究極ハリキリスタジアムIII

【きゅうきょくはりきりすたじあむすりー】

ジャンル スポーツ(野球)
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 タイトー
発売日 1991年3月1日
定価 6,900円
プレイ人数 1~2人
判定 良作
ポイント 相変わらずイベント盛りだくさん
育成がなくなりエディットに
必殺技は残念ながらオミット
それでも楽しめる幅は広い
究極ハリキリスタジアムシリーズ


概要

1991年3月に発売された野球ゲームで『究極ハリキリスタジアム』の3作目(『'88選手バージョン』を含めれば4作目)。
前作まで存在していた育成機能はなくなり、新たにエディットモードが実装された。
併せてそれまでカセット間で育成チームを取り入れるためのパスワードは完全廃止となった。


内容

変更点

  • 選手は1チームあたり25名構成になった。
  • 試合による育成システムは廃止。
  • セミオート守備やズームアップの有無や、ピッチャー有利、バッター有利などはメインメニューの設定変更で行う形に変更。
  • コールド制が廃止。
  • 特殊球団が5チームになった。
    • Aチーム「アメリカン球団」過去日本球界で活躍した助っ人外国人の集まり。
    • Mチーム「名球団」過去の日本人プレイヤーのスター選手の集まり。
    • Iチーム「アイドル球団」当時のアイドルの集まりで前作までの「アイドール」にあたる。
      • 「ういんく(Wink)」「ここ(CoCo)」といった本来は複数人であるグループ名がそのままになっているのも。
      • 前作までにいた「あつこ(「アッコ」こと和田アキ子)」や「ひばり(美空ひばり)」といったオーバーエイジのアイドルはいなくなったが当時既に故人だった「しのぶ(堀江しのぶ)*1」がいる。
    • 前作に登場した男性芸能人チーム「エンターズ(E)」は姿を消し、違う意味でEチームが2つ登場。これが後述のエディットで作成したチームである。
  • 近鉄バファローズモデルの「ババロアーズ」、オリックスブレーブスモデルの「ブレーメンズ」は呼称こそそのままだがチームの略号はババロアーズが「Bu」、ブレーメンズが「B」と現実モデル同様に変更された。
  • 現実準拠の130試合制(1チームあたり26試合)のペナントレースを実現している。
    • 他には5試合(1チームあたり1試合)、15試合(1チームあたり3試合)、30試合(1チームあたり6試合)、50試合(1チームあたり10試合)、100試合(1チームあたり20試合)のパターンがある。
    • 130試合制で終了時プレイヤーが操作するチームが優勝した場合のみ日本シリーズが行われる。
      • 130試合以外やCPUのチームが優勝した場合は選手が3人並んで「リーグ優勝おめでとう!」の淡泊なメッセージのみで終わる。
    • それぞれ投手、野手の個人成績が見られる。
    • CPU同士の試合観戦パスにより極めて短時間で自動消化が可能。
    • 試合の消化の仕方も1試合ずつ消化する形になり、これにより6人でプレーしても全試合フルにプレーすることも可能になった。
  • 選手データ関連。
    • 必殺技が廃止。
    • 野手にポジション適性が追加。
      • 「内(内野)」「外(外野)」「両(内野・外野)」「捕(捕手)」が存在し、適性外のポジションでは能力が下がる。
  • エディットモードが追加。
    • EDITチーム1はゴシック体のEチーム、EDITチーム2は明朝のEチームに対応している。
    • 選手のタイプは「ユニフォーム」「カラーI」「カラーII」「カラーIII」で多彩なパターンから選択できる。
      • ユニフォームタイプには女の子タイプもあるので「アイドール」のような女の子チームも作成できる。
    • 投手枠は10人で、野手はレギュラー8人、控え(代打)7人の計15人。
      • 投手は上から4人が先発タイプ、その下4人が中継ぎタイプ、下2人がリリーフタイプとなる。
      • 選手の名前は4文字まで。濁点や半濁点は別でカウントしないので濁音なども普通に混ぜられる。
      • ポイントが30000*2与えられ、それを振り分けてチームを作成する。
  • 投手ステータス。()はエディットでのポイント消費量。
    • 投法
      • 「左」「右」の投げ手と、投法「上(オーバースロー)」「中(サイドスロー)」「下(アンダースロー)」を組み合わせで選ぶ。
    • 防御率(0.01につき1)
      • エラーのしにくさ。0.00~9.99
    • 球速(1につき10)
      • 最高球速を指す。100km/h~ 200km/h
    • 体力(1につき10)
      • 投手のスタミナ。50~99
      • 他はすべて初期値が最低値だが、これのみ初期値は80になっているので、これをギリギリまで下げてポイントに還元することで更に3000ポイントが得られる。
    • 変化左(1につき80)
      • 左への変化度合いの大きさ。0~15
    • 変化右(1につき80)
      • 右への変化度合いの大きさ。0~15
    • 変化下(1につき80)
      • フォークボールの変化度合いの大きさ。0~15
  • 野手ステータス。()はエディットでのポイント消費量。
    • ポジション適性
      • 上記4通りから選択。
    • 守備位置
      • レギュラーは「捕」「一」「二」「三」「遊」「左」「中」「右」が一人ずつ*3。控えは左記から好きなパターンを自在に設定できる。
    • 打席
      • 「右打ち」「左打ち」「両打ち」から選択。
    • 肩力(1につき400)
      • 送球の速さ。0~3。
    • 打率(.001につき1)
      • ヒットを打つ技術。.100~.999
    • 本塁打(1本につき20)
      • 長打力。0本~99本
    • 走力(1につき40)
      • 足の速さ。0~25
  • 球場が3パターンになった。
球場名 モデル球場 中堅 両翼
どむどむ 東京ドーム 122m 100m
くわさき 川崎球場 119m 90m
ゆーえす オリジナル 144m 111m

