スーパー大戦略
【すーぱーだいせんりゃく】
ジャンル
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SLG
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対応機種
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メガドライブ
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発売・開発元
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セガ・エンタープライゼス
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発売日
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1989年4月29日
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定価
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6,800円
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プレイ人数
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1~4人
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判定
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良作
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大戦略シリーズ
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概要
メガドライブ初期のソフトにして、希少な現代戦SLG。
同名のPC版ではなく『大戦略II』(以下『II』)をベースにしたアレンジ移植となっている。
特徴とシステム
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基本システムは『II』に準じる。
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最大4陣営のターン制現代戦SLG。HEXでのマップ構成も従来と同じ。陸海空の三軍が登場する点や工業力、建物の耐久度といったルールも『II』とほぼ同じ。
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ボリュームのアップ。
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マップの広さが一回り大きな64*64になり、枚数も35枚と大幅に増加。
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選択できる生産型はPC版スーパー大戦略と『II』を折衷した11種類にオリジナルの「初心者」を加えた全12種類。生産タイプに伴ってユニットの種類も増加。
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隠しコマンドで(1989年時点の)最新鋭の兵器や本作オリジナルの兵器を生産することも可能。
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本作オリジナルの兵器
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F-14XX(戦闘機)
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『アフターバーナー』の自機。本来のF-14と区別する為こちらにはSEGAのロゴが描かれている。
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原作再現なのかバルカン砲の装弾数が99と非常に多い。
原作と違って何故か艦載機ではないが
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ギャラクシー.F(攻撃機)
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『ギャラクシーフォース』の自機。原作での名前は"TRY-Z"なのだが本作ではこの表記。
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攻撃・防御共に桁外れの最強ユニットだがコストも非常に高い。
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サンダーブレード(ヘリコプター)
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『サンダーブレード』の自機。
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勿論最強のヘリなのだが、他と比べるとインパクトに欠ける。
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シノビブタイ(兵員)
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『忍 -SHINOBI-』の自機。部隊なのでジョー・ムサシ名義ではない。
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巡洋艦を一撃で沈める程の"忍術"を持つが、射程が1なので艦船を攻撃する機会はまず無い。
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BGMの追加。各陣営に違う曲が用意されている。
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SLGらしく長時間聞いても飽きの来ない曲になっている。
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発売後10年以上を経て、『アドバンスド大戦略』と『THE HYBRIDFRONT』とのカップリングで、サウンドトラックが発売されている(但し、後述の後期版のBGMは未収録)。
評価点
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PC版を先取りした要素。
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PC版では正規空母・武器の固有名詞・最大6種類の武器等は『大戦略III』、間接射撃可能な空対地ミサイルは『大戦略VII』で初採用されるのだが、これらをいち早く採用している。
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豊富な収録マップ。
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定番の「Islamd Campaign」「Red Bear」、『II』の「Banana Republic」「Battle of 5lakes」、『大戦略パワーアップセット』の「Ultimap」「Yom Kippur War」、本作オリジナルの「SEGA LAND」「Planet Palma」「Phantasy Star 2」等々、バリエーション豊か。
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勿論『大戦略パワーアップセット』等が初出のマップは、本作のルールに合わせて工場を設置するなどアレンジされている。
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迫力を増した戦闘シーン
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単色で弾が飛んでいくだけだった『II』から、フルカラーのアニメへと進化。飛行ユニットは画面の端から端へ飛んでいく。
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多彩なBGM
