するに至った。


ストーリー

宇宙暦623X年、ファンタジーゾーンの辺境に位置する悪霊の惑星、メノンの付近で異常な重力が起こった。
早速調査に乗り出した宇宙パトロールだったが、「ダークメノン」と名乗る軍団に交信を絶たれてしまった。
ファンタジーゾーンの征服を企む彼らは次々と惑星都市を占領し、略奪と殺戮を繰り返していった。
オパオパの父オパパがダークメノン軍の進行をいち早く察知して単身メノン星へと向かったものの、強力な
軍勢によって返り討ちに遭ってしまう。オパオパは父に代わってファンタジーゾーンの平和を取り戻すために、
ダークメノン軍へ立ち向かう。
(Wikipedia、ゲーム内オープニングより)

特徴

各ステージに10ずつある敵の前線基地を破壊し、その後出現するボスキャラを倒していく。

  • 『II』では多くの要素が追加されたが、今作では全て廃止され、基本的なシステム面は初代を踏襲した作りとなっている。

評価点

  • 新作にもかかわらず、初代から大きくシステムや世界観を変えず踏襲した点
    • 前作の追加要素が廃止されたが、大きく追加もされなかったため非常に初代に近いプレイ感覚・雰囲気でプレイする事が出来る。
      • 前作の要素は賛否両論でもあったため、初代のファンからは歓迎を持って迎えられた。
  • 原作への異常とも言えるリスペクト
    • 上記の点にも関わる事だが、他社製にもかかわらず異常な程ファンタジーゾーンシリーズをリスペクトしている。
      • 具体例を挙げると、以下の通りパステルカラーの再現、初代のザコの再登場、新しいキャラもイメージを崩してない、など。
    • ファンタジーゾーンはボスも大きな特徴だが、新たなボスも戦法・イメージを損なう事無く登場している。
      • こちらも具体例を挙げると、口から自機を吸引し鱗を飛ばすボス、大量のレーザーを付けて全方向に発射するボスなど。
    • 『II』では各ステージは何の惑星であるかの設定はなくなってしまったが、今作ではしっかり設定がなされている(例えばステージ1のピクニカは「花の惑星」)。
      • また、初代のストーリーで軽く触れられていたメノンが暗黒の惑星として最終ステージに登場、しかも背景には初代のボス達の魂(?)が漂っているというサービス精神あふれる演出。
  • 新アイテムの追加
    • 初代とほぼシステムは同じだが、新しいアイテムが追加された。
      • 手裏剣型のショットのクロスラング、斜め四方向のカルテットミサイル、大量のボムを投下するシャワーボムなど。
      • また、ファンタジーゾーン初のステージの特殊ギミックが登場。デメリットを回避するためにはアイテムが必要となる。*1
  • メガドライブでのパステルカラーの再現
    • メガドライブは原色バリバリの色使いになる事が多かったが、ハードの都合上若干コントラストが高めながら、ファンタジーゾーンを代表する要素であるパステルカラーを見事に再現している。
  • 非常にレベルの高いBGM
    • ファミコンで培った技術を活かし、本作のBGMもレベルが高い。
      • こちらもメガドライブながらファンタジーゾーンのイメージを崩さないBGMになっている。
      • あまりメガドライブでは活用される事がないPSG音源も使われている。サンソフトの技術力を感じさせる。
    • 今作のBGMは『raf WORLD』や『へべれけ』の作曲も担当した現・大同大学 情報学部情報デザイン学科教授である小高直樹氏も参加している。
  • 隠しBGMの存在
    • 上述の通りオリジナルBGMもクオリティが高いが、なんと今作は驚く事に初代のBGMがラスボス曲の「YA-DA-YO」を除くほとんどが収録されている。*2
    • 何かアレンジされているのではないか、と思う方もいるかもしれないがアーケード版ほぼそのまま収録。*3
      • あっさりと書いているが、音源チップが異なるアーケードからメガドライブに遜色なく移植するのは非常に技術が必要な事である。それをロム容量の事も考慮しなければいけない時代にロムに搭載までしたのは驚愕である。*4
    • 前述のようにラスボスの曲は入っていないのだが、代わりのラスボス曲である「YA-DA-NE」はタイトルだけで見れば、元のパロディみたいな曲が流れるのかと思いきや、実際の曲は「女神転生風」やら「ファルコム時代の古代祐三風」などが入り混じった感じの曲となっている。
    • 1PのA+B+Cを押しながらスタートすればBGMが変わる*5
      + 参考:AC・MkIII・FC・PCE・MDのBGM比較動画
  • 細かなシステムの改良
    • 初代や『II』では通常ボムとスペシャルウエポン(特殊ボム等)のボタンが共通で、スペシャルウエポンを使用するまで通常ボムが使用できなかった・スペシャルウェポンを使い切った後の通常ボムは購入済み装備を無視して最弱のシングルボムに移行していたが、ボタン数の増加でAボタンに独立し併用可能になり、通常ボムのほうにも装備強制変更が入ることはなくなった。
    • ボス戦後のショップ風船の追加
      • ボス戦でミスをした場合、ショップ風船が出る条件を満たしているときは、再スタート直後のボス戦開始前にショップ風船が飛来するようになった。
        初代ではボス戦でミスした場合そのままボスクリアorゲームオーバーまでボス戦が続き、エンジンが買えない→スピードが足らない→事故死、の流れが多かった点が改善された。
      • この改善は好評だった様で、後のシリーズにも取り入れられた。

