究極ハリキリ甲子園
【きゅうきょくはりきりこうしえん】
ジャンル
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スポーツ(野球)
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売元
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タイトー
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発売日
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1992年3月17日
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定価
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6,900円
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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なし
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ポイント
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出場校ラインナップはなかなか豊富 プロ野球選手が母校に集結 プレーに高校球児らしさが見られないのが残念 独特なルールで行われる夏の大会
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究極ハリキリスタジアムシリーズ
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概要
1992年3月にタイトーが発売した野球ゲームで、当時の野球ゲームは日本プロ野球モデルが圧倒的に多い中、高校野球をモチーフにしている。
プロ野球モデルの『究極ハリキリスタジアム』シリーズのスピンオフである。
高校野球のゲームとしては1989年10月の『甲子園』(ケイ・アミューズメントリース)以来2年半ぶりとなる。
内容
全体的な特徴
試合のシステム
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基本的に9イニング制。
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高校野球だが何故かコールドもない上に決着がつくまで何イニングでも無制限に延長する(表示上は99回まで)。
高校野球どころかプロだとしてもオニだ…
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操作方法は『究極ハリキリスタジアム』から続く旧来通りのスタイルだが、本作で追加されたものとしてバットスイング時に上を押しながらでダウンスイング(ゴロによるヒット狙い)、下を押しながらでアッパースイング(ホームラン狙い)ができるようになった。
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選手のパラメータは「巧打」「長打」「走力」「肩力」「左変化」「右変化」の6つに分かれている。
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「巧打」…打撃技術で、高いほどヒットを打ちやすくなる。
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「長打」…長打力で、高いほど長打が出やすくなる。
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「走力」…足の速さで、高いほど速くなる。
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「肩力」…肩の強さで、大きいほど送球が速くなる。ピッチャー時の球速も速くなる。
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「左変化」…ピッチャー時、左に曲がる変化度合いの大きさ。野手時には特に影響なし。
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「右変化」…ピッチャー時、右に曲がる変化度合いの大きさ。野手時には特に影響なし。
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7回は恒例の「ラッキー7」でイニング開始前に応援のデモが挿入される。
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デモは「応援団」「チアガール」「人文字」の3種類で、学校ごとに紐づいている。
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熱血ポイントを消費して必殺技を使うことができる。消費量は学年によって違い2年生は6、3年生は4。
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ピッチング技(投球時Aボタンを長押し)
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豪スピードボール(下を押しながらAを長押し)
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重アイアンボール(Aのみを長押し)
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超フォークボール(上を押しながらAを長押し)
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バッティング技(一度Aを長押しすると発動し、あとは打席の立つ位置によって変化する)
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精密ジャストミート(バッターボックス前方)
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心眼バッティング(バッターボックス中間)
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パワースイング(バッターボックス後方)
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守備時はAボタンでファインプレー(ジャンプキャッチ・スライディングキャッチ)ができ、この場合も熱血ポイントが1消費されるが、これは0になっても使うことができる。
その他の特徴
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各校のメンバーは球史でも名立たるプロ選手たちがそれぞれの母校に分かれて登場している(例「あいめいでんき高(愛工大名電)」に「くどう(工藤公康)」、「いけた高(池田高)」に「みずの(水野雄仁)」など)。
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何故か一部選手だけがなまった名前になっている(例・「えるぴい学えん(PL学園)」の「桑田真澄」→「くわだ」「清原和博」→「きおはら」「立浪和義」→「なつなみ」、「よこばま高(横浜高)」の「愛甲猛」→「わいこう」)のは、名前が独特だったりネームバリューがありすぎたためだろうか?