評価点

  • お手軽で非常に自由度の高いエディット。
    • ユニフォームタイプにより女の子チームにできたり、カラーパターンも豊富。
    • ステータスも上記のような形式を取ることで、投手力や打力に自由に振れるので個性を出しやすい。
  • 相変わらずイベントが豊富。
    • 元々あった乱闘や酔っ払いの乱入だけでなく、忍者男*4など新しいものまで登場した。
  • 130試合の本格的ペナントレース。
    • 現実に準拠した本格的なペナントができ、しかもマジックまで自動計算され、個人成績まで集計される。
      • これにより個人タイトルを意識したプレーもできる。
      • ただ、マジック0による優勝確定に何のイベントもないのは少々物足りない部分ではある。
    • セーブも実際のプロ野球ルールに準拠して付けられる。
  • 前作では試合の自動消化は実力を無視したいい加減なものだったが、それもちゃんと実力を参照して行われるようになった。
    • これを利用して、自分で作ったエディットチームを含め全試合を自動消化させるというシミュレーション的に楽しむ遊び方ができるようになった。
  • 今まで1つしかなかった球場に遅まきながらバリエーションができた。
    • ペナント時は、そのチームに合ったホームを選ぶなど戦略性にもつながっている。

問題点

  • 必殺技の廃止。
    • 強みの1つだった上に、あればそれだけ盛り上がるだけに残念。
    • 超人ウルトラベースボール』のような強烈極まりないものが出てきたので地味に感じるというのもあるだろうが。
  • サウンド関連が盛り上がりに欠ける。
    • BGMが妙にほのぼのとしている。
      • 状況によって一応変化は付いているが、これまでのようなガンガンテンションを上げるようなものではなくなったため、エキサイトさせる意味では弱くなっている。
    • SEも独特と言えば独特だが、おもちゃのようなイメージが強く、野球に向いているとはお世辞にも言えない。
  • 試合後の結果報知が少々寂しい新聞方式になった。
    • 今までは野球中継の方式でホームランシーンなどハイライトもあり、実況や解説者のコメントもあったのだが、そういったものが一切ないので、試合後が少々寂しいものになった。
  • 本来この時期にもなれば、ステータスなど結果が必要なものは終了した1990年シーズンに準拠し、選手ラインナップなどは1991年ありきで組まれているはずなのだが、データを見るに元々1990年シーズンのうちの発売を目論んでいたことがわかる。そのため時代に遅れているのが明白。
    • 1990年限りで退団したウォーレン・クロマティ(くろうま)がまだガリバーズ(巨人軍モデル)に、1990年シーズン途中で退団帰国したラリー・パリッシュ(ぱりっく)がまだタイタニクス(阪神モデル)にいる。
    • この年のオフに西武から広島に移籍したタイラー・バークレオ(ばけれお)や、古巣のダイエー(旧南海)に出戻りした門田博光(かどか)などがいずれも1990年時点の所属のままになっている。また1990年限りで引退した村田兆治(むらたち)もOBの「名球団」ではなくロッテモデルの「オロロンズ」で現役の扱いになっている。