問題点

  • 初代の問題点をほぼ引き継いでいる
    • 初代のシステムを踏襲したため当然ではあるが。
  • メガドライブ作品の中では難易度が低め。
    • 一応、今作は他作品と比べると前線基地の落とす金額が少ない*6が、メガドライブ自体がマニア向けハードであるゆえに他社製STGの難易度が高めであるため、相対的に低く感じられる。
    • そもそもファンタジーゾーンという作品自体が比較的簡単な部類なので、忠実に再現した結果とも言える。

賛否両論点

  • ラスボス戦でのBGMがややファンタジーゾーンらしくない。
    • ラスボス戦のBGMのみ若干浮いており(上記の通り、様々な要素が入り混じっている)ファンタジーゾーンと言われると微妙。
    • クオリティが低い訳では無いが、ラスボス戦のみ浮いているという意見もある。

総評

上記の通り発売前は期待と不安の入り混じった作品であったが、蓋を開けてみると、全面的に初代をリスペクトした非常に丁寧な作りでシリーズファンはもちろん、ファン以外からも高評価を得た。
初代BGMの収録というサービスは当時としては衝撃であり、サンソフトのファンタジーゾーンへの愛や~作品への情熱、リスペクトが生み出した素晴らしい傑作である事に異論は無いだろう。

セガ公式の『SEGA AGES 2500シリーズ Vol.33 ファンタジーゾーン コンプリートコレクション』や『メガドライブ ミニ』にも収録されている事から、他社制作ながらもセガからも愛されている作品と言えよう。


余談

  • 初代のファミコン移植版発売の際、「セガ信者が初めてFCに敗北を感じたという噂が立った」という逸話があったとされるが、本作においても「あまりにもデキが良すぎたために、ケチの付け所が無い一部セガ信者から『なぜ初代をメガドライブに移植しなかったんだ!』『サンソフトはすべてのセガ移植作品に参加しろ!』という理不尽な批判・要求もあった」とか。
    • メガドライブ初期の『スペースハリアーII』や『スーパーサンダーブレード』の出来が芳しくなかったのもあるが...*7
  • 当時メガドライブ専門雑誌「BEEP!メガドライブ」では読者参加型の「BEメガドッグレース」が行われていたが、当時1位を独走していた『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』」を上回る初登場1位であった。*8
    • セガの新世代キャラのソニックを旧世代、かつ他社製のソフトが上回るという皮肉な結果となった。
  • 前述通りメガドライブミニにも収録されたが、その発表の際にセガの奥成氏は「ファンタジーゾーン4に当たる作品」と発言している。
最終更新:2022年11月26日 16:13

*1 アイテムはクリア必須では無い。

*2 BGM自体はOLDバージョンベース。5面BGMがメロディ無しな点やサウンドテストの一部の曲に「(OLD)」と書かれているのがそれを示している。

*3 エミュレーターレベルの音質かつヘッドホンで聞かないと分からないレベル。

*4 隠しBGMを聞くためだけに購入した初代ファンも多かったそう。「おまけが本編」とまで言われる事も。

*5 理由は不明だが、stage6とstae7で流れるBGMが逆になっている

*6 最終面でも時間が経つと200$しか落とさない。

*7 メガドライブ初期なので容量や開発ノウハウが未成熟な都合上仕方ない部分もある。

*8 ちなみに2位はゲームアーツの『天下布武 ~英雄たちの咆哮~』。