他に吉村禎章(よしむら)、金森永時(かなもり)、西田真二(にしだ)、新井宏昌(あらい)など、だいたいはそのままの名前で登場している。門田博光は独特なのだが、こちらはそのままの「かどた」で「でんり高(天理高)」にいる。
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ゲーム中は学年が2年と3年しかないが、彼らは昭和61年以降に3年生だった世代(昭和43年生以降)が2年、それ以前は3年に紐づけられている。
そのためゲームでは桑田清原のK・Kコンビ(昭和42年生)と新井宏昌(昭和27年生)のように本来ならばとんでもなく年が離れていても、同じ3年生ということになっている。
ゲームのモード
熱戦モード
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1人プレーのモード。
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任意に好きな学校を選んで対戦できる。
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熱血ポイントは20。
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選手はステータスが表示される。
ピッチャーは「肩力」「左変化」「右変化」
バッターは「巧打」「長打」「走力」
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メニュー画面で、十字ボタンの左右を押すことでカーソルのチアガールの服の色が変わるのだが、これは単なるおあそび機能ではなく、このモードでピンクの時はプレイヤーが先攻、白の時は後攻という選択を兼ねている。
決戦モード
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2人で対戦するモードで全体的な仕様は上記「熱戦モード」と同じ。
甲子園モード
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甲子園(全国高校野球)大会を再現したモード。
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「1人で頑張る」「みんなでわいわい」に分かれている。
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熱血ポイントは地区大会決勝、本大会ともに80ポイント与えられる。
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つまり地区大会決勝は1試合に80ポイントフルに使うことができる。本大会では次の試合に進むごとに8ポイントずつ与えられ、最大値は127ポイント。
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CPU同士の試合はオートスキップされ、得点経過のみが見える。
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選手はステータスが表示される。
ピッチャーは投球回と失点数。
バッターは打席数と安打数。
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1人で頑張る
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春の大会と夏の大会を行い甲子園春夏連覇を目指す。それぞれまずは「地区大会決勝」からスタートとなり、これに勝てば甲子園出場でデモの開会式演出を挟んで大会が始まる。
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春の大会は地区単位、夏の大会は都道府県単位で行われる。
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春の大会。
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最初にトーナメント表が表示され、その順番に沿って行われる。優勝しても途中敗退しても夏の大会に移行する。
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夏の大会。
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こちらは毎試合ごとに組み合わせの抽選を行って対戦カードが決まるので、直前まで相手が分からない(対戦校が2つ表示された場合、1回戦はシードでその2校の勝者と対戦する)。
上記の通り2回戦はシード枠の都合上1回戦からの流れで行う。
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優勝すればエンディング、春も優勝していれば真エンディングとなり、負けた場合はゲームオーバー。
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みんなでわいわい
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上記モードの春の大会のみ(地区予選はなくいきなり本大会)を行い、1校のみ任意で選択でき残りをCPUが自動で選ぶ。
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1試合1試合プレイヤーが行うかCPUが行うかを選択できる。
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どの学校が優勝しようが春大会のエンディングが見られる。
偵察モード
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各校のデータを見るだけでなく、学校名とユニフォームを変更できる。
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よくある「デフォルトのなまった名前」がイヤで現実通りに直したい人向けのモードである。
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ただし「旭川龍谷高校(あさひかわりゅうこくこうこう)」(デフォルトのなまった名前「あさひりゅう高」)など一部は長すぎて8文字の文字数枠に入らず完全に直せない学校もある。
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『III』同様に使用できる色は豊富に用意されている。
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「カラーパターン」でユニフォームの模様も選べるが『III』のような女の子にはできない。
作成モード
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自分の好きなチームを作成できるエディットモードで、使えるのは2枠のみ。
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「偵察モード」と同様、選手のグラフィックパターンも自由に変更可能で選手データも自由に作成できるので上位互換である。
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3000ポイントが与えられ、それを割り振っていく。それぞれのステータスを1上げるに必要なポイントは下記()内の数値。
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「巧打」(20)
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「長打」(30)
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「走力」(40)
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「肩力」(40)
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「左変化」(50)
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「右変化」(50)
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投法
「左」「右」の投げ手と、投法「上(オーバースロー)」「中(サイドスロー)」「下(アンダースロー)」を組み合わせで選ぶ。
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打席
「右打ち」「左打ち」「両打ち」から選択。
放課後モード
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システム設定。
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熱血システムのON・OFF、守備オートのON・OFFを選ぶ。
