リサの妖精伝説
【りさのようせいでんせつ】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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ファミリーコンピュータ ディスクシステム
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発売・開発元
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コナミ
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発売日 ()は書換開始日
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1988年6月21日(1988年8月19日)
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定価
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3,500円
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プレイ人数
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1人
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判定
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良作
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ポイント
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電話で立花理佐からのメッセージが聞けた(1988年8月20日まで) 立花理佐と親密に二人きりで異世界大冒険
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概要
1988年にコナミから発売されたコマンド選択型テキストアドベンチャーゲーム。
前年発売された実在のアイドルを起用した『アイドルホットライン 中山美穂のトキメキハイスクール』(任天堂)と同じく実在のアイドル立花理佐とのタイアップ作品として制作され、そちらで採用されたテレフォンサービスによるゲームとリンクしたヒントメッセージの配信を採用している。
イメージソングとして1ヶ月後に立花理佐がリリースした同名のシングル(東芝EMI)をレコード・CDでリリースしている。
ゲームで必要なキーワードが隠されており、このイメージソングとコラボした形でのプレゼントキャンペーンが行われた。
ストーリー
とある少年(主人公)は立花理佐の大ファンで理佐のコンサートを見にきていた。
そんな中、突然空は不気味に曇りはじめ、雷が轟きはじめ瞬く間に一面暗闇に覆われた。
気が付けば見たこともない世界で少年は憧れの理佐と二人きりになっていた。
そこに空から一すじの星が降ってきて、目の前に現れたのは理佐とうりふたつの妖精。
その妖精が言うには、心正しい勇者がこの世界を救ってくれるように願い、それに導かれたのが少年と理佐ということらしい。
この世界は今、暗闇の魔女デリラによって少しずつ悪の世界に変えられようとしているという。
デリラを倒し、元の平和な世界に取り戻すためには、この世界の3つの象徴である『聖剣』『宝石』『ハープ』を集めなければならない。
少年は理佐とともに冒険の旅へと出発するのだった。
特徴
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スタンダードなコマンド選択式のアドベンチャーだが、選択を誤るとバッドエンドとなるため総あたりは通用しない。
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バッドエンド時の再開は章のはじめか、セーブしたポイントから。
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この手のアドベンチャーでは恒例の「見る」で、グラフィックウィンドウからカーソルで指定するような機会はなく、すべてコマンドの選択肢に落とし込まれている。
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また、だいたい何かを発見すれば、次に選択肢に加えられる。
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主人公と理佐の間の会話等ではコマンドウィンドウに理佐の顔が表示される。
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こちらに関しても表情が喜怒哀楽で多彩なものになっている。
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また、理佐にはなしたり表情を見たりするときコマンドにはハートマークが付いてくる。
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ストーリーは全4章構成と短め。
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とはいえ、それぞれの章での謎解きは少々難しめなので、呆気なく終わるようなものではない。
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またハッピーエンドは1つのみで、バッドエンド以外のサブエンディングは存在しない。
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『中山美穂のトキメキハイスクール』のように要所要所で電話番号が表示され、対象の番号に電話をかけると、ゲーム展開とリンクしたメッセージを聞けて、それがヒントになる(1988年8月20日まで)。
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上記作で間違い電話が多発したこともあってか、本作の説明書でもそれに関する注意が喚起されている。
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上記作同様、住んでいる地域によって不公平にならないよう、対象の電話番号は全国区に散らばっている。
評価点
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ストーリー自体は短めだが、展開は変化に富んでおり、それぞれの舞台も特徴的なものばかり。
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最初の章はチュートリアル的な意味も兼ねてか少々スローモーに感じるところがあるが、それもあって2章以降の急展開が繰り返されるドラマ性を引き立てている。
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これにより非常に見せ場が豊富で、短いながら濃密な内容になっている。
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「憧れのアイドルと一緒に行動する」という点では『中山美穂のトキメキハイスクール』よりも濃密。