    • 選手以外にしても本作でのセ・パ12球団モデルの並びが1989年シーズンの順位に準拠している。また1991年シーズンからオリックスの愛称は前身の阪急から受け継いだ「ブレーブス」を「ブルーウエーブ」と改めているにもかからわずゲームでは「ブレーブス」ありきの「ブレーメンズ」のまま。

総評

野球中継風な試合後の流れや育成システム、必殺技のオミットに関しては、ハリスタらしさが無くなったということもあり好みはかなり分かれるところではある。とはいえ様々なイベントで試合を面白く飾る要素は健在。
また、自由度も高いエディットの面白さは今まで味わえなかった新しいものであり、更に消化の速いペナントレースなど新しい面白さが生み出されており、またそのリーグもかなり自由度が高く、詳細な個人成績まで見られるなど、様々な楽しみ方を生み出している。
このようなフリースタイルなリーグは『ファミスタ'90』にもよく似ており、それに日本シリーズや個人タイトルまで加わって他シリーズの強みをさらに発展させたものになっている点からして、大勢で対戦するゲームとしてこれまでとは違った面白さを生み出せている。
惜しまれるは、これだけの良質なシステムなのに野球ゲームブームはもはや今や昔の時代であり、スーパーファミコンも発売されたことであまり注目されず埋もれてしまったことに尽きる。


その後の展開

  • 1992年3月にスピンオフ作品『究極ハリキリ甲子園』を発売。
    • 高校野球にアレンジされているが、選手は当時のプロ中心でそれぞれが母校の代表として出場している。
  • プロモデルの『ハリキリスタジアム』としてはスーパーファミコンに舞台を移し1993年12月3日に『スーパー究極ハリキリスタジアム』を発売。
    • ハリスタシリーズとしては初の選手実名化を実現している。

余談

  • 本作でも「奇々怪界シリーズ」の小夜ちゃんがささやかながら登場。
    • ゆーえす球場のスコアボード右に小夜ちゃんの像があり、その方向にホームランを打つことで見られる。
  • 裏技を使うとエディットでなんと3倍近い80000のポイントが与えられる。
    • これにより超強力なチームを作ることができる。普通にセ・パ12球団モデルチーム相手のペナントならば130戦全勝も夢ではない。
      • さすがにこれはやりすぎと判断したか、同じような裏技は『究極ハリキリ甲子園』でも適用されたが標準の3000が4000になる程度に抑えられている。
最終更新:2023年11月12日 17:27

*1 1988年9月13日、胃癌のため23歳の若さでこの世を去った。

*2 「体力」の最低値が50に対して初期値が80になっているので実質33000。

*3 動かすと自動で補正される。例えば「三」を「捕」にするとレギュラー枠で元々「捕」だった選手が強制的に「三」になる。

*4 ネットによじ登って垂れ幕でメッセージを出す。本作では「しっかりしろ」。前年5月に広島市民球場で行われた広島対巨人戦で同様のハプニングが起こった。