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このモードで隠しコマンドを使うことでサウンドテストやピクチャ鑑賞ができる。
評価点
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豊富に登録された学校の数々。
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ケイ・アミューズメントリースの『甲子園』(1989年)はあくまでも「前年のデータありき」ということで、第70回(1988年)での出場を逃したPL学園や帝京といった名門が取り込めていなかったが、本作では名立たる名門校がズラリと顔をそろえている。
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それらを利用して決勝のみながら地区大会も導入された。
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更に選手データも非常にわかりやすく、確認も可能。
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『III』ではなくなっていた必殺技が復活。
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『平成元年版』までのような絶対的なものではなくなったが、甲子園大会では出せる回数が多くなり、また繰り出せるタイミングも自在になった。
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更にバッティングの技も取り入れられ、使用できるポイントを捉えて使うことで一層有効利用できるようになった。
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スイング時ゴロ狙いのダウンスイング、ホームラン狙いのアッパースイングなどが加わったことでバッティングにも幅を持たせることができた。
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ファミスタやハリスタのようなアングルでは今までできなかったので、甲子園やプロの種別を抜きにしても新しい。
賛否両論点
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夏の大会の方式。
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上記の通り1回1回抽選してその都度対戦カードを決める当時の方式なのだが、2017年以降は事前抽選で三回戦まで決まるトーナメント方式なので、違和感がある。
問題点
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相手が熱血打法を使った場合、敬遠球を投げるだけで簡単に回避できてしまう。もちろん投げた直後に発動させるには時間的に無理がある。
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特にプレイヤー同士の対戦では、これのために熱血打法がほとんど使えないものになっている。
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CPUのオート試合では、実力がほとんど反映されない。
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いずれも学校自体のデフォルトであらかじめ決められた強さに基づいて行われるので不自然に思うことが多々ある。
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いい例が後述の裏技で4000のポイントでエディットしたチームで控えをほぼゼロにしてレギュラー陣にほぼ全振りすればもはや完全無比な最強校間違いなしなのだが、普通に地方のあまり知られていない学校をベースで作ると他のあまり知らない学校にあっさり負けたりするし「ごうち商高(高知商業高校)」や「えるぴい学園(PL学園)」といった名門が相手では0-8等で大抵ボロ負けにされる。
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逆に「えるぴい学園(PL学園)」をベースにしてエディットした学校でステータスをオール0にしても、上記のCPU同士でのオート試合をさせると普通に強いというおかしなことになる。
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学校名に付いている都道府県名の改変は不自然。
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例えば東東京代表の帝京が「ていぎょう高」など都道府県名が入らないならばともかく、高知代表の高知商業が「ごうち商高」(「こうち」の代表なのに「ごうち」)岐阜代表の県立岐阜商業が「けんりつきふ商高」(「ぎふ」の代表なのに「きふ」)などになっているのはさすがに違和感が強い。
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一応、任意に変更できるのでどうしても気に入らないなら直せるが手動なので手間がかかる。
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おまけに当時はインターネットなどの手軽な情報網などない時代で、収録された100校以上の元の名前を正確に把握している者などザラにはいなかったし中には紛らわしい名前もある。
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CPU思考がプロのまま。
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高校野球はプロに比べるとバント多用傾向にあり一塁に出たらまずバントで送り、ツーアウト以外で三塁ランナーがいればまずスクイズというのが恒例パターンだが、CPUの思考パターンではあまりバントを使わない。
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とはいえ、全体的なゲームバランスではホームランを狙うより、ヒットで地道につなぐプレーが効率的な点は高校野球らしい。
総評
夏の大会の珍妙な形式は違和感は拭えないが旧来スタイルの手軽さは残したまま、それまでのプロスタイルとは一風変わった高校野球を楽しめるようになった。
プロシリーズでも目玉だった必殺技も復活し、使いどころの選択の幅も広くなったなど、対戦が面白くなる要素は多い。学校ラインナップも各都道府県に2または3校とファミコンにしては非常に豊富に用意されているのも見どころである。
高校野球と考えるとバントをしてこなかったりするCPUロジックなど、らしくない点は多いものの対人戦の野球ゲームとしてはバランスは良い。
残念なのはCPU同士の試合ではチームの選手データを無視していることで、このためエディットの楽しみ方を狭めていることに尽きる。
その後の展開
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甲子園(高校野球)としては本作のみに終わる。
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シリーズとしては以後スーパーファミコンに舞台を移し1993年12月3日に『スーパー究極ハリキリスタジアム』が発売。
余談
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作成モードでは付与されるポイント3000だが、裏技を使うと4000付与される。
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高校野球では平成期に入って彗星の如く登場し、平成中期以降はすっかり優勝の常連となった大阪桐蔭高校は前年夏に記録的な「初出場で初優勝」を果たし、創部からの記録でも最速だった。
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しかし上記の通り基本的に後にプロである程度実績を残した選手ベースなメンバー構成なのでまだ実績で不足と見られたか、本作中の登場校には含まれていない。
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甲子園球場のラッキーゾーンはこの年から撤去されたが、そのイメージが馴染んでいないためかゲーム中では残っている。
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パッケージのイラストはそのままカセットにも流用されているのだが、パッケージ右で何とも言い難い顔をしているチアリーダーは、カセットでは絶妙な位置のタイトルロゴで顔が隠されている。
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また、説明書の表紙でも丁度半分見切れるという損な立ち位置になってしまっている。
最終更新:2024年02月25日 16:12