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FM音源を活かしたバリエーション豊富なBGMはどれも良曲揃い。特に、1人プレイだとデフォルトになっている「PROT IT」、前半の激しさから一転して後半は物悲しい曲調に変化する「OUT ALL」、全般に渡って抑揚を抑つつも緊迫感のある「FIRE」などは名曲としてよく名が挙がる。また、当時は良くも悪くも(良いとする方寄り)「BGMがSLGらしくない」とする意見もあった。
問題点
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セーブデータが1つしか作れない
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ターボファイルのような外部記憶装置が無いメガドライブではこの問題は非常に大きい。
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艦船ユニットが実在の兵器ではない
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「ヘリ空母・巡洋艦・駆逐艦・揚陸艦」の4種で『II』から一応増えてはいる。
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艦船の搭載武器は当然のことながら「SAミサイル」「S機関砲」といった普通名詞で、違和感が増大する一因になっている。
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マップ・生産型エディタがない
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しかし、上記のようにゲームのセーブデータすら1つしか作れないのにエディットデータをセーブする容量が確保できるとは思えないので、これは仕方の無いところか。
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本作オリジナル兵種の「鉄道」の使いどころが皆無
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地上ユニットを2つ積んで高速で移動できる代わりに建物か線路しか移動できないのだが、線路があるマップが1つしかない。上記の通りエディタもない。
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工作部隊で線路を敷設することはできるが、自分のいるHEXにしか敷設できない為気の遠くなるような時間がかかる。
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CPUの思考ルーチンに難あり
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CPUは「兵員又は輸送ユニットを優先して攻撃する」「敵部隊の機数に関係なく最大の攻撃力を持つ武器を使う」思考ルーチンになっているが、前者はともかく後者が曲者。
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これを逆手にとって、分散した歩兵や輸送ヘリを囮にして敵の戦車砲やミサイルを弾切れにしてしまえば大した経済的被害を出さずに勝つことも可能。
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CPUはユニットの武装変更を全くしない為、運用の柔軟性が無い。
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一部の生産タイプに問題がある。
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中国
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ヘリコプターが生産できないという現代戦SLGにあるまじき生産タイプ。なので空港の少ないマップでは兵員の展開と対地攻撃が恐ろしく手間のかかるものになる。
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特に対戦では最新兵器コマンドでヘリコプターを生産可能にしておかないとゲームにならなくなってしまう。
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ワルシャワ条約機構・東側諸国
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ワルシャワはソ連の下位互換、東側はワルシャワの下位互換であり差別化されているとは言い難く、水増し感が強い。
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ちなみにこの2つが同時参戦しているのは『II』と本作のみである。
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初心者
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工作部隊と艦船が生産できない。特に前者の扱いを理解することは本作を楽しむ上で必須なのだが、初心者と銘打っておきながらその機会が無いのは如何なものか。
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隠しコマンドを多用させる仕様
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『II』では標準でできた初期軍事費・工業力の変更が、何故か隠しコマンドを入れる必要がある。
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最新兵器の生産は一度コマンドを入れるとそのマップの間は生産可能だが、オリジナル兵器は生産する度にコマンドを入れなければならない。
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航空母艦が最新兵器扱い
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隠しコマンドで航空母艦が作れるようになる生産型はアメリカ・ソ連・フランスの3か国だが、当時トビリシ(現アドミラル・クズネツォフ)級が建造中だったソ連はともかく、第二次世界大戦中から空母を使い続けているアメリカや、空母運用の歴史が長いフランスは標準で作れても良い筈である。
総評
シリーズ中でも傑作と評価の高い『II』をベースに更なるボリュームアップを果たしており、欠点も多いものの良作SLGであることは間違いない。
大戦略未経験者にも是非お勧めしたいが、配信及びメガドライブミニへの収録は一切されておらず、実機でしかプレイできないのが今となっては最大の問題点と言えるかも知れない。
移植等
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1991年6月21日に『アドバンスド大戦略 -ドイツ電撃作戦-』が発売。第2次世界大戦が舞台、キャンペーンのみの構成、兵器の進化・改良と今迄とは全く違うゲームに変化した。
本作以降セガの大戦略はアドバンスド大戦略シリーズとしてシステムソフト製とは異なった進化を遂げていく。
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直接の続編『スーパー大戦略III』がメガCDで発売予定だったが中止になっている。
余談
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没データに潜水艦や対潜哨戒機が入っており、実装されていれば『大戦略III』に先駆けてシリーズ初の要素となっていた。
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没になった理由は不明だが、索敵の概念が無い本作では潜水艦があっても余り意味が無いからではないだろうか。
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本ソフトには俗に言う「後期バージョン」が存在し、バグが修正されている他BGMの音色等に違いがある。
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『ファンタシースターII ~還らざる時の終わりに~』とのBGMの類似性についてよくネタにされる(作曲者が同じで発売時期も近いため、類似性がみられるのは仕方がないといえるが)。
最終更新:2023年12月07日 18:27