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上記の通り、非常に緊迫した場面を立花理佐とともに乗り切っていく展開で、その過程でもお互いが密接に関わっていく。
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理佐の表情も多彩で、彼女の感情がプレイヤーに伝わりやすい。
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上記の通りコマンドウィンドウ上に出るので、少々粗めではあるものの、その表情は多彩。
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また、プロローグとエンディングでは当時としてはかなりリアルな理佐が見られる。
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非常に良質なサウンド。
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やはりコナミらしくBGMなどサウンド面は非常によくできており、それぞれの場面を盛り上げる良質なBGMが揃っている。
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全体的にファンタジー色が濃いものが多く、世界観にもよく合っている。
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また、その切り替わりも非常に適材適所で細かく切り替わるので、場面場面のメリハリがしっかりつけられている。
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テレフォンサービスは割高な遠距離通話が要求されるが、回数は少ないのでそこまで高くはならない。
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説明書によれば目安としては大体400円程度であるとのこと。
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1つの判断ミスで即座にバッドエンド(ゲームオーバー)なポイントが多く、やや難しめではあるが、そのポイントはモンスターとのバトル等とわかりやすく絞られている。
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展開ミスのバッドエンドにありがちな、突拍子もないタイミングやちょっとした脱線などで突然ゲームオーバーにさせられる理不尽さはない。
賛否両論点
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立花理佐ファンの視点を反映して取り込まれた要素が存在し、それがゲームの難易度にも微妙ながら影響している。
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一部は説明書などに記載されているが、立花理佐本人についての情報を知らないとリトライの繰り返しになる展開がある。
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他に、上記イメージソングに関しても、一部必要となり、他にもヒントになっている部分がある。
問題点
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メッセージが平仮名のみ。
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ファンタジー風の世界観ということでカタカナ表記すべき単語も多いため、少々読み辛い。
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再開のポイントが章のはじめかセーブしたところなので、時としてかなりの逆戻りを強いられることがある。
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これは当時の標準仕様なので仕方ない部分もあるが、最終局面での謎解きはかなり難しいのが続くため、やり直しが続くと冗長に感じやすいだろう。
総評
『中山美穂のトキメキハイスクール』とイメージが被ったこともあり当時は二番煎じ的に扱われ過小評価されていたが、ファンタジー要素を世界観の根底に据えることで差別化ができており、それとはまた違った魅力を持っている。
『トキメキ』が『現実世界での恋愛』をテーマとしていたのに対し、本作はアイドルでありヒロインでもある立花理佐と共に手を取り合って困難を乗り越えていくという物語性の強い構成になっている。憧れのアイドルと共に冒険物語を追体験するという構成はファンであればたまらないと言えるだろう。変化に富んだストーリーも非常に良くできている。
物語を進める上で少々難しい謎解きは多いが、そのポイントが絞られており理不尽なものは少ない。またRPGのバトルのような展開が多いのも冒険気分を盛り上げてくれる。またBGMも世界観によく合ったコナミらしいサウンドの質の良さも随所で光っている。
芸能人タイアップものの作品の中でも良質に仕上がった数少ない成功例の1つといっても過言ではないだろう。
余談
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今現在プレイするには地味にハードルが高かったりする
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本作はマイクを使用しなければならない場面があるのだが、マイク機能が削除された廉価版のニューファミコン本体では代替えコマンド(IIコンの下+A同時押し)に非対応のため、どうあがいても詰んでしまう。
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本作にはちょっと変わったゲームオーバーがある。
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2章にある「お菓子の家」を連続で見ると、それぞれの部位が何のお菓子でできているかいろいろ解説してくれるが7回目でナレーター(作者)がネタ切れを宣言する。尚も見続けると、早く行くようにせかしはじめて怒りだす。
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そして12回目では…
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ふっふっふ。ひとのちゅうこくはきいておくものです。さようなら。
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とナレーターを怒らせて、なんとディスクシステムの起動画面に戻されるというとんでもないもの(つまりリセットボタンを押したのと同じ)。
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このようなリセットは他に例を見ないものであり、当時のゲーム誌の裏技コーナーでこぞって取り上げられた。
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因みにこれの連続回数は、場所を移動して戻ってくるとまた1からのカウントに戻されるので安心。
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後々出たサントラでは権利関係の都合からか、「
アイドル
の妖精伝説」に改題されている。
最終更新:2025年06月01日 10:11